来人がルチアーノに勝ったその頃、遊星も、プラシドとのデュエルに勝利した。遊星はプラシドに駆け寄ろうとするが・・・
「その男に敗者への情はいらぬ。君に情けをかけられたことを知ったら、この男は大層傷つく。このくらいの歳の男とはそういうものだろう?」
意識のないプラシドの体が浮かび上がり、無限の形をしたモニュメントの上に一人の男が現れる。ホセと呼ばれる老人だった。
「「遊星!!」」
そこにジャック、クロウが合流する。
「不動遊星、ジャック・アトラス、クロウ・ホーガン・・・どうやら役者がそろったようだな。」
「・・・! おい、あいつ、誰だ!?」
クロウがホセの隣を指さす。そこには白のローブに白い鬼の仮面をつけた男がいた。
「ん、ああ、俺のことはお構いなく。いないものと思ってもらって。」
男は機械音が混じった声で話した。
「なんなのだ、あの男は・・・。それに、貴様はいったい何者だ!」
「なに、我らの協力者だ。それとまだ名前を名乗っていなかったな。イリアステルの三皇帝、リーダーのホセだ。」
「リーダーねぇ・・・ま、今はそうしとくか。」
「イリアステル!! 何故ネオドミノシティを狙う!?」
「我々の目的は・・・未来を変えることだ。」
「未来を変えるだと? そんなもの、貴様に言われるまでもなく、俺たち自身の手で決めて見せる!」
「・・・くく・・・くくく・・・!」
ホセの隣の男はこらえきらない笑みを浮かべる。
「何がおかしい!」
「ああ、悪い悪い。つい笑っちまったよ。」
男から笑みが消える。
「・・・残念なことに、お前らの進む未来はロクなものにならないんだよ。だから・・・俺たちが出てくる羽目になったんだ。」
「イリアステルとは、神が作り上げた地球の歴史を修正する組織なのだ。我々の組織は有史以前から存在し、この地球上のあらゆる事象に浸透している。貴様らがどんな手を尽くそうと、その全貌をつかむことはできまい。」
「じゃあ、世界中の政治家や起業家も、みんなてめえらの仲間だっていうのかよ!」
「世界を動かすのにすべての人間に存在を知らせる必要はない。生物の世界に食物連鎖のピラミッドがあるように、人の世界にもそれがある。我々が操っているのは、その頂点にいる僅かな者だけだ。我々は利益を与える代わりに、世界の歴史を導かせている。」
「なら・・・私のお父様とお母さまも、お前たちに消されたというわけ!?」
どこからかシェリーの声が聞こえる。
「歴史の修正で消えていくものなど、いちいち覚えていない。」
「なら、思い出させてあげるわ!」
シェリーの乗るDホイールがモニュメントを駆け上がる。
「今こそ!! 復讐を遂げる!!」
「ったく・・・あぶねえな・・・。」
シェリーがDホイールでホセと男に突撃しようとする。
「小賢しい。この程度でわしを殺すことはできんよ。」
しかし、ホセは片手でDホイールを止める。
「何!?」
シェリーは急いでDホイールから降りる。ホセはそのDホイールを海に投げ飛ばした。
「お嬢様!!」
ミゾグチもDホイールで駆けのぼり、シェリーのもとに駆けつける。
「あーあ・・・揃いも揃って・・・。」
「人間とは傲慢で欲深な存在だ。ゆえに崩壊と創造を繰り返し、歴史を作り続けてきた。しかしその影には、常に我々イリアステルがいた。我々は愚かな道に進もうとするたびに、正しい道を助言してきた。だが、我々はどんなに修正しても、避けきれぬ未来があることを知った・・・。」
「避けきれぬ未来・・・?」
「不動遊星。お前の親父さんの作ったモーメントが更なる破滅をもたらしたんだよ。だから、俺たちはルドガー・ゴドウィンをそそのかして、ゼロリバースを起こさせ、モーメントを消滅させようとしたんだ。」
男の握られた拳はわなわなと震え始める。
「だがそれでは消えなかった・・・。ゼロリバースを起こしてもモーメントは消滅しなかった。・・・・・だから、今度はモーメントをネオドミノシティごと消滅させる。」
「!!? ネオドミノシティを消滅させるだと!?」
「そんな大嘘を信じろというのか!!」
「そんなことはさせない!!」
シェリーはホセに飛び蹴りをくらわせようとする。しかし、軽くいなされ、ホセはシェリーの首をつかんだ。
「ぅぐ・・・!」
「シェリー!!」
「おいおい、あんたのその腕についてるデュエルディスクは飾りか?」
「両親のところに逝くがいい。」
ホセはシェリーを海に投げ飛ばした。飛び出したミゾグチがなんとか受け止め、デュエルディスクに仕込んでいたパラシュートで事なきを得た。
「おい、お前ら! ネオドミノシティを消滅させるって、どういうことだ!」
「それを知りたければ、WRGPに出てこい。本選には我々も参加する。」
「お前たちが?」
「あ、俺は出ないから。」
男は手を振って否定する。
「全ての答えはWRGPにある。」
「おっと、その前に・・・。」
男は遊星たちに背を向け、ホセに向き合う。
「・・・?」
「一応・・・な。」
男は左手で仮面を半分だけ外し、ホセにその素顔を見せる。
「・・・ふっ。そういうことか。」
「んじゃあ、そういうことで。じゃあな・・・チーム5D’s。」
そう言い残し、ホセと男は姿を消した。
「・・・あの男は・・・・一体・・・・・。」
WRGP予選会場
「ただいま~・・・っと。」
「「! 来人!」」
戻ってきた来人に龍亞と龍可が駆け寄った。
「いや~手こずった・・・・・あれ、クロウは?」
「結局出てっちゃって・・・。」
「ったく・・・・。」
「・・・あれ?」
龍可は来人の手を見る。
「どうした?」
「手から血が出てる・・・。」
「え・・・あ、ほんとだ。」
少量だが、左手から血が流れていた。
「あ~・・・大した傷じゃねえよ。あ、そうだ。ルチアーノに会った。」
「!!」
「も、もしかして・・・。」
「・・・しっかり勝ってきてやったよ。」
ピースをしてニヤリと笑う。
「おお~! すっげー!!」
「まあ、怒りに任せて単調だったからな。前より弱かったわ。」
そう言って、来人は静かに空を見上げた。
翌日
ゴースト氾濫による事件のため、WRGPは一時中断を余儀なくされた。
デュエルアカデミア
教室
「そっか~じゃあしばらくWRGPはないんだ。」
「ああ。おかげで少し暇になった。」
来人は大きく欠伸をした。そこに担任の加納が入ってくる。
「え~・・・授業の前にみなさんにお知らせがあります。」
「お知らせ? なんです?」
亨は首を傾げる。
「アカデミアの個人戦ですが、WRGP延期のため、予定を変更して、十日後に急遽行われることとなりました。」
「と、十日後・・・!? 随分急ですね・・・。」
「急なお知らせとなってしまって、申し訳ありません。調整の結果、ここでしかずらせず・・・。出場者および対戦表はこれの通りに。」
加納は生徒にプリントを配る。
「・・・!」
第一回戦
丸藤 亨(高等部1-B)VS 龍可(小等部6-C)
第二回戦
十六夜 アキ(高等部1-A)VS 斎藤 楓真(高等部3-A)
第三回戦
明莉・アンデルセン(小等部6-C)VS 猪爪 怜(高等部3-C)
第四試合
白石 勇太(高等部3-A)VS 伊藤 憲一(高等部2-B)
第五試合
高山 大樹(高等部3-A)VS 松本 尊(高等部3-C)
第六試合
二宮 亘(高等部1-B)VS 今井 七撫(高等部1-A)
第七試合
影山 ソラ(高等部1-B)VS 西山 夏海(高等部1-A)
第八試合
未谷 来人(高等部1-B)VS 神戸 翔一(高等部1-B)
全員が黙ってプリントを見つめた。
(高等部がほとんど・・・中等部がいないのはあまりなかったな・・・。)
翔一は心の中でつぶやく。
(何より・・・・・。)
ちらっと、席が遠い来人を見る。
(リベンジのいい機会だ。)
一方、その来人は・・・
(・・・あれ、龍亞のやついねえな・・・。)