ポケモン フィクション 〜虫とり少年と反逆神〜 作:くまっくす
ポケモン世界に転生して半年が過ぎた。
不思議系お姉さんのリーフと出会い、サンダーと戦うという序盤にしては無茶すぎるイベントもあったりしたが、その後は大きな事件もなく、平穏に日々は過ぎていった。
ここで俺にとって転機となる大きなイベントに遭遇することになる。
俺がトキワシティがやってきて初めて生で見るジムリーダー戦だ。
記憶喪失で何も知らないことになっている俺はそれとなく色んな人に聞きながら、この世界におけるポケモンリーグやジム戦についての概要を理解する。
まずポケモンリーグとは各地方(カントー、ジョウト、ホウエンなど)毎に開催されるポケモントレーナーの頂点を決める大会のことであり、それを取り仕切る運営組織(通称リーグ運営)がそれぞれ各地域に存在する。
このリーグ運営のこともポケモンリーグと一般的に呼ぶことが多い。
つまりカントーポケモンリーグとはカントー地方における最強のポケモントレーナーを決める年に1回だけ行われる大型大会で、この大会で優勝したものだけがポケモンワールドチャンオピンズシップ、つまりポケモンの世界大会に出場できるということらしい。
これはゲーム内におけるガラルのポケモンリーグに似ているな。
そしてポケモンリーグに出場するためにはリーグポイントというのを獲得しなくちゃいけない。
リーグポイントは各町のジムバトルに勝利することで獲得できるポイントでリーグポイントを500ポイント稼いだら、ポケモンリーグ出場資格を得ることができる。
つまり、ジム側として見るとジム戦とはポケモンリーグ出場を目指すジムチャレンジャーからの挑戦を迎え撃つというイベントというものになる。
そして、それは街にとってもでっかいイベントだということであり、非常に経済効果のある一大行事だ。
俺がいつものようにヒメグマと戦闘訓練をしていると先輩ジムトレーナー達が興奮気味に話している声が聞こえる。
「おい! ニュースでやってたけどジム戦決まったらしいな」
「ああ! 相手やべーらしいな!」
流石に気になったので話を聞いてみた。
「ウチのジムリーダー戦が決まったということですか?」
「そっか。 バナナにとっちゃ初めてのジムリーダー戦だもんな。
ま、ウチは挑戦者が少ないから仕方ないけど」
どうも我らがトキワシティのジムリーダー様は強すぎるが故に挑戦者が少なく、前回のジムリーダー戦も半年以上も前の話ということだ。
その反面、わざわざ強いジムリーダーと分かって挑戦する以上、挑戦者のレベルも高くなるのがトキワシティのジムリーダー戦の特徴にもなる。
このジムリーダー戦にはトキワシティ以外の街からもポケモンファンが詰めよせる人気のイベントなのだ、ということを熱く先輩が語ってくれた。
前に軽く触れた気もするが、トキワシティのジムリーダーはポケモン研究の世界的権威であるオーキド博士の孫、グリーンだ。
トキワシティにおけるグリーンはカリスマ的な人気で人々の憧れの的であり、街のシンボルのようになっている。
曲がりなりにもジムトレーナーである俺だが、グリーンと直接会話したことは数えるほどしかなく、ジムで見かけてもいつも誰かに囲まれているので近づくことすらできない。
当然、ポケモンバトルをしているところも見たこともないので正直グリーンがどれだけ強いのか分からないでいた。
そんなこんなで月日が経ち、ついに明日が運命のジムリーダー戦となった。
それまでも人々の会話はジムリーダー戦でもちきりで、街全体が異様な興奮状態にある感じ。
俺は自室(他のジムトレーナー2名との相部屋)のベッドでトキワ新聞を広げる。
「『最強の挑戦者? パルデア地方に突如現れた新鋭。
最強ジムリーダーに挑む。
今や飛ぶ鳥も落とす勢いで各地方で大暴れ。
ルーキーにしてその実力は疑いもないポケモントレーナー アオイ。
パルデアのポケモンリーグでベスト4という好成績を残した後、他地方のポケモンリーグにも参加し、輝かしい成績を残している。
ついに満を持してカントー地方に乗り込んだ彼女がまず選んだジムバトルがまさかの最強のジムリーダーと名高い我らがグリーン!!
過去最強クラスの挑戦者をグリーンはどのように迎え撃つのか!?
この世紀の一戦を見逃すな!』」
だってさ。
どう思うよ。
「俺はポケモンだけどさ、グリーンの強さは有名だよ。
グリーンに捕まりたい! なんて本気で言っているやつも別に珍しくねー。
そんなトレーナーだよ」
ヒメグマも太鼓判を押すグリーンの実力。
だが、ゲームをプレイしてきた俺からするとその強さは正直眉唾ものだ。
サイドンにみだれづき、ナッシーにたまなげを覚えさせるようなトレーナーが強いとはとてもではないが信じられない。
そして、名前からして対戦相手はなんとスカーレットバイオレットの女主人であるアオイということが分かった。
パルデアのポケモンリーグをベスト4ということで、確かに凄腕のポケモントレーナーだということはわかる。
新聞には今回のジムリーダー戦のバトル方式も記述されている。
対戦方式は事前見せ合い6匹による3対3のシングルバトル。
これはポケモンリーグ運営によるジムリーダー戦とポケモンリーグ戦では基本ルールとされており手持ちポケモン6匹は事前申請、バトル当日に6匹から3匹を選出し、戦うというものだ。
この通称6-3方式は戦術性が高く、また観客も手持ち6体を事前に把握できるため、バトル予測ができるなど娯楽性も高い。
今回もグリーンとアオイの手持ちは既に公開されており、皆が選出予測やバトル展開を予測し、大いに盛り上がっている。
さて新聞にも記載されている手持ち6体を確認していこう。
まずはアオイの手持ち。
ハバタクカミ
テツノドクガ
テツノツツミ
テツノカイナ
トドロクツキ
イダイナキバ
???
頭の中には?が浮かぶ。
手持ち全てパラドックスポケモンだと?
しかも古代/未来、両方のポケモンが両立しているパーティだ。
設定的にはあり得ない組み合わせだ。
正にパラドックス(矛盾)している。
まぁ、この世界は俺の知っているポケモン世界と大分違うし、気にしても仕方ないのかもしれないが、違和感は拭い去れない。
パーティ分析という視点で考えればタイプ相性も悪くはないし、何よりもポケモンのそれぞれの個のパワーがエグいほど高い。
パルデアリーグや各地方のポケモンリーグを荒らす実力者というのも納得ではある。
そして、次はグリーンの手持ちを確認していく。