ブレーザー/ゴジラ-WAVE   作:naogran

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第3章・ゴジラクロスロード

その頃、アメリカの国防省には不可解な被害報告が入り始めていた。

 

米国軍の無線A『米太平洋艦隊所属の駆逐艦ランカスターが何者かの攻撃を受け大破した。詳細は不明。』

 

米国軍の無線B「米太平洋艦隊所属潜水艦レッドフィッシュより緊急入電。太平洋海中を移動する大型物体を捕捉。写真の撮影に成功したが接触、大破。船体に残された皮膚組織から大量の放射能を検知。」

 

 

 

 

この被害報告は、日本にも通達された。

 

日本政府関係者の通信『超大型水中生物は、遅くとも数週間以内に日本列島関東圏を直撃するものと推測される。ダグラス・マッカーサー最高司令官は”誠に遺憾ながら、ソビエト連邦との情勢を鑑み軍事的関与は行えない”と通達。同時に日本国政府に対し、”日本の安全保障諸機関の増強を要望する”と要請。』

 

 

 

 

 

 

1947年5月某日:小笠原諸島近海

 

3隻の掃海艇・新生丸、革新丸、海進丸が停泊してる。新生丸の隣に革新丸が停泊してる。彼らの前にあったのは、謎の襲撃を受け大破したアメリカの輸送船・リバティ船が斜めに傾いたまま放置されていた。

 

秋津「こりゃ・・・超大型のサメか・・・クジラか?」

 

野田「サメやクジラじゃ、こんな事は出来ません。」

 

恵美子「お父さん、サメとクジラだったらどんなのが有力なの?」

 

山根「超大型のサメとクジラだと、メガロドンとシロナガスクジラが有力だが。メガロドンは大昔に絶滅。シロナガスクジラは大人しい性格で、あれ程の被害を与えるのは難しいぞ。」

 

水島「じゃあソ連の新兵器ですかね?」

 

野田「兵器による損傷に見えるか?」

 

秋津「じゃあ何だって言うんだよ?」

 

野田「小山のような生物だったとしか・・・」

 

秋津「何だよ。偉そうな事言ってお前も何も分かってねえじゃねえか。」

 

野田「これを見るまで私も半信半疑だったんです。」

 

尾形「でも、小山のような生物なんてこの世に居ませんよ。」

 

秋津「だろ?尾形だってああ言ってんだ。そんな生物存在しねえよ。」

 

しかし、ゲントと浩一がある言葉を口にする。

 

ゲント・浩一「呉爾羅・・・」

 

野田「?」

 

山根「呉爾羅?」

 

浩一「あれ見て下さい!」

 

ある物を見た浩一が指差した。全員が浩一の指差す方に目を向けた。

 

秋津「うん?」

 

そこには、大戸島で見た胃袋を吐いた深海魚が海面に浮いている光景があった。

 

浩一「戦争中に居た大戸島で、奴が来た日も深海魚が浮いていたんです。」

 

秋津「見たのかそいつを?」

 

浩一「まるで恐竜の生き残りのような姿をした怪物でした。」

 

ゲント「大戸島の人間は、その恐竜を呉爾羅と呼んでいました。」

 

野田「呉爾羅?」

 

秋津「バカ言え。そんなもの現実に居るかよ。寝惚けて敵の戦車か何かを・・・」

 

浩一「信じて貰えないでしょうね!でも大戸島の守備隊は、その呉爾羅に全滅させれたんですよ。」

 

ゲント「それも、たった2人の整備士を残して。」

 

秋津「ちょっと待て。あの部隊は米軍と戦って玉砕したんじゃ?」

 

浩一は首を横に振り、説明を続ける。

 

浩一「大戸島は飛び石作戦下では米軍に相手にされていませんでした。当時は不具合が起きた特攻機の不時着場で・・・」

 

尾形「特攻機の不時着場?」

 

水島「じゃあ敷島・・・あんた元特攻隊員なのかよ?」

 

浩一は無言のまま、首を縦に振って肯定した。

 

恵美子「じゃあゲントさんは、元歩兵なのにどうして大戸島に?」

 

ゲント「俺の知り合いが大戸島に居て。彼を探したんですが、何処にも居なかったんです。そこで俺も呉爾羅に遭遇したんです。」

 

浩一「もしもこれがあの時の呉爾羅と同じ個体なら、更にデカく凶暴になっていると思われます。」

 

水島「ハハ・・・ちょっと待って下さいよ・・・そもそも、何で俺達こんな所に呼ばれたんですか?まさか、そんなのと戦えって言うんじゃないでしょうね?こんな船で?」

 

野田「そのまさかだよ。」

 

水島「え・・・そんなの無理に決まってるじゃないですか!米軍が敵わない相手にこんなチンケな船で何が出来るって言うんですか!?」

 

野田「()()()をしろとさ。」

 

水島「()()()?」

 

野田「シンガポールから”高雄”が向かってる。」

 

水島「え、重巡高雄?あの?」

 

野田「自沈処理待ちだったのを返還してくれる事になったそうだ。」

 

ついさっきまで呉爾羅の幻影に怯えていた水島が、一転して跳ね回るように歓喜した。

 

水島「凄いじゃないですか!高雄ですよ!」

 

山根「その高雄が到着するまでの時間稼ぎを我々が拝命したと言う訳だ。」

 

秋津「こりゃアメリカさんの船だろ?自分らで何とか出来ないのかよ?」

 

山根「アメリカとソ連。今きな臭い状況下に置かれてるんだ。迂闊に軍事行動すると何が起こるか分からないからな。こう言う些事は自分の所で処理しろって魂胆だ。」

 

戦後のアメリカとソ連は冷戦中であり、それが理由でアメリカ軍は動けない状態。

 

秋津「これが些事かよ!しかもウチらが載せてんのはあの13ミリだけだぞ?」

 

野田「それについては、回収した機雷を使えとの事です。」

 

秋津「ははー!それで俺達に声が掛かったって訳か!しかも肝心の武器は”現地調達を旨とす”かよ!」

 

山根「それとこの件は外部には一切の箝口令を敷かれているようだ。」

 

秋津「出たよ!お得意の箝口令。この国は変わんねえなあ。変わらねえのか。」

 

 

 

 

 

 

革新丸は小笠原諸島近海を回りながら警戒中。

 

尾形「ゲントさん。大戸島で見た呉爾羅の姿、覚えていますか?」

 

ゲント「ええ。今でも鮮明に。」

 

恵美子「その呉爾羅がどんな姿だったのか、これで絵に描いてくれますか?」

 

ゲント「はい。」

 

手渡された紙と鉛筆で、呉爾羅の姿を絵に描いた。

 

 

 

 

描き終えた絵を持った恵美子が、その絵を山根に見せた。

 

山根「ふむ。確かに恐竜の姿をしているな。」

 

恵美子「小笠原諸島に何か恐竜の伝説とか聞いた事ないの?」

 

山根「うーん・・・シーラカンスやカブトガニ、オウムガイなどの海洋生物は知っているが、大昔から生息してる恐竜は聞いた事ないな。それに以前私も大戸島へ行った事あったが、呉爾羅と言う言葉は聞いた事ないな。」

 

尾形「あの大戸島の人達は、呉爾羅を外の世界に知られたくなかったとかそう言う可能性はあるんでしょうか?」

 

山根「うん、尾形君の言葉に一理あるな。ゲント君、呉爾羅がまた現れると思うか?」

 

ゲント「さっきの深海魚が浮いてるのを見た限り、また現れるかも知れません。もしくは、もう別の所へ逃げた可能性もありでしょう。」

 

山根「うむ、その可能性があるな。引き続き警戒に集中しよう。」

 

すると、ポケットに仕舞ってるブレーザーストーンが赤く発光した。

 

ゲント「熱っ!!」

 

山根「ん!?ゲント君どうしたんだ!?」

 

ゲント「い、いえ大丈夫です!」

 

隠れてブレーザーストーンを出した。

 

ゲント「どうしたんだブレーザー?」

 

何か危険を知らせてるのか、何度も発光してる。

 

ゲント「どうしたんだ?」

 

尾形「博士!あれ!」

 

山根「ん?」

 

ゲント「・・・まさか!」

 

海面を見ると、あの深海魚が無数に浮いていた。

 

山根「深海魚・・・!!」

 

恵美子「これってさっきの・・・!?」

 

ゲント「まさか奴が・・・!?」

 

 

 

 

 

 

一方新生丸の方では、浩一が双眼鏡で周囲の海を見張ってる。

 

野田「交代しましょう。」

 

コーヒーを持った野田が浩一にコーヒーを渡した。

 

浩一「あ。ありがとうございます。」

 

コーヒーを受け取って飲む。

 

野田「根詰め過ぎですよ敷さん。」

 

浩一「相手が呉爾羅かも知れないと思うと・・・」

 

野田「分かります。私も戦争の頃の事を思うと眠れなくなる時があります。」

 

浩一「敵を討ちたいんです。でも同時に俺にはアイツが堪らなく恐ろしい。」

 

船尾に置いてる2つの機雷を見る。

 

野田「予備含めて2組しかありません。」

 

浩一「・・・・・」

 

するとその時、浩一が海の方に目線を向けた。

 

野田「どうしました?」

 

コップを置いて、船縁に駆け寄った浩一が海面を見る。無数の深海魚が胃袋を吐いて浮いている光景が彼の目に映った。

 

浩一「あ・・・この量、大戸島の時とは比べ物にならない。ん?」

 

革新丸がこちらに向かっている光景が見えた。

 

浩一「革新丸・・・はっ!」

 

ハッと我に返った浩一が警報の鐘を鳴らして大声を出す。

 

浩一「警戒配備!!警戒配備!!呉爾羅が来ます!!警戒配備!!」

 

秋津「来やがるか!!」

 

そこに革新丸が合流した。

 

山根「秋津!呉爾羅が来る!深海魚を確認した!」

 

秋津「報告ご苦労山根!小僧!何時でも機雷投下出来るようにしとけ!」

 

水島「はい!」

 

秋津「敷島!機銃の準備だ!」

 

浩一「逃げましょう!やはりこんな船で戦える相手じゃない!今なら間に合います!」

 

野田「長さん一旦様子を見ましょう!」

 

秋津「学者後ろ見張れ!随時報告!」

 

野田「長さん!」

 

無線を手に取った秋津が海進丸と交信を始める。

 

秋津「新生丸から海進丸へ!奴さんお出ましになるようだ!準備しろ!」

 

海進丸の乗組員『化け物退治の手柄はこっちで貰うぞ!』

 

秋津「あの野郎!革新丸!奴さんが来る!急いで準備しろ!」

 

浩一「艇長!」

 

山根「秋津!無謀で挑むのは自殺行為だぞ!」

 

秋津「ここで逃げたら高雄が間に合わねえだろ!そしたら怪物は何処へ向かう?俺は東京がまた火の海になるのは見たくない!」

 

浩一「ですが!この船じゃ相手にもならない!」

 

野田「長さんだって国からの指示気に食わないんでしょ?」

 

秋津「ああ気に入らねえな!だがな!誰かが貧乏くじ引かなきゃなんねぇんだよ。」

 

山根「お前・・・分かった!尾形君は後ろの見張り!恵美子は前!ゲント君は機銃の準備だ!」

 

ゲント・尾形・恵美子「はい!」

 

その時、『ドーン』と言う轟音が聞こえた。

 

浩一「あ!」

 

ゲント「何だ?」

 

 

 

 

 

 

海進丸の真下の海面が盛り上がった。そこからゴジラの頭部が現れ海進丸を咥え込んでそのまま海中へ沈んだ。海進丸の乗組員は何が起こったか分からないまま海底に引き摺り込まれてしまった。

 

 

 

 

 

 

ゲント「あれがあの時の呉爾羅なのか・・・!?」

 

大戸島で見たあの姿とは比べ物にならない程巨大になっていた。海進丸が沈められた光景を見て、全員が言葉を失った。水島は腰を抜かした。

 

秋津「こりゃあ幾ら何でも無理だ・・・」

 

山根「っ!こっちに向かってる!秋津!逃げるぞ!」

 

秋津「ああ!」

 

新生丸のエンジンスロットルを上げた秋津。だがエンジンが動かない。

 

秋津「学者!エンジン!」

 

野田「今やってます!!」

 

エンジンルームに入った野田がエンジンを直す。

 

水島「敷島!!敷島!!早く!早くこっち!!」

 

我に返った浩一が船尾にある機雷の方へ駆け込む。

 

山根「急げ秋津!!」

 

秋津「分かってるよ!!」

 

ゴジラが徐々に近付いて来てる。

 

野田「スロットル上げて!!」

 

秋津「よし!!」

 

エンジンスロットルを上げた。新生丸のエンジンが規則正しい音を立てて動き出し、ゴジラから全速力で逃げる。

 

山根「我々も行くぞ!!」

 

続いて革新丸もエンジンスロットルを全力に上げて動き出し、新生丸と並走する。ゴジラは2隻の掃海艇を追う。

 

恵美子「こっちに来てる!」

 

尾形「僕達を逃さないつもりか!!」

 

山根「ゲント君!機銃だ!」

 

ゲント「了解!!」

 

機銃をリロードし、ゴジラに向けて連射する。機銃の弾丸がゴジラの背鰭に何度も命中する。しかし効果がない。

 

ゲント「博士!硬過ぎます!!」

 

山根「それでもやり続けるしかない!構わず撃ち続けろ!!」

 

ゲント「はい!!」

 

硬い背鰭に連射し続ける。

 

秋津「機雷を投下しろ!!!」

 

野田「すぐそこですよ!間に合いません!!」

 

秋津「それでも何でもやるんだよ!!」

 

浩一・野田「うああああ!!」

 

ダビットクレーンに吊り上げた機雷を押して機雷を投下した。ゲントが投下された機雷を見て機銃を止めた。浩一と水島と野田が屈み、水島がスイッチボックスを握る。

 

秋津「ハッ!」

 

後ろを見る秋津。機雷がゴジラの背鰭に流れたのを確認した。

 

秋津「今だ!小僧!」

 

水島「やりまーす!!」

 

スイッチボックスの起爆スイッチを押した。

 

”ドオーーン!!!!”

 

機雷が爆発し、ゴジラの背鰭が爆発に飲み込まれた。爆発で起きた水飛沫が新生丸と革新丸に被った。

 

秋津「やったか!?」

 

山根「・・・いやまだだ!」

 

だが、爆発に耐えたゴジラが爆煙から姿を現し、2隻の掃海艇を追い続ける。

 

野田「効いてません!!」

 

水島「まずいまずいまずいまずいまずいまずい!!!!」

 

秋津「敷島!機銃!」

 

浩一「はい!!」

 

急いで銃座の前に立ち、機銃をリロードして撃とうとするが、手がまた震え始めた。

 

ゲント「浩一!!!しっかりしろ!!!!」

 

革新丸に立つゲントが浩一を力強く呼んだ。

 

浩一「ハッ!ううううう!!」

 

ゲントと我に返った浩一がゴジラの頭部に向けて機銃を連射する。だが、ゴジラの頭部の皮膚が硬過ぎて効果がない。

 

浩一「ダメだ!!役に立たない!!」

 

ゲント「クソッ!!皮膚が硬過ぎる!!」

 

ゴジラの顔が大きく上がり、今にも2隻に飛び掛かろうとしてる。

 

野田「口の中!!口の中ならどうだ!?」

 

立ち上がった水島と野田がダビットクレーンを操作する。

 

野田「巻け巻け巻け!巻け巻け巻け巻け!投下!!」

 

クレーンから機雷を投下した。すると機雷が、ゴジラの口の中に流れ込んだ。

 

野田「水島!点火!!」

 

水島「はい!!」

 

スイッチボックスの起爆スイッチを押した。

 

水島「・・・え?」

 

再度起爆スイッチを押したが、起爆する様子が見られない。

 

水島「え!?う、嘘だろ・・・?嘘だろ!?」

 

まさかと思った水島と野田が急いで機雷のケーブルを引っ張る。なんと、ケーブルが途中で千切れていた。実はゴジラの鋭い歯に擦れて千切れてしまったのだ。

 

水島・野田「・・・・!」

 

ケーブルが千切れた機雷は、ゴジラの口の中で踊っている。ゴジラが機雷を噛み砕こうとしている。

 

浩一「伏せろーーーーッ!!!!」

 

口の中の機雷に向けて浩一が機銃を連射する。

 

ゲント「ッ!!」

 

それに続いてゲントも機銃を連射する。迫り来るゴジラに2人は機銃を止めず連射し続ける。すると浩一の機銃の1発が機雷に命中した。

 

”ドオォーン!!”

 

爆発が近かった為、新生丸と革新丸の船尾が破壊されながら、一瞬空中に持ち上がった。そしてそのまま海面に叩き付けられた。その上から大量の海水が滝のように降り注いだ。

 

浩一「うっ・・・!」

 

新生丸の破壊された一部が浩一の頭に直撃し、大きな裂傷を負い、出血した。

 

水島「ああっ!」

 

同じく水島も、左腕に破片を受け骨折してしまった。

 

山根「皆・・・大丈夫か!?」

 

恵美子「ええ・・・!」

 

尾形「こっちも大丈夫です・・・!」

 

ゲント「無事です・・・!」

 

一方革新丸の方は、船尾が破壊されたが幸い負傷者は居なかった。

 

秋津「・・・仕留めたか?」

 

顔の半分を破壊されたゴジラが、まるで死んだように海面に浮いている。しかしその直後、ゴジラの脅威的な再生能力が発動した。

 

野田「いや!!」

 

目に見える程のスピードで、破壊された顔半分が一瞬にして再生した。更に吹っ飛んだはずの目や牙まで元通りになった。

 

ゲント「嘘だろ・・・!?」

 

意識を取り戻したゴジラが、その上体を海面に持ち上げて船尾を破壊された2隻の掃海艇を見下ろす。

 

全員「・・・!!」

 

こちらを見下ろすゴジラに全員が圧倒される中、ゲントが革新丸のエンジンルームに入って行った。

 

ゲント(こうなったらやるしかない・・・!!)

 

ブレーザーストーンを取り出して、左腕にブレーザーブレスを出現させる。ゲントがブレーザーストーンをブレーザーブレスに入れようとした時。

 

ゴジラ『ーーーーーーーーーー!!!!!』

 

”ドゴォーーーン!!!”

 

突如ゴジラに数発の艦砲射撃が命中した。

 

山根「何だ!?」

 

尾形「あれ!!!」

 

 

 

 

 

 

水平線の彼方から重巡洋艦”高雄”が到着したのだ。

 

 

 

 

 

 

水島「高雄ォーーーーーーー!!!!!」

 

野田「高雄・・・間に合った!!」

 

ゲント「・・・・・!」

 

革新丸のエンジンルームから左腕を隠したゲントが、到着した高雄を見てホッとした。

 

 

 

 

高雄が再び艦砲射撃を発射。ゴジラが3発の艦砲射撃を受け海に沈んだ。高雄の乗組員が船縁に駆け込み、沈んだゴジラを見る。艦砲射撃を受け沈んだゴジラが水中を泳ぎ、高雄に向かって泳ぎ始める。水中を進むゴジラに高雄の艦砲射撃は届かない。

 

 

 

 

浩一「ま・・・まずい!」

 

ゲント「逃げろォーーーー!!!」

 

 

 

 

だがゲントの言葉は届くはずない。高雄にゴジラがクジラのジャンプのように飛び、船体に乗り込んだ。

 

ゴジラ『ーーーーーーーーーー!!!!!』

 

船体に乗り上げたゴジラが高雄を傾けた。乗組員は落ちないように屈んで持ち堪える。ゴジラが艦長や士官達が居る艦橋を破壊した。船体を可能な限り破壊するゴジラ。しかしそれに屈せず高雄が艦砲をゴジラに照準を合わせ、ゼロ距離砲撃を開始した。

 

ゴジラ『ーーーーーーー!!』

 

ゼロ距離砲撃を受けたゴジラが高雄から落ち、海に沈んだ。巨大な水飛沫が乗組員に被った。

 

乗組員「やったのか!?」

 

 

 

 

浩一達が、高雄から落ちたゴジラを見た。これで仕留めたかと誰もが思った時、高雄の真下に青白い光が輝いた。

 

野田「何だ?」

 

その瞬間、高雄の真下から巨大な青白い光の柱が出現し、高雄の真ん中を貫いた。光の柱が消えた瞬間、高雄が一瞬にして大爆発を起こし爆炎に飲み込まれてしまった。

 

浩一・水島・野田・秋津・尾形・恵美子・山根「・・・・・・!!!」

 

ゲント「高雄が・・・!!」

 

爆発し跡形も無くなった高雄に、浩一達が言葉を失い驚愕した。そして、高雄の爆心地からゴジラが上体を起こした。その体表は、赤く焼け焦げてる。

 

 

 

 

ゴジラ『ーーーーーーーーーーー!!!!!!!!』

 

 

 

 

咆哮を上げたゴジラは、身を翻し水柱を残して泳ぎ去って行った。

 

浩一「・・・・・・」

 

全てを見た浩一は意識を失って倒れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目を覚ました浩一。そこは病室。

 

ゲント「浩一!」

 

気付いたゲントがホッと安心した。新生丸と革新丸の面々も目覚めた浩一を見て安心した。水島の左腕に添え木がしてある。

 

秋津「やっと目覚めたか?」

 

浩一「ここは・・・?」

 

秋津「横須賀の病院だ。あの後すぐ搬送されたんだ。」

 

芹沢「無事みたいだな。」

 

新吉「大丈夫?浩一さん。」

 

芹沢と新吉も心配でやって来たのだ。

 

浩一「芹沢さん・・・新吉君・・・あ、海進丸や高雄の人達は?」

 

山根「残念だが、彼らはもう・・・」

 

浩一「そうですか・・・ゴジラ・・・そうだ、奴はどうしました?」

 

野田「あのまま消息不明です。」

 

浩一「ゴジラは東京方面に向かっていました。早く避難指示を出さないと大変な事になります!」

 

野田「政府は、この情報を国民に伏せています。」

 

浩一「何ですぐに周知しないんですか!?」

 

野田「恐らく、混乱を恐れての事でしょう。」

 

浩一「そんな事を言っている場合じゃないでしょう!今の内に避難させないと大変な事に・・・」

 

野田「予想される大混乱の責任を、誰も取りたくないんでしょう。」

 

秋津「情報統制は、この国のお家芸だ。」

 

浩一「・・・・・・・」

 

ゲント「それでも、何とか対策しないと。」

 

山根「私の知り合い達に掛け合って、密かにゴジラの情報を共有しておく。芹沢、新吉、手伝ってくれ。」

 

芹沢「分かりました。」

 

新吉「はい!」

 

 

 

 

 

 

その日の夜。ゲントと浩一がバラックに帰って来た。ゲントが浩一を送ってバラックを出た。典子は帰って来た浩一に問い始める。

 

典子「一体何があったんですか?」

 

浩一「典子さんには関係のない事です。」

 

典子「何が浩さんをそんなに苦しめてるの?あなたに助けて貰って、今日まで一緒に生きてきて、それなのに私はあなたの人生にこれっぽっちも関われないの?あなたが何かを背負っているなら、少しは私にも分けて欲しいんです。」

 

浩一「・・・・・・・・」

 

典子の強い視線を見て、浩一は典子に打ち明ける。

 

浩一「俺は・・・ハァ・・・と・・・特攻から・・・逃げた人間です。」

 

典子「え?」

 

浩一「出撃の日。機体が故障したフリをして、大戸島にある・・・不時着場に降りました。」

 

橘に渡された油紙を手に取り、典子に見せた。

 

浩一「これは・・・そこの整備兵の人達が持っていたものです。皆、亡くなりました。」

 

典子が油紙に入ってる大戸島の整備兵達の家族写真を見る。

 

浩一「その夜。巨大な恐竜のような怪物が現れたんです。俺は零戦の機銃で撃ち殺してくれと頼まれました。でも俺は・・・また逃げたんです。その結果、彼らは皆その怪物に殺されました。皆家族に会えたはずの人達です!その怪物は、呉爾羅と呼ばれていました。そいつが・・・また現れたんですよ。で・・・でも・・・また何も出来なかった!・・・俺は本当は・・・生きてちゃいけない人間なんです・・・」

 

典子「・・・浩さん。生き残った人間は、きちんと生きていくべきです!」

 

浩一「典子さんに何が分かるって言うんですか!!!」

 

典子「分かります!私の両親は火に焼かれながら”生きろ!”と言いました!だから私は、どんな事があっても死んではいけない!そう思ってきました!」

 

そう説得する典子だが、浩一は両手で顔を覆った。

 

浩一「・・・・・無理です!あいつらは毎晩毎晩夢に出て来るんです!”早くこっちに来い”って!”何で図々しく生きながらえてるんだ”って!」

 

殻に閉じこもった浩一を典子が背中をさすって落ち着かせる。

 

典子「それは夢!浩さんが作った幻だよ!」

 

浩一「そもそも!そもそも・・・俺は・・・生きてるんですかね?もうとっくにあの島で死んで・・・朽ち果てて・・・の・・・典子さんや明子やゲントさんは・・・その屍が見てる夢なんじゃないですかね!?そうだ!!絶対!!絶対!!」

 

典子「生きてるよ!!!!!浩さんは生きてる!!!!!分かるでしょ・・・?」

 

パニックになった浩一を強く抱き締め、これが現実だと説得する。浩一は典子の胸の中で泣いた。

 

 

 

 

外では、ゲントが全てを聞いてた。

 

ゲント「・・・・・」

 

バラックが静かになり、ゲントが自分の家に戻って行った。

 

 

 

 

 

 

翌朝。浩一がゆっくりと目を開けた。

 

典子「はい。おさじ持って。はい。そおっと。そおっと。待って待って?」

 

明子「うん。」

 

典子「はい。お味噌といて?上手上手。」

 

台所を見ると、典子と明子が立っている。

 

典子「はい。出来ました〜。」

 

明子「うん。」

 

典子「大根。明子の好きな大根。」

 

明子「大根。」

 

典子「味見して下さーい。」

 

明子「はーい。」

 

典子「はい。お願いします。」

 

小皿に移した味噌汁と大根を明子に味見させた。

 

典子「お汁飲んで。はい大根。」

 

その風景を見て微笑んだ浩一は、油紙の方に視線を向ける。

 

浩一「もう・・・終わりにしてもいいですか?もう一度生きてみたいんです。」

 

 

 

 

 

 

この日。ゲントと浩一は非番。典子が電車を乗って銀座へ向かった。

 

 

 

 

銀座に下車した典子がいつも通り銀座のデパートへ向かっていると。

 

典子「?」

 

足元に落ちてる光ってる物を拾った。

 

典子「?」

 

それが何なのか分からないが、誰かの物だろうと思って後で交番に届ける為一旦ポケットに入れてデパートへ行った。

 

 

 

 

一方のゲントは、非番を利用して銀座へ遊びに行く真っ最中。

 

ゲント「昭和の銀座なんて初めてだから、流行りの物とか見てみたいな。」

 

電車に乗って昭和の銀座へ向かう。

 

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