IS ~インフィニット・催眠種付けおじさん~ 作:シシカバブP
クラス対抗戦当日、試合会場の第2アリーナは噂の男性操縦者が参加するとあって全席満員。会場入り出来なかった生徒や関係者はリアルタイムモニターで観戦するらしい。
そんな中、俺や清香、セシリアを始めとした1年1組の面々は運よくアリーナの観客席に陣取っていた。
「それにしても、1試合目から鈴と当たるかぁ」
鈴の怒号が聞こえた翌日、生徒玄関前の廊下にクラス対抗戦の日程表が貼り出された。そして今言った通り、初戦から一夏と鈴がぶつかることに。
「運がいいのか悪いのか」
「ですが、ここで一夏さんが凰さんに勝つことが出来れば、優勝が現実味を帯びてきますわ」
「いやいやセシリア、さすがにそれは早計過ぎるよ」
確か今年の1年は、3組を除いた全員が専用機持ちだったはず。なら、もし鈴を倒せても決勝でもう一人専用機持ちを倒す必要がある。
クラス代表になってから半月。あれから訓練を積んでるらしいが、正直専用機持ちを2人も抜くのは難しいんじゃないだろうか。
「おっと、そんなこと言ってる間に出てきたぞ」
ピットから白式に乗った一夏と、鈴のイメージカラーなのか、ピンク塗装のISが反対側から入場する。
肩の横に、棘付き装甲が浮遊している。確か
「セシリア、あの機体の情報知っているか?」
「申し訳ありません、欧州の機体なら分かるのですが……」
「そっか。誰か知ってるのは――」
……誰も知らないのな。
「あれは中国の第3世代機『甲龍』です」
「あれ、山田先生?」
そこには、一夏側のピットにいると思っていた真耶さんだった。
こっちにいていいんですか?
「ピットの方には織斑先生と篠ノ之さんがいますから。私はこっちで観戦と解説をしますね」
「わー、ありがたーい!」
「ありがとう、やままん!」
「誰がやままんですか!」
生徒思いではあるものの、あだ名呼びは許容しないようだ。
だが、解説があるのはありがたい。
「こほんっ、甲龍は燃費と安定性を第一に設計されたISです。そして特徴的なのは――」
そこで言葉を切って視線を試合に向ける真耶さん。俺達がその視線の先を追うと、鈴の肩装甲がスライドして開き――
――ドゴォォンッ!
大きな音が鳴ったと思ったら、一夏が地表に叩きつけられていた。今、何があった?
「――『衝撃砲』。空間に圧力をかけることで砲身を生成、その際に生じた衝撃それ自体を砲弾とする武装です」
空間を圧縮して砲身作って、しかも衝撃そのものが砲弾? 全部透明で何も見えない大砲ってことか。
「すごいな……でも、第3世代機って『操縦者のイメージ・インターフェイスを用いた、特殊兵器の搭載を目指したモデル』じゃなかったでしたっけ? それっぽいものないですけど」
「ちゃんと授業の内容を覚えてますね、いい子です♪」
「ふ、ふがっ」
「山田先生! 怜二さんが窒息してしまいますわ!」
「あ、あら?」
ぷはっ! セシリアが止めてくれなかったら、俺は真耶さんのWメロンで窒息死するところだった……! だがそれと同時に桃源郷も見え――
「怜二君……?」
「清香さん、笑顔が怖いです……ってそれより試合だ試合!」
その試合では、一夏が鈴の衝撃砲と……あれ、青龍刀か? の猛攻を躱し続けていた。ただ躱すのが精いっぱいで、じりじりと追い込まれてる感がある。
「これは勝負あったかも……あれ? 織斑君止まっちゃった」
誰かが呟いた通り、回避に専念していた一夏が中空でピタリと止まる。そして鈴と何かを話しているんだろうか、双方睨み合うような状態になり、鈴も両手に持った青龍刀もどきを構え直す。
――ドンッ!
「あ、あれは、『
驚く真耶さんに誰も反応せず、ものすごい速度で鈴に肉薄する一夏を目で追っていた。そして奴のワンオフ・アビリティ『零落白夜』、あの光る刀身が鈴に届く瞬間、
――ズドォォォォォンッ!
突然アリーナ全体に、大きな衝撃が走った。
「な、なんだ?」
「これも凰さんの攻撃、じゃないよね?」
「みんな、あれ!」
清香が指さす方では、ステージ中央からもくもくと土煙が上がっていた。まるで、どこかから砲撃でもされたみたいだ。
「もしかしてさっきの衝撃は、アリーナの遮断シールドを貫通したから……?」
「ええっ!?」
「アリーナの遮断シールドって、ISのシールドと同じものだったよね? それが貫通したって……」
「み、みなさーん! 落ち着いてくださーい!!」
観客席は騒然となり、真耶さんが何とかみんなを落ち着かせようとするが芳しくない状態のようだ。
「なに、あれ……」
「I、S?」
土煙の中から現れたのは、深い灰色の、全身を装甲で覆ったISだった。
そしてそのISが、一夏達の方に腕を伸ばして――
――チュィィィンッ!! ズドォォォォォンッ!!
「「「「きゃあぁぁぁぁぁぁっ!!」」」」
「び、ビーム兵器ですって!?」
「あんなのが当たったら……」
「た、助けてぇぇ!」
「ちょっと、押さないでよ!」
「何もたついてるの!? 早く出なさいよぉ!」
一夏達が回避した場所を焼き払う熱線を目の当たりにした生徒達が、とりあえずここから避難しようと出入口の方を目指していく。が、全員が一斉に動いたせいで、まともに出ることが出来なくなる。それがさらにパニックを助長するという悪循環に陥っていた。
『れっきゅん!』
「っ!?」
突然聞こえた束の声に、俺は一瞬ビクンと反応し、次いで辺りを見渡した。が、当然どこにも束はいない。
『今、れっきゅんのISにプライベート・チャネルで話しかけてるの!』
そうかISの通信か! すっかり失念してた。えっと確か、ISの通信は声に出す必要はないんだよな。
『今いっくん達を襲ってるISは無人機! 今からデータを送信するから、まーやん経由でちーちゃんに送って!』
『分かった、真耶さんに送ればいいんだな? けど、どうして束があれを知ってるんだ?』
『それも後で説明するから! 急がないと、あの機体のスペック的にいっくん達もそう長くは持たないよ!』
「くそっ!……来たかっ! 山田先生!」
「は、はい!?」
生徒達のパニックを鎮めるのに四苦八苦している真耶さんをとっ捕まえて、束から送られて来たデータを携帯端末に送信する。
「こ、これは……!?」
「敵さんのデータです。急いで織斑先生へ」
「わ、分かりました!」
真耶さんが端末を操作してしばらくすると、一夏達の動きが変わった。攻撃を控えて、距離を取るように不規則に飛び始めたのだ。
「これで教師部隊が到着するまで、織斑君達があのUnknownを引き付けてくれれば……」
『一夏ぁ!』
アリーナのスピーカーから、突然大声が響いた。今度は何だよ!?
『男なら……男ならそのくらいの敵に勝てなくてなんとする!』
……声の主は、箒だった。
「し、篠ノ之さん、一体何を……」
「織斑君を叱咤激励してる、の、かなぁ……?」
「こんの非常時にぃぃぃ!!」
スピーカーから声がするってことは、中継室からだよな? ピットから避難せず、わざわざそこに行ってやることはそれかよ!
「た、大変ですわっ! Unknownがっ!」
くっそ! 箒の声に無人機が反応しやがった! 一夏も割り込もうと加速するが、あの距離からじゃ……おい鈴、何をする気だ?
――ドォォォンッ!
「なぁ!?」
「凰さんが」
「織斑君を撃ったぁ!?」
鈴の衝撃砲が、一夏に直撃して……直撃して、まさか?
(あいつ、衝撃砲をわざと食らって加速しやがったっ!!)
もはや装甲がボロボロな白式だったが、完全に距離を詰めた『零落白夜』が敵を捉え――
――ズシャァァ!
頭と右腕を切り飛ばされた無人機が、紫電をまき散らしながら地上に落ちていった。
「終わった、の?」
「そう、みたい……」
危機は去った。それを認識した生徒達が、安堵のため息をついた
『敵ISの再起動を確認! 警告! ロックされています!』
「「っ!」」
ISからの警告。それを聞くことが出来たのは、俺とセシリアだけだった。
地上へ落ちた無人機、その左腕が赤く光る。まるで、俺達を道連れにせんとばかりに。
「みなさん! 伏せてぇぇぇぇぇ!」
「くそったれぇぇぇぇぇぇ!!」
セシリアの悲鳴と俺の怒号が混ざり、そして――
――ドンッ! ドンッ! ドンッ! チュィィィィン……
「……怜二、さん?」
「あ……」
無我夢中だった。
俺は自分でも気付かない間に、ISを展開、アサルトライフルを無人機に向かって乱射していた。
そしてそのでたらめに撃った弾の一つが無人機の腕に当たり、ビームは明後日の方向、奴がアリーナに乱入してきた時に開けた穴に向かって放たれ、それっきり動かなくなった。
「……山田先生」
「はい」
「俺、生きてますよね?」
「はい」
「みんなも、生きてますよね?」
「はい」
「……よかったぁぁ……!」
思わず力が抜けて、俺はISに乗ったまま尻もちをついていた。
そんな少し情けない姿の俺に、真耶さんが後頭部から抱き着いてきた。周りの目があるから恥ずかしいけど、落ち着く……
こうしてクラス対抗戦乱入事件は、衝撃砲の最大出力を受けた一夏が全身打撲、中継室で箒に気絶させられた審判とナレーターが軽傷という被害で幕を閉じた。
――――――
―――
「それで? 説明してくれるんだよな?」
「あい……」
事件の夜、寮の部屋で床に正座する束を俺達4人が囲んでいた。
「実はあれ、束さんが昔開発してた無人機『
「やっぱり、束さんが作ったISでしたか……」
やっぱりって、清香は気付いてたのか?
「怜二さん、ISの無人機なんて、どの国でも開発に成功しておりませんわ」
「そうなると、消去法で束さんしか作れないということになりますね」
「なるほど」
その後も束の説明は続く。
元々はビーム兵器開発の延長上で、人が乗り込むスペースに大容量コンデンサーを積んだ無人ISを作れないか試作していた。
一応は成功したものの、飽きて研究施設ごと破棄。おい待て、飽きたってなんだ飽きたって。
その破棄したはずの研究施設からアラームが鳴って、確認したら無人機が無くなっていたと。
「つまり、束さんの廃棄品を誰かが回収して、今回の襲撃に使用した。そういうことですわね」
「とりあえず束さん、ごみの処分はしっかりと」
「あい、さーせん……」
セシリアと清香から詰められて、正座からそのまま土下座に移行する束。まずこの部屋でしか見られない光景だ。
「まあいい、あれが束の仕業じゃないって分かっただけ良かった」
「束さんそんなことしないもん! もしやるにしても、いっくん達が怪我しないような方法取るし!」
「それはそれで、織斑先生の胃に穴が空きそうだがな」
う~ん
「それで真耶さん、結局試合は無効になるんですか?」
「そうですね。無効というより、このまま中止になるかもしれません」
「あらら」
「残念ですが、仕方ありませんわね」
「フリーパスの夢、もうちょっと見てたかったなぁ」
試合中止になっても仕方ないよな。あれだけのことがあったんだから。
――コンコン
珍しい、部屋のドアがノックされるなんて。……ここにいる面子、大抵ノックせず普通に入って来るんだもの。
「束、隠れて隠れて」
「はいは~い」
束を壁際に移動、光学迷彩を起動させて外から見えないようにして……よし。
「入ってどうぞ」
「お邪魔するわ……って、何この状況」
きちんとした意味での来客第1号は、なんと鈴だった。
そしてその視線は俺だけでなく、真耶さんや清香、セシリアの方へ順々に移動していく。
「噂には聞いてたけど……アンタ本当に女誑しなのね……」
「否定したいが、この状況じゃ出来ないな」
「はぁ、まあいいわ。それより、報告しに来たわよ」
「報告?……もしかして、この前の
一夏ともう一度話をした結果を教えてくれっていう。
「あのぉ、私達は席を外した方が……」
「いいわよ、別に隠すような事でもないから」
そして鈴は清香達がいる状態で、結果とやらを話し始めた。
―鈴side―
よほど疲れていたんでしょうね。保健室のベッドで一夏はぐっすり眠っていたわ。
「一夏……」
「鈴?」
ちょっと呼んだだけのつもりだったんだけど、起こしちゃったみたい。
「そういえば千冬姉から聞いたけど、試合、無効だってな」
「まあ、そりゃそうでしょうね」
あれだけのことがあったんだから、場合によっては中止もあり得るわね。千冬さんのことだから、その辺は明言を避けたんでしょうけど。
「あ」
「何よ」
「無効になるなら、勝負の決着はどうする?」
ああ、あたしが試合前に言った『勝った方が負けた方になんでも1つ言うことを聞かせることが出来る』ってやつね。……あの時は、それで一夏に『あたしと付き合え』って言うつもりだったけど……。
「それも無効よ無効」
「そっか……鈴」
「今度は何よ」
「その……すまん。お前のこと、悪く言って」
「……まあ、私もあの時はムキになってたし、いいわよ、もう」
そう、お互い謝って、『これで終わり』。
……
「……ねえ一夏」
「なんだ?」
「一夏にとって、あたしって何?」
「は? いきなり何を言い出すんだよ。けど、そうだなぁ……」
あたしの質問にびっくりした一夏だったけど、顎に手を当てながら考えて、そして
「鈴は俺のセカンド幼馴染で、悪友で、親友だな!」
「……そっか」
その答えに、微笑しながら頷く。やっぱりあたしは、一夏にとって――
「あたし帰るわね。アンタも少ししたら、部屋に戻るんでしょ?」
「ああ、千冬姉からはそう言われてる」
「そ。それじゃ、また明日」
せめて最後は笑ったままで。そう思いながら保健室を出て、それからあたしは……
―鈴side end―
「そうか……それでも、一夏とはダチのままでいるつもりなんだろ?」
「ええ、一夏とあたしは今まで通りよ」
そう鈴が言ってるんだ。なら、目元に付いた涙の跡とかに触れるべきじゃないな。
「それで、ね。怜二にもう一つ、言うべきことがあるの」
「ん? 他にか?」
「うん」
えっと、鈴さん? なんで俺との距離を詰めて来るんです?
「あたし、一夏に一目惚れしてた。あたしを助けてくれた一夏に、あの日からずっと。あたしの心の中は、一夏でいっぱいだったの」
「……」
「でも、それが無くなっちゃって。あたしの心に、ぽっかり穴が空いちゃった。けど、その穴が塞がるのを感じて、理解しちゃったの。……あたし、また一目惚れしちゃったんだって」
「鈴――」
「あたし、怜二のことが好き」
それは、俺が望んでいて、そして望んではいけない言葉だった。
そして真耶さん達は、それを聞いて何も言葉を発さない。ただ、俺の言葉を待っているようだった。
「鈴」
「何?」
「鈴も知っての通り、俺は女誑しだ。セシリアや清香、山田先生にも手を出してる、ある意味最低な男だ」
「そうかもね」
「それでも、俺を好きだって言うのか?」
「だから何よ?」
ふんっと腕を組んで笑い飛ばす鈴に、俺は二の句が継げない。
「怜二に愚痴を聞いてもらった時、あたしまた一目惚れしちゃってたの。一夏のこと好きだったのに。気の多い女でしょ? だからお相子」
「んな馬鹿な……」
「だぁもう! いいからあたしに恋しなさいよ!」
「んぐっ!」
「ん……ちゅうっ……❤」
「凰さん!?」
「やりやがりましたわ……」
下から胸倉を掴まれてのキス。ったく、そんなことされたらよぉ、色々悩んでた俺が馬鹿みたいじゃねぇか。……いいよ、俺も正直に言うよ。
「……鈴、俺の女になってくれるか?」
「ええ。もし放置なんてしたら、顔引っ搔いてやるんだから♪」
「マーベラス!!」
「ええ!?」
「あ、束さんのこと忘れてた」
「き、きよぴーひどい……」
光学迷彩の向こうから現れた束に驚く鈴。そして清香のボケに凹む束。
とはいえ、束だからすぐに復活する。
「えっと、怜二、この人は?」
「自己紹介が必要だよね~♪ ISの母にしてれっきゅんの正妻、篠ノ之束さんだよ~☆」
「はいぃぃぃぃ!?」
情報過多な挨拶に、鈴が目を白黒させる。
「ところで、あだ名は『リンリン』とかどうかな?」
「やめて! 絶対嫌です!」
「束さんに掛かれば、あっという間に打ち解けますね」
「そ、そうなんですかね……」
鈴が入り、さらにこの部屋が賑やかになりそうだ。
「れっきゅーん、りっちゃんとの"初めて"は優しくね~?」
「~~っ!///」
「頼むからデリカシーを持ってくれ……」
見ろ、鈴の奴顔真っ赤だぞ。
「あの、怜二……」
「おう」
「あたし、怜二が気持ちよくなってくれるなら、優しくなくても……///」
はい、これの理性は崩壊しました。(いつもの)
「んきゅぅぅぅぅぅ!❤ 怜二ぃ、れいじぃぃぃ!」
「鈴さん、ベッドの上では途端に弱くなるタイプですわね」
「それ、セシリアも同じだからね?」
「(´・ω・`)」
「清香さんは、逆にベッドの上の方が強いですよね?」
「ま、真耶さん!?」
「いいねいいね~。れっきゅんハーレムが徐々に出来上がっていくよ☆」
<今日の一夏>
「一夏、体は大丈夫か?」
「ああ、まだちょっと痛いけど、一晩寝れば何とかなるだろ」
「そうか……そうだ、私が湿布を貼ってやろう」
「お、サンキュ。背中とかなかなか自分じゃ貼れなくてな」
(一夏の体、入学当初は弛んでいたが、訓練のおかげでだいぶ引き締まってきたな……はふぅ)
「箒?」
「なななな、なんでもないぞ!? それでは貼るからな!?」
「お、おう」
やったぜ。
投稿者:変態糞作者
とうわけで、鈴GETだぜ!
これから鈴の艶声が出てきたりします。セカン党員がニッコリするかは謎ですが。
次章から、金銀の2人が登場予定です。お楽しみに。
※アンケート実施中です。(次回更新時に締め切り予定)
ちーちゃん、どう思う?
-
ハーレムINするべき
-
ハーレムINするべきじゃない
-
ぽんぽんペイン担当でしょ?