ポケモン フィクション 〜虫とり少年と反逆神〜 作:くまっくす
「んで、これからどうするんだ?」
勝手にボールを出ているヒメグマが手をペロペロしながら言う。
「最終的な目標はポケモンリーグ制覇だな。
つまりはポケモンリーグチャンピオンだ」
「おー、でっかく出たな。
いーじゃん。お前がその気なら俺も本気出していくぜ」
「ああ、頼むよ。力を貸してくれ」
なんかやや気恥ずかしかったが、ヒメグマとグータッチを交わした。
目指す目標はポケモンリーグチャンピオン。
そのためにはリーグ公認のジムバトルに挑戦し、ポイントを稼がなくてはいけない。
目下の目標としてはジムバトルに挑戦し、バトルポイントを得ることだ。
その為にはポケモンを強くしなくてはならない。
そう、強いボケモンを育てる必要がある。
つよい ポケモン よわい ポケモン そんなの ひとの かって ほんとうに つよい トレーナーならすきな ポケモンでかてるように がんばるべき
有名なカリンの名言だ。
色々揶揄もされる発言だが、俺はこの意見に全面同意している。
ポケモンを選ぶ際に強い、弱いという判断のカテゴリを取っ払うべきなのだ。
ただただ、好きなポケモンを使えばいい。
そして、強いポケモンで勝てるように努力すべきなのだ。
だから、俺はこの世界でも好きなポケモンを捕まえ、育て、そして、そのポケモンたちと共にチャンピオンになってやるのだ。
捕まえたいポケモンは既に色々頭に浮かんではいるが、その為にもまずは手持ちのポケモンを強くしなくてはいけない。
まとめると、手持ちのポケモンを育成しつつ、バトルポイントを稼ぐために各地を回るというのが当面のやるべきことだろう。
よしっ! やるべきことはまとまった。
ふと横を見ると相変わらずヒメグマは手を舐めている。
「んで、ヒメグマはなんでいつも手を舐めているんだ?」
「そーんなの博士にもらったポケモン図鑑で調べてみろ」
それもそうかと思い、ポケモン図鑑を起動する。
図鑑はスマホのようになっているのでカメラ部分でヒメグマを撮影する。
ミツを見つけると 三日月模様が 輝く。 甘いミツが 染みこんだ 手のひらを いつも なめている。
図鑑音声が説明してくれる。
なるほど。あの手のひらは蜜が染み込んでいて甘いのか。
「そゆことー。あー、めちゃウマー」
「で、今更の話だけど、ヒメグマはサトシのピカチュウよろしく、ボールに入らずにずっと外に出ているつもりなのか?」
「そのピカチュウのことは俺は知らねーが。
そうだな。ボールん中も快適だけど、やっぱり俺は外が好きだからな。このまま外にいるよ。バナナも話し相手がいて面白し、別にいいだろ?」
どうせ勝手にボールに入れても出てくる。
あと正直ヒメグマとは気が合うから好きにしてくれて構わないが、あんまり人前で喋ると目立つから、それだけはやめて頂きたい。
***
数日後。
ここんとこの生活といえばトキワの森でひたすら経験値を積むため、バトル三昧である。
豊富にいる野生のポケモンたちと激しいバトルを繰り返し、わざを磨き、実践訓練を繰り返している。
この世界におけるポケモンのタイプとわざについて説明したいと思う。
ポケモンにはそれぞれタイプという『炎』や『水』といった属性が存在する。
タイプには相性があり、例えば炎タイプは水タイプのわざに弱い──まあ、ゲームと同じだ。
だが実際に転生してみて、このタイプという概念がより理解できた。
タイプというのはポケモンだけが体内に持つエネルギーである。
つまり、ポケモンが自ら発生できるエネルギーがタイプのエネルギーであり、そのタイプごとのエネルギーを形にしたものがポケモンの技なのだ。
例えばアニメのポケモンで何もない空間から岩を発生させて、『ストーンエッジ』と言っていた。
あれはこの世界の概念で解釈すれば、自身がもつ岩タイプエネルギーを岩の剣として形成して、技として発動させたもの、それがストーンエッジである。
さて、これから挑もうとしているニビジムは岩タイプのエキスパート。
ポケモンゲームにおけるニビジム、ジムリーダータケシはハッキリ言って雑魚だ。
あわを覚えたゼニガメ一匹、A連打で勝てる。
だが、この世界ではそう簡単にはいかないだろう。
最強のジムリーダーであるグリーンが規格外の強さなのだとしても、ジムリーダの時点でかなりの猛者なのは間違いない。
というのもジムリーダーの時点でポケモンリーグへの参加資格があるとのことなので、この世界においてジムリーダー同士の優劣はゲームほどかけ離れていないと思われる。
また、ゲーム内における単タイプ統一でパーティを組んでいるのは愚策でしかないが、この世界では確かに理にかなっている部分はある。
理由としてはそもそもポケモンのレベル上げが非常に困難であり、ポケモン同士の戦闘訓練も基本的には同タイプで戦ったほうが効率よく育てることができる。
タイプ相性も確かに存在するが、それを覆すレベルの違いがこの世界においては大きな差となる。
日々、いわタイプのトレーナーとともに訓練を行っているタケシのポケモンはかなりのレベルになっている可能性がある。
以上の理由から俺の手持ちにゼニガメがいるからといって勝てる理由にはならないのだ。
ガサガサ!!
草むらが揺れ、野生のカイロスが現れた。
「出たな、カイロス」
トキワの森における生態系の頂点に位置するのがこのカイロスだ。
かなりの強敵である。
俺はゼニガメを繰り出す!
「おーし! おいら絶対に負けないぞー!!」
・・・うん。
最初は普通のゼニガメだったんだ。
気づいたらいつのまにか喋るようになっていたよね。
どうも俺の手持ちになるポケモンはしばらく俺と過ごすとことばを話すようになるらしい。
だが、話ができることはポケモン育成にとってプラスでしかない。
会話をすることで、トレーニングの意味や技を的確に伝えることができるし、ポケモンたちが言いたいこともよく分かる。
そのおかげかゼニガメとヒメグマはここ数日で大幅なレベルアップを遂げた。
その証拠がこれだ。
「おおおおおおお!!」
手足頭、しっぽを甲羅の中に入れ、激しく回転するゼニガメ。
駒のように、しかし不規則に動くゼニガメの動きにカイロスはついてこれない。
背後をとったのはゼニガメ。
高速スピンでカイロスを上空に弾き飛ばす。
そのまま水鉄砲で追撃!
最後のとどめにロケット頭突き!
「おらぁああ!」
大きく飛翔し、そのまま落下したカイロスはよろよろと逃げていった。
「へへーん! どんなもんだーい!」
「おー、ゼニガメやるなぁ」
ゼニガメはピースサイン。
ヒメグマは駆け寄り、2匹はハイタッチをした。
こうした連続のコンビネーション技はゼニガメ、そしてヒメグマと日々作戦会議やトレーニングの中で生み出した。
最初の頃はカイロスにはとてもじゃないが歯が立たず、逃げるので精一杯だった。
俺達は強くなったということだ。
よし。
そろそろ挑戦しても良い頃合いかもな。
第1章なのでどうしても世界観の説明が多くなります…
第2章からはもうちょっとストーリーの展開が早くできればと思ってます