ポケモン フィクション 〜虫とり少年と反逆神〜 作:くまっくす
トキワシティジムリーダー。
グリーンの手持ち6体がこれだ。
カメックス
バンギラス
ウインディ
ピジョット
フーディン
ドサイドン
……悪くはない。
カントーやジョウトで手に入るポケモンの中では高スペックのポケモン達とは言える。
だがしかし。
アオイのパラドックス軍団と比べてしまうと見劣りしてしまうのはどうしても否めない。
正直、ランクバトルなら相手のハバタクカミ1匹で崩壊してもおかしくない気もする。
そんな俺の評価に反してトキワシティの人々は基本的にはグリーンの勝利を疑っていない雰囲気だ。
ただし、カントーにいる人々にとってパルデアのパラドックスたちは未知な存在なのは確か。
先輩ジムトレーナーも「変なドンファンだな」とイダイナキバの紹介動画を見て驚いていたくらいでパラドックスポケモンに対しての認識はゼロと言っていい。
そう考えると情報アドバンテージとしてもアオイ有利な気はする。
グリーンからすれば現時点でアオイの使うポケモン名は分かるし、タイプも公表された為、どんなポケモンなのか概要大枠は把握はしているはず。
とは言え実際に見たことも戦ったことがないポケモンが相手だ。
かなり対策は苦慮することだろう。
「対戦予測をしてみようか」
ヒメグマを相手に僭越ながら俺による選出予測と対戦の流れを考察させてもらおう。
「まずはアオイだ。
ハバタクカミの選出は間違いないだろう。
タイプ一致のフェアリーとゴースト技の両半減をできるポケモンがグリーンのパーティにはいない。
つまりとくこうとすばやさの種族値が全ポケモントップクラスの135であるハバタクカミの攻撃が基本的にはグリーンのパーティには一貫している。
選出して活躍しないということはないだろう」
「種族値? 何言ってんだお前」
「悪い、気にすんな。ただ素早さが早いと言いたいだけだ。
更に仮にアオイのポケモンのレベルの方が高いということであれば、ハバタクカミだけでもグリーンのパーティは崩壊する可能性が高い。
続いて考えられるポケモンはテツノカイナ。
かくとう・でんきタイプのテツノカイナならカメックス、バンギラス、ピジョット、ドサイドンに効果抜群を付けるため、
かなり優位に戦うことができるはずだ。
最後の1体は難しいな。
それなりにどのポケモンも選出しての活躍は見込めそうだ。
おそらくはテツノツツミ、イダイナキバ、トドロクツキが候補だろうか」
考えているとだんだんと楽しくなってきた。
やっぱりポケモンバトルは最高だ。
ニヤけている俺に対してヒメグマも笑う。
「楽しそうじゃねーか。
こんなペラペラ話すバナナも始めて見たかもな。
面白いから、お前の考察の続き聞かせてくれ」
「そうか?
じゃあ、次にグリーンの選出予測を考えようか。
えっと、ウインディ、カメックスの選出はありえそう。
強力なポケモンであるバンギラスだが、アオイの手持ちにかくとう、みず、フェアリー、じめんが多いため、選出はしづらい。
そうなると……うーん、まさかのピジョットが選択肢に入ってくるのか?!
マジで難しい。
てか、考えれば考えるほどパーティのパワーレベルに差がありすぎて、グリーンが勝つビジョンが思い浮かばないぞ」
「ほー。では、バナナはアオイが優勢と予測するわけか」
「うーん。
まあ、そうだな。
展開予想するなら予想①ハバタクカミに3匹全て倒される。
予想②テツノツツミでグリーンのパーティを半壊させた後、ハバタクカミで残りのポケモンを倒す。
こんな感じかなぁ」
「バナナの言う通りの展開になるのか! 明日が楽しみだな」
***
ジムリーダー戦当日。
トキワジムの対戦スタジアムは満員である。
トキワシティの住民だけではなく、おそらくカントー各地からこの対戦を見るために集まったのだろう。
当日の観戦チケットは勿論完売。
俺はジムトレーナーなので、幸運にも観戦することが許された。
バトルスタジアムにはグリーンとアオイが10メートルくらい離れて向かい合っている。
グリーンは13歳。
トキワシティのジムリーダーになったのは、初代ポケモンの3年後に当たる為、ここはゲームの設定と同様だ。
自信に満ちた不敵な表情で強者のオーラが半端ない。
ツンツンした茶髪に黒い長袖ジャケットと薄茶色のズボン姿。
一方のアオイは11歳の学生服姿の美少女。
長く伸ばした右の横髪を三つ編みし、白く大きな帽子が特徴的だ。
つまりはスカーレットバイオレットの女主人公のデフォルトの姿と言っていい。
アオイにとってはここは超がつくアウェーの空間。
だが、そんな状況にも関わらず余裕ともとれる不遜な笑みを浮かべ、グリーンと向かい合っている。
さすがはパルデアリーグ出場の強者ということか。
肝が据わっている。
2人は何事か少し、話したあと、背中を向け距離を取る。
バトルスタジアムの中央にいる審判の男性の、
「トキワシティ! ジムリーダーグリーン!
VS!
チャレンジャー アオイ!
──バトルスタート!!」
この号令と同時に二人はモンスターボールを投げる。
繰り出されたのは──
フーディンVSハバタクカミ
これはグリーンの完全な出し負け!!
俺のハバタクカミ先発説は見事的中した。
グリーンはハバタクカミに関する情報をあまり持っていなかったかったのだろう。
ハバタクカミの性能を知っているなら先発で来ることは容易に予想できる。
そしてバトルが始まる。
フーディンはサイコキネシス!
ハバタクカミはシャドーボール繰り出す!
2つの技はぶつかり合い、激しい衝撃波を生む。
リアルなポケモンバトルは当然だが、ターン制バトルゲームではない。
トレーナーも勿論指示をするが、実際に瞬間瞬間で判断するのは戦っているポケモン達だ。
その為、この世界におけるバトル中のトレーナーの役割はボクシングのセコンドに近い。
そしてこの特性上、トレーナーの役割はバトル前にどれだけ戦術を練り、バトルプランを考えられるかということも非常に重要となる。
グリーンはこの展開を予想していたのだろうか。
驚くべきことだが、タイプ相性上は悪いはずのフーディンが、ハバタクカミと五角以上に渡り合っている。
バトルはスタジアムの大きさを最大限活用したダイナミックなハイスピードバトルとなっていた。
ともに自由に空を舞いながら、技を繰り出し合う。
目で追うことも困難なスピードで動きながら、激しく火花を散らし合う激しいバトル。
フーディンはサイコパワーでバリアーを貼りながら、ハバタクカミの技をいなし、適切に攻撃を与えていく。
時が経つに連れ、バトルはフーディンが優先となり、ハバタクカミを追い詰めていくように見える。
そして、ここでグリーンが動く。
「フーディン! 『サイコショック』!」
サイコパワーを衝撃波としてハバタクカミに撃ち込む。
エスパーの特殊技ながら、相手の物理防御力を参照にダメージが与えられる技だ。
この一連の攻防を経て、ハバタクカミが物理耐久が低いことを見抜いたグリーンの適切な指示と言える。