ウマ娘となった元東方不敗マスターアジア、現フウウンサイキが、遂にG1を走る日となったのです!
ジュニア期ですでに重賞を無敗で複数獲ったフウウンサイキですが、勝負服を来てのG1出走はこれが初です!
果たして彼女は、このままG1を獲る事が出来るのでしょうか!?
ウマ娘プリティーダービー!
「ついにG1! フウウンサイキ、伝説の始まり」
に、レディー、ゴーッ!
トレセン学園2年、6月。デビュー戦は中距離2000芝を選択し、作戦は逃げでハナ差勝利した後。東方不敗トレーナーと共に記者会見を開き、ついにワシの出走ローテを発表する時が来た。と言っても、まだ今年の予定のみだが。
とはいえ、メイクデビューしただけのウマ娘1人のためにこのような場を用意するのは、かなり異例な事だ。東方不敗トレーナーとその孫であり担当ウマ娘だからこそ、である。祖父が引退表明した効果と、ワシが東西南北中央不敗宣言したもあるかの。
「このような場を用意していただき、誠に感謝申し上げます。何故、このような形式で出走予定を発表するのか。それは、実際に予定を見ていただければ納得するかと思います」
かしこまった話し方から始まった会見だが、出走予定をプロジェクターで投影しつつの祖父による読み上げにより、会見会場はどよめきに包まれる。
東西南北中央不敗スーパーアジアローテ
ジュニア期出走予定
7月後半G3函館ジュニアステークス芝1200
8月後半G3新潟ジュニアステークス芝1600
9月前半G3札幌ジュニアステークス芝1800
10月後半G3アルテミスステークス芝1600
11月前半G2京王杯ジュニアステークス芝1400
11月後半G3京都ジュニアステークス芝2000
12月後半G1全日本ジュニア優駿ダート1600
「……以上が今年の出走予定になります。尚、あくまで予定なので、フウウンサイキの調子次第では変更もあり得るかと思います」
「なんだこれは……! 全て重賞なのか……!?」
「それもですが、出走予定が過密過ぎます! これでは足が壊れかねません! あり得ない!」
「引退するからと言って、これでは虐待ではないですか!? 担当ウマ娘を潰す気ですか!」
うむ、まぁ当然の反応ではあるの。しかし、これでも祖父は控えめな言い方をした方である。
また、騒がれているのは、デビュー前から大いに期待されていたワシがデビュー戦をハナ差ギリギリ勝利という、少々期待外れな勝ち方をしたのも理由の一つかの。
ちなみに、ハナ差勝利は狙ってやった。理由は、デビュー戦での他ウマ娘からは特に得られるモノを感じ取れず、着差を調整し易かったゆえ。
それに何より。
(あまりに圧勝し過ぎると、今後のレースで辞退者が出かねんからの。まぁ……数名程、ワシが大差勝ちをしたとしても挑んでくるだろうヤツがおるがの。キンカやハーツは、間違いなく辞退などせんじゃろう)
すなわち。今後のレース、少なくともクラシック期が終わるまでの全てのレースで、ワシは僅差で勝利するつもりじゃ。
理由はデビュー戦の時と同じく、辞退者防止のため。
常に僅差ならば、「決して勝てない相手じゃない」「運次第では勝てる」と思わせられるであろう。それならば出走回避されるのは最低限に抑えられると予想し、僅差勝利を演じ続ける。
相手を侮っているからではない。むしろ、強きウマ娘に敬意を表しているからこそじゃ。
「強者と走り鎬を削り合い、間近で走りを見、その全てを己が糧とする! それが、ワシが最も強くなる道であるがため!」
予想以上に非難の声が多いので、外野を黙らせるため「この出走予定は自身で選んだ道である」とワシ自ら声を上げる。実際、それが真実じゃからの。
「実戦を! レースで強者と鎬を削る事こそが我が覇道!」
「フフ……とまあこの通り、本人たっての希望なのです。ならばトレーナーとして、それに応えるのが私の責務。これでも出走数を絞った方なのです」
「という事は東方不敗トレーナー。このローテなら、彼女は故障なく完走可能と判断した、という意味でしょうか?」
「その通りです」
「この程度の出走数で壊れるような身体作りはしておりませぬ。ゆえに皆々様、安心めされよ」
……とまあ、この後も質問が飛び交い騒がしい出走予定会見となったが、最後には大きな批判なく終了した。
♡ ♡ ♡
……その会見から、約半年。ようやっと、待ちに待ったG1・日本ジュニア優駿の開催が近付いて来た。昨年デジタルが獲ったG1じゃな。
ここまでの全レースは、当然全勝。2着との差も、アタマ〜1バ身差での僅差勝利で、すべて予定通り。
ちなみにだが。友であるキンカとスイも、ワシと同月にデビュー戦を見事勝利し、戦績を積んでおる。
具体的には、このような感じじゃな。
キングカナニ
Pre-OPエリカ賞芝2000
重賞ではないが、2着を7バ身突き放しての文句なしの走りを見せつけたキンカ。
そして、次走はG3京成杯芝2000と発表している。ワシは今日のG1後に来年上半期の出走予定を発表するつもりじゃが、その中には京成杯も含まれておる。フフ、ようやっと、彼奴と本物のレースで鎬を削れる!
スイープトウショウ
G3ファンタジーステークス芝1400
G1阪神ジュベナイルフィリーズ芝1600
スイは重賞を2レース出走し、ファンタジーSを3バ身差、阪神JFを1バ身差で獲っている。気性難な所のあるスイだが、レースを見た限り落ち着いたレース運びをしておったな。
そんな彼女は、出走予定としてG2チューリップ賞芝1600、G1桜花賞芝1600、G1オークス芝2400、G2ローズステークス芝1800、G1秋華賞芝2000と発表している……惜しい事に、ワシの出走予定から悉く外れておるので、恐らくぶつかれるとしたらシニア期以降であろうな。
というか、クラシック期は完全にハナと同じレースに出走予定じゃな……つまりは、トリプルティアラ狙いじゃの。
そして、同じレースを既に走ったハナじゃが。
ニシノフラワー
G2チューリップ賞芝1600・1着7バ身差
G1桜花賞芝1600・1着3バ身差
G1オークス芝2400・1着ハナ差
G2ローズステークス芝1800・1着4バ身差
G1秋華賞芝2000・1着アタマ差
この様に、全て勝利し無敗のティアラを成し遂げた、今や時の人……時のウマ娘である。中距離適正がB+程なので、中距離はギリギリの勝利であるが……良く頑張ったの、ハナ。
そしてもう1人、同時期にデビューしたマヤじゃが。
マヤノトップガン
G2弥生賞芝2000・追込2着1ハナ差
G1皐月賞芝2000・先行1着クビ差
G1日本ダービー芝2400・差し2着ハナ差
G2セントライト記念芝2200・追込1着4バ身差
G1菊花賞芝3000・逃げ1着2バ身差
こんな感じじゃ。惜しくも3冠ならず2冠じゃったが、見事な走りを見せてくれた。ワシの見立てでは、夏合宿を終えてから本覚醒した感じじゃからな、恐らく次走の有マ記念も獲ると思っておる。
次にデジタルじゃが……此奴はワシの予想通り、変態的なレース選びをしており、その上勝っている。
アグネスデジタル
OPヒヤシンスステークスダート1600・1着7バ身差
G2ニュージーランドトロフィー芝1600・1着4バ身差
G1NHKマイルカップ芝1600・1着3バ身差
G1ジャパンダートダービーダート2000・1着6バ身差
G1マイルチャンピオンシップ芝1600・1着8バ身差
うむ……ワシが言うのも何じゃが、滅茶苦茶な出走記録じゃな。
今までダートを走っていたのに突然の芝G2出走で勝利、からの芝G1で勝利、からのダートG1勝利、からの芝G1勝利……芝とダート、両方に適性を持つウマ娘は稀におるとはいえ、一般ウマ娘からしたら「何だこいつ……」と言わざるを得ない選択と戦績じゃなぁ。沖野も、よくこの予定を許可したものじゃ……いや。
(デジタルならばいける、と見抜いたから許可したのだろう。沖野のウマ娘を見る目は確か、と言う事じゃな)
さて、他は……やはり、ユニとゼロの春天での接戦は、実に血湧き肉躍ったのう! クラシックで獲れなかった宝塚記念での圧勝も良かった!
しかも、秋天とジャパンカップのユニは、「壁」を乗り越えたというか突き破ったと言うべきか。鬼がかった走りでの大差勝利で、実に学ぶ所の多いレースじゃったな……!
コンコン
「む?」
と、物思いに耽っていると、出走の呼び出しには幾分か早いノック音。いや、この気は……
昼寝してたら少し遅れました……なんもかんも朝から暑過ぎるのが悪い。
それと今話、文字数が倍くらいになりそうだったので、急遽2分割にしました。短く纏められず、申し訳ない……
※来週は夕方5時00分からお送りします(仮)