最強の秘訣?え、寝てるだけですが? 作:おねむ
そして翌日。あのお爺ちゃんが待っているテントの中へ行くと、前と同じ様に座ってた。昨日ぶりですね。
「おお、来たか。って事は行ったのかダンジョン」
それに対して頷いて、戦利品を取り出す。その間にお爺ちゃんは色々な道具を取り出している。
「最初は何処のダンジョン行ったんだ?」
雑談をしながらもお爺ちゃんの顔つきは真剣そのものだ。手つきも熟練で無駄が無いとそれっぽい事を考えておく。その方が出来る女って感じがしてカッコイイ気がする。
「コンビニの、近場にある所です」
「あー、だからあのレシートは。成程。で、何回行ったんだ?」
ん?どう言う事?
「え、何回って一回ですけど」
「は?」
「え?」
な、何か間違えたのかな。でも、本当に一回行って帰って来ただけだし。
「まさかレベル一の状態でダンジョン踏破したのか⁉︎」
あ、そっか!普通の人はレベル一の状態でダンジョンへ挑むんだ。私はレベル八だから。うーん、どうしよ。言った方が良いのかな。迷っていると、先にお爺ちゃんが口を開いた。
「もしかして、何か理由があるのか?そう言えば、昨日も金が必要みたいな感じだったな。……」
じっと顔を見られて、何となく嫌で顔を逸らす。何も悪い事をしてない筈なのに。
「言ってみろとは言わないが、自分で解決出来ることは案外少ない。最強と言われた男ですら、そうだったみたいだからな」
そう言ってお爺ちゃんは笑った。最強の称号を持っている探索者について何が知ってるのかな。知ってるのなら教えて欲しいと思いつつ、まずは質問答えなきゃいけないかと思う。
「……あんまり聞いてて、楽しい話じゃないですよ。聞いた後に後悔すると思いますし」
「別に構わないそんなこと慣れっこだ。この歳になればな。それにまだ若いだろ?頼れそうな大人に遠慮なく頼りな」
と笑った。それで何だかリラックスして、理由を話した。
「私が中学を卒業する。少し前まではお婆ちゃんがいまして、いや。うーんと」
「焦らなくて良い、まだ時間が掛かりそうだしな。自分の心を整理する気持ちで、話そうとしないで呟くだけで良い」
「……えっと、すみません。小学生ぐらいの時両親がいなくなって、親戚に遠い国に行ったと伝えられました。それから親戚のお爺ちゃんお婆ちゃんの家で暮らしていたんですけど」
「なんかあったのか?」
「中学入ったぐらいで、お爺ちゃんが……。死んじゃって」
「もう良い、分かった。大変だったんだな。今はお婆ちゃんと二人暮らしか」
「……いえ。お爺ちゃんがいなくなった事でお金が足りなくなって、私が何も出来ないから。お婆ちゃんが慣れない仕事をしてお金を稼ごうとして、それで無理をして身体を壊しちゃって」
「ごめんなさい、こんな話して」
涙が溢れ出てくる。私は何をやってるんだろう。全てがうまくいかない。辛いなぁ生きるのって。
「なぁ、人って何で生きてるんだと思う?」
「?」
「いや、質問が違うな。人は何故生まれたと思う?俺が思うには神様の試練だと思うんだ。だからこそ辛い事があり、悲しい事があり、そして極たまに良い事がある。それを全部引っくるめて人生って言うんだと思うんだ」
「良く分かんない」
「そうか、なら分かるまで生きてろ」
「頑張ります」
「そうだ。鑑定結果だが、このタイムカプセルには鍵が掛かっていて買い取れない。恐らく、ボスダンジョンを踏破すれば鍵がドロップする筈だ。が、まだ行かない方が良い」
「分かってます。約束しましたもん。もう一つはどうですか?」
「"永遠に切れかけの豆電球"な、これはマイナスだ。なんでこんな物が落ちるんだ」
えっ。
「累計金額がマイナス百円かぁ」
「……嬢ちゃん。名前は?」
「ねむ、成宮ねむです」
「そうか、成宮の嬢ちゃん。このままじゃ生きていくのはキツイだろ。一つ簡単に稼げるかもしれない方法があるんだが、聞くかい?」
「怪しげな誘い文句ですね」
「言ってて思ったよ。今の子の方が詳しいと思うんだけど、ダンジョンケータイある?」
「はい」
机にスマホを置くと、ちょっと借りるよと言って操作し始める。
「あーこれだ。
そう言われてもいきなりやる勇気は私には無くて。一旦保留にして家に帰って考える事にした。お金どうしよう……。