ブラック企業勤務、アラサー女探索者の迷宮探索   作:Honoka_Asa

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第26話 《探索課全体会議①》

 

「……今月のノルマは全員達成、と」

 

 《迷宮探索第七課》のオフィス内。

 スケジュールボードを前にして、姫華は満足気に頷いていた。

 

 この日は11月25日の水曜日。

 時刻は朝の7時過ぎ。

 この時間に姫華が《黒井商会》へ来ている事は基本的にはない。

 では、なぜ彼女が既に出社しているのかというと。

 

「おはようございます、如月さん。お疲れ様です」

「おはようございます、細井さん」

「早いですねぇ。僕も今日は早めに来たつもりでしたが」

「まぁ、来月の資料を作ろうと思って。たまには早めに」

「なるほど……」

 

 細井と呼ばれた男は、第七課の副主任である。

 年齢は今年で35歳。既婚者で二人の子供を持つ父親だ。

 

 役職的には姫華の方が上で、入社したのも姫華の方が先であるのだが、年齢的な面や細井の物腰もあってか、なんとなく丁寧な言葉遣いとなってしまう。

 

「毎年の事ですが、この時期のノルマにしても、依頼にしても、やる事が多すぎですからね」

「本当ですよ。偉い人達には現場の苦労を想像できないんでしょう」

「はは。とはいえ、第七課の皆も大分育ってきましたから。今年もなんとかいけそうですね」

「えぇ」

 

 スケジュールボードを細井も眺めつつ、思った事を口にしていく。

 毎月、欠かさずやってくるノルマだが、第七課においては姫華が真っ先に達成し、その次に達成するのがこの細井だ。

 

 課長、主任に次ぐ副主任なのだから、その順番で当然と思う者もいるかもしれない。

 だが、細井の容貌は一見すると優しげだが頼りない中年男という印象が強い。

 とても、ダンジョンに潜っては魔物モンスターを相手にしながら、収穫物を持ってくるようには見えないのだ。

 

 しかし、その第一印象を良い意味で彼は裏切ってきた。

 穏やかな笑みを崩さず、様々な状況において冷静に判断し、近接戦闘と魔法を使いこなして生き残ってきた猛者なのである。

 

「今日も運が良かった。それだけが理由じゃないけど、とにかく運が良かった」

 

 ダンジョンから帰ってくると、いつもこう言う細井であった。

 しかし、探索者となってから5年間。

 ダンジョン探索を運だけで生き残れるはずもない。

 彼を鍛え上げたのも姫華だが、手のかからない新人であった事は忘れやすい姫華の記憶にも残っている。

 

 仕事に真面目で一生懸命で、訓練も欠かさず、探索もそつなくこなし、家庭も大事にして疎かにしない、隙のない人物であった。

 

「会議の方終わりましたら、今日は事務仕事をするつもりですので、もしよかったら仕事振ってください」

「えぇ、ありがとうございます。もしかしたら、お願いするかもしれません」

「是非とも。如月さんもお忙しいですからね。僕の方もせめて事務仕事くらい任せてください」

「はい……あ、そろそろ」

「ですね。準備に行きますか」

「そうしましょう」

 

 姫華のスマートフォンがアラーム音を発し、ホーム画面には《全体会議の準備をする事! 会議室の掃除してテーブルを並べて、レジュメ配布と水準備!》とメモが映っている。

 

「早めに終わるといいですねぇ」

「まったくです」

 

 どちらともなく苦笑を浮かべ、二人は第七課のオフィスを後にしていく。

 

「…………」

 

 探索課全体会議。

 探索課の主任や副主任をはじめ、探索者たる社員達が一同に会する会議。

 《黒井商会》の北館三階にある大会議室という、実に分かりやすい名前の部屋にてそれは行われるのだ。

 

 全体会議の開催ペースは大体半年に1回。

 今日のように年末を迎える前の11月下旬と、新人社員が少し慣れてきたあたりの5月頃が開催されやすい。

 

 ともすれば100人以上もの面々が集う場であり、どんな事を話すかといえば、大抵はノルマを達成する事の意義だの意味だのを強く説き、商会内の上層部が行う企画や事業計画について理想に酔った内容を語り、こなせない事への罵詈雑言を交えた注意喚起を述べたり、回覧で良さそうな内容を義務的に説明したりする。

 

 すべてが無駄とは言い切れないのだが、如何せんこの場を設けてまで話す事だろうかと疑問を抱くような内容も多かったりする。

 とはいえ、姫華にとってはそう悪い事ばかりでもない。

 

「ヒメ、おっはよぅ……」

「姫華ちゃん、おはよう~」

「ん、おはようナツ。ココもおはよう」

 

 大会議室にて設営準備をしている内に、各探索課の主任や副主任などが続々と集まってきて、段々と賑やかになっていくからだ。

 探索課の中では古株といっていい姫華は、当然のようにほとんどの社員を把握しており、見慣れた顔や見覚えのある顔が現れる都度、ホッとした気持ちになる。

 

 第三課の主任たる夏美は朝に弱く、しょぼしょぼとした目をしつつも、それでも机や椅子を運び、心絵の方は各々に配布するレジュメの確認をしていた。

 

 主任や副主任を中心に設営は進み、会議進行を務めるであろう部長の権守を中心に、各課ごとにグループ分けするようにして机と椅子が並び、机の上にはレジュメと飲料水が置かれていく。

 8時頃からはほとんどの探索課社員が集まったので、100人以上を想定した会場設営もすぐに終わる。

 

「一通り終わったけど……ねぇ、ナツ」

「ん? どした?」

「今日は遊佐ちゃん参加のはずだけど……まだ来てないよね?」

「来て、ないな。絶対参加出来るように考えたって言ってたんだけどさぁ」

「そっか」

 

 「電話してみるか」と夏美がスマートフォンを取り出し、遊佐へと着信を入れるのだが、待てども出る気配はどうやらなかった。

 

「出ねぇや、遊佐ちゃん」

「まぁ、遊佐ちゃんらしいや……うん」

 

 発した言葉こそ普段と変わりないし、表情もほとんど変化が見えないのだが、姫華が明らかに残念がっているのが、付き合いの長い夏美にはよく分かる。

 とはいえど、連絡が付かない事にはどうにも対応のしようもない。

 第三課のオフィスにベッドと布団類を持ち込んでおり、遊佐が睡眠を取っている事も珍しくないのだが、今日に限って休んでいた気配もない。

 

 そんな時である。

 大会議室の入口が開き、室内にいた人々の視線が集中する。

 

「おはようございます」

 

 入口から現れたのは、第五課の主任である伍藤浩司ごとうこうじであった。

 この時、時刻は8時30分。

 その後ろには副主任である黒宮くろみやや、五課の社員達も並び、自分達の席へとつく。

 

 細い目に優しそうな顔といわれる伍藤は特に顔色も悪くなく、表情にも暗さを感じないのだが、他のメンバーは概ねどこか表情が暗く、どこか生気を欠いた印象を受ける。

 その理由も原因も、姫華達には理解出来た。

 理解出来るからこそ、第五課の主任である伍藤が表面上とはいえ、平然としているのは理解出来なかったが。

 

「………………ふんっ、ノルマも達成できてねぇのにゆっくり来やがって。手伝いの一つくらいしろよな

「夏美」

「分かってんよぉ……だーから一応は小さく言ってんじゃん……」

 

 刺すような視線を向けて毒づいた夏美を、隣で座っていた心絵が窘める。

 幸いにも聞こえてないのか、それとも気付かないフリをしているのか、伍藤達に目立った反応はみられない。

 

 近くに座っていた第三課の面々には聞こえており、自分達の主任が暴発しないように見守ってはいたが、発言に対しては概ね同調しているのか、咎めたり止める気配はみられなかった。

 

「…………」

 

 姫華の方は、ふと室内を見渡す。

 姫華に視線を向けていた者が幾人かいたようで、彼女と目が合う前に視線を戻す。

 《セブンテイルズの英雄》としての知名度は、この商会内、探索課においては未だ根強い。

 もっとも、それだけが注目の理由ではなかったが。

 多くの人々が集っていてもなお、彼女の容姿は目を引いた。

 

 中には目が合ってもまったく逸らさない者もいる。

 第七課のメンバーであり、姫華を慕う桃香はその一人だ。

 

「…………」

 

 流石にこの大所帯の中で、声を発するのに抵抗があるのか、桃香は小さく手を振って頷くのみだった。

 姫華の方もそれに応じ、「そろそろ戻るね」と言って第七課の席へと向かう。

 席についてからは第七課の面々といくつかやりとりし、レジュメを確認して過ごす。

 

「権守部長が間もなく入ります。皆さん、お座りになってください。それと、社会人の皆さんにこんな事は言わなくても大丈夫かと思いますが、スマートフォンの電源はお切りになるか、マナーモードくらいしてくださいねぇ。円滑な進行のご協力、お願いします~」

 

 それからほどなくして。

 権守の秘書である華沢が先に入室し、上司の来訪を告げる。

 目立ちにくいが口角を小さく上げ、余計な一言を付け足しつつ注意喚起も忘れない。

 探索課の面々にどう思われたところで痛手にならないので、言葉を慎重に選ぶ必要がないのであった。

 

 よしんば怒りを買っても、上司たる権守をはじめ、他の秘書や上層部に泣きつき、事を治めてもらえばいいだけなのだから……。

 これが彼女の処世術なのである。

 

 もっとも、そんな態度で臨む彼女に対し、室内の人々の視線は厳しく鋭い。

 華沢の姿を認めた時、探索課のあちこちから刺すような視線が飛び、誰も言葉を発していないのに重苦しい空気が漂っていた。

 如何に日頃から敵意を一身に買い漁っているのか、よく分かる。

 

「ご苦労」

「お疲れ様です」「お疲れ様です」

 

 秘書が棘だらけの視線を浴びても平然としていると、ほどなくして会議進行を務める権守がやってきた。

 2メートル近い巨体ゆえ、僅かに頭を下げて大会議室へと入室し、探索課の人々の声を持って迎えられつつ、堂々とした足取りで上座、もとい部長席へと足を進める。

 

「それでは9時となりましたので、予定通り全体会議の方を開催したいと思います」

 

 

 


第26話

《探索課全体会議①》


 

 

 

「さて、それでは早速始めたいと思うが……だがその前に」

 

 会議が始まって権守の第一声は、自分を理性的に抑える響きがあった。

 姫華をはじめ、幾人かの人々は権守が怒りだすタイミングを正確に見極めている。

 そして、既に彼が噴火寸前の火山の状態である事も。

 自身の席へ向かう途中で、左右に分かたれた探索課達の席を見やり、いくつもの空席を睨むようにして確認していたからだ。

 

 その権守が小さく息を吸い、次の瞬間には肺が空になる勢いでの怒声が室内に響いた。

 一応、会議進行の際にはマイクも用意されていたのだが、彼はそんなものを使わずとも広い空間に声を響かせる事が可能であった。

 

「一課はなぜお前しかおらんのだ、飾田かざりだっ! 神崎も不破も誰もおらんようだが!?」

「そ、それはですね……そのう、なんといいますか、止むにやまれぬ事情があるといいますか、えーと、神崎主任達はこの商会への献身をもってしてぇ身を粉にして働いておりましてぇ……」

 

 名指しで呼ばれた飾田という男が直立不動となって答えようとするのだが、如何せん要領を得ない。

 

「何を言いたいのかさっぱり分からん! 具体的に、端的に言えっ!」

「はっ、はいぃっ!! 神崎は会議に出て無駄な時間を過ごすくらいなら稼ぎに行くと言って、第一課の全員を連れて探索に出ましたぁ!!」

「全員? 課長であるお前は置いていかれているようだがっ!?」

「探索の役に立たないから伝言を任せると言われました!! それと会議の内容を控えておくように言われたため、本日の会議に参加させていただきたく存じますぅ!!」

 

 権守の皮肉めいた視線にも気づかず、飾田は正直すぎる返答をしていく。

 第一課の最高責任者たる立場ながら、極めてぞんざいな扱いの彼に対し、幾人かから同情する視線が向けられる。

 

「飾田ぁ、お前は課長だぞ! 部下の手綱くらい、しっかりと握っておかんか!」

「は、はいっ! 仰る通りでございます! 今後、このような事がないよう、気を引き締めてまいりたいと思う所存でございますぅぅぅぅ!!」

「ふん……次があるならいいがな

 

 平身低頭といった飾田に対し、声を荒げる一方でどこか冷たい視線を送る権守。

 権守が最後に発した言葉を聞き取れたのは、傍で書記を務める華沢くらいであったが、その意図はくみ取れない。

 どちらかといえば、怒鳴られ恐縮する探索課の面々を見ている事に興味関心が集中しているからだ。

 

「あのバカどもめ、会議をなんだと思っておるのだ……!」

 

 権守は怒りによって厳めしい顔をさらに紅潮させ、いよいよ噴火した火山を思わせる。

 噴火したあとの被害を被るのは、この場に揃う探索課の者達である。

 いらぬ余波を受ける羽目になったが、人々の反応といえば「第一課め……」と不満を露わにする者や、「またか」といった顔で呆れる者、「よくやるなぁ」と感心する者など、ばらばらであった。

 これは第一課の主任である神崎が、極めて扱いにくい難人物であると広く知れ渡っている点も大きい。

 

「飾田ぁ、神崎どもが帰ってきた時には分かっておるな!」

「はい! 必ずや、謝罪しに参ります!」

 

 恐縮する飾田を一瞥すると、次の獲物だといわんばかりに権守がもう一か所の空席地帯を見やる。

 そこには第六課の面々が座るはずの机と席の一群が寂しく並ぶ。

 

「次に六課! 六課に至っては、一人もおらんではないか! 舐めとるのかぁ!?」

「…………」

 

 怒り心頭の権守に対し、答える者は誰もいない。

 彼を恐れて、というより、どこか確信を持って答えられないというのが正しいだろう。

 ただ、第六課がここではないどこかで、のびのびとやっているのは間違いないだろうという共通認識は存在する。

 個性に満ちた探索課の中で、第六課というのは自由主義の極みであるからだ。

 

「今日来るはずの遊佐もおらん! 遊佐はどこだぁ!?」

「ここにいるぞ!」

「なにっ」

 

 権守とは違う性質でよく通る声が響く。

 室内にいた人々が視線を上げたのは、声の方角が頭上であったからだ。

 大会議室は三階と四階がつながっており、吹き抜けとなっていた四階からよろよろと階段を下りてくる者が一人。

 

 第三課の課長であり、今回の会議に出席する遊佐であった。

 声こそ溌溂としているものの、その足取りは怪しく、頬は微かに紅に染まっている。そして右手には《しれっと酔い》と書かれた缶チューハイ。

 

「遊佐! 貴様、どこにおったのだ!?」

「上で寝てた! ゴンちゃん、お疲れぇ!! 皆も、お疲れぇ!!!」

「馬鹿もん! 気安く呼ぶな!! それに、お前、酒を飲んどるだろ!?」

「酒ぇ? 違う違う、これはただのジュースじゃぁっ」

「嘘をつけ遊佐!」

 

 明らかに飲酒の気配を漂わせ、ニコニコとしながら席につく遊佐。

 さしもの華沢も、このマイペース極まる遊佐に嫌味や皮肉を言う気にはなれないのか、黙って成り行きを見守っている。

 とはいえ、漂う酒の臭いには顔を顰めていたが。

 

「やぁ~、待たせた待たせた……って違うっ!」

 

 座っておきながら、彼女はすぐに立ち上がり、声を上げた。

 缶チューハイを机に置き、左手に持っていたUSBメモリを見せる。

 

「風子ちゃんからさぁ、今日出れないって聞いたんだった。でね、お詫びのメッセージにって動画届いたんだけど、流していい?」

「お詫びだとぉ、アイツがか? 詫びの動画を作って送る余裕があるなら、参加せんかい」

 

 もっともな事を言いつつ、権守は承諾した。

 彼はこの数分後に、自分の判断を悔いる事になる。

 

 会議室内には、プロジェクターとノートパソコンも置かれていた。

 会議進行の中で、皆が視覚的に捉えやすいよう、データ化された資料というのも幾つもあるからだ。

 遊佐はUSBを端子に差し、目的のデータを開く準備をしていく。

 

「ウイルス感染してないだろうな」

「買ってきたばっかりのやつだから心配ご無用だぜぇ。あ、ねぇねぇ。これ動画再生したら、あっちに映んの?」

「えっと、こうしまして……」

 

 いまいちプロジェクターの扱いを分かっていない遊佐のフォローを華沢が務める。

 直属の上司たる権守の前で、プロジェクターの扱いくらいスムーズにこなしておきたい気持ちもあるが、怖い者知らずな遊佐を相手に冷淡な態度にも出れないのだ。

 室内の人々の視線が一点に集中する。

 会議室の奥には映写用のスクリーンが備わっており、そこには動画の内容が映し出されている。

 

『あー、あー……マイクチェック、マイクチェック~。聴こえてるかぁ、聴こえてんでしょ~、聴こえてちょうだい~』

 

 自問自答しながら、録画がなされているのか確認する女性の声。

 画面は青天の空を映しており、やがて視界が反転。

 

 中央にパーカーを着込み、野球バットを肩に乗せた女性が立つ。

 彼女こそ、第六課の課長である風祭風子かざまつりふうこだ。

 課長という立場にあると思えないほど、幼げな顔立ちと風貌、仕草を見せる。

 

 その後方に広がるのは青く澄み渡る海。

 仕事で忙しい、というより、明らかにのんびりと休暇を楽しんでいると言われた方が理解できる映像だ。

 

『ごめん、皆。今日の会議には出れません』

 

 申し訳なさそう、には全然聞こえないトーンで女性は声を発する。

 

『今、私達は七星島にいます。この島のご飯を食べて、宿に泊まって、野球中継を見て、頑張ってます。本当は皆に会いに会議に出たかったけど……今はもう少しだけ知らないふりをします。きっと、時間が経てば、欠席した事を皆が忘れてくれると思うから……』

「もうよいわっ!」

 

 声が途切れ、同時に画面も閉ざされ、デスクトップ画面がスクリーンに映る。

 耐えかねた権守が動画を止めてしまったのだ。

 

「お前らは、舐めておるのか? 全体会議を、このワシを、この商会をっ!?」

 

 権守が怒りだすのも当然で、それに対する探索課の面々が俯き黙ってしまうのも致し方ないかもしれない。

 何の反論のしようもないからだ。

 まだ会議も始まっていないのに、権守の怒りの矛先は、あまりにも対象が多すぎて絞れていないようにも見える。

 

「もう聞くのもアレだが……外道院。九課の主任はどうした? 課長のお前が座っておるが」

 

 うんざりした様子で問いかけた先には、第九課の面々が並ぶ。

 その中心には、機械仕掛けの顔と身体にスーツを着込んだ女性が座っている。。

 女性だと分かるのは、癖はあるが艶らしいロングヘアを伸ばし、スーツ越しでも胸部に膨らみがあるからだ。

 

 指摘された第九課の課長こと、外道院げどういんは機械音と肉声とが入り混じったような、不協和音じみた音声で応じる。

 

『ウチノ主任ダガ、部長モ知ッテノ通リ、()()()()()()()()()()()()カラネ』

「で、貴様が出席か?」

『ソウイウコト…………ピーガー……電池……ギレ。炭酸、チョーダイ』

「ファンタでいいすか」

『イイネ!』

「もうよいっ! どいつもこいつもたるんどるっ!!」

 

 色んなパーツで形成された口元にファンタを流し込まれ、ご満悦な声を上げる外道院。

 権守は怒りつつ、自分を抑えるためだろうか、用意されていた水を力いっぱいに喉へと流し込む。

 アンガーマネジメントの一環である。彼とて、別に怒りたくて怒るわけではないのだ。

 しかし、沸点のあまりの低さを見ると、このマネジメントの有効性に疑問を抱いてしまうのもむべからぬ事か。

 

 会議が本格的に始まる前から、探索課達はまとまりに欠いていた。

 今回も長引きそうだと、姫華や幾人もの者達、主に主任や副主任達が似たような感想を抱く。

 会議は踊れど、されど進まず……そんな言葉があったなぁ、等とふと姫華は思うのであった。

 

 

 





◆各課の出欠状況◆

・第一課
 課長の飾田のみ出席
 ひたすら恐縮してる

・第二課
 全員参加
 真面目に聞いている

・第三課
 全員参加
 主任の海江田はうんざりと、他は割と真面目に聞く

・第五課
 全員参加
 何を考えているのか、よく分からない

・第六課
 完全欠席(風祭は動画のみ出てきた)

・第七課
 全員参加
 真面目そうに聞いてはいる

・第九課
 主任欠席、代わりに課長の外道院が出席
 あまりやる気は感じられない。自然体

・第十課
 全員参加
 表情は真剣に見えるが……


◆言い訳◆

 姫華のステータスやTipsなどは、次回でまとめて掲載いたします。
 構成力が、要所を上手にまとめる力が欲しいです。切実に。
 削っても削っても、文章が無闇やたらと膨れ上がる。
 色々描写したいけど、ぜ~~ったいに冗長でしかないんですよね。

 読まれる方が各々で想像し、補足する部分までいちいち細々と書こうとしてしまいます。これはもう、悪癖といっても差し支えない気もします。
 学生の頃は、それはもうマイペースの極みで、もっとシンプルに物事を進められたものですが……。

 前編、後編に分けましたが、次で会議は終わって、年末に向けての準備という流れで進めたいと思います。

◆次回◆

「社員同士のマジギレ厳禁。揉めたらコインで……だろ?」
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