ポケモン フィクション 〜虫とり少年と反逆神〜   作:くまっくす

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ポケモンの語られていない、描写されていない部分を妄想するのがたまらなく好きです


ポケモントレーナーという仕事

 ニビは灰色 石の色

 険しい 山間の街

 

 トキワの森を抜けた先にある岩山に囲まれたニビシティは華やかさはないが、無骨な職人肌の男たちが多く住む街だ。

 

「このニビアラレも結構いけるねー」

 

 ニビシティ名物のニビアラレをポリポリ貪るヒメグマ。

 基本いつもなんか食っている食いしん坊である。

 

 食べ物といえばこの世界の食事事情を説明しよう。

 

 そもそもの話だが、この世界には人とポケモン以外の生き物も存在する。

 

 さらっと言ってしまったが、こっちに来てまず驚いたことがそれかもしれない。

 

 空には雀やカラス、ハトもいて、牧場には食用の牛や豚もいる。

 ペットとしての犬や猫は見ないが、野良犬、野良猫はたまに見る。

 虫や草木も普通にあって、ポケモンがいる以外は特段俺がいた世界と見える風景に大きな違いはない。

 

 なんとなくポケモンの世界は人とポケモンしかいないものだと思い込んでいたが、ポケモン図鑑によるとヒメグマは『こぐまポケモン』であり、ゼニガメは『かめのこポケモン』である。

 こぐまのようなポケモン、かめのこのようなポケモンということで熊と亀という概念がないとそもそもつけられない分類名なのだ。

 

遥か昔は人とそれ以外の動植物がこの世界にはいて、どこかの時間軸で突然ポケモンという存在が生まれた──そして、人はくまの子のような見た目をしているこの生き物を『こぐまポケモン』と名付けたのだろうか。

 

 いつかこの世界の歴史の成り立ちを学んでみたいものだ。

 

 また、人とポケモンの位置付けだが、生態系ピラミッドの上位に人とポケモンが君臨していて、その下に他の生き物がいる感じだ。

 

 だから、ポケモンたちの食事事情とすれば人間が作ったポケモンフードも食べるが、野生のポケモンたちはそうはいかない。

 草食のポケモンは植物を食べるし、主に昆虫を食べる動物もいる。

 肉食のポケモンは狩りをする。

 エサとなるのは主に他の野生の生き物だ。

 狩りの難易度は大きく上がるが、時にポケモンを狩ることもある。

 

 次に地理的な特徴を説明する。

 この世界においては例えば今の日本で見られるような国土のほとんどが人の手によって整備され、開発されているということは人が住む街中だけで、それ以外は人の手があまり届いていない森や砂漠、湿地帯、ザバンナのような植生帯が広大にある。

 

 街中にいるとこれまでの日本での生活とほぼほぼ変わらないのだが、街を離れると野生のポケモンや生き物、そして圧倒的な自然が広がっているのだ。

 

 ニビシティはそうした広大な自然に囲まれた山間にあるため、旅人たちの休憩地点としても活用されるが、そんな土地にはガチンコポケモンバトルを望む輩も多く集まってくる。

 

「少年! どうだ? 俺とポケモンバトルをしよう!」

 

 さっそく町中を歩いていると大きな登山バックを背負った山男が現れた。

 

 さっきからこうやって歩いているだけでやたらポケモンバトルを求められる。

 

 まあ、売られた喧嘩は買うだけだし、俺よりもずっと喧嘩っ早いやつがここにいる。

 

「おっしゃあああ! 上等だ! かかってこいやぁ」

 

 ニビアラレを口に放り込み、バクバク噛み砕くとヒメグマはがおーっと戦闘体制を取る。

 

 しっかし、口は悪いが見た目は何をしてても可愛いのが腹立つ。

 

 さて、野生のポケモンとの戦闘経験は大分積んだつもりだが、トレーナーとのポケモンバトル経験は乏しい俺にとってはジムバトル前の良い練習にもなる。

 

「いいですよ! よろしくお願いします!」

 

「始めよう!!

 いけ! ワンリキー」

 

 ポケモンバトルスタート。

 

 山男のワンリキーはボールから飛び出た勢いそのままに、真っ直ぐにヒメグマに突撃し右ストレート。

 

「おっと!」

 

 ヒメグマは躱すが、なかなかに鋭いパンチの連打でこちらは、攻撃体制に移れない。

 

 まるでボクシングのワンシーンのような攻防が繰り広げられる。

 

 ヒメグマはバックステップし、そのまま後ろに大きくバク転し、ワンリキーとの距離をとった。

 

「なかなか良いパンチを打つじゃねーか。だけどな、そのスピードにはもう慣れたぜ」

 

「リキ!?」

 

 ヒメグマは両手を広げて、挑発する。

 

「来い!」

 

 ワンリキーはヒメグマの挑発にのり、ムキになって突進。

 

 そのまま単調な動きの右ストレート。

 

「遅いぜっ!」

 

 それをしゃがみ込むように屈むことでかわし、お返しのアッパーパンチをお見舞いする。

 

 パンチはワンリキーの顎を直撃。

 

 ワンリキーは白目を向いて後ろに倒れた。

 

「なっ! まさか俺のワンリキーがやられるとは!」

 

 勝負あったな。

 

 俺は山男に勝利し、そして──

 

 賞金として1000円を受けった。

 

 何やってるかって?

 

 そりゃあ、ポケモンバトルに勝ったらその場で賞金ゲットはこの世界の常識だ。

 

 だが、現金の手渡しではなく、電子マネーという形で賞金は受け取ることができる。

 

 簡単に説明するとポケモントレーナーはポケモンリーグ公認のポケバトというアプリに会員登録する。

 このアプリに登録しておくことでバトル後のスムーズな賞金の受け渡しや、ジムバトル後のリーグポイントを獲得することができる。

 

 ポケバトがあるおかげで仮にバトルに負けたにもか関わらず賞金の受け渡しを拒んだ場合などはリーグに違反者を報告することでペナルティを受けさせることができる為、こうした野良バトルでも収入を得ることができるのだ。

 

 そういった環境がある為、この世界においてはポケモントレーナーは立派な職業の1つであり、強いポケモントレーナーほど高い名声と賞金を得られる。

 

 またポケモントレーナーにはランクがあり、そのランクに応じて支払う賞金は決まっているのだ。

 

 賞金は1000円ということでこの山男のランクは最低ランクのEということが分かる。

 

 ま、俺と同じだな。

 

 ランクは公式戦で勝利することで上がったり、獲得したバトルポイントに応じてランクアップする。

 おそらくこの山男はジムトレーナー戦での勝利経験がないのだと思う。

 

「強いな、少年。これからジムに挑戦か?」

 

 ええと頷く。

 

「ジムリーダーのタケシは強いと聞いている。俺も挑戦してみたかったが、ジムに入る前に敗れてしまった俺に挑戦権はないだろう。頑張ってきてくれ」

 

 

 そして、謎に熱いハグを頂いた。

 

 山男のむさいエールを得て、俺は初のジムトレーナー戦に挑むべく、ニビジムの扉を開いた。

 

 

 

 

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