IS ~インフィニット・催眠種付けおじさん~ 作:シシカバブP
……申し訳ないっス。
クラス対抗戦乱入事件から一夜明け、IS学園は臨時休校となった。
遮断シールドなど破壊されたアリーナの復旧を優先するためと説明されたが、実際は一夏が斬った残骸の回収と解析に人員を投入していて、手の空いてる教師陣がいないからだろう。そうでなきゃ、実習をせず座学だけというパターンも選べただろうから。
まあ、学生である俺達からしてみれば、休みが増えるのはいいことだ。降って湧いた休みに感謝しつつ、昼まで惰眠を
「よし、全員揃ったな」
……織斑先生によって、俺、一夏、鈴、箒の4人は校舎内にある生徒指導室へ連行された。
「先日の件で、全員に言うべきことがあるが……まずは篠ノ之」
「は、はい!」
「お前は中継室を不法に占拠し、中にいた人員を負傷させ、さらに我々の作戦を妨害した」
「ちょ、ちょっと待ってくれよ! 箒はそんな……」
「お前の発言は認めてない(ゴンッ!)」
「ぐあっ!」
箒を庇おうとした一夏に、織斑先生の鉄拳制裁が落ちる。
可哀想だが、織斑先生の言ってることも事実だからなぁ……。俺もあの時は心の中でマジギレしたし。しかも箒だけなら自己責任で終わるが、審判とナレーターも巻き添えにしかけたって話だろ?
「本来なら、夏休みまで自室謹慎を言い渡すところだが……」
「謹慎……」
「それは酷すぎるだろ(ゴンッ!)ぐへっ!」
「お前の発言は認めていないと、何度説明させるつもりだ」
またもゲンコツを落とされる一夏。それを俺と鈴が呆れた目で見る。
「……自室謹慎を言い渡すところだが、学園上層部が話し合った結果、反省文と2週間の懲罰清掃とするそうだ」
「懲罰清掃?」
「朝いつもより早起きして、寮の廊下を掃除しろ。あと、反省文は懲罰清掃期間の2週間以内に私に提出だ。分かったな」
「はい!」
織斑先生に睨まれた箒が直立不動で返事をした。
それにしても、2週間の罰掃除ねぇ。一夏の時みたいに、まーた忖度が発動したかな?
「良かったな、箒」
「ああ」
「次に織斑と凰だな」
「俺か」
「はい」
箒と入れ違いに、一夏と鈴が先生の前に出る。
この二人ということは、実際に無人機と戦った際の何かがあるのかな?
「まずはお前達、昨日はよくやった」
「え?」
「あ、ありがとう、ございます?」
一夏も鈴も、まさか織斑先生に褒められるとは思って無かったんだろう。目が点になっている。
「お前達は実際に乱入、襲撃者と交戦したわけだが、その際に知ったことについて、箝口令が敷かれることになった」
「箝口令? つまりあの時の事を誰にも喋るなってことか」
「そういうことだ。二人にはこれにサインしてもらうぞ」
「まあ、そういうことなら」
「分かりました」
差し出した誓約書に名前を書かせると、織斑先生はふぅとため息を一つついた。
けど、どうして箝口令が敷かれたんだ? ……ああ、もしかして、倒したISが無人機だって広まるとまずいからか? 確かセシリアも言ってたな、ISの無人化に成功した国は無いって。それが残骸とはいえ、実物があると知れたら大事になるな。
「よし、お前達は戻っていいぞ。臨時休校だから、外出許可は出せんがな」
「そうですよねぇ」
そうなると、寮で暇を潰すぐらいしかすることないもんなぁ。……あ、良いこと思い付いた。
「一夏、篠ノ之と学内探検して来いよ」
「学内探検?」「なななっ!」「ちょっと!?」「ほう」
一夏が首を傾げ、箒の顔が赤くなり、鈴が目を見開き、織斑先生が面白そうに口角を上げる。
「この学園のある島を見て回るだけだって。お前、この人工島に何があるかあんまり知らないだろ」
「た、確かに、校舎と寮以外だと、モノレールまでの道ぐらいしか知らないけど……なんで箒と?」
「一人で見て回っても味気ないだろ? かといってお前、こういうのに誘えるぐらい仲がいい子、篠ノ之以外にいるのか?」
「それは……鈴ぐらい?」
「悪いけど、あたしはパスするわ」
「とのことだ。まあそうは言っても、篠ノ之の事情も聞いておかないと――」
「べ、別に構わんぞ! 私も自分が住んでいる場所の情報を知るべきだと思うしな!」
箒も乗り気になってくれて結構。もうね、尻尾をブンブン振ってるのが幻視出来るぐらい分かりやすいんだよ、態度が。
「えっと、それじゃあ箒、行くか」
「ああ!」
「ちょっと待ったお二人さん」
「「?」」
「ちゃんと手を繋がないと」
ついでだし、もういっちょ爆弾を投下しておくことにした。
「いや怜二、どうして手を繋ぐんだよ?」
「単純にはぐれないようにするためだけど?」
「ああ、そういうことか。それじゃあ箒」
「へっ!? あっ!」
「行ってら~」
さすがに恋人繋ぎとはいかなかったが、箒の左手を取った一夏に連れられて、二人は部屋を出て行った。
「怜二……やったわね……」
「あの朴念仁には、これくらいの強硬手段が必要だと思うんだが。どうですかね? 保護者の織斑先生」
「ノーコメントだ。学業に支障をきたさない限り、生徒間の色恋沙汰にまで口を出すつもりはない。……吾妻とオルコット、相川についてもだ」
「うわっ、藪蛇だった」
さすがに真耶さんとの関係については知られてないみたいだけど、そっちの二人については気付かれてますよねぇ。
「……」
「ん? どうした凰」
「いえ……あたしも戻っていいですか?」
「ああ、構わん。というより、ここからは吾妻だけ残れ」
「え?」
名指しされた俺を置いて鈴が部屋を出ると、織斑先生の俺を見る目が鋭くなった気がした。
「で?」
「で、とは?」
「とぼけるな」
バンッと机に叩きつけられたのは、
「残骸を解析した結果、あのISは無人機だということが判明した。ちなみに、ISの無人化に成功した国家や企業、組織は現時点で存在していない」
「へぇ、そうなんですね」
「そしてこの解析結果と同じものが、あの事件当日、山田先生から送られて来た」
「山田先生から?」
あくまで知らないフリを通す俺に、さらに睨みを利かせて来る。
「どうして未知の兵器の情報を、山田先生が持っていたんだろうなぁ?」
「えっと、それを俺に聞きます?」
――バンッ
「答えろ。お前は束と繋がってるのか?」
うわぁ、この人正気か? やってることが警察の自白強要みたいじゃねぇか。
……けど、束から聞いてた通りの対応だ。予め対策をしておいてよかった。
「だ、誰ですか束って?」
「こいつだ」
懐から出された写真には、昔の写真だろうか、今より少し若い束と織斑先生が映っていた。
「こいつを知ってるな?」
「……一度だけ、会ったことがあります」
心底嫌そうな顔をして答える。この顔、無理矢理作ってるのバレてないよな?
「ほう、それはいつだ?」
「……その前に、一つだけ約束してください」
「約束だと?」
「はい。今から話すことを、誰にも言わないでください。そうしたら、知ってることを話します」
「……いいだろう。ここでお前から聞いたことを口外しないと誓おう」
了承したのを確認して、俺は
「その女が俺の前に現れたのは今年の3月。一夏がニュースで紹介された時ですよ」
「そんな前からか」
「ええ。リビングの窓を突き破って来たんですよ」
「……あいつならやりかねんな」
「そしてあのMAD、一体なんて言ったと思います?」
「何を言ったんだ?」
「『なんか冴えない顔だね』ですよ? 人ん家の窓ガラス割っておいて」
「……」
……織斑先生、片頭痛を抑えるようにこめかみを指で揉み始めたんだが。あの時頭痛かったのは俺なんですがねぇ。
「それで、束は?」
「それだけ言って、さっさといなくなりましたよ。……ああいや、玄関のドアを魔改造していきましたね。『窓ガラス割った分、これでチャラね☆』とか言って」
「束ぇ……そうか、お前の家へ行った時に作動したトラップ、あれは束の仕業か……」
「正直、あんなこと出来るなら窓ガラスを直して欲しかったです。そうすれば、修理が入るまで網戸で生活せずに済んだのに」
「同情するぞ、吾妻……」
ため息をつきながら、俺は心の中でガッツポーズをした。
嘘をつくときに必要なのは、話の中に真実も混ぜること。むしろ『一度だけ会った』『さっさといなくなった』以外は全て事実だ。……3月の夜、網戸だとまだ寒かったなぁ……。
「それで、もう二度と会うことも無いと思ったらこれですよ」
そう言って俺は"次の手"を織斑先生に見せた。
「それは、学園で支給された端末か?」
「そうです。はい、どうぞ」
「これがどうし……こ、これは!」
俺が手渡した端末を見て、織斑先生が驚きの声を上げる。驚くだろうな、その端末の中に、山田先生から送られて来た無人機のデータと全く同じものが入っていたんだから。
「それが突然送り付けられて、慌てて山田先生に渡したんですよ」
「なるほど……そういうことだったのか」
嘘です。本当は昨晩、束が突貫工事で準備しました。しかも中のデータのログも弄って、さも当日送られて来て、この端末から山田先生の端末にデータ転送したように偽装もしてます。
そしてこの端末を学園側が調べれば、一番教員に近い生徒の端末に束がハッキングをした痕跡も見つかるようになっている。ちょうどタイミングよく、その時箒は中継室に行ってて織斑先生から遠ざかってたし。
「口外するなと言ったのは、束との関係を疑われるからか」
「はい。織斑先生ですらアレでしたし、各国に知られた日には『吾妻怜二は篠ノ之博士と繋がっている』と勘違いされて、最悪命を狙われる可能性がありましたから」
「だろうな。改めて、このことは日本政府やIS委員会等に伝えないと約束しよう」
まんまと引っ掛かってくれた織斑先生からの尋問は終了、俺は一夏達と同じように箝口令の誓約書にサインを書かされて解放されたのだった。
――――――
―――
織斑先生から解放された俺は、ようやっと惰眠を貪ることが
「うぅぅあぁぁぁぁ……」
……部屋に戻ったら、ベッドを鈴に占拠されてたんだが?。
なんか枕を顔に押し付けて、寝返りを打つようにのたうち回ってるし。
「あ、れっきゅんおかえり~」
「ただいま。で、これは一体どういう状況? そもそも、なんで鈴が俺の部屋に?」
部屋出る時、ちゃんと鍵かけたよな? もしかして束が招いた?
「ハーレムのみんなには、ちゃんと合鍵渡してあるよ」
「おいぃ!?」
衝撃の事実。俺の部屋、出入りフリーだった。プライバシーとは一体……。
「はぁ……それは一旦置いておくとして、なんで鈴はああなってるんだ?」
「それはねぇ……」
「どうしてあたし、あんなアッサリ怜二に好きって言っちゃったのよぉ……! し、しかもそのまま、エ、エッチなことまで……!///」
……聞いてるこっちまで恥ずかしくなる内容だった。
昨日の鈴……落ち着けマイサン! 俺が悪かったから、臨戦態勢に入ろうとするな!
「でも、実際おかしな話だよね~」
「おかしいって、何がだ?」
「だってさぁ、れっきゅんに告白する度胸があるなら、先にいっくんにしてるはずでしょ? しかも束さんが煽ったとはいえ、快楽堕ちしたわけでもないのに即本番とか」
「そう言われると……」
快楽堕ちっていうのがあれだが、確かに束達に比べて、鈴の状況はおかしい気がする。
「れっきゅん、りっちゃんに変な暗示でもかけた?」
「ちょっと怜二!?」
いやいや、してないからな!? 鈴には昨日、みんなと同じように色々話したから、催眠術のことも教えたけど、変な暗示はかけてないからな!
「鈴にかけた暗示って、『嫌な気持ちを忘れて、一夏が謝ったらそれで終わり』ってやつだけだぞ」
「本当に、それだけなんでしょうね?」
「本当だって! とはいえ、証拠なんてないしなぁ……」
「それなら、もう一度催眠をかけてみたら?」
「はい?」
「どういうことですか?」
束の突然の提案に、俺も鈴も首を傾げる。
「りっちゃんは催眠状態だったから、掛けられた暗示を覚えてないんだよね?」
「は、はい。そうです」
「なら、もう一度催眠状態にして、深層心理に残ってる暗示を思い出させたらいいんじゃないかな?」
一度かけた暗示を思い出させるって、いけるのか?
「鈴がいいって言うなら試してみるけど……」
「やってやるわ! あ、束さんは立会人で。怜二が嘘ついてたら、分かってるわよね?」
「お、おう……」
そ、そんな指ポキポキ鳴らさんでも……。
「……それじゃあ、始めるぞ」
「ええ」
ベッドの縁に座った鈴に、俺は
――パチンッ
「……」
2度目の催眠術を掛けた。
「う~ん、まーやんの時と同じようになったね」
「そういえば、真耶さんに催眠掛けた時いたんだったな」
「そだよ。それじゃあれっきゅん、りっちゃんにどんな暗示を掛けたのか、答え合わせをしようか」
答え合わせって……だから1つしか掛けてないんだがなぁ……。
「鈴、先月の談話室でのこと、覚えてるか?」
「……覚えてる……」
「よし。その時、俺がお前に暗示を掛けたことも覚えてるな?」
「覚えてる……」
「その暗示の内容を言ってみろ」
「……『一夏が約束を忘れてたことを謝って、それで終わり、そう思うようになる』」
「ほらな」
「確かに、れっきゅんが言った通りだったね~」
束も納得したようだし、これで俺の無実が
「それと」
「え?」
「『俺のことを好きになればいいのに』……」
「……れっきゅぅぅん?」
「い、言ってない! 俺そんなこと言ってないって!」
どんなに記憶を遡っても、俺がそんなこと言ったログは
――わざわざこんなことせず、俺を好きになる暗示でもかければいいものを……半端ものだなぁ、俺
「ああああっ!?」
「うわっ! 大声上げてどうしたの!?」
束が驚くのも気にせず、俺は頭を抱えてorzった。
(『俺のことを好きになればいい』なんて言ってない。言ってないけど思ってはいたぁぁぁ!)
思い返してみれば、催眠種付けおじさんって地の文、つまり思うだけで催眠掛けれるパターンもあったじゃん!(by 前世のエロゲー)
――パチンッ
「あ……これが催眠状態から戻った時の感覚なのねって、何してんのよ?」
「精いっぱいの誠意」
昨日と打って変わって、今日は俺が鈴に対して土下座をしていた。
「えっとね、暗示の内容なんだけど」
立会人の束が説明していくと、鈴の顔が段々赤くなっていき……
「たぶんだけど、いっくんの想いが蓋になって、2つ目の暗示が表に出て来なかったんじゃないかな。それがいっくんのことを諦めた途端、タガが外れて……」
「やっぱりアンタのせいかぁぁぁ!!」
「本当にすまん!!」
大爆発した鈴の怒りに、俺はただただ平謝りするしかなく。
「まったく……」
「でもでも、りっちゃんがれっきゅんに一目惚れしたのは暗示と関係ないだろうから、いつかは昨日みたいな関係になってたと思うよ」
「そ、そうですよね……///」
「あのぉ、俺の沙汰は……」
「怜二」
「はい……」
「今日一日、あたしに付き合いなさい。それで今回の件、チャラにしてあげるわ」
「い、いいのか?」
文字通り、好意の押し付けをしちまったのに、罰がかなり軽くないか? 別に罰を受けるのが嬉しいわけじゃないが。
「いいのよ! その代わり……」
「ちょっ!?」
どんな手を使ったのか、ベッドに座ってたはずの鈴に、俺がベッドに押し倒されていた。
「あ、あんたを好きになるようにした責任、取りなさいよね!///」
……この日、俺は惰眠ではなく、鈴の体を(性的に)貪った。
「もっとぉ、キスしてぇ❤」
「んふふ~♪ れ~いじ、愛してる❤」
そして、鈴はベッドの上では甘えん坊だった。
「これでれっきゅん、次からは女の子に対して、自分へ好意を向けさせて手籠めに出来るね☆」
「やめて束、俺をダークサイドに誘わないで」
「はぁ……あの時のように、怜二さんにお尻を叩いて欲しいですわ……」
「セシリア? 私だからいいけど、他の人が聞いたらドン引きだからね?」
<今日の一夏>
「へぇ、この島、こんな広場もあったのか」
「そうみたいだな 一夏の手、温かい……」
「箒? 疲れたか?」
「い、いや、全然! この程度で疲れるほどヤワな鍛え方はしていない!」
「あはは、そうだったな」
「……一夏も、朝練をしてみないか?」
「朝練? 剣道部のか?」
「も、もちろん無理にとは言わんぞ? 最初は見学だけでも……」
「そうだなぁ……なら今度見学しに行くから、都合がいい日を教えてくれよ」
「ホントか!?」
「あ、ああ」
(や、やった! 朝起きてからも、一夏と一緒だぁ!)
前話で説明不足だったところを感想欄で指摘され、慌てて補足した回でした。ご指摘いただきありがとうございます。
確かに何の説明も無かったら、時系列的に鈴のHが早過ぎですよね。
次こそは新章、あの2人を出したいと思っています。
ちなみにシシカバブは銀より金の方が好きです。(誰も聞いてない)
※今話でアンケートを終了いたします。たくさんの投票、ありがとうございました。
ちーちゃん、どう思う?
-
ハーレムINするべき
-
ハーレムINするべきじゃない
-
ぽんぽんペイン担当でしょ?