ポケモン フィクション 〜虫とり少年と反逆神〜   作:くまっくす

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ありがとな

 カメックスの超火力の究極技。

 

 大地を抉り、トルネロスの攻撃を飲み込み、そのままの勢いでトルネロスを粉砕した。

 

「す、すごい威力ですね。 特性:げきりゅう×究極技ハイドロカノン。

 作戦通りですか?」

 

「いや、今回はたまたまうまくハマっただけだ。

 ただ俺のカメックスのげきりゅうはおそらくだが、他の御三家の特性よりも能力の上昇バフは高い。

 うまく決まればどんな格上にも勝てると思っていた」

 

 そう言うバナナはどことなく嬉しそう。

 

 やはり自分のポケモンの活躍ほど嬉しいことはない。

 

 しかし、バナナのカメールを知っている身からすると、この短時間でのパワーアップには驚愕しかない。

 

 修行と言っているがどんなことをしていたのか、詳しく聞きたいが、まだ戦いは終わっていない。

 

 

 

 大気を焦がし、周囲の岩を電熱で粉砕する。

 

 降り注ぐ雷を司る伝説のポケモン、ボルトロス。

 

 鬼の形相で耳をつんざく荒れ狂う怒りの雷を上空から雨のように地上に向けて放つその姿はまさに雷神。

 

『死ね死ね死ね死ねっえええい!! どうだぁあ!!』

 

 無限に続くと思われた雷神の攻撃が止み、爆煙が徐々に薄れていく。

 

 そして、姿を現したのは──

 

『ば、馬鹿な……。 あり得ねぇ』

 

 ボルトロスですら目を見開き、受け入れ難い光景、そのボルトロスの目には僅かだが恐怖すら生まれつつあった。

 

 堂々とした佇まいでずっしりと構えているバンギラス。

 

 あの激しい猛攻を受けた後だというのにキズ一つない。

 

「お前たちは昔から何一つ変わらんな。 

 神の力を分け与えられた身分でありながら、神と自称し、驕り高ぶるその姿。

 その身を持って知れ。

 これが真の神の領域の力だ」

 

 バンギラスはボルトロスの首を掴むと片手でその体を持ち上げ──思い切り地面に叩きつけた。

 

 同時に黒い闇エネルギーの火花が散る。

 

「……勝負あり、ですか。 味方で良かったと心底思ってます」

 

「あいつは強力な600族の中でも更に特別なポケモンだ。 ジョウトではかつてホウオウやルギアとも渡り合っていたというからある意味、ジョウト第3の伝説だな。

 あれでも全盛期の力には程遠いと言うから笑うしかないよ」

 

 バンギラスVSボルトロス。

 勝者:バンギラス。

 

 さて、最後の戦いは。

 

 ヒメグマ、否リングマとランドロスとの激しい戦いはまだ続いている。

 

「バナナさん。 どうしてあなたのヒメグマはリングマに進化したり、元に戻ったり自由自在に変化できるんです? 

 普通に考えてあり得ないと思うんですが」

 

「そうだな。 正直言ってあいつのことはよく分からない。 

 進化というよりは変身って感じだな。 スーパーサイヤ人に変身するのと同じ感じで形態を変化させているイメージ」

 

 それが本当ならばポケモンということすら疑わしいが……。

 

 そしてリングマは戦いを心底楽しんでいるような嬉々とした表情でランドロスと激しく殴り合いをしている。

 

 ランドロスは地面エネルギーを拳に込めることで、破壊力を数段高めたパンチを繰り出し、リングマはその攻撃を躱し、時に被弾したがらも怯むまずに自身も拳を出し続ける。

 

 だが、戦いはやはりランドロスが優勢だ。

 

 リングマのパンチを大木のように太い三角筋と上腕二頭筋で受け、返しの右ストレートをリングマの左頬に叩き込む。

 

 衝撃で吹き飛んだリングマは岩山に激突する。

 

『ラブトロスもトルネロスもボルトロスもやられたか。

 情けない奴らだ。

 だが、俺が貴様らを全滅させれば済む話だ。

 さあ、立てっ!! この程度で終わりか?』

 

 ランドロスの呼びかけに応え、リングマが立ち上がる。

 

「強ぇな……。 四神の中でお前が一番強いのか?」

 

『無論だ。 あいつらは俺の弟分のようなものだ。

 愚弟、愚妹の不始末は俺が処理する。

 さぁ、来い。 小僧』

 

「全力でやらせてもらうか」

 

 そう言うとリングマは肩のフサフサの毛皮から赤く燃えるような赤い玉を取り出す。

 

 あれは火炎玉? 

 

 投げつけることで相手を火傷状態にしたり、自身を状態異常にする為にあえて待つアイテム。

 

 特性:こんじょうを自主発動させる気か。

 

「いっくぜぇええええ!! ランドロス! こっからが本番だっ!!」 

 

 リングマは全身から発火し炎に包まれる。

 

 そして──その巨体に似つかわしくないハイスピードでランドロスの懐まで一気に距離を詰める。

 

「『くま・パンチ』!!!!」 

 

 強烈なボディブローをランドロスに叩き込む。

 

『……ぐ、ぐふぅ!!』

 

 流石のランドロスも吐血し、後退する。

 

 リングマはその隙を逃さない。

 

「うぉおおおおおお!! くまくまくまくまくまくま、くまぁ!!」

 

 ガトリング弾のような猛烈なパンチのラッシュ。

 

「『くま・げんき』!!!!」

 

 最後の大きく振りかぶった渾身の一撃をランドロスは腕を十字にクロスさせ、ガードする。

 

 それでも勢いは殺せず、大きく後方に吹き飛ばされる。

 

 はぁはぁと肩で息をするリングマ。

 

 おそらくは火傷によるある種ドーピング状態のこの状況はかなり身体に負担がかかるかということなのだろう。

 

 リングマとしてはここで勝負を決めたい。

 

 しかし──。

 

 ランドロスは十字に組んだ腕をゆっくりと解くとニヤリと微笑んだ。

 

『血湧き肉躍るとはこのことだ。 素晴らしい戦いだ。

 俺も全力で貴様を叩きのめそう』

 

 そう言うとランドロスは静かにその体を変容させる。

 

 より逞しく、より靭やかに。

 四足歩行だが、足元に纏った雲の力だろうか。

 宙に浮かび、リングマを見下ろしている。

 

 白虎をモチーフにしたその姿は戦闘に特化したフォルムと言える。

 

「ランドロス……霊獣フォルムか。

 パワーとスピードを強化させて、リングマに正面からぶつかって勝つ気だな。

 できればおっさん姿の化身フォルムの間に倒し切りたかったんだがな」

 

 バナナがそう語るように、霊獣フォルムになったランドロスは先程までのダメージが消え、体からは伝説としての漲る圧倒的なオーラを放っている。

 

 その地面エネルギーのオーラはランドロスを中心に巨大な球体となって広がっていく。

 

『行くぞ』

 

 静かにそう告げたランドロスがゆっくりと助走をつけるように走り出す。

 

「俺も渾身のパンチをお見舞いしてやるよ」

 

 重心を下ろし、右腕、右半身を後方に下げ、迎撃態勢を整える。

 

 文字通り空を駆けるランドロスがMaxスピードで急降下。

 右腕を高く振り上げ、思い切り振り下ろす。

 

『落ちろ──地獄の底まで……『はたき落とす』!!』

 

「『くまくまパンチ』!!!!」

 

 2匹がぶつかり合う。

 

 凄まじい衝突の衝撃の余波で私も吹き飛びそうになる。

 

「子熊野郎の負けだな」

 

 いつの間にか私達の背後にいたバンギラスが呟く。

 

 その言葉通り、リングマの拳は押し返され、ランドロスの巨大な爪がリングマに叩き込まれる。

 

 その攻撃は地面を深く抉り、リングマを地中深くにまで突き落とす。

 

 できたのは巨大なクレーターのような大穴。

 リングマの姿は見えない。

 

「まさかカウンターとして叩き込むこともできないほどの火力の攻撃とは想定外だな」

 

「どういうことです?」

 

「リングマの攻撃『くまくまパンチ』はカウンター効果のある迎撃技だ。 本来なら相手の技の威力が高ければ高いほど、その威力を倍にしたパンチを打てるんだが、それ以上の火力の技をぶち込まれてカウンターができなかった……そんな感じだな」

 

『さあ、次の相手はどいつだ? バンギラス……お前か?』

 

「ふん……少しは楽しめるんだろうな?」

 

 ランドロスの戦いの照準はすでにバンギラスに移っていた。

 

 バンギラスがランドロスに向け、歩き出す。

 

 が、突如止まった。

 

「悪いな、ランドロス。 お前の相手はまだ俺ではないようだ」

 

『どういうことだ』

 

 ランドロスがバンギラスの真意を問い質そうと言葉を発した──その瞬間。

 

 リングマが沈んでいった地中から黄色い激しい光が火柱のように立ち昇る。

 

 光の中には巨大な黒い影。

 

「ありがとな。 さらなる進化の兆しは感じていたんだ。

 だけど、どうしてもこの姿に進化できなかった。

 必要だったのは超高密度の地面エネルギーだった。

 お前のおかげで俺は進化できたよ」

 

 光の中から現れたのは巨大な熊ポケモン。

 

 ガチグマだった。

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