ポケモン フィクション 〜虫とり少年と反逆神〜   作:くまっくす

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無限の可能性

 ウルガモスとラブトロス、それぞれ放った大技がぶつかり合い、相殺し、爆ぜた衝撃波を皮切りにバナナのポケモンたちと四神との戦いが始まる。

 

 ラブトロスVSウルガモス

 

 トルネロスVSカメックス

 

 ボルトロスVSバンギラス

 

 ランドロスVSヒメグマ

 

 それぞれが互いの相手と相対し、戦いが始まる。

 

 どのバトルも目が離せない激しい戦いになっているが、とりあえず私の一番近くで繰り広げられているラブトロスとウルガモスの戦いに注目する。

 

 空中を彩る赤とピンクの戦いはただただ美しい。

 技を放ち、身を翻し攻撃を躱し、追撃の攻撃を放つ。

 

 その一進一退の攻防は艶やかなダンスシーンのようで、激しい戦いなのだが、思わず見惚れてしまう。

 

 互いの攻撃が正面からぶつかり、反発するエネルギーの衝撃で2匹の間に一定の距離が空いた。

 

『やるじゃないか。 正直ただのポケモンがここまでやるとは思わなかった。 その強さ、誇って良いぞ』

 

 ラブトロスは久し振りの強敵とのバトルの喜びなのか、充実感に満ちた、そしてあくまで絶対的な強者としての上から目線でウルガモスに話しかける。

 

「随分、余裕そうな口ぶりだな。 まだ本気を出していないとでも言うのか?」

 

『まあな。 だが、そう落胆するな。

 お前はよくやったほうだ。 せめて苦しませずに殺してやるよ』

 

 ラブトロスはニヤリと口角を上げ、微笑むと激しいピンク色のフェアリーオーラを全身から放出し、更に戦闘力を高めていく。

 

『ヒャアアアアアアっ!!』

 

 奇声を放ちながら恐ろしい速さでウルガモスに突っ込んでいく。

 

「あくまで『ただのポケモン』と自分たち以外を見下し、驕り高ぶるその慢心が貴様の敗因だな」

 

『あ?』

 

 チリチリと火花が燻る音がウルガモスから聞こえる。

 

「先程の攻防の中で私が『ちょうのまい』と『ほのおのまい』で能力を高めていたことに気が付かなかったか?」

 

『なに!?』

 

「『オーバーヒート』」

 

 ウルガモスを中心に発せられたその爆炎は私すら巻き込む勢いで広がっていく。

 

 避けられない……巻き込まれるっ!

 

 そう思って目を閉じた私だったが、覚悟していた爆発の衝撃ではなく、重力を感じさせないフワリとした感覚に包みこまれる。

 

「え? 飛んでる?」

 

 いや、違う。

 ようやく現状把握ができた。

 

 私は柔らかい網のようなものに包まれ、空高いところに宙ぶらりん状態。

 

 下を見下ろすと先程のウルガモスの攻撃による爆煙が立ち上っている。

 

 一瞬の間に私はこの高さまで移動していたと言うのか。

 

「あぁあっ!」

 

 ようやく現状把握ができたという状況にも関わらず、今度は真下に向けて真っ逆さまに落ちていく。

 

「きゃああああああああああっ!!」

 

 地面に頭から激突すると思ったが、地面スレスレで、ピタっと止まる。

 

 

「流石に伝説のポケモンと戦いながら周囲に気を配る余裕はなかったな。

 本当に便利なものをもらって良かったよ」

 

 網に包まれ、爪先が天を向いている状態の私は呑気な声で呟く麦わら小僧を睨みつける。

 

「……バナナさん。 助けて頂いたことは感謝します。

 ただもうちょっと色々配慮してもらえるともっと助かります」

 

「ん? すごいだろ。 この虫取り網。

 俺の意思に応じて形を変えられるんだ」

 

 話を聞いてないのか、こいつ。

 

「例えば網の部分も今は柔らかい素材にしているけれども、こうやって──」

 

「ぎゃあああああああああ」

 

「硬い糸にして締めつけることもできる。

 網まで含めて伸縮自在だ」

 

 くっそっ! 私のムチムチボディに硬い網が食い込んで、ちょっと色々如何わしい感じになっている!

 

 

「あぁ、悪い悪い」

 

 そう言うとドサリとまた配慮なしにいきなり解放するものだから地面に顔面から落とされる。

 

 

 ドSこいつ!

 

 少し興奮してしまうのが悔しい。

 

「ウルガモス! よくやったな」

 

 バナナが近くによってきたウルガモスに声をかける。

 

 大の字で地面に突っ伏しているラブトロスの姿もある。

 

「実際の実力はまだラブトロスの方が上だった。

 私が勝てたのはこいつが油断していたからに過ぎない」

 

「そうだな。 戦いを長引かせないで良かったよ。

 他のポケモンたちの戦いも見てみよう」

 

 私達が次に注目したのはカメックスとトルネロスの戦い。

 

 既に激しい空中戦が繰り広げられている。

 

 トルネロスの発する変幻自在の風の猛攻を足から水流をジェット噴射で発射することで高速飛行するカメックスがなんとか避けている。

 

『どうした? 逃げてばかりでは俺には勝てんぞ』

 

 

「ちくしょうっ! 攻撃を読みきれない!」

 

 ついには甲羅に被弾し、バランスを崩したカメックスはスリップしながら地面を滑っていく。

 

『俺の風の軌道を読むことなどできぬ。

 俺こそは風を司るイッシュの神だ。

 お前たち余所者など取るに足らん』

 

「『ハイドロポンプ』っ!!」

 

 カメックスは両肩の2対の砲台から強力な攻撃を放つ。

 

『むんっ!!』

 

 しかし、それはトルネロスが作り出す風のバリアーに阻まれる。

 

『『こがらしあらし』』

 

 冷たく、激しい暴風がカメックスを襲う。

 

 攻撃が止んだとき、そこに立っていたのはボロボロに傷だらけになったカメックスだった。

 

『もう止せ。 力の差は歴然だ。

 お前では俺には勝てん』

 

「なんだと!」

 

『しかも、お前は4匹の中でおそらく一番弱い。

戦いの経験値が不足している。

 もう目障りだから消えろ。 

 俺は他のポケモンと戦う』

 

「俺が一番弱い……だと?」

 

 

「カメックス……大丈夫ですかね」

 

 隣にいるバナナに問う。

 

「ああ、大丈夫だよ。 カメックスは負けないさ」

 

 私の不安に対してバナナは涼しい顔で、カメックスに対しての信頼を感じさせられる表情をしている。

 

 だが、客観的に見てカメックスとトルネロスにはかなりのレベル差があるように見える。

 

 この差を埋められるような策があるのだろうか。

 

「お前に言われなくても知っているさ。

 オイラが一番弱いことくらい。

 修行中、カメールだった時に何度も何度もあいつらにはボコボコにされた。

 でも、そんなオイラにバナナは言ってくれたよ」

 

 ~カメックスの回想~

 

「駄目だよ、バナナ。

 ヨーギラスもメラルバもいつの間にか進化しているし、ヒメグマもどんどん力をつけている。

 オイラじゃ、あいつらにはもうついていけないよ」

 

「なにくだらないこと言っているんだ? 

 大丈夫だ。 お前の強さは俺が保証する。

 お前は俺のパーティになくてはならない存在に絶対になる!」

 

「そう言ってくれるのは嬉しいけどさぁ」

 

 カメールは不貞腐れたようにバナナから顔を背ける。

 

 バナナは意に介さず、独り言を言うように話し出す。

 

「ポケモン博士から旅立つトレーナーがもらえる最初の3匹。 

 通称御三家。

 一般的に育てやすく、育成難易度が低いことで初心者トレーナーにオススメのポケモン。

 初心者向け=そんなに強いポケモンではない。

 そういう風にいう人もいる。 だけど俺はそうは思わない」

 

「どういうこと?」

 

「カントー最強のジムリーダー、グリーン。

 伝説のポケモントレーナーレッド、最強のチャンピオンとも名高いガラルポケモンリーグチャンピオン、ダンデ。

 彼らの切り札のポケモンはみんな御三家だ」

 

「……っ!」

 

「確かに御三家のポケモンは初心者にも使いやすい。

 一方で最強クラスのポケモントレーナーの相棒にもなれる無限のポテンシャルを持っている──それがお前たちだ」

 

 

~回想終わり~

 

「そう言って期待して、信じてくれるトレーナーをオイラも信じる! だからオイラはお前に勝つっ!!」

 

『気持ちだけで勝てたら誰もが最強だ。 気持ちでは勝てない圧倒的な種族としての差が俺とお前にはある。

 分からせてやろう』

 

 トルネロスが嵐のような暴風を生み出し、カメックスに思い切り叩きつける。

 

 自然そのものが牙を剥いたかのような獰猛で荒々しい一撃。

 

「オイラも見せてやる。

 修行で身につけた究極技」

 

 カメックス中心に渦巻く水エネルギーの激流。

 

 戦っている他のポケモンたちも思わず目をやる高密度のエネルギーの集中に私のジャローダすら警戒する危険度。

 私の身体ごととぐろを巻き、守ろうとしてくれる。

 

「『ハイドロカノン』」

 

 直径20メートルはありそうな水泡をカメックスが発射する。

 

 ハイドロカノンはトルネロスの攻撃をいとも容易く飲み込んだ。

 

『馬鹿な。 馬鹿なぁああああああああ!!』

 

 カメックスVSトルネロス。

 

 勝者:カメックス。

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