少しだけ頭の悪い炭治郎のお話   作:MN2

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29と30

 

(case29:にゃおーん)

 

「正一! てる子!」

「「兄ちゃん!」」

 

泣いて抱きしめ合う幼い3人……と、周囲の様子をしきりに伺い、何かを探す様子の怪人猪男。

 

(え? 何これ? もしかして俺が3人を守らなきゃ駄目な流れ?)

 

善逸は頬を引き攣らせた。

鬼じゃない事はわかる。人間の音がするから。

でも、ムッキムキの半裸。

日輪刀を持っているから、鬼殺隊だというのもわかる。

でも、猪の被り物。

 

どう見ても、炭治郎とは別方向にヤベェ何かだった。

 

とは言え、この時点ではまだ善逸は楽観していた。

守ると言っても、倫理や道徳的な意味で子供達に近づけてはいけないという意味でだ。

まさか子供相手に斬りかかったりはすまい。(※斬りかかったりしてた)

 

しかし伊之助が、炭治郎の置いていった箱に目をつけた事で、状況が変わった。

 

「見つけたぜ、そこに鬼がいるな」

 

ハッとする善逸。

 

「ようやく一匹目だッ!!」

「待てッ!!」

 

2刀を構えて疾駆する伊之助。よりも遥かに速く、雷速をもって禰豆子の入った箱の前に立つ善逸。

ただ炭治郎から託された大切な箱を守る、というだけでは済まない気迫がそこにはあった。

伊之助が善逸から間合いを取る為に、思わず後ろへ飛び退がるほどには。

 

「おまえ、何しようとしてるんだ」

 

善逸は雷の呼吸の達人特有の、稲光の様なものすら纏って見える。

 

「あ? おまえこそ何だ」

「俺は我妻善逸。おまえと同じ鬼殺隊だ」

「その中にいるのは鬼だぜ! 鬼殺隊なら邪魔すんじゃねぇ!」

「そんな事はどうでもいい。この箱には手を出すな」

 

何言ってんだ、こいつ? 伊之助は困惑する。だが肌がピリピリとする感覚は無視出来ない。

善逸を退けて鬼を斬るのは、少し骨が折れそうだと感じた。

 

「この中に鬼がいる事なんて、最初からわかってる。俺は耳がいいんだ。だけど……」

「ごちゃごちゃうるせえッ! 俺は鬼を斬りに来たのに、まだ一匹もやってねえんだ! さっさとどかねえと、てめえもブッ殺すぞ!!」

「手を出すなって言ってんだッ!!」

 

「てめえ…」と獣の呼吸の構えを取る伊之助。それに対して、なんと善逸は刀を抜き放った。

 

「いいぜぇ、いいぜぇ! 面白くなってきやがった!」

「箱の中に鬼がいる事は知ってた! 炭治郎には事情があるんだろうけど、どうでもいい! そんな事よりも、鬼の音に混じって微かにあの音が聞こえるんだ!!」

 

 

ドンドコドドドン

  ガリガリギリギリパキーンポキーン

ミュインミュインジャカジャカジャンジャン

  べべべんべべんべんべん にゃおーん

 

 

「おまえ責任取れるのかよっ!? 中のモノが出て来た後、ちゃんと責任取ってくれるのっ!? 無理だね! 絶対無理! だってあの炭治郎と同じ音がするんだよっ!?」

 

とんでもねー事実だった。

 

「炭治郎が2人に増えたら、どうしてくれるんだ!」

 

とんでもねー事実だった。

 

「この箱は開けちゃならない玉手箱だっ! やらせないぞ! 絶対に開けさせないぞっ!!」

 

それがパンドラの箱か何かみたいな言い方は止めるんだ。中の禰豆子が「むぅ」ってなってるぞ。

 

共感覚というものがある。

原作炭治郎が見ていた隙の糸がまさにそれで、炭治郎の優れた嗅覚に修行で得た戦いの勘が合わさって起きていたこと。

それと同じで、善逸のずば抜けた聴覚が、炭治郎から滲み出るおそるべき何かを音として感じていたのが、あの怪音の正体である。

 

そして今、善逸は禰豆子からも炭治郎とよく似た音を聞いている。

それがどういう事か。

種あかしは2度目になる為、敢えて割愛する。

ただ1つだけはっきりと言えるのは、禰豆子は左尻であるという事だ。

 

にゃおーん

 

 

———————————————————————

 

伊之助「獣の呼吸 弐ノ牙 切り裂き!」

善逸「雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃 六連!」

 

3人「「「何やってるの、この人達…」」」

 

炭治郎「ただいまー! 仇とってきたぞー!」

 

———————————————————————

 

 

(case30:禰豆子出ます!)

 

「これは…」

 

幾度も打ち鳴らされる鋼の音。

鬼を倒して戻って来た炭治郎を迎えたのは、激しく立ち位置を変えて疾る善逸と伊之助の戦いだった。

 

「あっ! 炭治郎さん! 大変なんです!」

 

正一が気付いて駆け寄る。

 

「ただいま、稀千代くんの仇はとったよ」

「稀血です! 違った、清ですっ!」

 

誰だ、稀千代。

 

「それより善逸さんを助けて! いきなり猪が出て来て、善逸さんが戦ってるんです!」

 

正一が指差す。

そこには、霹靂一閃 八連で伊之助の2刀を弾き飛ばし、自身も刀を捨てて激しいステゴロに持ち込む善逸の姿があった。超強い。

 

それを見て、よし! と頷く炭治郎。

 

「いくぞ、禰豆子!」

「むぅーっ!」

 

箱から、ばぁーん! と飛び出す禰豆子。

禰豆子出しちゃうのッ!? 善逸の苦労は!?

 

子供達3人が、ぎょっとする間もなく、竈門兄妹は頷き合うと、善逸の雷速をも上回る速さで疾走した。

逃げて、伊之助! 早く逃げてッ!!

 

「あぁん?」

「え、炭治…」

 

2人が気付く間があったかどうか。

炭治郎のドロップキックが伊之助に突き刺さった。

同時に禰豆子のドロップキックが善逸に突き刺さった。善逸が今後一生、禰豆子の尻に敷かれるのが確定した瞬間だった。

 

 

———————————————————————

 

2人とも肋骨が3本逝った

 

 

アナウンスします

 

条件を達成しました(2024.3.24)

竈門兄妹最強タグを開放します

 

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