ブラック企業勤務、アラサー女探索者の迷宮探索   作:Yunoko

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【Tips】技能スキルについて・2

 探索者が所有する技能というのは、ダンジョン誕生後の黎明期においては知覚および自覚もなく、判別する手段もなかったため、魔法より軽視される傾向にあった。
 しかし、ダンジョン攻略や研究が進むにつれて、探索者達の持ちうる技能の中で探索どころか現代社会においても非常に有用な能力が発見されていき、これを知らずに人材を損なう事を危惧するに至った。

 近年では情報も集まり、《スキルエミュレーター》を開発するに至っている。
 これは、探索者の脳波や感情を読み取ったり、血液検査や身体能力検査、簡単なAIテストを行う事でその結果と過去のデータを照らし合わせ、その探索者が持つであろう技能を推測するというものだ。
 あくまで傾向診断じみた面が強いので完全とは言い難いが、推測結果に沿った行動をしてみて実際に発動するのか確かめる事も容易。

 戦闘技能や補助技能を持つ探索者はそのままに、戦闘力は低いが鑑定能力を持っている者は鑑定部門に、物質を作る生成能力や品質を高める精製能力を持った者は製造の部門に転向させるというのが、近年の迷宮関連企業でのオーソドックスなやり口である。


第38話 《天空旅館ダンジョン⑨》

「神楽さん、もしかして私何かやっちゃいました系ですか? よく分かんないですけど、土下座しときます?」

 

 御巫の声にびくりと肩を震わせた桃香と、慌てて正座する葉月。

 葉月の方はぐだぐだとしていた姿を見咎められたのかと焦り、桃香の方は触れちゃいけない問題に手を伸ばしてしまったのかと不安を抱く。

 

「いや、別に休んでて構わないが」

「なんだぁ、良かったぁ~。怒られるのかと思っちゃいましたよ。登場の仕方がなんだか怖い感じでしたもん」

「驚かせるつもりも、怖がらせるつもりもなかったんだが……まぁ、姫華君の事を話してるのが聞こえたから、ついね」

 

 眠たげな顔の御巫には、咎めたり、詰めるような気配は感じられなかった。

 と桃香が思うのは、対人関係が乏しいゆえに見極めができていないだけかもしれない。

 

「姫華君もいない、柚子も向こうにいる。だから、セブンテイルズについて話す事は可能だよ。もっとも、私も詳細までは分からないから、憶測混じりでもよければ、だが」

「…………えっと」

 

 これは一種の踏み絵のようなものかと、桃香は戸惑った。

 ここで聞きたいと答えたら、姫華に対して探りを入れている不穏分子的な奴だとして、炙り出されるのだろうかと。

 炙り出す意味があるのかは分からない。

 

 ただ、この件で姫華に対し、「あの子、君の事を探ってたよ」と告げ口されるとしたら、そちらは姫華に嫌われる可能性が大いにあるので、困るといえば困る。

 でも、姫華の事を知りたい気持ちもあるし、もし彼女の悩みや不安だとか、困っている事があるのなら、それを解消するための手伝いや協力だって厭わないつもりだ。

 そうするだけの()()もあれば、返さなくてはいけない()()だって桃香にはあるのだから。

 役に立てるか否かでいえば、正直自信はないのだが……。

 

「……一撃市いちげきしについては知ってるかな?」

「ん? 聞いた事あるよーな? 桃香分かる?」

「確か、7年前にダンジョンシンドロームで大きな被害が出たところ……でしたっけ」

「桃香君、正解」

「桃香、すげぇ! インテリじゃん!」

 

 御巫から問いかけられ、咄嗟に応えた桃香。

 うだうだ悩んでいる桃香を見て、何を思ったのだろうか。

 

 一撃市。

 今しがた桃香が答えたように、7年前に発生したダンジョンシンドロームの際に被害を受けた市町村の一つだ。

 ダンジョンシンドロームといえば、主な現象は新しいダンジョンが誕生したり、既存のダンジョンが変貌を遂げたりするといったものだが、その際に地震や暴風といった災害の発生、ダンジョンから魔物が現れ、暴れまわるといった被害が発生する事も珍しくない。

 

 星屑市の隣に位置していた一撃市は、市内各地にダンジョンが一斉に誕生してしまい、少なくない市民がダンジョン内に取り込まれてしまっている。

 それどころか、新たに生まれたダンジョンから魔物も次々と現れ、発見した市民が襲われる事で死傷するなど、大騒ぎになったのである。

 さらにいえば、混乱の中で発生した火災やライフラインの寸断、地震による建物や家屋の倒壊なども相まって、余所への避難を余儀なくされた住民も多い。

 

 桃香も詳しくはないが、その後は紆余曲折あって一撃市は星屑市に合併される事になったのは確かである。

 他にも併刹へいさつ町や惨檄さんげき町、木端こっぱ町などが同様の被害を受け、やはり星屑市に合併へと至っている。

 

「このあたりはメディアでも散々取り上げられたからね。二人に今更説明するまでもなかっただろうけれど」

 

 御巫が話していき、桃香達は頷くか、相槌を打つ。

 二人とも、当時は小学生であった事や、住んでいた場所やその付近に大きな被害も出なかった事から、そこまで細かく記憶に残っていなかったりする。

 

 ただ、桃香の方は姫華関連の事が載っていないか期待したのもあり、過去の記事や報告書などを読んだ事があったため、そのあたりの事はおぼろげに覚えていた。

 当の姫華に関する記事がまったくなかったので、すぐに記憶もすり減っていったのだが。

 

「ここからは噂の出所もそうだが、情報の正確性が錯綜していて、人によって内容が微妙に違っているかもしれない」

 

 前置きをする。

 ここからが本題なのだろう。

 

「当時、この時の混乱を収めるためにまぁ、白の騎士団だとか、各企業の探索者達にもダンジョン攻略や、魔物の掃討依頼が回ってきた」

 

 御巫の説明は大まかに要約すると、このような形になる。

 

 それは、姫華の所属する《黒井商会》にも当然ながら回ってきた。

 新たに発生したダンジョン内に取り残された一般人の救出、救出に際して障害となるであろう魔物の撃破、市内各地で活動する魔物の掃討などなど、多岐に渡る。

 

 とはいえ、元々ダンジョンに潜って、魔物と戦ってなんぼの探索者。

 補助金や報奨金が出る事や、依頼達成による探索権付与の基準緩和などもあり、企業側も臨時ボーナスの支払いを約束し、探索者としての階級上昇もしやすくなると言われれば、次々と各企業の探索者がこぞって出勤、もとい出動したのである。

 

 結果からいえば、数日どころかその日の内に大半は片付いた。

 市内外で出没した魔物は上層からあふれてきたレベルでしかなく、経験の浅い探索者達が中心となって討伐してみせた。

 白の騎士団の対治安部隊や強襲部隊なども出張ってきたため、犠牲もほとんどなく、完勝したといってもいい。

 

 ダンジョン内の避難経路の確保にしても、特に問題なく遂行されていった。

 出入口や避難しやすい空間付近の魔物達は瞬く間に掃討されていき、救出班の行動を妨げる事もなく、上位層の探索者達が護衛を務めていたので一人の被害も出すことさえなかった。

 

 ダンジョン内に取り残された一般人に関しては、やや事情は異なる。

 突然の事態に混乱、恐慌に至った者達は無闇に動き回ってしまい、魔物に遭遇して襲われたり、罠にかかってしまった事もあり、死傷者が少なくなかったのだ。

 それでも二桁レベルの死者で済んだのは、不幸中の幸いであったといえるのだろうか。

 大人しくジッと身を潜めていた者達の大半は、探知を得意とする探索者や騎士団によって保護されている。

 ダンジョンへの出入りは一ヶ所を除いて厳重に封鎖され、耐震耐衝撃に優れた壁で覆われていった。

 

 その他の、ダンジョンシンドロームによる二次被害に関しては、探索者達の領分とは異なる分野のため、割愛する。

 

「ここまでは順調そのものだった。問題は、()()()()()()()()()()だった。落ち着いてきたところで本腰を入れて新しいダンジョン攻略に乗り出した探索者達が、次々と未帰還となるケースが続出したんだ」

「…………」

 

 固唾を飲んで御巫の言葉を待つ二人。

 

「どのダンジョンも初級レベルという見積りで、探索に臨んだ各企業のチームはそれなりの経験者揃いだった。なのにどのチームも被害が相次ぎ、黒井も例外じゃなかった」

 

 あとに続く者達のため、まずは手慣れた探索者のチームでダンジョンを攻略する。

 未知の危険などもあるにはあるが、最初に潜り込んだ方が荒らされていないダンジョン内の資源や財宝、アーティファクトも入手しやすいので役得なのだ。

 

 なんなら、ダンジョン内のギミックや出現する魔物、得られる資源や財宝なども事細かく報告する事で、危険手当、特別手当も得られるので一石二鳥ともいえた。

 いや、それどころか危険を顧みない点なども考慮して、探索者ランクの昇格にも一歩、二歩と進める可能性もあるのだから、一石三鳥ですらある。

 

 だが、実際には攻略も容易だと思われたダンジョンで、思わぬ被害を受けてしまった。

 想定外だったのは、イレギュラーとまで呼称されるレベルの魔物が潜んでいた事。

 

「主任や副主任クラスの探索者も、半数以上……いやほぼ全滅だなアレは。当時最強といわれていた一課の竜崎君や七課の虎堂君でさえ、生きて帰ってこれなかった」

「虎堂……虎堂?」

「聞き覚えはあるかね? 姫華君の先輩であり、上司だった女性の探索者だよ。()()と呼ばれていたんだが」

「そうだ、虎子先輩……姫先輩が何度か言ってました。尊敬してた人だって」

「尊敬……なるほど、尊敬ね」

 

 虎堂と口にした時、御巫の声色や口調には明らかに含むところがあった。

 棘があったと言っても過言ではない。

 開発品を語る時以外、ほとんど変わらない表情はともかく、眠たげにしていた瞳には失望と怒りとが入り混じった揺らぎを見せている。

 

「まぁ、ともかくもだ」

 

 そう言った時には、疲労と眠気で微睡みそうな、先ほどまでの御巫の顔に戻っていた。

 

「虎堂君の率いる七課含め、複数の探索者を交えたチームがイレギュラーを討伐するためにダンジョンへ乗り込んでいたんだがね。その時、姫華君もそのチームに加わっていたんだ」

「姫先輩も……」

「そう。さっき、黒井商会の最強格に二人の名前を挙げたがね、それに匹敵するエースだったのが姫華君だった」

「その時ってまだ入社して3年目、だったんですよね?」

「そうだね。だが、探索の素人だった私から見ても、姫華君の素質は明らかだった。抜きん出ていたといっても決して過言じゃあなかった。だからこそ、チームに()()()()()わけだが」

「へぇ……」

「結論からいえば、討伐チームは壊滅。生き残ったのは姫華君一人。正直なところ、英雄だなんだと持て囃したのは、貴重な人材をことごとく損失した事実から目を逸らすためのプロパガンダ*1、というのもあったと私は推測する。明確な根拠はないけれど」

「…………プロパガンダ」

 

 回想にふける御巫の声には、喜怒哀楽が複雑に入り混じっていたが、懐かしさに浸る響きもあったように思われた。

 そんな彼女に対し、プロパガンダってどういう意味? などと聞ける雰囲気でないのは確かだっただろう。

 話が終わったあとでスマートフォンで調べようと思いつつ、桃香は続きを待つ。

 

「セブンテイルズという意味には諸説あるみたいだが、そのイレギュラーとして処理された魔物が七本の尻尾を持った魔物だったから、というのが説の一つだろう。そして、この魔物はダンジョン間を行き来する能力があったとも聞いたね」

「ダンジョン間て、ダンジョンから別のダンジョンに移るって事ですか」

「そうだね。初級認定されていたダンジョンのいずれにも目撃情報や、それを裏付ける映像データもあったらしい」

 

 御巫の知るところも断片的であったが、そのイレギュラーと呼称される魔物の容姿はいずれも共通していたようだ。

 人間の少女を思わせる体格、人ならざる獣のような耳、七本の尻尾、顔の半分を覆う仮面。

 しかし、肝心の攻撃手段、戦闘方法については映像を通しても何をされているのか、ほとんど分からない有様であった。

 それもあり、事前対策を練る事もできないまま、ゴリ押しで戦うしかできなかった面もあるのだろう。

 

「そんな魔物もいるんですね」

「私が知る限り、そんな例外は7年前のイレギュラーぐらいだけれどね。本当の想定外な相手だったわけだ」

 

 そう言い、御巫は小さく息を吐く。

 一区切りついた、といった様子だ。そんなところへ今まで黙って聞いていた葉月が手を挙げた。

 

「どうしたんだい、葉月」

「先生、質問! 聞いてたら、商会ぼっろぼろになっちゃいましたけど、そっからどうやって今の状態まで戻ったんですかね?」

 

 葉月の質問には、桃香も「確かに」と思うところがあった。

 今現在、探索課は第四課と第八課が廃課状態となってはいるが、それ以外の探索課は健在だ。

 御巫の話を聞く限りだと、主任や副主任も軒並みやられ、中間的な立場がほとんど残っていない状態だったのではないか。

 

「そうだね……ここからはうん、そうだな……」

 

 御巫の返答には、明らかに言い淀み、躊躇うものが過分に含まれているようだった。

 言い辛い内容、なのだろうか。

 

「イレギュラーを倒した姫華君や、残っていたメンバー、あとから入ってきたメンバーの努力の賜物としか言えない。すまない、立て直しの時期は本当に忙しくてね、私も多忙だったせいで記憶が曖昧な部分が多いのだよ」

 

 明らかに言いにくそう、というよりは言うのを控えている様子の御巫に、そこを追及するというのは桃香にも葉月にも躊躇われた。

 二人で顔を見合わせ、「もうよくない?」という無言の内の会話を交わす。

 大体、ここまでにも十分なほど、御巫は知ってる事を話してくれたように思う。

 

「いえ、私の知らない事がたくさん聞けました。本当にありがとうございます」

「いやいや。君達の会話に加わった挙句、一人でべらべらと話しただけに過ぎないよ。それに、今話した内容はその気になれば、調べる事も出来る程度なんだ実は……」

「それでも、下手に調べて姫先輩に探りまわってるとか思われて、嫌われるとか考えたら、私には出来なかったです。人に聞こうにも、聞ける人もいませんでしたし」

「開発部で2年目の私に聞いてるくらいだもんなぁ」

「っさい……他に聞ける人いないんだもん」

 

 微かにだが笑みを零し、御巫は「ではね」と隣室へ戻ろうとした、が。

 振り返り、桃香の方へと視線を向ける。

 

「最後に一つだけ言っておこうかな」

「はい……?」

「姫華君はまぁ、私も頭が上がらないくらい、本当に頑張ってる子なんだ。私よりも若いのに、苦労ばかりしてるくらいに。それは確かだよ。それに……」

「…………?」

「いや……今も昔も探索課のエースで、一生懸命に仕事をこなす探索課の主任だと言いたかったんだ。君に今更そんな事、言わなくても分かってる事だと思ってしまって」

「それは……はい! 確かに! 出会ってからずっと尊敬してる先輩で、上司です! 姫先輩は!!」

 

 ここまでのやり取りの中で、唯一自信を持って答えられる内容であったのかもしれない。

 答える桃香の表情には迷いがない。断言できる事であったからだ。

 

「うん。むべもない事を言ってすまない。今度こそ、戻るよ」

 

 御巫が去っていき、桃香はふと思案に耽る。

 

 結局のところ、《セブンテイルズの英雄》というのは何なのだろう。

 迷宮企業の失態、損失から目を逸らすためのプロパガンダとかいうやつなのか。

 一般市民を安心させ、市内に定着させるために作られた英雄という事なのだろうか。

 あるいはその両方であるのか。

 

 セブンテイルズという名前の由来でさえ、はっきりとしない。

 幾つかの噂にあった、尻尾を備えたボスの構えるダンジョンを片っ端から撃破したから、という説は信憑性が薄れたように思う。

 逆に、七本の尾を持った魔物、イレギュラーと見做された存在を撃破した事と関連性はあるのかもしれない。

 それを踏まえると、この天空旅館で最上層に控えていたという《七尾の妖狐姫》は、何か関係しているのだろうか?

 

「でも倒しちゃってるし、今更確かめようもないかぁ」

「どしたん急に」

「え? あ、いや、色々分かったけど、分からない事だらけだなぁって」

「あぁ、そういう事か。まぁ、確かに。私なんて話の半分も理解できなかったぜ」

「だと思ったよ。葉月ってば、ずっと黙ってたもん」

「へっ、国語は苦手だからな。他もひでぇレベルだけど」

 

 取り留めもない会話をしていた時、扉を二度ほどノックする音。

 姫華だろうか? いや、姫華であれば客室の鍵を持っていったと思うが。

 

「…………」

「…………」

 

 桃香と葉月は顔を見合わせ、どちらともなく示し合わせたように二人で玄関スペースへと足を慎重に運び、扉越しに恐る恐ると尋ねる。

 扉にドアスコープ(覗き穴)が付いていない事を桃香は強く呪った。

 

「だ、どなたですか」

「あっ、モモ。今大丈夫?」

 

 扉の向こうの声は、姫華のものであった。

 相手が姫華と分かった途端、不安は瞬く間に消えていったのだが、先ほどまで御巫と姫華に関わる話をしていたからだろうか。なんとなく後ろめたい気持ちもあるのだが、ともかくも待たせるわけにはいかないとばかりに扉を開く。

 

「姫先輩!」

「ごめん。鍵持っていくって言っておいて、思いっきりテーブルの上に置いてきちゃった」

「ありゃ、そうだったんですね」

「うん。どうにも忘れがひどい」

 

 苦笑する姫華。

 それを見て桃香もつられるように笑みを零す。

 落ち着いていて冷静で、強くて美しい(桃香評)のにそれでいてどこか天然じみた部分のある、頼りになるけど放っておけない先輩。

 昔から強くて、責任感もあって、でもそのせいで苦労ばっかりしてきた彼女のために、たくさんの恩義がある桃香としては、ぜひとも恩返しをしたい、否、しなくてはならないと思う。

 

「あ、これを忘れちゃいけない」

「?」

「夕飯できたよ。それで皆を呼びに来たんだった」

「もうそんな時間……あ」

 

 その時、くぅぅぅという音が響く。

 音の出所は桃香からである。

 

 姫華にご飯が出来たと言われた時、空腹を思い出したといわんばかりにお腹が鳴ってしまった。

 先ほど抱いた意気込みも虚しく、憧れの先輩と友人兼同僚の前で盛大にやらかし、俯く桃香。

 顔には熱を帯び、瞬く間に汗が滲む。間違いなく顔面が紅潮しているであろう事、疑いようもなかった。

 

「お腹空いたんならちょうど良かった。味は……口に合わなかったらごめんだけど、お弁当やインスタント系のもあるから、たくさん食べて」

「は、はいぃ…………」

 

 その後。

 宴会場へと到着するまでの間、姫華が傍にいるというのに桃香はほとんど口も利けなかった。

*1
和訳すると情報戦や心理戦、もしくは宣伝戦、世論戦であり、意味合い的には特定の思想や意識、世論などに誘導する意図を指す。この場合、特定の意識に人々を誘導するという意味で使ってます。




◆Tips◆

【一撃市】
 7年前のダンジョンシンドロームで壊滅した市町村の一つ。
 星屑市の隣に位置しており、被害後は合併されるに至った。
 現在は《セブンテイルズ》のエリア内としてダンジョンの点在する地区として扱われている。
 他にも併刹町、惨檄町、木端町などが壊滅した。

【竜崎】
 7年前の黒井商会、探索第一課に属していた探索者。
 当時は最強格の一人として名が知られていたらしい。
 ダンジョンシンドローム発生時、イレギュラーと呼ばれる魔物との戦いで戦死。

【虎堂(虎子)】
 7年前の黒井商会、探索第七課に属していた探索者。
 竜崎と並び、最強格の一人として名が知られていた。
 やはり同じくイレギュラーとの戦いで死亡。
 姫華にとって、尊敬と敬愛を向けるべき先輩。

【イレギュラー】
 7年前のダンジョンシンドローム発生時、厳密にいえば発生後に出現が確認された魔物。
 初級難度とおぼしきダンジョンの各地で出現し、次々と探索者達を倒していった強敵。
 少女のような姿、獣のような耳、七本の尻尾、顔の半分を覆う仮面などの特徴を持っていたらしいが、肝心の戦闘スタイルは不明。
 討伐チームとの戦闘で、探索者側に多数の犠牲を出したが、最後は唯一生き残った姫華に倒されたとされる。
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