IS ~インフィニット・催眠種付けおじさん~   作:シシカバブP

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キリの良いところでカットしたため、今回はいつもより短めです。


第11話 酢豚じゃ一夏は(鈍感過ぎて)落とせない

 突然だが、IS学園の学生寮には談話室なるものがある。

 夕食が6時から7時までだから、それ以降は食堂が閉まっている。そうすると、消灯時間までの間にルームメイト以外との交流場所が必要だからと設置されているらしい。

 こんな説明をするってことは、今俺はその談話室で誰かと交流してるのかって? 半分正解だ。

 

「ホンット、一夏ってば! 怜二もそう思うわよね!?」

「そ、そうだな……それとこのくだりはもう3回目だからな?」

 

 鈴の愚痴を聞くことが交流というのであれば。

 

 

――――――

―――

 

 

 束と真耶さんの2Wメロンを堪能した後、夕食までの時間を潰そうと、俺は外をぶらぶら歩いていた。

 ここら辺で、人気のない場所でも探そうか。そう考えたのがいけなかったんだろう。その人気の無さそうな場所で、しゃがみ込んでいる鈴を見つけてしまったんだから。

 

「鈴? こんなところで何してんだ?」

「……怜二」

「何かあったのか?」

「何でもないわよ……」

 

 嘘つけ。ならなんでそんな今にも泣きそうな顔してんだよ。……訂正、こいつ泣いた後だ。目尻に泣いた跡がある。

 

「それより、アンタはこんなところに何の用よ」

「俺は単なる散歩だ。それで、いつも行かなそうな場所を歩いてたら鈴と遭遇した」

「そう……聞かないの?」

「何を?」

「あたしがここにいる理由」

「話す気があるなら聞いてやるが、わざわざ聞き出す気はないな」

「そう……」

 

 俺自身、プライベートを根掘り葉掘り聞かれるのは好きじゃないからな。

 とはいえ、編入初日にこんな状況になってる理由自体は、気になるっちゃ気になる。

 さてどうしたもんかと思っていたら、鈴が立ち上がってこっちを見てきた。

 

「……アンタには面白くもなんともない、愚痴でしかないけど、聞いてくれる?」

「いいぞ。さっき聞いてやるって言ったからな。口だけ野郎にはなりたくない」

 

 それから、ここで話すのもあれだからと、夕食後に談話室で待ち合わせという話になったのだ。

 

 

――――――

―――

 

 

 そして冒頭に至る。

 ちなみに、談話室には俺と鈴しかいない。他の連中? 鈴がテーブルをバンバン叩き始めた辺り(結構序盤)から、みんな引き潮の如くいなくなったよ。

 

「ちょっと怜二、話聞いてる!?」

「聞いてる、聞いてるから」

 

 俺に話してる途中で、鈴はその時の怒りを思い出したのか話が止まらない&ループし始めた。冒頭でも言った通り、これで3ループ目である。

 

「鈴と一夏は幼馴染で、鈴が中国からこっちに引っ越してきた時に知り合ったんだよな? で、昔は今ほど日本語が上手くなくて、それが原因でいじめられてたのを助けてくれたのが一夏だったと」

「なによ、ちゃんと聞いてるじゃない」

「だから聞いてるって言ってるだろ」

 

 その時から、鈴は一夏のことが気になっていたんだと。……その場には、一夏の友人である(だん)なる人物もいたらしいが。

 箒のことも知ってるかと聞いてみたが、全く知らなかったと。どうも箒が転校した直後、入れ違いに転入してきたみたいだ。

 

「でもね、一昨年、家の都合でまた中国に戻ることになったの。だから転校する時一夏に、『料理の腕が上達したら、毎日酢豚を作ってあげる』って言ったの!」

「それも聞いた。お前的には『味噌汁を毎朝作ってあげる』みたいな感覚で言ったんだよな? つまり告ったと」

「告っ」

「違うのか?」

「……そうよ。そして今日の放課後アリーナで、あの日の約束を覚えてる? って聞いたの。そうしたら一夏の奴……」

 

――バンッ

 

「どうして『毎日酢豚を奢る』なんて話になるのよぉ!!」

 

 おっと。テーブル叩きながら立ち上がるのは今回初めてだな。とはいえ、まずは座れ座れ。

 

「俺はこの学園に入ってからだから一夏との付き合いは短いが、奴が朴念仁で色々鈍いのはよーく知ってる。鈴も知ってるだろ?」

「それは……確かにあの頃から一夏は色恋沙汰には鈍かったわよ……けどぉ!」

「酷なようだが、ストレート告白ですら跳ね返す奴の鈍感力に対して、『毎日酢豚を~』は遠回し過ぎて伝わらない」

「うぅっ!」

 

 俺の言葉がクリティカルヒットしたのか、鈴は苦悶の声を上げるとそのままテーブルに突っ伏してしまった。

 

「はぁ……」

「しっかしそうかぁ……鈴が一夏のことをなぁ……」

 

 俺の頭の中にあったのは、束との取引の件だった。

 一夏に近付く、好意を持った女子を遠ざける。その意味では、鈴はもろに対象に入る。だけど、もうすでにフラれてるような状態だしなぁ……。

 正直、俺が催眠術を使うまでもない気がしてる。このまま『お友達で』で終わってしまえば、それに越したことはないだろうし。

 けど、初恋が失恋で終わった鈴をこのまま放置するのも気が引ける。話、聞いちまったからなぁ。

 

「鈴」

「なによ……」

「その失恋気分を多少軽くする方法があるって言ったら、試す気はあるか?」

「は? なによそれ」

 

 俺が『嫌な記憶からくる気持ちを抑える方法がある』と言うと、最初は怪訝そうな顔をしていた鈴だったが

 

「いいわ。あたしもこのままじゃ、クラス対抗戦に支障が出るかもって気にしてたから。ただし! 変なことしたらぶん殴るからね!?」

「しないしない」

 

 ……鈴といい入学当初の箒といい、一夏の幼馴染って、みんな武力で訴える系なんだろうか。

 

「それじゃあ始めるぞ」

 

 そうして俺は、再度周りに人がいないことを確認して

 

――パチンッ

 

「ぁ……」

 

 鈴を催眠状態に落した。

 

「さて、まずはきちんと催眠状態か確認するか。……鈴、お前は一夏のことが好きなんだよな?」

「好き……」

 

 よしよし、催眠に掛かって無かったら、こんな素直に答えるわけないからな。

 ……このくらいストレートに言えれば、一夏も……と思ったが、それすら奴にかかれば『友達として好きってことか』って答えになりそうなところが……。

 

「なら、一夏が約束を覚えて無かったのは辛かったな」

「辛かった……あたしだけ舞い上がってたんだって、悔しかった……」

 

 うぐぅ……本心を口にしてる分、聞いてるこっちも精神的ダメージが……。だが、この感情を抑えてしまえば……。

 

「鈴、これから3つ数える。そうしたら今の感情は無くなる」

「無くなる……」

「そうだ。『一夏が約束を忘れてたことを謝って、それで終わり』そう思うようになる」

 

 さすがの一夏も、約束を間違えて覚えてたら『すまんすまん』ぐらいは言うだろうし、そうしたら鈴の中で一夏への好意も『それで終わり』になる。

 あとはただの幼馴染として、友情だけを育む関係になってくれればベストだ。

 

「それじゃあ、3、2、1……」

 

――パチンッ

 

「あれ?」

「どうだ? さっきよりはマシになっただろ?」

「アンタ一体……確かに、心のつっかえが取れたような気分よ」

「それはよかった。それで、これからどうするんだ?」

「……とりあえず、もう一度一夏に会ってみるわ。……さっきは言って無かったけど、あたしも怒りのあまり一夏のこと引っぱたいちゃったし……」

「マジか。なら、そこでお互い謝って、今回の件はチャラって感じか」

「そうね。あたしが謝って、一夏が謝る。『それで終わり』」

 

 きちんと暗示が効いてるのか、最初と打って変わって清々しい顔で椅子から立ち上がった。

 

「ありがとう、話を聞いてもらって」

「どういたしまして。もし嫌じゃ無ければ、結果がどうなったか教えてくれると助かる」

「いいわよ。話を聞いてもらっただけじゃなくて、気持ちの整理をするきっかけもくれたし」

 

 そう言って談話室を出て行く鈴を見送ると、ふーっと息を吐いて俺も椅子から立ち上がった。

 

(わざわざこんなことせず、俺を好きになる暗示でもかければいいものを……半端ものだなぁ、俺)

 

 正直、鈴は可愛いと思う。けど、NTRは嫌だなぁとも思う。だからこんな、一夏と鈴を友達関係にするなんていう遠回しな手段を選んでいる。

 鈴をハーレムに入れる気はあるのかって? ……あとは鈴の気持ち次第、とだけ言っておく。

 

 

――――――

―――

 

 

「れっきゅんれっきゅん! エマージェンシーだよ! 緊急事態だよ!」

「まずは落ち着け」

「しゅん……」

 

 こらこら、部屋に戻るなり大声あげられたら困るから落ち着けって言っただけで、しょんぼりしろとは言ってない。

 

(頭撫ぜ撫ぜ)

 

「れっきゅんに頭撫ぜられて元気百倍! ってそうだ、今日この学園に転入してきた奴なんだけど!」

「ああ、鈴のことか」

「へ? 知ってるの?」

「知ってるというか、さっきまで一緒だったというか」

 

 俺が昨晩のファーストコンタクトから談話室までの間の出来事を話すと、束はしおしおと俺に項垂れかかった。

 

「なんだ~知ってたんだ~。いっくんに近付く悪い虫だと思ってたのに、すでにフラれてたんだ~。束さん慌てて損した~。れっきゅんハグ」

「はいはい、お疲れさん」

「にゅふふ~❤」

 

 はぁ、嘘みたいだろ? この可愛い生命体が、先月まで俺を殺そうとしてた奴なんだぜ?

 

「それで、あのツインテールはハーレム候補なのかにゃ~?」

 

 ついでに、俺にハーレム推進をしてくる奴でもある。

 束に掛かれば、俺は女なら手当たり次第手を出す奴だと思われかねないんだが。

 

「鈴次第だな。一夏と友達関係に収まった後、俺に対して何も思わないならそれまでだ」

「れっきゅんからは何もしないの? 結構可愛い子だったけど」

「……頼むから決意が揺らぎそうなこと言わないでくれ」

「んふふ~、れっきゅんってば、顔に書いてあるよ?『鈴可愛いな~』って~」

「口に出して言うな馬鹿っ!」

 

 『一夏への好意が無くなったんなら、こっちからアタック掛けてもいいじゃん』って、本当は俺も思ってたよ! でもそれをやったら……

 

「ん? どったの?」

「それで予めお膳立てして鈴を手に入れたら、清香達を蔑ろにしてる気がしてさ……」

 

 セシリアと清香、それに真耶さんも、その辺の事情を碌に考えず手籠めにしたわけで。なんだろう、ハーレムの中で格差を付けたみたいで嫌だというか……我ながら身勝手な話だ。

 

「れっきゅんってば、相変わらずだねぇ。――みんな、そういうことらしいよ~!」

「怜二君」「怜二さん」

「はぁ!?」

 

 壁際の風景が歪んだと思ったら、突然真耶さん達が……俺図られた!?

 

「怜二君が、そんな風に考えていたなんて……」

「微妙に的外れと言いますか、中途半端と言いますか……」

「ごふっ!」

 

 セシリアの指摘が心に刺さる!

 

「怜二君? 確かに、怜二君と私達が出会ったきっかけは強引なものでした。ですが、今私達は怜二君のことが好きです。催眠とか関係なく、怜二君のことが好きなんです」

「わたくし達の怜二さんへの想い、見くびらないでいただきたいですわ」

「そうだよ。それに、最後は私達の意思を尊重してくれたし、だから私達は今、自分の意思で怜二君が好きなんだよ」

「真耶さん……セシリア……清香……」

 

「というわけで! 束さん、まーやん、セッシ―、きよぴーに続くハーレム5人は凰鈴音でけってーい!!」

 

「感動的な場面を返せよぉ!!」

 

 ここはみんなの気持ちに、俺が感動するところだるるぉ!?

 

 

 

「一夏の、馬鹿ぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 

 ……鈴の怒号が、ここからでもよく聞こえるんだが。

 

「……ねぇれっきゅん、本当に暗示掛けたの?」

「掛けた、はずなんだがなぁ……」

「織斑君と凰さんがお互い謝って、それで終わりって話じゃ……」

「どう考えても、和解どころか決裂してますわよね、あの感じでは」

 

 だよなぁ……どうしてこうなった?

 

「これはもう、怜二君が凰さんをNTRしかないよ」

「清香ぁ!?」

 

 まさかお前からNTRを勧められるとは思って無かったぞ!?

 

 

 

 

 

<今日の一夏>

 

「アンタねぇ、女の子を怒らせておいて、悪かったなーとか思わなかったの!?」

「そんなこと言われてもなぁ、鈴が怒った理由も分からないし」

「アンタが約束を覚えてなかったからよ!」

「いや、覚えてただろ。『毎日酢豚を奢ってくれる』って」

「どうしたらそういう解釈になるのよ! この朴念仁! 間抜け! アホ!」

「(むかっ)うるさい、貧乳」

「おい一夏、それは……」

「……一夏の……」

 

「一夏の、馬鹿ぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「一夏」

「お、おう、なんだ箒」

「……いや、何でもない。これで恋敵が消えたと思ってしまった……なんて浅ましい……

「?」




当時の鈴はどうして、一夏に対してあんな婉曲表現を使ったのやら。絶対伝わらんでしょう。(これで大体原作通り)

そして今更ですが、オリ主の性格に苦しめられてます。最初から女子の気持ち云々気にせずオラッ出来る性格なら、ここまで悩まずに済んだのに……。
もういっそ『催眠掛けて自分のことが嫌いか聞く。嫌いでないならいただきます!』でいってしまうか……?

次回はクラス対抗戦を予定しています。無人機? 飛ばす飛ばす。(壮大なネタバレ)

※アンケート実施中です。(実施期間はクラス対抗戦が終わるまでを予定)

ちーちゃん、どう思う?

  • ハーレムINするべき
  • ハーレムINするべきじゃない
  • ぽんぽんペイン担当でしょ?
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