ブレーザー/ゴジラ-WAVE   作:naogran

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第5章・兵の招集

翌日。浩一、水島、野田、秋津、尾形、恵美子は東京にある大きな集会場へやって来た。入り口には『特設災害 説明会』と書かれた看板がある。その集会場に多くの男達が集まってる。

 

秋津「ここに居るのは皆・・・」

 

野田「ええ。元海軍の皆さんです。」

 

秋津「詳しいな。」

 

水島「へぇ〜。」

 

ここに集まってる男達は元海軍達。

 

恵美子「復員の皆さん?」

 

尾形「でも、ゴジラを駆除する作戦って何なんだろう?」

 

その時、会場に4人の士官達が入って来た。士官達を見て、元海軍の男達が一斉に椅子の前に立つ。1人の士官がマイクが置かれた台の前に立つと、元海軍達を座らせた。

 

士官「元”雪風”駆逐艦長の堀田です。」

 

元雪風艦長の堀田辰雄。

 

堀田「皆さんもご存知のように、今東京は謎の巨大生物の襲撃を受け、未曾有の危機に瀕しています。しかし我が国には、国民を守るべき自前の軍隊を有しておりません。GHQ主導による軍事行動は、大陸のソ連軍を刺激する恐れが高く、不可能と判断されました。つまり我々は民間の力だけで、あの怪物に立ち向かわなければなりません。」

 

元海軍達がざわめき始める。

 

堀田「皆さんには、その為に集まって貰いました。交渉した結果、連合国に引き渡し予定だった駆逐艦4隻の提供は約束して貰えましたが・・・」

 

藤田「我々に!また艦に乗れと言っておられるんですか!?」

 

元海軍の藤田が声を上げた。

 

谷口「私は銀座でアレを見ました。あんなもん倒せっこありません。」

 

丸茂「大体武装解除された艦でマトモに戦える訳がないだろう!」

 

元海軍達「そうだそうだ!どうやって戦うんだ!」

 

元海軍の谷口と丸茂の言葉に、全員が抗議した。

 

野田「えー!そこに関しては私達から説明させて貰います!」

 

困惑してる堀田の後ろに、野田と芹沢が立った。

 

水島「野田さん?芹沢さん?」

 

大事な場面に登場した野田と芹沢に驚いた。

 

野田「今回の・・・」

 

”キィーーーン!!”

 

マイクのハウリングが会場に響き渡った。

 

野田「失礼。今回の作戦を立案した元海軍技術士官の野田健治と申します。」

 

芹沢「同じく作戦を立案した科学者の芹沢大助です。」

 

野田「まず前提としてあの怪物。えー大戸島の伝承に則し仮にゴジラと呼称しますが、ゴジラは通常の火器の攻撃と謎の巨人の攻撃に対し殆どダメージを受けません。目の前で見ましたが、重巡高雄の主砲クラスや巨人の放った雷攻撃の直撃を喰らっても、すぐに再生してしまうんです。」

 

元海軍達がまたざわめき始めた。

 

芹沢「静かに。野田さんと立案した結果、全く別の手を考案しました。」

 

野田と芹沢の助手達が、水槽に被ってる布を取った。水槽の中には、チューブを装着したゴジラ型に切り抜いた木片が入ってる。

 

芹沢「まずは簡単な実験をご覧に入れます。ここに入っているのは海水と同じ濃度の塩水です。」

 

野田「このゴジラを模した木片には錘を付けてギリギリ浮いている状態に調整してあります。この状態でチューブからフロンガスを送り込み、木片を泡で包むとどうなるでしょう?」

 

佐藤「どうなるでしょうって、んなもん泡が出ようが浮いたままだろう?」

 

元海軍の佐藤の言葉に、他の皆がそうだそうだと言った。

 

野田「そう思いますよね?芹沢さん。」

 

芹沢「はい。」

 

水槽の横にあるコックを捻ると、送り込まれたフロンガスによって、木片の周りに微細な泡が発生した。その泡に包まれた木片は急速に沈んだ。

 

元海軍達「沈んだ!?」

 

野田「フロンガスの泡は木片を包み込み、海水と木片の接触を断つのです。東京を襲った怪物ゴジラにこれを仕掛け深海に沈めようと言うのが今回私達が立案した作戦です。」

 

秋津「なあ、芹沢は兎も角、学者って意外と凄い奴だったのかな?」

 

水島「うん。」

 

野田が合図を出すと、助手達が会場のカーテンを閉めて部屋を暗くさせ、1人の助手がスクリーンにスライドを映した。スクリーンに相模湾の等高線が入った図が映し出された。

 

野田「ご存知のように相模湾沖合の海溝は最大深度1500メートル以上と近海ではずば抜けた深さを誇ります。今作線はゴジラに大量のフロンガスのボンベを装着し、一斉に発泡させ泡の膜で包もうと考えています。そして、短時間で相模湾に沈めその深海の圧力で息の根を止める。海の力でゴジラを殺す。これが・・・海神作戦の概要です。」

 

秋津「アイツは海から来たんだ!深海の圧力なんか平気の平左だろ!」

 

芹沢「計算によると約25秒後に1平方メートル辺り1500トンの負荷が掛かります。普段深海で生存出来る生物も、これ程急激な圧力変化に耐えられません。」

 

浩一「それで、ゴジラを絶対に殺せるんですか?」

 

芹沢「ゴジラの生態は未知の事が多過ぎて予測で対策を立てるしかない。だが、砲撃が効かない以上これは最適解であると確信したんだ。」

 

浩一「殺せるんですか?殺せないんですか?」

 

芹沢「・・・絶対とは言い切れない。」

 

ゴジラを殺せるとは言い切れない。浩一はこの説明会は無駄だと判断し会場から出て行こうとする。

 

水島「敷島!」

 

恵美子「敷島さん!」

 

野田「可能性はあるんだ!!」

 

出ようとする浩一を野田が呼び止めた。

 

野田「敷さん。最後まで聞いてくれ。」

 

浩一は渋々椅子に座り直した。

 

野田「では、詳しい説明を。」

 

スライドが流れた。そこには2隻の艦隊に渡されたボンベの付いたケーブルを曳航し、ゴジラに巻き付ける方法が図説されていた。

 

野田「こうして2隻の駆逐艦でゴジラにケーブルを巻き付けます。このケーブルには、予めフロンガスのボンベが多数装着してあります。巻き付けると同時にガスを一斉に放出。ゴジラは一気に深海1500メートルに引き摺り込まれます。」

 

浩一「ですからそれがダメだったら・・・」

 

野田「予備作戦があるんだ。」

 

芹沢「皆さん。中庭をご覧下さい。」

 

 

 

 

助手達がカーテンを開き、窓を開けた。元海軍達が会場から中庭を見る。中には、3人の作業員と箱型の機械が置かれていた。野田の横に立つ作業員が合図を送る。

 

作業員「投入!!」

 

爆音と同時に、箱型の機械からゴムボート状の巨大なバルーンが射出した。

 

元海軍達「おおお!」

 

作業員「東洋バルーンの板垣と申します。」

 

東洋バルーン係長の板垣昭夫。

 

板垣「今ご覧頂いたのは、旧海軍機に搭載されていた浮泛装置に着想を得た、膨張式浮上装置。炭酸ガスの気嚢に吹き込む事で浮力を得る・・・所謂浮袋です。海底に着いたゴジラを、今度はこれで一気に海面まで引き揚げます。」

 

野田「もし万が一超高圧に耐えたとしても、直後に襲い掛かる凄まじい減圧まで耐え切れるとは思いません。確かに確実に倒せる保証はありません。ですが、今はやれる事をやるしかないんです!」

 

すると芹沢の助手が、芹沢にある事を伝えた。

 

芹沢「本当か。野田さん、ゲントさんが来ました。」

 

野田「ゲンさんが?」

 

すると会場のドアが開き、右腕に包帯が巻かれたゲントが山根と共にやって来た。

 

野田「ゲンさん!怪我はもう良いんですか?」

 

ゲント「心配掛けました。もう大丈夫です。」

 

山根「ゲント君、皆に説明してやってくれ。あの巨人の正体の事を。」

 

ゲント「はい。皆さん、ゴジラに立ち向かったあの巨人はブレーザー。ウルトラマンブレーザーと言います。そのブレーザーの正体は、俺なんです。」

 

その言葉に、尾形、恵美子と元海軍達が驚いた。

 

ゲント「皆は信じられないだろうけど、俺は別の世界からこの世界に流れて来たんだ。そして、東京に上陸したゴジラに立ち向かう為、ブレーザーに変身して戦った。けど、奴は強靭な強さを誇っていた。奴を倒せず多くの犠牲を出してしまった。すみませんでした!」

 

深く頭を下げて謝罪する。

 

堀田「先の大戦を生き延びた皆に、またしてもこのような命懸けの任務をお願いするのは大変心苦しい・・・だが、分かって欲しい。日本政府も米軍も当てに出来ない今、我々しかこの国の未来を切り開く事は出来ないんだ!」

 

だが、元海軍の土橋が手を挙げた。

 

土橋「無理です。俺には家族が居ます。俺だけじゃない!ここに居る奴の大半がそうだ!」

 

大西「我々だけが何故貧乏くじを引かねばならんのですか!?」

 

山田「戦時中みたいな訳にはいかんのですよ・・・」

 

次々と文句を言う彼らを堀田が宥める。

 

堀田「静かに!皆さん、よく聞いて欲しい。これは命令ではありません。個々の事情がある方は帰って貰って構わない。それを止める権利は我々にはない。」

 

帰っていいと言われると、返って動けなくなる。ただただ重苦しい沈黙が会場を静まり返らせた。その内1人の男が、目を背けながら一礼すると、早足で出ていった。それをしおに次々と男達が小走りで出て行く。更に重い空気に会場が圧倒されていた時、元海軍の宇垣が手を挙げて聞いた。

 

宇垣「これ!絶対死ぬって訳じゃないですよね?」

 

野田「勿論です!」

 

縋り付くような勢いで野田が答えた。

 

宇垣「それとあんたは、俺達の味方って事で良いんだよな?」

 

ゲント「勿論!」

 

そう問われたゲントも即座に答えた。

 

宇垣「じゃあ・・・戦時中より随分マシだ。」

 

彼の言葉に他の皆が笑った。さっきまで重かった空気が一瞬で軽くなった。

 

猪瀬「誰かがやんなきゃいけないんでしょ?じゃあ仕方ないんじゃないですかね?俺達じゃなきゃ艦は動かせねえ訳だし。」

 

他の男達もそれに賛同する声を上げた。

 

新藤「それに、あの巨人と協力すれば絶対に勝てるしな!」

 

丸茂「よーし!いっちょやるか!!」

 

元海軍達「おーーーー!!」

 

ここに残った男達が、海神作戦の参加を希望した。

 

堀田「皆さん!ありがとう!」

 

元海軍達「やりましょう!!」

 

こうして海神部隊が結成され、彼らの結束力が高まった。

 

 

 

 

 

 

その夜。闇市の一杯飲み屋に新生丸と革新丸のメンバーが集まって飲んでいた。ゴジラ疎開が進んで、闇市もめっきり人気が無くなっていた。

 

秋津「しかし、お前がこんな大作戦の立案者だなんてなあ。」

 

野田「私は実際のゴジラに遭遇してますからね。それで白羽の矢を立てられたようです。」

 

水島「じゃあ自分達が呼ばれたのも同じ理由ですね。」

 

尾形「でもまさか芹沢さんも野田さんに協力してたなんて。まああの人ならやりかねないけどね。」

 

恵美子「でもそこに、ゲントさんが参加してくれるし。協力すれば百人力だね。」

 

ゲント「最初は正体知られて驚いたけど、誤魔化せないと思って自白しちゃっただけなんですけどね。」

 

山根「野田君。ゴジラは戻って来ると踏んでいるのかい?」

 

野田「この間の上陸でここ東京は、ゴジラの縄張りの1つに加えられたと見ていいでしょう。最悪の場合、10日以内に再上陸があり得ると思っています。」

 

秋津「そんなに早く・・・」

 

尾形「時間の問題って訳ですね。」

 

野田「ええ。」

 

水島「放射線を探知するブイを随分散布したんですってね。」

 

野田「奴の発見を目視だけに頼る訳にはいかないからな。」

 

秋津「そもそも、アイツは罠張ってるとこに”はいさいでございましか”って来てくれんのかよ?」

 

野田「それなんですよねぇ・・・」

 

秋津「おい無策なのかよ!?」

 

野田「バカにしないで下さい!ちゃんと考えてますよ!音響機雷掃海用の水中拡声器があるんです。それを利用して、先の上陸事に録音したゴジラの声を流すんです。」

 

秋津「ゴジラの声?」

 

野田「ええ。ゴジラは別個体に縄張りを荒らされたと感じて迫って来る。はずです。」

 

秋津「はずですって・・・”はず”ばっかだなおい!いやそもそもあの、何とか式浮上装置?あれで引き揚げるって奴俺は上手く行くとは思わねえんだがな・・・」

 

野田「じゃあどうしろって言うんですか?」

 

水島「はいはい!駆逐艦で引っ張って持ち上げるって言うのはどうです?」

 

野田「バカ言うな!ゴジラの推定体重は2万トンだ!駆逐艦2隻の推力じゃ到底たりない!」

 

水島「じゃあゲントさんのブレーザーで引っ張るのは?」

 

ゲント「アイツは尋常じゃない怪力を持ってる。ブレーザーでも引き揚げれない可能性がある。」

 

水島「ああ・・・」

 

秋津「まあ要するにお前の作戦は穴だらけって事だな?」

 

野田「そんな事言うなら、代案出してくださいよ代案!」

 

山根「まあ10日以内に新しい作戦が思い付けば良いんだけどな。」

 

恵美子「でもそんな作戦が簡単に思い付くのかな?」

 

すると今まで黙っていた浩一が口を開いた。

 

浩一「野田さん。戦闘機のツテ、何処かにありませんか?」

 

秋津「戦闘機?」

 

尾形「まさか、ゴジラに誘導を?」

 

その問いに浩一が頷いた。

 

浩一「万が一奴が上陸しても、銃撃して怒らせれば相模湾に誘導出来ます。」

 

水島「武装解除で全部燃やされちゃったんだろ?日本の戦闘機。」

 

恵美子「仮にもし戦闘機があったとしても、武器なしじゃマトモに戦えないんじゃ?」

 

野田「それにあったとしても、アイツは熱線を吐きます。航空機で誘導なんて命懸けの仕事になる。」

 

浩一「命懸けとかどうでもいい!そもそも戦闘機は船よりは遥かに身軽に動けます。」

 

秋津「わざわざ撃ち落とされに行くって事か?お前、ヤケになってんじゃねえか?」

 

山根「秋津。」

 

浩一「酔ってんですか?」

 

秋津「典ちゃんの敵討ちてえだけだろ?」

 

浩一「気に入らないようですね?」

 

秋津「今更よう・・・」

 

怒った秋津が立ち上がり、浩一の胸倉を掴んだ。

 

水島「ちょ・・・!」

 

山根「秋津!?」

 

秋津「何でこんな事になる前に典ちゃん嫁さんにしてやんなかったんだ!!」

 

ゲント「秋津さん落ち着いて!!」

 

山根「止めろ秋津!!」

 

浩一から秋津を引き離した。

 

秋津「あの子の気持ちは分かってたんだろう!?」

 

浩一「俺だってそうしてやりたかった!!」

 

秋津「じゃあ何でだよ!?」

 

浩一「俺の・・・戦争が終わってないんです!!」

 

ゲント「・・・・・」

 

浩一に纏わり付いてる闇の深さに、全員が黙り込んだ。

 

 

 

 

 

 

後日。野田の一報を受けた浩一はゲント共にバイクを飛ばして、野田と担当官が待ってる郊外にある格納庫跡に到着した。

 

浩一「戦闘機あったんですって?」

 

野田「ええ。でもかなり特殊な奴で・・・」

 

ゲント「特殊?」

 

4人が格納庫へ入って行く。

 

 

 

 

格納庫内。野田の助手達が特殊な戦闘機を被せてる布を剥いだ。舞い上がる埃の中に、その奇妙な形の戦闘機が鎮座していた。

 

ゲント「まさかこれは・・・先尾翼機?」

 

鶴野担当官「はい。大戦末期に開発されていた局地戦闘機”震電”です。Bを落とす一撃離脱に特化した設計で、計画最大速度は400ノット以上。先尾翼を備え、30ミリ砲4門と言う破格の重武装を誇り、数々の新基軸を盛り込んだ革新的な機体です。」

 

ゲント(生の震電見るの初めてだ・・・!)

 

野田「僅かな試作機が実戦配備されていたそうなんです。本土決戦用にここに配備されていたのが、終戦のどさくさで有耶無耶になっていたらしく・・・ただ放ったらかしだったので機体はガタガタで。」

 

浩一「・・・ここのままでは飛べない?」

 

野田「問題はそこなんです。優秀な整備士・・・いや、機体を補修出来る程の人材が必要です。」

 

優秀で機体を補修出来る程の整備士。その言葉にピンと来た浩一がある人物を思い出した。

 

浩一「1人・・・心当たりがあります。」

 

 

 

 

 

 

早速2人は復員局へ向かった。ゴジラの銀座攻撃に伴い消滅し、神田方面にその本拠地を一時的に移していた。

 

中西「元大戸島分遣隊の整備兵、橘宗作さんやね?」

 

浩一「はい。」

 

中西「橘橘橘橘と・・・」

 

戸籍役人の中西が名簿を捲って橘宗作の名前を探すが。

 

中西「あー・・・現住所の登録はありまへんな。」

 

ゲント「そうですか。」

 

中西「人捜しの依頼は毎日ぎょうさん入って来るんですわ。捜すにも大分掛かりまっせ。」

 

浩一「危急の要件でどうしても連絡を付けたいんです!」

 

中西「困りましたなあ・・・そう言われましても。」

 

浩一「お願いします!!この通りです!!」

 

カウンターに額を叩き付けて声を上げる。

 

浩一「この国の存亡に関わる事なんです!!」

 

ゲント「浩一落ち着け!」

 

カウンターに額を叩き付けた浩一の顔を上げた。

 

中西「そんなんされても無理なもんは無理なんですって!すんまへんな!」

 

浩一「あ!では、橘が大戸島の前に所属していた隊は何処か!それなら分かりますか?」

 

 

 

 

橘が前に所属していた隊を聞いた浩一がゲントを残して急いで家へ帰って行った。

 

ゲント「・・・何か嫌な予感がするな。」

 

中西「お兄さん。お兄さんも人探しですか?」

 

ゲント「俺は・・・」

 

その時、ゲントがある人物を思い出した。

 

ゲント「なら、あの人の住所は分かりますか?」

 

 

 

 

 

 

その夜。浩一は家で橘が前に所属していた隊の元兵士達に送る手紙を数枚書き始めた。その手紙にはこう書かれていた。

 

『私は大戸島で橘宗作と一緒にいた者です。大戸島玉砕は米軍の攻撃によるものとされていますが、真相は全く違います。実は橘は沖を通る米軍艦艇に対し、無謀にも銃撃を加えたのです。反撃した米軍の攻撃により、大戸島守備隊の若い兵士達はことごとく戦死しました。その攻撃の間中、橘は責任を放り出し、山中深く逃げていたのです。大戸島の悲劇の目撃者として私、敷島浩一は一生抗議を続ける覚悟である事を橘と隊を同じくしていた皆さんにお伝え致したく、この手紙を書かせて貰いました。』

 

 

 

 

 

 

翌日の夜の闇市の一杯飲み屋。

 

野田「手は尽くしているんですが、その橘さん。どうにも連絡が取れんのですよ。他にも優秀な元整備兵は居ます。いい加減他を当たりませんか?」

 

浩一「もう少しだけ時間を下さい!」

 

野田「・・・何故そこまでその人に拘るんですか?いつゴジラが舞い戻って来るか分からない・・・」

 

浩一「橘じゃなきゃダメなんです!!間も無く彼にメッセージが届くはずなんです!お願いします!!」

 

どうしても橘に拘る理由は、浩一にはある策があるからである。それは浩一自身にしか知らない。

 

 

 

 

 

 

その夜の帰り道。浩一が1人家路を歩いていると、後ろから何者かに殴られた。

 

浩一「うっ!」

 

殴られた浩一が倒れ込んでしまった。

 

 

 

 

謎の人物に家を入れられ、水を掛けられた。浩一が目を覚ますと、両手両足が縄で縛られていた。

 

浩一「・・・!」

 

目の前を見ると、ある人物が立っていた。消息不明となっていた元整備士の橘宗作だった。以前に比べて髭が生えてる。

 

浩一「た・・・橘・・・た、橘さん!橘さんですね!!」

 

再会して喜ぶ浩一に、橘が数枚の手紙を投げ付けた。

 

橘「何のつもりだこれは?大戸島玉砕の原因は全て俺にあるだと!?」

 

激昂状態の橘が浩一の胸倉を掴む。

 

橘「どう言うつもりだ!!」

 

浩一「すまない・・・!そう言いふらせば、あなたが怒ってここを訪ねてくれると思ったんだよ!」

 

あの嘘の手紙は、橘を呼ぶ為の作戦だったのだ。

 

橘「この恥知らずが!!!」

 

激怒して浩一を1発殴った。もう1発殴ろうとしたが、後ろから誰かに掴まれた。

 

齋藤「橘さん!!止めて下さい!!」

 

それは、元大戸島分遣隊の整備兵の齋藤忠征だった。

 

橘「・・・齋藤!?何でお前がここに!?」

 

ゲント「俺が呼んだんだ。」

 

そこにゲントもやって来た。彼は浩一を縛ってる縄を解いてあげた。

 

ゲント「嫌な予感がしたと思ったら、予想は的中したな。大丈夫か?」

 

浩一「はい・・・」

 

解放した浩一を座らせた。

 

浩一「橘さん。銀座を襲ったアイツ、大戸島の呉爾羅ですよね?戦闘機の改修が必要なんです。アイツを倒す為です!それを頼む為に、どうしてもあなたに会う必要があった!その出鱈目な手紙もその為です!許して下さい!」

 

地面の上で土下座をして謝罪した。橘は考えたが、当然許すはずもなく。

 

橘「勝手にやれ。俺が手を貸す訳ないだろ。」

 

手紙を投げ付けて家から出て行こうとする。

 

浩一「橘さん!待って下さい!」

 

出て行こうとする橘の前に齋藤が立ち塞ぐ。

 

齋藤「待って下さい橘さん!」

 

橘「どけ齋藤。俺がコイツに手を貸す訳がない。」

 

齋藤「あなたの気持ちは俺も分かります!でも、彼の話を最後まで聞いてあげて下さい!」

 

ゲント「俺からも頼む!せめて話だけでも!」

 

浩一「橘さん!やって欲しい事があるんですよ!これは、橘さんにしか出来ない事なんだ!」

 

話だけでも聞いてやろうと、橘が浩一に目を向けた。

 

浩一「ゴジラの口の中で機雷を爆発させた事があります!高雄の主砲より遥かに効果があった!アイツは内側からの攻撃に弱い!分かりますか!?」

 

橘「お前・・・」

 

浩一「爆弾を満載した戦闘機でアイツの口の中に突っ込むんですよ!そうすれば確実に殺せる!!!」

 

この説得で、橘が理解した。

 

橘「特攻か。」

 

浩一「あなたの戦争も・・・終わってませんよね?」

 

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