数日後
龍亞・龍可の家
来人の部屋
ソラ以外の4人は、ノース校から帰った後数日の停学と反省文の処分となっていた。
「・・・・くぁ~・・・!」
反省文を書き終え、疲れから大きく伸びをする。
『未谷来人。』
「ん・・・?」
来人の前に龍可の精霊、レグルスが現れる。
「あれ、なんでここにいんだ?」
『龍可に頼んでここに置いてもらったのだ。それで・・・あの件だが・・・』
「あの件? ・・・ああ、あれか。超融合な。」
『持っていたデュエリストと戦ったのだろう。その後、カードはどうなった?』
「さあ? あの後ゴタゴタしてな。どっかいったよ。」
『・・・本当か?』
疑いの目で来人に詰め寄る。
「本当だよ。ちけぇな・・・。」
『・・・・・。』
来人の全身をじっと見る。
「てか、なんで超融合のカードが精霊世界にあるんだ? あれって、遊城十代のカードだろ?」
『! 知っていたのか。』
「アカデミアで習ったんだよ。なにせ、アカデミアの英雄だからな。」
『あのカードは、その遊城十代が精霊世界に封印したものだ。詳しいことはあまり知らないが・・・。』
「知らねえのかよ。」
呆れ気味にため息をつく。
『・・・・まあいい。信じよう。迷惑をかけたな、未谷来人。』
来人の言うことを信じ、レグルスは姿を消した。
「・・・・・。」
来人はデッキを手に取り、1枚のカードを取り出す。それは《超融合》のカードだった。
ピピピ!
「・・・・ん?」
カードをデッキにしまい、携帯電話を開いた。メールを見た来人は首を傾げた。
「・・・・は?」
数時間後
裏通り
「なにぃーー!?」
遊星、クロウ、来人、ブルーノを連れたジャックの叫びがこだました。
「ここでも売り切れだとぉ!? なぜだぁーー!!」
「仕方ねえだろ。新製品の激甘おしるこヌードルは大人気なんだからよ。」
激甘おしるこヌードルが置かれていた棚には売り切れと書かれた紙が貼られていた。
「・・・・・って、そんなもんのために俺使ったんじゃねえだろうなぁ!?」
来人はジャックの胸倉をつかみ、体をガクガクと揺らした。
「俺がこのカップ麺を食べるためにどれだけ苦労したかお前にはわからんのか!!」
「わかってたまるか!!」
「つうかそんなことより働け!!」
クロウはジャックの頭を思い切りひっぱたいた。
「元キング! 今回の料金倍にするからな! 倍!!」
「何を言う! どうせ暇なのだろう!?」
来人とジャックはクロウを巻き込み、取っ組み合いのけんかを始める。
「ちょ、ちょっと、落ち着いて・・・!」
ブルーノが宥めていると、後ろの1台のバイクが通り過ぎる。するとバイクの運転手がおばあさんの荷物をひったくっていった。
「! ひったくりだ!」
バイクが走り去ろうとしたとき、運転手の腕にロープのようなものが巻き付かれる。運転手はそれに驚き、バイクが横転する。
「? なんだ?」
「イ~ヒッヒッヒ・・・!」
妙な笑い方をした男はこぼれた荷物から激甘おしるこヌードルを3つほど取ると、立ち去っていった。
「あの笑い声・・・。」
「まさか、イェーガー・・・!?」
姿をくらました治安維持局副長官、イェーガーと同じ笑い方の男を来人たちは追いかけた。
「ヒーヒッヒッヒ・・・! 久しぶりのご馳走! しかも激甘おしるこヌードルでございます!」
「嬉しそうだな。イェーガー!」
「逃がしはせんぞ!」
イェーガーの周りを来人たちが取り囲んだ。
「よぉ、どんぐりピエロ。今までどこ逃げ回ってたんだ?」
「ひぃ! は、はて? どなたかとお間違えでは?」
「何言ってやがる!」
来人たちは徐々に詰め寄る。
「そのへんちくりんな喋り方と声が・・・」
「「何よりの証だ!!」」
ジャックとクロウがイェーガーの変装を剥いだ。ついでにイェーガーが持って行ったカップ麺も取り返した。
「治安維持局副長官のお前に、聞きたいことがある。」
「な、何を・・・。」
「イリアステルのことを知っているんじゃないのか?」
「ほう・・・私にイリアステルのことを話してほしいと・・・。で、その見返りは・・・んぐ!」
ジャックはイェーガーの頭にカップ麵を押し当てる。
「調子に乗るな! 貴様は俺のカップ麺を盗み食いしたのだぞ! 忘れたとは言わせん!
(んなことあったのかよ・・・つか、どうでもいい・・・。)
「吐け! さあ、吐いてしまえ!」
「おい、落ち着けよジャック。」
「貴様には俺のくやしさはわからん!」
「・・・!」
イェーガーは一瞬の隙を見逃さず、ジャックが持っていたカップ麺二つを奪い、階段の手すりにロープをひっかけ、上に逃げていった。
「ヒ~ヒッヒッヒ! あの時のカップ麺は最高においしゅうございました! ではさらばなのです! ヒ~ヒッヒッヒ!」
高笑いをしながら逃げていった。
「くそ! また逃げられた!!」
ガレージ
「で、5人もいながら簡単に逃げられちゃったの?」
「どうして?」
「なんで?」
話を聞いたアキ、龍可、龍亞はみすみすイェーガーを取り逃がしたことに呆れていた。
「どっかの元キングさんがカップ麺の恨みがどうだの言ってたからじゃないんですかねぇ?」
「俺のせいだというのか!」
「さあな。」
「「「はぁ・・・。」」」
来人とジャックのやり取りにさらに首を振って呆れた。
「でも、なんでイェーガーがあんなところに・・・。」
「奴もイリアステルに殺されかけているからな。」
「身の危険を感じてバックレたってことか。」
「奴はイリアステルに関する情報を持っているはずだ。」
「くそ、あの野郎・・・!」
「・・・・・。」
ジャックはテーブルに置かれたカップ麵をじっと見る。
「・・・・!! いい手がある!」
「「「「「「「??」」」」」」」
「ふっふっふ・・・!」
「・・・なんか、妙に嫌な予感が・・・。」
数日後
パン! パン!
「本日はピリ辛レッドデーモンズヌードル・・・」
「発売3周年記念イベントにようこそお越しくださいました!」
特設ステージの上で龍亞、龍可が唐辛子となるとのかぶりものをしていた。そばには山積みのカップ麺『ピリ辛レッドデーモンズヌードル』があり、魔女の格好をしたアキ、サングラスをしたブルーノが近くに立っていた。
「本日のスペシャルゲストは・・・・・カップラーメンマン!」
まばらな拍手とともに龍可が呼びこんだのは、カップ麵の着ぐるみをし、サングラスをかけた謎のキャラだった。
「みんな、待たせたな!」
「なにあれ~。」
「かっこわる~!」
カップラーメンマンの口がピクピクと吊り上がる。
「・・・なんで俺がこんなこと・・・!!」
客に聞かれないよう、アキが静かに近づく。
「しょうがないでしょ。じゃんけんで負けたんだから。ね、来人。」
「ぅぐ・・・!」
着ぐるみの正体は来人だった。客へのイライラ、ある人物への怒りで拳を強く握りしめる。
「元キング・・・! いつかシメる・・・!」
「来人の奴、何をつぶやいているんだ?」
「さあ。」
ジャック、遊星、クロウはステージ後ろから様子を窺っていた。
(そりゃキレんだろ。あんな恰好させられればな。)
「それではいよいよ開始です! ピリ辛レッドデーモンズヌードル争奪デュエル大会!」
「最強デュエリスト、カップラーメンマンとデュエルで戦い、勝った方には・・・ピリ辛レッドデーモンズヌードル1年分をプレゼント!」
思いがけない景品に多くの客が盛り上がりを見せる。
「1年分とは気前がいいぜ!」
「俺でも勝てそうだ!」
「負ける気がしねえ!」
「私が戦う!」
(こいつら・・・・!!)
客のヤジにカップラーメンマン・・・来人は心の中で完全にブチギレていた。
「「デュエル!!」」
こうして来人と客たちとのデュエルが始まった。
「バトル! おジャマ・キングでダイレクトアタック!!」
「うわあああ!」
客1 LP1200→0
WINNER カップラーメンマン(来人)
LOSER 客1
「おジャマトークンの効果! 破壊されたとき、300ポイントのダメージを与える!」
「ぐあああ!」
客2 LP200→0
WINNER カップラーメンマン(来人)
LOSER 客2
「おジャマどもで一斉攻撃!」
『『『おりゃあ~!』』』
「うあああ!」
客3 LP2000→0
WINNER カップラーメンマン(来人)
LOSER 客3
「すげぇ・・・!」
「レベルが違う・・・!」
「さあて、次はだれだ!」
「ヒ~ヒッヒッヒ!」
ステージにパンクロックの格好をした男が上がってくる。
「次の相手は私でございま・・・・・じゃなくて、俺様だぜぇ! イエイ!」
「・・・んん?」
「来たぞ・・・!」
(こいつ隠す気ねぇだろ・・・。)
チーム5D’sの面々はすぐに気づいた。現れたこの男はイェーガーだと。
「・・・ようやく会えたな。うれしいよ。」
「はて? どこかでお会いに?」
アキ、ブルーノがイェーガーの背後に回る。
「う!?」
「もう逃がさんぞ!」
遊星、ジャック、クロウが姿を見せる。
「おまっとさんでしたぁ!」
来人は着ぐるみを外し、イェーガーを閉じ込めるようにかぶせた。
「まったくしつこい・・・! しかし!」
「うぉ!?」
煙幕を放ち、イェーガーは姿を消した。
「やろー! イェーガー!!」
「どこに消えた!!」
「くそ、どんぐりピエロめ! 逃げ足だけはいっちょ前か!」
「心配するな。」
怒りを見せる来人の肩に遊星はポンと手を置いた。
「策はある。」