ポケモン フィクション 〜虫とり少年と反逆神〜   作:くまっくす

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ロケット団アジトでの攻防

 遠くの方に小さくなったバナナの背中を見て、なんとも言えない感情が渦巻く。

 

 意地張りすぎちゃったかな。

 

 あたしだって馬鹿じゃない。

 敵の本拠地に乗り込むのに増援がいた方がいいこと、回復アイテムなどの装備を揃えたほうがいいこと、そりゃあ分かってる。

 

 でも、バナナに実力を過小評価されたって思ってムキになっちゃった。

 

「でも、あの子10歳でしょ! あたしは11歳だし、あたしの方がランク高いし!」

 

 しかも、あたしは多分前世で9年生きているから実質20歳の大人だ。

 

 あんな麦わら帽子の子供に子供扱いされたら、そりゃあムキにもなるでしょ!

 

「ま、元々あたし1人でやるつもりだったし!

 問題なしー!

 ロケット団! ぶっ潰しますか!」

 

 

 

***

 

 

 

「へい、いらっしゃーい」

 

 わざとらしい髭面にサングラス。

 髪の毛もモサモサのおじさん店員。

 

 変装してます感がすごい。

 

 あたしは今、チョウジタウンにここ最近できたという土産屋に来ていた。

 この前聞き込み調査で来たときとは別の店員なので、まだ警戒はされていないはすだ。

 

「あたし旅人なんですけど、何かオススメありますか?」

 

「チョウジタウンに来たならやっぱりいかりまんじゅうがオススメだね! 1個300円! 安いでしょ」

 

「うーん、おまんじゅうかぁ。あたし今甘いもの

そんなに好きじゃなくてー。なんかもっと面白いものありませんか? 少し高くてもいいので」

 

「ふーん……それならちょいと面白いものがあるよ」

 

 そう言っておじさんは販売カウンターの下にしまってある段ボールからなにやら新聞紙に包まれた何かを出してきた。

 

「ヤドンのしっぽだ。珍味だが、こいつの旨さは保証するよ!」

 

「エーフィ!

 『かなしばり』!!」

 

「ぐへぇ」

 

 こっそり足下で様子を伺ってもらっていたエーフィにおじさんの動きを止めてもらう。

 

「なんだこりゃ! 動けねぇ!」

 

「ヤドンのしっぽ……噂では聞いてるよ。ロケット団がヒワダシティでヤドンを大量に捕まえて、そこで乱獲してるってね」

 

「高く、売れるんだって?」

 

「くそ! なんだこれ、離せクソガキ!」

 

「ヤドンは間抜けって言われてるけど、心優しいポケモン。そんなポケモンのしっぽを金儲けの為に切って、切って! 傷つけた!!」

 

「おいおい! 待てよ、お嬢ちゃん。

 別にヤドンのしっぽは放っておいたら勝手に生えてくるんだぜ? それに切られても大した痛みはねぇ。 だからよ──」

 

「だから……なに?」

 

「見逃してくれねぇかな」

 

「生え変わるから問題ないって言うならさ……

 アンタの髪の毛! 永遠に毟り取ってやろうかぁ?!!」

 

「ひ、ひぃイイイ!!」

 

「エーフィ! 『サイコキネシス』!!」

 

 サイコエネルギーによる衝撃波がおじさんと販売カウンターごと、吹き飛ばす。

 

「あったね。 地下シェルター」

 

 販売カウンターの下には大きな鉄の扉が隠されていた。

 

 重い鉄の扉を押し上げると、そこには地下へと続く階段を発見。

 

 意を決して階段を下っていく。

 結構長い階段だ。 

 踏み外さないように慎重に降っていく。

 

 ガガガガガガガガガガガガガガガ。

 

 突然上から大きく鈍い音がし、振り返る。

 

「あーあ、やられちゃったなぁ」

 

 地上に出る出口はたった今塞がれた。

 

「あのおじさん。もっと徹底的に叩きのめしておくべきだったかな」

 

 これであたしは進むしかなくなった。

 

 異様に静かである。

 

 階段を降りきるとかなり広い空間に出た。

 

 大体学校の教室3つ連なったくらい。

 

 そしてそこには10人の黒尽くめの連中が待ち構えていた。

 

「おーおー、まさか本当に女の子が1人で乗り込んできたよ」

 

 チャラそうで軽薄な男がニヤニヤ笑いながら言った。

 やや長めの緑髪をした男だ。

  

 そいつが中央で椅子にふんぞり返って座っている。

 

 おそらくこいつがこの中でのボス的ポジションなのだろう。

 

 しっかし、これはどうしたもんかなぁ。

 

 どう見ても待ち構えていたとしか思えない。

 

「いかりのみずうみのポケモンたちの様子がおかしい。あんた達なんかしたの?」

 

 動揺を気取られないように注意しながら、あたしは胸を張って言う。

 

「あれを見ろ」

 

 チャラ男が親指で後方を指差す。

 

 この地下室の最奥地に巨大な機械が鎮座していた。

 ゴチャゴチャと配線やらが、巻き付いた仰々しい機械だが、どうも嫌な雰囲気を醸し出している。

 

「あれは怪電波装置だ。俺達ロケット団の科学力によって生まれた中々に優れた装置でな」

 

「あれのせいでコイキングたちは暴走しているのね!」

 

 一気に頭に血が上る。

 やはりこいつらのせいでみずうみのポケモンたちの様子がおかしかったのだ。

 

「今やっていることはほんの実験だ。これからもっと面白いことをやってやるつもりだ。

 このジョウト全土を恐怖のどん底に叩き落としてやる」

 

 そう言うと男はクックックッと悪役らしく喉を鳴らす。

 

「ご丁寧に色々教えてくれてありがとう。あたしのやるべきことがスッキリしたよ。

 あんた達をぶっ潰してやる」

 

「威勢の良いガキだな。だがな、わざわざ話してやった意味わかってねぇみたいだな」

 

「生かして出すつもりはない──そういうことでしょ?」

 

「おっ! 分かってるじゃねーか。

 ただ、ガキだが顔は悪くねぇからな。

 とりあえず今から裸にひん剝いて遊んでやった後はその辺のもの好きに売り払ってやろうかな」

 

「バナナごめん。本当の変態はコイツみたいな男のことを言うんだね……

 エーフィ!」

 

 エーフィのサイコキネシスを変態男に向けて放つ。

 

「おおっと!

 ネイティオ」

 

 男はネイティオを出し、ひかりのかべでエーフィの攻撃を防ぐ。

 

「お前ら。遊んでやれ」

 

 男が指示するとロケット団員たち9人が一斉にモンスターボールを投げる。

 

 ドガース

 ラッタ

 アーボ

 ベトベター

 デルビル

 スピアー

 ドーミラー

 ニドリーノ

 ニドリーナ

 

 9対1……。

 

 公式戦ではないし、ルールを守れよとヤクザに言うつもりも今更ないけどさ──

 

「卑怯だね」

 

「それは褒め言葉か?」

 

 数に怯むな! 一匹一匹がちゃんと鍛えられてるとは限らない。

 

「みんな! よろしく!!」

 

 あたしは手持ちのポケモンたちを全て出す。

 全面戦争だ。

 

 6対9。

 これなら全然やれる。

 

 マグマラシ、マリル、モココ、トゲチック、ヌオー、エーフィ。

 

 大切に育ててきた仲間たち。

 ロケット団のポケモンなんかには負けない。

 

「マグマラシ!」

 

 マグマラシがまず先手必勝。

 『ほのおのうず』でロケット団のポケモンたちを炎の円の中に閉じ込め、行動範囲を狭める。

 

「ヌオー! 続いて!」

 

 相手のポケモンたちが狼狽えている隙を逃さない。

 

 ヌオーの『じしん』で相手のポケモンたちの足元を激しく揺さぶり、完全に動きを止めさせる。

 

「モココ! エーフィ!」

 

 モココとエーフィが頭上から『でんげきは』と『サイコキネシス』を放ち、身動きの取れない相手のポケモンに全力攻撃を加える。

 

「マリル、トゲチック追撃して!」

 

 マリルの『アクアブレイク』とトゲチックの『マジカルシャイン』が炸裂する。

 

 ロケット団下っ端のポケモンたちを全滅させた。

 

「さ! 次はあんたの番だよ」

 

「なるほど。口だけじゃないみてーだな」

 

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