IS ~インフィニット・催眠種付けおじさん~ 作:シシカバブP
学年別トーナメントが中止になった翌日。クラス対抗戦の時のように休校になることも無く、1年1組の教室ではSHRが始まろうとしていた……のだが。
「……吾妻」
「はい」
「これは一体どういうことだ……?」
「どう、と言われましても……」
口元が引き攣っている織斑先生の視線の先には、
「~♪」
俺の膝の上に乗っているラウラの姿が……。俺だって聞きたい。どうしてこうなった。
「……ボーデヴィッヒ、説明しろ」
「はっ!」
憧れの教官からご指名されたからか、素直に俺の膝から降りて直立不動のまま敬礼する。さっきとえらい違いである。
「ですがその前に……織斑一夏」
「な、なんだよ?」
また喧嘩を売られるのかと思っているようで、胡乱な目でラウラを見返す。
「転入当初、貴様に手を上げた事を謝罪する」
そう言ってぺこりと頭を下げる。これには織斑姉弟もビックリしているようだ。昨日の今日でこの態度なら、驚いても無理はない。
「昨日のことで、私も考えを改めた。貴様は間違いなく教官の弟だ」
「は、はぁ……」
「そして教官、貴女は昨日仰いました。『自分で考えて、自分で行動しろ』と」
「ああ、確かにそれに近いことは言ったな……」
「なので、私は今日から吾妻怜二の、にぃにの妹になります!」
「「「「「「ええ~~~!?」」」」」」
「どどど、どういうこと!?」
「吾妻君の妹って……確かに似合いそうだけど」
「しかも呼び方がにぃにって……」
何度でも言う。どうしてこうなった。
「れ、怜二……もしかしてこれ、俺が昨日零落白夜を使った時、ラウラの打ち所が悪かったから……?」
「安心しろ一夏。この件に限ってはお前のせいじゃねぇ」
そう、俺が悪いです。
『ただでさえVTシステムの強制使用で精神的にもダメージ負ってたところに、れっきゅんがとどめを刺しちゃった感じだね~』
俺だって、俺だってそれを知ってたら『エロ蹲踞でお漏らし』なんて言い出したりしてねぇよ……
「吾妻」
「あ、はい」
「ボーデヴィッヒは、お前が責任持って面倒見ろ」
「はい……」
「にぃに❤」
織斑先生は、俺に全て丸投げすることに決めたようだ。もはや俺とラウラの方に目も向けねぇ。
そうして壇上には、苦笑いを浮かべる真耶さんが。
「今日はですね……みなさんに転校生を紹介します」
「「「「「「ええ~~~!?」」」」」」
本日2発目の爆弾が炸裂した。
「て、転校生ですか!?」
「いやいや! この前、デュノア君とボーデヴィッヒさんが来たばかりじゃないですか!」
「しかもまた1組!?」
「転校生と言いますか、すでに転校していると言いますか……」
なんと言おうか迷っている真耶さんだったが、いっそ来てもらった方が早いと廊下に向かって声を掛けた。
「えっと、入ってきてください」
「失礼します」
「え……?」
誰かが漏らした声が聞こえるぐらい、教室中が静まり返った。
「シャルロット・デュノアです。改めてよろしくお願いします」
「『デュノア"君"はデュノア"さん"でした』ということです。あ、あはは……」
「「「「「「ええ~~~!?」」」」」」
ざわめき立つ中、女子の制服に衣替えしたシャルロットは、これまでの経緯を説明し出した。
先日逮捕されたデュノア社の一部役員が、社長派のスキャンダルのネタを作ろうとしていた。そのために、役員達とグルだったIS委員会欧州支部によって男装させられた状態で転入しなければならなかったと。
事実とは若干異なっているが、さすがに暗殺計画云々を話すと色々ヤバいため、真耶さんや束と話し合ってこの説明にしたらしい。というのを、今朝方聞いた。
「おかしいと思った! 美少年じゃなくて美少女だったわけね」
「あれ? 吾妻君、同室だから知らないってことは……」
「君のような勘のいい
思わず某マンガの名シーンが出てきた。俺、キメラとか錬成してねぇのに。
「デュノア君! もとい、デュノアさん!?」
「あ、あはは……///」
「ああそういうことね! やりやがったわ! 先月は清香とセシリア、そして今度はデュノアさんとボーデヴィッヒさんを!」
「……吾妻」
「はい」
「デュノアも……お前が責任をもって面倒を見ろ#」
「了解です……」
織斑先生怖いです。そしてやめて真耶さん、その優しい目は今の俺には辛い。
「ちぃぃぃぃぃちゃぁぁぁぁぁぁぁん!!」
――バリィィンッ!
「「「「「「ええ~~~!?」」」」」」
もう予想外。ここで束が教室の窓ガラス割って乱入してくるなんて、誰が予想できるよ? というか束、どうしてここでも窓を割って入ってくる? 最後のガラスをぶち破れってかやかましい。
「姉さん!?」「束さん!?」
「あっ、箒ちゃんにいっくん、やっほ~♪ 元気してた~?」
「束っ! お前一体どうしてここにっ!」
「ちーちゃん、はい、この子」
全く説明をせずに束は、抱えていた"者"を織斑先生に託す。者……ヒトォ!?
「ちょっと今朝ドイツまで行って、気に食わない研究をしてた施設を潰したんだけど、そこで見つけた子なの。だからちーちゃん保護よろ~☆」
「はぁ!? ちょっと待――」
織斑先生の制止を聞くことも無く、束は帰りも別の窓ガラスを割って退散した。
「こ、この……っ!」
「織斑先生、落ち着いてください」
「ぐぐ……それで、お前は一体何者なんだ?」
胃痛と格闘しながら、束から託された銀髪の少女に訊ねる。
「私の名前はクロエと申します。私はそこの……」
そう言って、クロエと名乗った少女は、目を閉じたままラウラの方を指さした。
「ラウラ・ボーデヴィッヒとは、遺伝子上の姉妹に当たります」
「「「「「「ええ~~~!?」」げほっげほっ」」」」
もう叫び過ぎて、何人か喉をやっちまってるんですが。
「私の姉妹、だと? まさかお前は……」
「顔を合わせるのは初めてですね、ラウラ。いえ、C-0037」
「っ! やはり、そういうことか……」
え~っと、話が見えないんですが……何その番号。みんなも何のことやらと首を傾げてるし。
ただ一人、織斑先生だけが鋭い視線をクロエに向けている。
「……吾妻」
「なんでですか」
「ボーデヴィッヒの姉妹らしい。お前が責任をもって面倒を見ろ」
「だからなんで!?」
アンタもう色々面倒くさくなって、全部俺に押し付ければいいやって思ってない!?
「そもそも面倒見ろって、俺の部屋は――」
「あっ、吾妻君の部屋なんですが、移動になります」
「はぇ?」
真耶さーん。そんな話、俺全く聞いてないんですが?
「元々お前と相川、オルコットを隔げふんっげふんっ! まとめておくために、2つの部屋の壁をぶち抜いて1部屋にする話が進んでいるのだ」
「今『隔離』って言おうとしましたよね!? ねぇ!?」
「そしてこの際ついでだから、もう1部屋繋げてしまって、6人部屋としてお前達を収容してしまえばいいと考えている」
「いいですねそれ!」
「わたくしに異論はありませんわ!」
「わーい! にぃにと一緒♪」
「あの、よろしくお願いします。えっと……兄、様?」
もう、いやん。
――――――
―――
「それで束さんや? どうしてこんなことをしたのかな?」
「お゛お゛お゛ぉぉぉ!❤ れっきゅんギブ! もうこれ気持ちいい通り越して苦痛だからあ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁ!❤」
寮の部屋……もうすでに部屋替えは終わっていて、放課後真耶さんから新しい鍵を渡された俺は、即行で束の尋問に当たっていた。
『感度3000倍』? いやいや、誤発注したコンビニ店員のように、桁1つズレて『感度30000倍』だ。束の言うように、もはや拷問に近い。
「それで?」
「えっとね、VTシステムなんて腹立つ研究してた施設をね、潰しに行ったの」
「それは今朝聞いた」
「そうしたら連中、生体融合型ISなんて研究もしててさ。くーちゃんはその被検体の生き残りってわけ」
つまり、VTシステム作ってた連中はISを使った人体実験もしてて、そこにいたクロエを一緒に連れてきたと。
「くーちゃんの体内にはISが埋め込まれてる。だからIS学園で保護してくれるよう、ちーちゃんに預けようとしたんだけど……」
「そのまま俺にお鉢が回って来たと」
「(・ω<) テヘペロ」
「……束、『感度300000倍になれ』」
「無理無理無理ぃ! さっきより10倍すごくなったら、本当に束さん死んじゃうぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
TKB抓ってやったら、もう快感が激痛に置換されるようで、束はそのまま泡を吹いて倒れてしまった。さすがにこれは危なすぎるな、目が覚めたら解除してやろ。
その後、わりとすぐ目が覚めた束の暗示を解除してやると、清香、セシリア、シャルロット、ラウラ、クロエが部屋に入って来た。マジで全員部屋の鍵持ってるよ……
「いやぁ、これで通い妻生活も終わりかぁ」
「通い妻……確かにそういう生活でしたわね」
「にぃにと同じ部屋♪」
「ホントに3部屋繋げたんだね」
みんなこの広すぎる部屋をあちこち見て回る。
ただ壁をぶち抜いただけなら出入口は3つあるはずだが、キチンと1つだけであとは壁に戻したようだ。そういうところは手を抜かないのな。
キッチンも1つだけだが、その代わり他の部屋のより大きく作られている。そして机が6つ並び、奥にベッドが向い合せで4-4の8台。……8台?
「お邪魔するわよー!」
「皆さん揃ってますね」
と、そこに鈴と真耶さんもやって来た。って鈴、そのボストンバッグはなんだ?
「アンタ達だけ怜二と一緒の部屋なんてズルいじゃない! あたしもここに住む!」
「ちょっと待て、ここ6人部屋……」
「こんなこともあろうかと、ベッドは8人分用意しておきましたよ。あっ、これなら私も寝れますね♪」
「真耶さん!?」
この人、今回の件にかこつけて自分も部屋を移る気でいたんだっ! なんて寮長!
「束さん、ご協力ありがとうございました」
「いーのいーの、ハーレムメンバーまーやんの頼みだし」
「ああそっか。束さんが手伝ってたから、こんなに早く部屋替えになったんだ」
「そだよー。と言っても、ちーちゃんにバレないようR&Tカンパニーを経由してだけどね」
「R&T? 確かそれは、怜二さんの専用機を作ったIS企業のはずでは?」
「うん。けど、本格始動してから色んな事業を展開し始めてね。今回のリフォーム工事もウチが受注したんだよ」
新興企業が、専用機作る傍らリフォーム業……何が何やら。
ん? なんかシャルロットが俺の方をチラチラと
「あっ……みなさん、ここは少し席を外しましょう」
「え? あっ、そういうことですか」
「えっと……ああ、気が付かずに申し訳ありませんわ」
「ん? どういうことだ?」
「ラウラ、後で説明しますからここは……」
「仕方ないわねぇ。シャルロット、後はうまくやりなさいよ」
「ううっ、うまくって……!?」
なんかよく分からんうちに、シャルロットを残してみんな部屋を出て行ったんだが。
「んふふ~♪ それじゃあ今回は束さんも、一時退散しようかな」
「た、束さんも!?」
「れっきゅん、"初めて"なんだから優しくね?」
「……そういうことか。分かってるよ」
「そ。ならすこ~しだけ、バイビ~☆」
いつもの光学迷彩のように束が消える。ああ言った以上、本当に部屋から出て行ったんだろう。
「えっと、怜二、その、ね……」
「分かってる。ここまで来て全部言わせるほど、俺も朴念仁じゃねぇよ」
「う、うん……」
つまり、心の準備が出来たってことなんだろう。男装をやめたのがきっかけだったのかもな。
そんなシャルロットを、俺はお姫様抱っこしてベッドまで運んでいく。
「ひゃっ! れ、怜二、これってお姫様抱っこ……」
「それぐらいはするさ。自分の女には、な」
「~~っ!///」
「だからシャルロット――」
「……シャル」
「ん?」
「シャル、って呼んで」
「……分かった。なら、もう一度聞くぞ。シャル、お前の"初めて"、もらうぞ」
「うん……///」
「んんっ! はぁぁぁっ! 怜二ぃ! ずっとっ、ずっと一緒にっ! 僕と一緒にいてぇぇっ!」
「ひゃぁんっ!❤ あぁぁっ!❤ れいじぃ! れいじぃぃぃぃぃぃっっ!!❤」
シャルの求め方が激しいもんだから、延長戦中にみんなが戻って来たのはなかなかに気まずかった。
「シャルロットさん、ベッドの上では飢えた野獣ですわね……」
「それでも連戦できる怜二君もパないわぁ」
「いいい、いつまでやってるのよ!///」
「こ、これがクラリッサが言っていた『私にエッチなことする気だろ、エロ同人みたいに! エロ同人みたいに!!』というやつなのか……///」
「///(パクパク)」
「これはまた、ハーレムの今後が楽しみだね☆」
「そうですね♪」
ところで束。俺のハーレム作るのはいいんだが、一夏と箒の仲が進展しない件はどうするよ?
<今日の箒>
(無様だ……私では、一夏に並び立つことは出来ないのか……。力が……私に力があれば……)
「……虫のいい話だと思われるだろうが、今の私には、これしか手がない……」
――ピッピッピッ プルルルル……
「やあやあやあ! 箒ちゃんからかけて来てくれるなんて、束さん大感激だよ☆」
「……姉さん」
「ん~、なるほどなるほど。欲しいんだね? いっくんの横に並び立つための力が」
「っ!」
「分かってる分かってる。モチロン用意してあるよ。凡人共の最高なんかぶっちぎる、真の最高性能。その機体の名前は
『紅椿』――」
これにて学園別トーナメント編、完結です。
ラウラと致す光景が想像できなかったので、義妹枠になってもらいました。普段と対オリ主とでギャップがありすぎて、書いてても笑いしか出て来なかったという。
そしてここでクロエを出してみました。正直出さなくてもと思いましたが、仲間外れはよくないですよね。のほほんさん? いや、彼女は簪と一緒に出番あるし……(震え声)
※<今日の一夏>は(シナリオの)都合により、番組を変更してお送りしています。
突然の思い付きでもない限り、次回から臨海学校編です。そしてここでネタバレしま~す。
銀の福音を堕とす(意味深)