ポケモン フィクション 〜虫とり少年と反逆神〜 作:くまっくす
第1章を読まなくても一応話は分かると思います!
評価・感想お待ちしております
コトネの冒険
赤いトップスに青のサロペット、赤いリボンのついた白いキャスケット帽、履き口が黒のニーソックス──長い茶髪をおさげにして両サイドにハネさせる。
鏡の向こうには理想的なコトネが出来上がった。
「うんうん! おけ! 今日もあたしはめっちゃカワイイ!」
「マリー!」
側にいたマリルも嬉しそう。
いきなりのぶっちゃけになるんだけどあたしは転生者だ。
9歳の時に交通事故で死んだの。
気づいたときには自分は赤ちゃんになっていて、あたしがいたのはここ、ポケモンの世界だった。
ポケモンが大好きだったあたしは自分が『コトネ』って名付けられて、ワカバタウンで育てられていく内に、『ああ、あたしはポケモンハートゴールド・ソウルシルバーで登場したコトネなんだ』ってことに気づいちゃったわけだ。
そう自覚してからは容姿も昔やったゲームの記憶を頼りに、コトネに近づけていったけど、その行為は別に嫌じゃなかった。
昔のあたしは確かに魂の奥底にいるとは思うけど、もうずっとコトネとして生きている中で、いつの間にかコトネという女の子はあたしそのものになっていた感じ。
だから、自分が転生したとかは誰かに言ったことはないし、言うつもりもない。
記憶も大分薄れてきちゃったし、前世の記憶が多少残っているって程度のことなのかなって思っているし、もしかしたら全てあたしの妄想かもしれない。
「さて、行きますか!」
黄色い大きなショルダーバッグを抱えると、宿泊していたポケモンセンターを出た。
***
あたしが今いるのはチョウジタウンだ。
目的はジム挑戦!
ってのは勿論理由のひとつなんだけど、実はもう一個気になることがあるんだよね。
それはロケット団っていう悪い組織のこと。
3年前くらいまではすごい規模でカントー地方で悪さをしていたヤクザみたいな連中らしいんだけど、あの伝説のトレーナー、レッドに壊滅させられて、最近は話を聞かなくなっていた。
そのロケット団が最近暗躍してるって噂があるのがここ──チョウジタウンなんだよね。
「ポケモンを使って悪さをするなんて許せない!」
自分でいうと少し照れるけど、あたしは正義感が強い。
他の人が傷ついていたら見て見ぬ振りなんてできないし、ましてやポケモンに悪いことする人なんて許しちゃおけない。
だから、ポケモンを使って犯罪行為をしていたロケット団があたしは大嫌いだった。
そのロケット団が再び現れたって聞いたら、もういてもたってもいられなくなって、ここまで来ちゃったというわけ。
「さっき聞き取りした感じ、いかりの湖……ちょっと怪しそうだよね」
チョウジタウンの外れにある大きな湖──いかりの湖。
別名ギャラドス湖とも呼ばれるこの湖は大昔にギャラドスが暴れてできたという窪みに水が溜まり、湖になったという伝説があり、実際にコイキングやギャラドスも多く生息している場所だ。
そんな湖だけど、最近にここに凶暴な赤いギャラドスや無差別に人やポケモンを襲うようになったポケモンが多く出現するということを街の人達から聞いた。
あたしのシックスセンスが囁くんだよね……
なんか怪しいって!!
本当にロケット団が関係あるのかは分からないけど、行ってみる価値はあるよね。
***
いかりの湖はものすごく広い湖だった。
近くに寄ると、まるで海なんじゃないかって思うくらい。
水は綺麗で透き通っているし、自然豊かで素敵なところだけど……
「何かが暴れまわった形跡だったり、戦闘の跡が残ってる。やっぱり噂通りなのかも」
あたしは湖を覗き込む。
小さな小魚が泳いでいるのが見える。
その時!
ザッパァアアアアアア!!
っといきなりコイキングが水中から飛び出してきた!
「あわわわわわわ!」
びっくりして尻餅をつく。
「ちょっと! 驚かさないで……よ……?」
その後も1匹、2匹、3匹と次から次へとコイキングが跳ね飛び出してくる。
コイキングの大量発生?
20匹くらいはいるかもしれない。
大量のコイキングがピチピチと地面の上で跳ねている。
「どうゆうことなの?」
ウツギ博士からもらったポケモン図鑑を取り出し、図鑑情報を確認しようとした、
その瞬間──
「「コイコイコイコイコイコイコイコイ!!」」
コイキングたちが一斉に口からハイドロポンプをあたし目がけて放出してくる!!
なんで?
こっちから攻撃もしてないのに?
てか、コイキングがハイドロポンプ?
何もかも分からないまま、コイキングの攻撃を直撃してしまい、大きく後方に吹き飛ばされる。
「うぅっ!!」
何とか受身は取るけど、勢いは止められずにそのままゴロゴロ転がっていく。
「イタタタ……」
お気に入りの服がビショビショ。
おまけに泥だらけ。
「さっすがに頭きたぞ!!」
全身に痛みがあるけど、構うものか!
あたしは走りながら、モンスターボールを投げる。
「いけ! マリル! モココ!」
相手は20匹以上いるし、不意打ちをしかけてきたから、2匹使ったって卑怯なんて言わせるものか!
「マリル、じゃれつく! モココ、10万ボルト!」
コイキングたちを吹き飛ばし、痺れさせ、そのまま湖に沈んでいく。
「悪いけど、あたし! 結構強いからね」
さて、なんとかコイキングは退けたけど、確信する。
やっぱりこの湖はなんかおかしい。
「ロケット団の仕業だと思います」
後ろから話しかけられ、振り向くと、あら素敵……青髪短髪の中々イケメンのお兄さんがいた。
「僕はこの湖周辺に住んでいますが、コイキングがこんなに凶暴だったことはこれまで一度もありませんでした」
「それとロケット団にどんな関係があるんです
?」
「見たんです、僕。夜中に黒尽くめの男達が数人集まり、妙な装置を湖に向けて使っているのを」
……装置ねぇ。
「多分ですが。その装置から出る『かいでんぱ』がポケモンたちをおかしくしているんじゃないかなって思うんです」
「お兄さん! そいつらの行方を知っていますか?」
「え⁉ ああ……えぇ、まあ」
「教えてください!!」
あたしの剣幕に押されたのか、ちょっと引き気味のお兄さん。
「教えるのは構いませんが……その……着替えてからでも良いのでは? 明日の午前中なら僕はここにいますから」
イックシ!!
良いタイミングでクシャミ出た。
「そうですねっ!!」
***
ということでポケモンセンターに戻ってきた。
ポケモンセンターは旅人にとってオアシスだ。
街以外ではゆったりとお風呂に入ることなんて中々できない。
一応女の子の嗜みとして清潔にするようにはしているけどね。
お風呂を入れて服を脱ぐ。
「泥落ちるといいけど」
ちょっとショック。
長い髪をおろして、シャワーの水を出す。
鏡を見て、髪伸びてきたなぁーなんて思ったその時──
バリン!!
鏡にヒビが入った?
違う!
鏡の前の空間が割れたんだ。
そして!
バリバリバリ──パァーン!!
その割れた空間のヒビから麦わら帽子の男の子とヒメグマが現れた。