遊戯王5D's 苦悩する男   作:yvisi

80 / 134
第79話 迫る個人戦

来人がルチアーノに勝ったその頃、遊星も、プラシドとのデュエルに勝利した。遊星はプラシドに駆け寄ろうとするが・・・

 

「その男に敗者への情はいらぬ。君に情けをかけられたことを知ったら、この男は大層傷つく。このくらいの歳の男とはそういうものだろう?」

 

意識のないプラシドの体が浮かび上がり、無限の形をしたモニュメントの上に一人の男が現れる。ホセと呼ばれる老人だった。

 

「「遊星!!」」

 

そこにジャック、クロウが合流する。

 

「不動遊星、ジャック・アトラス、クロウ・ホーガン・・・どうやら役者がそろったようだな。」

 

「・・・! おい、あいつ、誰だ!?」

 

クロウがホセの隣を指さす。そこには白のローブに白い鬼の仮面をつけた男がいた。

 

「ん、ああ、俺のことはお構いなく。いないものと思ってもらって。」

 

男は機械音が混じった声で話した。

 

「なんなのだ、あの男は・・・。それに、貴様はいったい何者だ!」

 

「なに、我らの協力者だ。それとまだ名前を名乗っていなかったな。イリアステルの三皇帝、リーダーのホセだ。」

 

「リーダーねぇ・・・ま、今はそうしとくか。」

 

「イリアステル!! 何故ネオドミノシティを狙う!?」

 

「我々の目的は・・・未来を変えることだ。」

 

「未来を変えるだと? そんなもの、貴様に言われるまでもなく、俺たち自身の手で決めて見せる!」

 

「・・・くく・・・くくく・・・!」

 

ホセの隣の男はこらえきらない笑みを浮かべる。

 

「何がおかしい!」

 

「ああ、悪い悪い。つい笑っちまったよ。」

 

男から笑みが消える。

 

「・・・残念なことに、お前らの進む未来はロクなものにならないんだよ。だから・・・俺たちが出てくる羽目になったんだ。」

 

「イリアステルとは、神が作り上げた地球の歴史を修正する組織なのだ。我々の組織は有史以前から存在し、この地球上のあらゆる事象に浸透している。貴様らがどんな手を尽くそうと、その全貌をつかむことはできまい。」

 

「じゃあ、世界中の政治家や起業家も、みんなてめえらの仲間だっていうのかよ!」

 

「世界を動かすのにすべての人間に存在を知らせる必要はない。生物の世界に食物連鎖のピラミッドがあるように、人の世界にもそれがある。我々が操っているのは、その頂点にいる僅かな者だけだ。我々は利益を与える代わりに、世界の歴史を導かせている。」

 

「なら・・・私のお父様とお母さまも、お前たちに消されたというわけ!?」

 

どこからかシェリーの声が聞こえる。

 

「歴史の修正で消えていくものなど、いちいち覚えていない。」

 

「なら、思い出させてあげるわ!」

 

シェリーの乗るDホイールがモニュメントを駆け上がる。

 

「今こそ!! 復讐を遂げる!!」

 

「ったく・・・あぶねえな・・・。」

 

シェリーがDホイールでホセと男に突撃しようとする。

 

「小賢しい。この程度でわしを殺すことはできんよ。」

 

しかし、ホセは片手でDホイールを止める。

 

「何!?」

 

シェリーは急いでDホイールから降りる。ホセはそのDホイールを海に投げ飛ばした。

 

「お嬢様!!」

 

ミゾグチもDホイールで駆けのぼり、シェリーのもとに駆けつける。

 

「あーあ・・・揃いも揃って・・・。」

 

「人間とは傲慢で欲深な存在だ。ゆえに崩壊と創造を繰り返し、歴史を作り続けてきた。しかしその影には、常に我々イリアステルがいた。我々は愚かな道に進もうとするたびに、正しい道を助言してきた。だが、我々はどんなに修正しても、避けきれぬ未来があることを知った・・・。」

 

「避けきれぬ未来・・・?」

 

「不動遊星。お前の親父さんの作ったモーメントが更なる破滅をもたらしたんだよ。だから、俺たちはルドガー・ゴドウィンをそそのかして、ゼロリバースを起こさせ、モーメントを消滅させようとしたんだ。」

 

男の握られた拳はわなわなと震え始める。

 

「だがそれでは消えなかった・・・。ゼロリバースを起こしてもモーメントは消滅しなかった。・・・・・だから、今度はモーメントをネオドミノシティごと消滅させる。」

 

「!!? ネオドミノシティを消滅させるだと!?」

 

「そんな大嘘を信じろというのか!!」

 

「そんなことはさせない!!」

 

シェリーはホセに飛び蹴りをくらわせようとする。しかし、軽くいなされ、ホセはシェリーの首をつかんだ。

 

「ぅぐ・・・!」

 

「シェリー!!」

 

「おいおい、あんたのその腕についてるデュエルディスクは飾りか?」

 

「両親のところに逝くがいい。」

 

ホセはシェリーを海に投げ飛ばした。飛び出したミゾグチがなんとか受け止め、デュエルディスクに仕込んでいたパラシュートで事なきを得た。

 

「おい、お前ら! ネオドミノシティを消滅させるって、どういうことだ!」

 

「それを知りたければ、WRGPに出てこい。本選には我々も参加する。」

 

「お前たちが?」

 

「あ、俺は出ないから。」

 

男は手を振って否定する。

 

「全ての答えはWRGPにある。」

 

「おっと、その前に・・・。」

 

男は遊星たちに背を向け、ホセに向き合う。

 

「・・・?」

 

「一応・・・な。」

 

男は左手で仮面を半分だけ外し、ホセにその素顔を見せる。

 

「・・・ふっ。そういうことか。」

 

「んじゃあ、そういうことで。じゃあな・・・チーム5D’s。」

 

そう言い残し、ホセと男は姿を消した。

 

「・・・あの男は・・・・一体・・・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

WRGP予選会場

 

「ただいま~・・・っと。」

 

「「! 来人!」」

 

戻ってきた来人に龍亞と龍可が駆け寄った。

 

「いや~手こずった・・・・・あれ、クロウは?」

 

「結局出てっちゃって・・・。」

 

「ったく・・・・。」

 

「・・・あれ?」

 

龍可は来人の手を見る。

 

「どうした?」

 

「手から血が出てる・・・。」

 

「え・・・あ、ほんとだ。」

 

少量だが、左手から血が流れていた。

 

「あ~・・・大した傷じゃねえよ。あ、そうだ。ルチアーノに会った。」

 

「!!」

 

「も、もしかして・・・。」

 

「・・・しっかり勝ってきてやったよ。」

 

ピースをしてニヤリと笑う。

 

「おお~! すっげー!!」

 

「まあ、怒りに任せて単調だったからな。前より弱かったわ。」

 

そう言って、来人は静かに空を見上げた。

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

ゴースト氾濫による事件のため、WRGPは一時中断を余儀なくされた。

 

デュエルアカデミア

 

教室

 

「そっか~じゃあしばらくWRGPはないんだ。」

 

「ああ。おかげで少し暇になった。」

 

来人は大きく欠伸をした。そこに担任の加納が入ってくる。

 

「え~・・・授業の前にみなさんにお知らせがあります。」

 

「お知らせ? なんです?」

 

亨は首を傾げる。

 

「アカデミアの個人戦ですが、WRGP延期のため、予定を変更して、十日後に急遽行われることとなりました。」

 

「と、十日後・・・!? 随分急ですね・・・。」

 

「急なお知らせとなってしまって、申し訳ありません。調整の結果、ここでしかずらせず・・・。出場者および対戦表はこれの通りに。」

 

加納は生徒にプリントを配る。

 

「・・・!」

 

第一回戦

丸藤 亨(高等部1-B)VS 龍可(小等部6-C)

 

第二回戦

十六夜 アキ(高等部1-A)VS 斎藤 楓真(高等部3-A)

 

第三回戦

明莉・アンデルセン(小等部6-C)VS 猪爪 怜(高等部3-C)

 

第四試合

白石 勇太(高等部3-A)VS 伊藤 憲一(高等部2-B)

 

第五試合

高山 大樹(高等部3-A)VS 松本 尊(高等部3-C)

 

第六試合

二宮 亘(高等部1-B)VS 今井 七撫(高等部1-A)

 

第七試合

影山 ソラ(高等部1-B)VS 西山 夏海(高等部1-A)

 

第八試合

未谷 来人(高等部1-B)VS 神戸 翔一(高等部1-B)

 

全員が黙ってプリントを見つめた。

 

(高等部がほとんど・・・中等部がいないのはあまりなかったな・・・。)

 

翔一は心の中でつぶやく。

 

(何より・・・・・。)

 

ちらっと、席が遠い来人を見る。

 

(リベンジのいい機会だ。)

 

一方、その来人は・・・

 

(・・・あれ、龍亞のやついねえな・・・。)

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。