「・・・・んん?」
パソコンを操作していた来人の手が止まる。モーメントエクスプレスにもう一度向かうため、情報にアクセスしようとした時だった。
「来人、どうかしたのか?」
「いや、モーメントエクスプレスのホームページが消えてんだよ。それにせっせと抜いてきた情報も全部消えてる。」
「何?」
驚く遊星のそばでシェリーの執事、ミゾグチが深刻な顔で頭を抱えていた。ともに潜入していたシェリーが異空間に取り残され、行方不明になっていた。
「おい、テレビ見てみろ! おかしいことになってるぜ!」
慌てたクロウの言葉通り、テレビを見ると、イリアステルのホセ、プラシド、ルチアーノが画面に映っていた。
『ご覧ください! チームニューワールドの3人が空港に姿を現しました!』
「チームニューワールド? そんなチームいたか?」
来人とブルーノはパソコンを操作し、チームニューワールドの情報を出す。
「何々・・・? 結成当時から世界中の大会で一世風靡し、トップデュエリストチームの仲間入りを果たす。」
「どこのサイトにも同じような記事が載ってるよ!」
「・・・! 対戦表を出してくれ!」
「ほいきた。」
来人はWRGPの決勝トーナメント表を映し出す。
「・・・? あれ、トーナメント変わってね?」
「なんだと!?」
画面を見ると、決勝トーナメントに進出したはずのシェリーとミゾグチのチームが消えていた。
「まさか・・・歴史が改ざんされた・・・!?」
「歴史の改ざんだと・・・!?」
「イリアステルが言っていたのは本当だったんだ。過去を操作し、現在の歴史を変えた・・・!」
「馬鹿な・・・!」
「遊星ー! いるかー!」
「!! この声は牛尾課長補佐・・・!」
イェーガーは急いで物陰に身を隠した。その後、牛尾と狭霧からWRGP中止の可能性が語られた。イリアステルとの戦いを実現するため、イェーガーは姿を現し、治安維持局に戻り、長官に就任した。
数日後
龍亞・龍可の家
「くぁ・・・!」
大きく欠伸をしながら、来人がリビングに入る。
「おはよう、来人。」
「ん、おはよう。・・・・・あれ、龍亞は?」
「いつの間にか出かけてったわ。」
「ふ~ん・・・。」
また欠伸をし、ソファに腰掛けた。
「・・・・・。」
そんな来人を龍可はじっと見る。
(///・・・ふ、二人きり・・・。)
コップにアイスコーヒーをいれ、来人の隣に座る。
「///は、はい・・・。」
「ん、サンキュ。」
眠気を覚ますためか、一気に飲み干した。
「///そ、そういえば・・・3日後だよね? WRGPの決勝トーナメント・・・。」
「ああ。明日には組み合わせが発表される。ったく、急ったらねぇな・・・。」
「///・・・きょ、きょ今日は何か予定、あるの?」
「ん? いや、特にないな。だからこんな時間まで寝てたんだよ。」
時計の針は11時を過ぎていた。
「///そ、そそそれなら、こ、ここ、行かない!?」
服のポケットから1枚のクーポンを取り出す。
「ん? ・・・クーポン限定特別ランチ・・・。」
クーポンの文字を読んだところで来人の腹の虫が鳴る。
「まあ、朝・・・もう昼だし、行くか。」
「///!! ありがとう!」
レストラン
「いらっしゃいませー! 何名様でしょうか?」
「二人です。ああ、あと・・・」
クーポンを店員に手渡す。
「これ使いたいんですが・・・。」
「はい。・・・・あの・・・」
「?」
「こちら、カップル限定のクーポンになりますが・・・」
「「え?」」
まさかの言葉に来人と龍可の言葉が重なった。来人は店員の手からクーポンを受け取り確認した。
「・・・あ、本当だ。書いてあるわ。」
「////え、あ、あの・・・。」
龍可の顔がどんどん赤くなる。
(/////さ、さすがにそれは・・・し、心臓がもたない・・・! 来人には悪いけど、こ、ここは店を変えるしか・・・。)
龍可はちらちらと来人を見る。
(正直別にどこだっていいが、移動はめんどくさい・・・。・・・龍可もここにしたそうだ。任せとけ。)
来人は汲み取ったかのように親指を立てる。実際はまったく汲み取れていない。
「はい、カップル? です。」
「/////!!?」
「はい、ありがとうございます! それでは・・・。」
店員はレジ奥からカメラを取り出した。
「?」
「こちらでお二人の普段のカップルらしいことを写真に収めいたします~!」
「////え!?」
「はあ・・・。」
龍可が驚きで大きな声を出す中、来人は気の抜けた返事をする。
「で、何すれば?」
「そうですね~・・・先日ご来店したこちらのお客様はこのように・・・。」
1枚の写真を来人に手渡す。龍可は恐る恐るそれを覗き込む。
「へぇ~・・・・・え、亨?」
写真に写っていたのは、来人がよく知る人物だった。亨は誰かとハグをしていた。
「・・・てか写真の日付停学中じゃねえか・・・あいつ何してんだ。」
(/////丸藤さんとハグしてる人・・・これ、明莉じゃあ・・・。)
「・・・なるほど? よし、龍可。早く。」
「/////え?」
「いやだから、これ。」
写真の亨と明莉を指でトントンと叩く。
「////・・・え!? へ!?」
「ほら、早く。」
写真を店員に返し、来人は腕を広げる。
「////あ、ああああの!?」
「? とっくにやってんだからいいだろ。2回。」
「/////2回・・・・・。」
アルカディアムーブメントの時・・・自分の部屋の時・・・それぞれを思い出し、目がチカチカし始める。
「/////あぅ・・・・。」
あわや倒れるかというところに来人が受け止めた。
「これでよし・・・。さ、写真を。」
「あ、はい~! では3、2、1・・・はいチーズ!」
龍可のわけがわからなくなっているうちに、来人は写真撮影を済ませた。その後、店員の案内で席に座った。
「さて、どれにす・・・る・・・。」
「/////・・・・。」
顔を真っ赤にした龍可は体をふらふらさせ、惚けていた。
「・・・? 龍可? どうした?」
「////・・・はっ!?」
我に返った龍可は周りをきょろきょろと見る。
「////こ、ここは!?」
「何言ってんだ。行こうっていったレストランだろ。」
「///あ・・・そ、そうだった・・・。」
「んで? 何にする? クーポン使ったから安いぞ。」
来人はテーブルのメニューを手渡す。
「///え、えっと・・・じゃあこれで・・・。」
「ん。すみませ~ん!」
店員を呼び、注文する。その後は来た料理を食べ、店を出た。会計のため、レジに行くと・・・
「こちら、お渡しいたします~!」
「あ、どうも。」
「? ・・・・!?」
店員から渡されたのは、さっき撮った写真だった。
「あ、2枚ある。ほい。」
「////あ、ありがと・・・。」
手が少し震えながら受け取り、ポケットにしまう。
食後の運動のため、軽く散歩していると・・・
「ん?」
来人はよく知っている人物を見つける。
「遊星にブルーノに、龍亞までいる。」
「え? ・・・本当だ。何してるんだろ?」
二人は遊星たちに駆け寄った。
「あれ? 来人に龍可じゃん。何してんの?」
「飯食ってたんだよ。お前らこそ何して・・・」
遊星とブルーノは1台のDホイールをいじっていた。ところどころがツギハギの緑の車体だった。
「・・・んん?」
緑のジャージを着た男が来人に駆け寄ってくる。
「君、もしかして未谷来人!?」
男は来人の手をガッとつかむ。
「はあ・・・まあ。」
「見たよ~! フォーチュンカップ決勝の遊星と君のデュエル!! いやぁ~あれは何度見ても・・・」
「ヨシ、困ってるだろ?」
ヨシと呼ばれた男の肩に赤いジャージの男が手を置いた。
「えっと・・・おたくらは?」
「俺の名前は山下太郎。ヨシと・・・あそこにいるジンと一緒にチーム太陽ってチームでWRGPに出ているんだ。」
ジンと呼ばれた青いジャージの男を指さす。男は軽く会釈するだけだった。
「へぇ・・・で、何してんだ?」
「修理してるんだよ。手製のDホイールなんて見られる機会ないからね。」
「え、手製? ちょっと見せろ。」
「あ、あの!」
ヨシと呼ばれていた男がおずおずと来人に近づく。
「ん?」
「サインください!」
「・・・え・・・」
男が差し出したのは、通常モンスターが入ったデッキだった。
「あ、おい!」
ジンと呼ばれていた男が急いでデッキをしまわせた。
「戦うことになるかもしれない相手にデッキ見せるヤツがいるか!」
「いや、だって、色紙なくって他にサインできるのがなくってさ・・・。」
「・・・・・。」
(大丈夫か、こいつら・・・。)
心の中で呆れながらも来人は遊星、ブルーノとともにDホイールの修理を始めた。そして翌日、WRGP決勝トーナメントの組み合わせが発表された。チーム5D’s初戦の相手は・・・チーム太陽だった。
幕間短編
『停学中(亨と明莉)3』
レストラン
「///す、すみません・・・。」
「何、気にするな。」
送る途中、明莉のお腹が盛大になってしまい急遽レストランに来ていた。
「それにたまたまクーポンがあったからな。」
財布にあったクーポンを見せる。
(・・・でもこんなクーポンもらったんだったか?)
「いらっしゃいませ~!」
「これ使いたいんですが・・・。」
「はい。こちらのカップル限定クーポンですね。」
「「え?」」
クーポンのまさかの内容に二人は気の抜けた声が出る。
「///え、あ、あの・・・。」
明莉は亨をちらちらと見る。
(///い、いきなりそんな・・・!)
(使った手前、違いますというのもな・・・。明莉もそんな感じだ。)
まったくわかっていなかった。
「はい、お願いします。」
「/////!!?」
「ありがとうございます! それでは・・・。」
店員はレジ奥からカメラを取り出した。
「?」
「こちらでお二人の普段のカップルらしいことを写真に収めいたします~!」
「はあ・・・。例えば何が?」
「そうですね~・・・」
店員が亨に耳打ちした。亨は静かに明莉の後ろにまわった。
「////え? あ、あの・・・?」
「・・・・。」
亨は後ろから優しく明莉を抱きしめた。
「/////!!? !!?」
「これで、大丈夫ですか?」
「はい~! では撮りま~す!」
(////うぅ・・・は、恥ずかしい・・・。)
明莉にとって忘れられない日となった。