――それが、神話の始まり
そして、それが悲劇の始まり
Prologue
Prologue
00
夜の空に落ちる影が一筋、
人工灯が残らず死に絶えた今、彼女の輝きは宝石箱を引っくり返したかのようなこの夜にあってそれでもなお一等美しかった。
僕はあの星を知っている。
今はもう手の届かないところにいるけれど、いつかきっと、僕はあの星に追いつくんだ。
01
大山大は原っぱで体育座りをするかつての自分のような体躯の年下の友人を眼下に眺めた。
土手の上、風の少ない夜だった。
天に星、地に花と云うけれど、今宵ばかりは花には御退場頂いて、星と月のワルツを楽しむのが乙と云ったもの。
そして友人――始と同様に空を見上げた。
高い、とても高い空だった。
――ため息が出そうになるほど澄んだ夜の空は、しかしその煌びやかさ故に地に蔓延る人を嗤うようだった。…そんな愚考が頭をよぎる程、月は静かな夜の女王で星は女王を守る騎士だった。
かつて見た様々な世界を思い出す暇もない怒涛の1年は明けた。ここからが大人の正念場なのだと大は腹を括った。 遠い宇宙へと旅立った彼女たちに胸を張れる仕事をしなければと、歯を食いしばる。
そんな大の背中を襲う衝撃があった―――襲撃だ。
「おうおうおう、随分と気張った
幾分か大きすぎる声が肩を張る力と同時に大を襲う。声の正体は自分より年上の友人――井台半のものだ。 些か掴みどころのない、しかし気の良い兄貴分な彼は口の端に煙草を食えて面白げに夜空を見上げている。
この半年を共に潜り抜けた戦友は、しかし自分とは違うものを見ているように大には思えた。
「あんな小娘があれだけの気概を見せたんだ。俺ら男が気張らなくてどうするよ。それにな、始のヤツを見て見ろよ。あいつに笑われるような男にはなれねぇだろ?」
科学者然とした白衣をひっかけているのに、そして実際科学者の筈なのに、なぜ彼はこうなのだろう。 どこまでも歌舞伎、何でも知ってそうな顔をして、いつものようにいつもの如く飄々と。
四〇も終わりにさしかかっていると言われても到底信じられないような若々しさを白衣と一緒に
そして、二人には聞こえぬように小さく呟いた。 ―――「ミライザーなんて力を使っちまったら、どうにも嗤われそうでいけねぇや。そうだろ?大介サンよぉ。ちょいとばっかり
肩をいからせて歩く今夜の彼はハードボイルドだった。 カッコつけて歩き始めたその先には壊れかけた天文台。
奇跡的に原形を留めた、愛する妻もいるその場所を見つめ、ひょいとドアをくぐってから笑った。
「雨森博士!ちょいと相談があるんだがね!」 この
02
「僕はやるよ。だから―――見ていてね、弥生さん。いつか、僕から会いに行くから!」
03
これは、かぐや姫が月へ還るまでの、ある半年の物語。
少年が大人になり、かつての少年は大人になった。
螺旋の如く巡る壮大な物語の、これは始まりの物語。
第一部 竹取物語篇
第零話
2年ぶりですね。
実はずっと構想練っていました。
うん、難しいですね。
次は1年以内に更新します。
・・・出来るといいなぁ・・・・・・
2017.08.05
前書き部分を『前奏曲』のキャッチコピーに変更致しました。