アイギスの開発者 作:ペルソナ3R楽しい
「……あ」
たった今思い出した。
私は記憶を失ったままラボを出た。
しかし、きっと博士は近くにいたはずだ。
今頃、私を探してくれているはずだ。
「すいません、博士を知りませんか?あなたと同じくらい、大事な人なんです」
「……?ごめん、知らない」
「私、博士を探して、挨拶をしないと」
「探す必要はないよ。僕が連れてきた」
集まってきた方々にも聞こうとしたが、次の瞬間に男性の声がそう言った。
顔を上げれば、その男の隣で博士がこちらを見ていた。
「……アイギス、本当に?」
「はい、ご心配をおかけして申し訳ありません。アイギス、再起動であります」
「──よかった、おはようアイギス。具合はどう?」
「セルフチェック、オールグリーンであります」
「そうか、じゃあ少しついてきてくれるかな?久しぶりに動いただろう?何か故障がないか改めてチェックするよ」
私が頷くと、博士は私の手を引いて歩き出す。
いつも見ていたその背中が、やけに大きく見えた。
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「……えっと、誰なんスか?あの二人」
順平の質問に幾月が答える。
「アレは対シャドウ特別制圧兵装シリーズの最後の一つ、機械の乙女アイギスだ。そして共に立ち去った彼が木崎亮介博士だよ」
「なら、彼が……」
それを聞いた美鶴が、少し考えるように言う。
「そう、桐条に残った最後のエルゴ研関係者達の一人だよ。岳羽詠一郎がシャドウ関連研究の主任研究員だったのと同じように、彼は対シャドウ兵器研究の主任研究員だった」
岳羽の目が見開かれる。
つまり彼は、自身の父に迫る手掛かりであるかもしれないのだ。
そう考えた岳羽に幾月は
「……すまないが、おそらく岳羽詠一郎と木崎亮介の間に関係はほとんどない」
「──っ、なんでそう言い切れるんですか」
「僕の知る限り、木崎亮介と言う人物は対シャドウ兵器、特にアイギスに心血を注いでいてね。彼以外の研究員はソレに価値を見出せずに、アイギスの制作が始まった直後に姿を消している。しかし、彼はたった一人でアイギスの85%を自らの手で作り出したんだ」
その場にいたほとんど全員がポカンと口を開けた。
85%、あの体躯の中でその量とは一体どれほどの労力を必要とするか、想像すらつかない。
幾月は、木崎と話をすると言ってその場を去った。
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その日の夜
「君たちに話がある。二人とも、来てくれ」
幾月がそう言うと、木崎とアイギスの二人が入ってくる。
「すでに幾月さんから聞いてると思うけど、研究者の木崎です。これからアイギスの調整を担当するよ。どうぞよろしく。……アイギス、自己紹介を」
「初めまして、アイギスです。対シャドウ特別制圧兵装のラストナンバー、そして木崎博士の愛娘です。今日付けで、皆さんと共に行動するであります」
「……は?愛娘ぇ!?」
驚いた全員の気持ちを代弁するかの如く順平が素っ頓狂な声を上げる。
一様に驚いた目線を送ってくる面々の前でアイギスは、斜め後ろに立っていた木崎へと振り返りつつ
「はい、私は木崎博士の手で作られた、博士の愛娘です。……博士、私は何か間違えたことを言っていますか?」
「ははは、別に言ってないよ。僕は前からそう思っていると伝えていたからね。けど、アイギスからそう言ってくれるとは思わなかった。嬉しいよ」
そう言ってアイギスの頭を優しく撫でる木崎。
アイギスは嬉しそうに目を細める。
こうしてS.E.E.Sに、人と機械の奇妙な父子が仲間入りした。