遊戯王5D's 苦悩する男   作:yvisi

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第87話 一撃必殺のドロー

「個人戦優勝は・・・・・未谷来人君!!」

 

勝者が宣言され、会場は大きな歓声に包まれる。

 

「・・・・・。」

 

そんな中、来人は静かに天井を見上げる。

 

「まったく・・・もっと喜ぶかと思っていた。」

 

来人を見て、亨は呆れ気味にため息をつく。

 

「いや? 結局、サイバー・ダーク・エンド・ドラゴンとの勝負は逃げた形にはなっちまったからな。」

 

「どんな形であれ、勝ったのはお前だ。」

 

亨はゆっくりと手を伸ばす。

 

「・・・次は負けん。」

 

「・・・そうか。」

 

二人の握手に会場はさらに盛り上がった。これにて、アカデミア個人戦の幕が閉じた。

 

「・・・・・。」

 

亨はリングから降り、去っていく来人の姿をじっと見る。

 

「? どうかしたの?」

 

その様子を見ていたソラが亨に尋ねる。

 

「・・・いや、なんでもない。」

 

 

 

 

 

 

 

放課後

 

龍亞・龍可の家

 

「・・・んん?」

 

リビングに入った来人は目を細める。龍亞がなぜか土下座で待ち構えていた。

 

「何してんの? 龍亞。」

 

「お願い! 俺にデュエルを教えて!」

 

「は? 何言ってんだ?」

 

「俺、もっと強くなりたいんだ! いつか、龍可を一人で守れるくらい強く・・・! だからお願い! いや、お願いします!」

 

「え、やだ。」

 

「えぇ!?」

 

あっさり断られ、龍亞は思わず顔を上げる。

 

「そういうのは俺が教えることじゃねえだろ。」

 

「そ、そんなぁ~!」

 

部屋に戻ろうとした来人の体にしがみつく。

 

「ちょ、おい、離せ!」

 

「お願い~!」

 

「龍亞・・・何騒いでるの?」

 

龍可がリビングに入ってくる。

 

「あ・・・い、いや、ちょっとね?」

 

「?」

 

「もういいだろ。じゃあな。」

 

来人は部屋に戻っていった。

 

「う~ん・・・だめかぁ・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二日後 早朝

 

来人の部屋

 

「・・・・・。」

 

来人は静かにパソコンに何かを打ち込んでいた。

 

「・・・・ん?」

 

ある人物からメールが届き、それを開いた。

 

「・・・ボマーか・・・久しぶりだな。」

 

送り主はボマーだった。ダークシグナーとなっていた面々は元に戻ることができ、それぞれの生活を送っていた。

 

「・・・・んん?」

 

メールの内容に来人は首を傾げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

噴水広場

 

「ブルーアイズマウンテン12杯で36000円だとぉ!?」

 

もはやいつもの光景かのように、喫茶店でジャックとクロウが揉めていた。

 

「てめえの浪費癖がまた始まったか!! WRGPはまだ終わってねえんだぞ!!」

 

「俺は新たな戦い方を見つけようと、ひらめきを得るために飲んでいるだ!! これは経費に加えてもらう!!」

 

「こんなん通るか!!」

 

「ったく・・・ま~た、コーヒー飲んで喧嘩かよ。」

 

1枚の紙をぴらぴらとしながら、来人がやってきた。

 

「おぉ、来人。どうかしたのか?」

 

「ノース校行く前に、これ渡しておこうと思ってな。ほれ。」

 

印刷したボマーからの手紙をクロウに渡した。

 

「・・・ナスカに来てくれ・・・って、どうすんだよ! 金かかるじゃねぇか!」

 

「そこは大丈夫だ。行きはボマーに出させることにしといたから。」

 

「・・・帰りは?」

 

「そっちでなんとかしといて。」

 

「・・・・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

デュエルアカデミア ノース校

 

「へぇ~・・・それで来人、ギリギリだったんだ。」

 

「ああ。一本遅いのにしたら、危なかったな。」

 

ソラと話し、疲れた様子でため息をつく。

 

「しっかし・・・・・」

 

荒れているノース校を見回す。

 

「聞いていたより、随分と荒れ放題だな。」

 

「・・・大丈夫かな・・・私達。」

 

 

 

 

 

 

ノース校 デュエルリング

 

観客席にはガラの悪い生徒たちで埋め尽くされていた。

 

「噂通り・・・いや、噂以上だ。」

 

その様子に亨は深くため息をつく。

 

「まあ、仕方ないでしょう。うちの学校とノース校は古い付き合いらしいですから。」

 

「さっさと勝って、ここを出るとしよう。」

 

亘、翔一が話していると、リングにノース校の教師、来人たちの引率の加納が上がる。

 

「ではこれより、ネオドミノ校とノース校の交流試合を行う! 互いに全力を尽くすデュエルを見せていただきたい!!」

 

ノース校の教師による宣言で会場は盛り上がった。

 

「うぅ・・・それで、最初は・・・・・私か。」

 

ソラはがくりと首を落とす。

 

「じゃんけんで負けたんだからしょうがねえだろ。」

 

「・・・うん・・・そうだよね。」

 

一番手:ソラ

二番手:亘

三番手:亨

四番手:翔一

五番手:来人

 

ソラは恐る恐るリングに上がる。ソラの対戦相手は金髪の生徒だった。

 

「では、第一試合。ネオドミノ校、影山ソラさん。ノース校、吉本統吾君。デュエルを開始してください!!」

 

二人はデュエルディスクにデッキをセットする。

 

「「デュエル!!」」

 

ソラ LP4000 手札5

 

吉本 LP4000 手札5

 

「私のターン!」

 

ソラ 手札5→6

 

「私はアマゾネスの聖戦士を召喚!」

 

アマゾネスの聖戦士 ATK1700/レベル4

 

「このカードは私のアマゾネスと名の付くモンスター1体につき、攻撃力を100ポイントアップさせる! 今いるのはアマゾネスの聖戦士1体! 100ポイントアップ!」

 

アマゾネスの聖戦士 ATK1700→1800

 

「カードを1枚伏せて、ターンエンド!」

 

「・・・僕のターン。」

 

吉本 手札5→6

 

「魔法カード、女神の誘惑を発動。」

 

女神の誘惑(アニメオリジナル)

通常魔法

相手の手札を確認する。その中にレベル4以下のモンスターが存在する場合、その中から1体を選択して相手フィールド上に表側攻撃表示で特殊召喚できる。

 

「相手の手札を確認し、その中からレベル4以下のモンスターを攻撃表示で特殊召喚させる。」

 

「?」

 

ソラの手札

《アマゾネスの女王》

《アマゾネスペット虎》

《脆刃の剣》

《戦士の生還》

 

「・・・うん、アマゾネスペット虎を特殊召喚してもらおうか。」

 

「・・・。」

 

相手の狙いがわからないまま、ソラは召喚する。

 

アマゾネスペット虎 ATK1100/レベル4

 

「アマゾネスが増えたことで、アマゾネスの聖戦士の攻撃力がアップ!」

 

アマゾネスの聖戦士 ATK1800→1900

 

「さらにアマゾネスペット虎はアマゾネスと名の付くモンスター1体につき、攻撃力を400ポイントアップさせる!」

 

アマゾネスペット虎 ATK1100→1900

 

「さらに女神の悪戯を発動。」

 

女神の悪戯(アニメオリジナル)

通常魔法

相手の手札を確認する。その中に魔法カードが存在する場合、そのカードを1枚選択して相手フィールド上の魔法&罠カードゾーンにセットする。

 

「相手は手札から魔法カードをセットする。さっきの手札にあった戦士の生還をセットしてもらおうか。」

 

(今度はカードのセット・・・一体何を・・・。)

 

「さぁて、これで準備は整った。」

 

「準備?」

 

吉本は手札から1枚のカードを手に取った。

 

「・・・そういえば、君は知ってるかな? ノース校には死神がいったって噂。」

 

「し、死神?」

 

「その死神の力を得た者は、命を削る代わりに思い通りのカードをドローできるようになるらしい。」

 

「命を削って・・・。」

 

「今から使うカードは、そんな力を欲しがってしまうような効果を持つ。じゃあ、行くよ? 魔法カード発動! 一撃必殺!居合いドロー!」

 

※OCGのものから効果ダメージの数値を半減しています。

 

「手札を1枚捨て、効果を発動する。君のフィールドのカードの枚数、デッキからカードを墓地に送る。君のフィールドのカードは4枚。4枚のカードを墓地に送る。」

 

墓地に送られたカード

《打ち出の小槌》

《魔法石の採掘》

《デスグレムリン》

《太陽の書》

 

「その後、1枚ドローする。それが一撃必殺!居合いドローの場合、フィールドのカードを全て破壊し、1枚につき1000ポイントのダメージを与える。つまり成功すれば、君のライフは0になる。」

 

「このためにわざわざ私に召喚やセットを? で、でも、結局ドローできなかったら・・・」

 

「ふっ、僕がなんでさっきの死神の話をしたと思う?」

 

「・・・・・・!! まさか・・・」

 

「ああ死神はついちゃいないよ?」

 

「え?」

 

「僕は・・・そんなものに頼らず、自らの手で勝利をもぎ取るのさ。まあ、かつてこのカードの使用者は、それに頼ったそうだけど。」

 

吉本は不気味な笑みを見せ、デッキの一番上のカードに指をかける。

 

「じゃあ、行くよ? ・・・ドロー!!」

 

「・・・・!」

 

ソラには吉本がドローする姿がスローモーションに見えた。

 

「・・・・・。」

 

ドローしたカードを静かに確認する。そして、ソラに見せた。

 

「・・・・!! そんな・・・・!!」

 

「おやおや、このデュエルはこれで終わりか。あっけないあっけない。」

 

吉本がドローしたのは《一撃必殺!居合いドロー》だった。

 

「ドローしたのは、居合いドロー。よって、フィールドのカードを全て破壊する。」

 

《一撃必殺!居合いドロー》から発せられた風の刃がソラのカードを全て切り裂いた。

 

「きゃあああ!!」

 

ソラ LP4000→0

 

WINNER 吉本

LOSER ソラ

 

「・・・しょ、勝者、吉本統吾君!」

 

加納の戸惑った勝者宣言で会場のノース校生は怒号に似た歓声を上げる。

 

「・・・じゃあね。影山さん?」

 

吉本はゆらゆらと体を揺らしながら、リングを降りた。

 

「・・・・・・。」

 

呆気にとられつつも、ソラもリングを降りる。

 

「ご、ごめんね? わけわかんないまま負けちゃった・・・。」

 

「い、いや、気にするな。」

 

翔一は慰めるようにソラの肩に手を置いた。

 

「ありがと・・・。」

 

ピリリリ!

 

携帯電話の着信音が鳴る。

 

「あ、私だ。ちょっと出てくるね。」

 

電話に出るため、ソラは会場から出た。

 

 

 

 

 

 

廊下

 

「もしもし? ・・・・? もしもし?」

 

ソラは電話に出たが、相手は何も言葉を発さない。

 

「・・・? あの?」

 

一向に電話の主は言葉を発さない。そして、電話に気を取られていたソラの背後に誰かが忍び寄る。

 

「・・・もう切ろうかな・・・。」

 

しびれを切らし、電話を切ったその時だった。

 

「んぅ!?」

 

何者かがソラの口元に布をかぶせた。

 

「ん、んん!!」

 

(誰か、助け・・・! ・・・え・・・あ・・・)

 

ソラの意識が朦朧としてくる。

 

(・・・た・・・す・・・)

 

ソラの目の前が真っ暗になり、意識が途絶えた。

 

「・・・・。」

 

眠らせた人物はソラを抱え、どこかへ歩き始めた。

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