IS ~インフィニット・催眠種付けおじさん~   作:シシカバブP

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臨海学校編一番の見せ場のはずですが、本作ではバトルシーンを『某コンビニの底上げ弁当の白米』ぐらいカットしております。


第21話 銀の福音、即落ち2コマ

「では、現状を説明する」

 

 旅館の一室に集められた俺達専用機持ちの他にも教師陣が集められていた。

 

「2時間前、ハワイ沖で試験稼働中だったアメリカ・イスラエル共同開発の軍用IS『銀の福音シルバリオ・ゴスペル』が暴走、監視空域より離脱したと連絡があった」

 

 織斑先生の説明は、真耶さんに見せられた端末にあった内容そのままだった。と、事前に知ってることがバレないよう、驚いた振りをする。

 この中で本気で驚いているのは、一夏と箒、それに真耶さんを除く教師陣だけだろう。

 

「また、衛星による追跡と進路予測の結果、福音はここから2km先の空域を通過することが分かった。学園上層部からの通達により、我々がこの事態に対処することになった」

「千冬ね……織斑先生。それは俺達にも作戦に参加しろってこと?」

「そうだ。教員は訓練機を用いて空海域の封鎖を行う。よって、本作戦の要は専用機持ちに担当してもらう」

「っ!」

 

 その決定に動揺する一夏と箒。それに……

 

「れれれ、怜二君っ、私、どうしたら……!?」

 

 まさか自分が巻き込まれると思って無かった清香が泡を食っていた。ああ落ち着け、大丈夫だから。

 そんな3人を放置して、織斑先生は淡々と話を進めていく。

 

「それでは作戦会議を始める。意見があるものは挙手するように」

「はい。目標ISの詳細なスペックデータを要求します」

 

 さっそくセシリアが挙手して、相手のデータを要求する。

 

「いいだろう。ただし、これらは2カ国の最重要軍事機密だ。決して口外するな。情報漏洩した場合、諸君には裁判と最低2年の監視が付けられる」

「了解しました」

 

 そうして開示された情報は……なんというか、ずいぶんと歯抜けだな。束に見せられたスペックデータの方が詳細……いや、イスラエルは知らんけど、あのアメリカが全部の機密を開示するわけがないか。

 それでも、今見せられた情報だけでも分かることがある。

 

「広域殲滅を目的とした特殊射撃型ですわね」

「しかも攻撃と機動に特化した機体ね」

「しかもこのデータでは、格闘能力が未知数だ。偵察は行えないのですか?」

 

 覚醒モードのラウラの質問に、織斑先生が首を横に振る。

 

「無理だな。この機体は今も超音速飛行を続けている。アプローチは1回が限界だろう」

「となると、一撃必殺の攻撃力を持つ武装を持つやつをぶつけるしかないか……」

 

 ある意味予定調和で俺がちらりとある一点を見ると、他のメンバーも同じ方を見た。そう、一夏の方を。

 

「お、俺が行くのか!?」

「現状、お前の零落白夜が最も有効って結論になったからな」

「織斑、これは訓練ではなく実戦だ。もし覚悟が無ければ、無理強いはしない」

「……やります。俺が、やってみせます」

 

 決意を漲らせて頷く一夏を複雑そうな顔で見た織斑先生だったが、すぐに元の表情に戻ると

 

「よし、それでは作戦の具体的な内容に入る。この中で、最高速度が出るISは?」

「それならわたくしが――」

 

「ちょっと待ったぁ! その作戦は待ったなんだよ~!」

 

 セシリアの返事を遮るように、まさかの天井から束が降って来た。お前、まさかずっと天井に張り付いてたのか?

 

「ちーちゃん、ここは断・然! 紅椿の出番なんだよ!」

「何だと?」

「紅椿のスペックを見てみて―! 紅椿の展開装甲をちょちょいと弄れば……ほらっ、これでスピードはばっちり!」

 

 束が空中投影ディスプレイを出してプレゼンすると、織斑先生はそれを鋭い目つきで眺める。展開装甲ってなんだ?

 

「そこのセカンドメ~ンにも分かるように説明すると、展開装甲はこの天才束さんが作り出した、第4世代型ISの装備なんだよ~」

「だ、第4世代!?」

 

 これには俺だけでなく、全員が目を丸くした。今は各国が第3世代機の開発・試作をしてる段階なのに、もう第4世代かよ。ひでぇ研究者泣かせな奴……。

 

「さてさて、みんなの度肝を抜いたところで、どうするちーちゃん?」

「……いいだろう。束、紅椿の調整にどれぐらいかかる?」

「10分もいらないよ♪」

 

 束の回答に頷くと、織斑先生が俺達を見て言った。

 

「本作戦では織斑、篠ノ之の両名による目標の追跡・撃破を目的とする。作戦は30分後だ。各自、直ちに準備に入れ」

「織斑先生、一ついいですか?」

「吾妻か。なんだ?」

「おそらく一夏と篠ノ之が福音と戦闘した場合、お互い総力戦になると思います」

「……それで?」

 

 織斑先生に促され、俺は続きと意見を具申する。

 

「その場合、エネルギー切れをした二人と、撃墜した福音の操縦者を回収する要員が必要になると思います。なので、俺達残った専用機持ちを後詰として付けることを進言します」

「わたくしも、その意見を支持しますわ」

「あたしもです」

「僕も支持します」

「なるほど……いいだろう。吾妻の提案を採用する。織斑、篠ノ之の出撃に続き、他の専用機持ちも順次出撃するように」

「「「「「了解!」」」」」

 

 その後出撃準備――ISの点検――をしながら、俺は細くため息をついた。

 俺自身経験があるわけじゃないが、戦場では何が起こるか分からないってよく言われるからな。最悪、束の計画が破綻した時のことも考えないと。そう思って、織斑先生に意見具申したのだ。

 

「うぅ……みんなごめんねぇ」

「仕方ないよ。それに清香は僕達と違って、参加義務は無いんだから」

 

 専用機持ち全員とは言ったが、今回清香は後詰として参加はせず、旅館で待機となった。学園上層部としても、今日いきなり専用機を渡された人間を戦わせる気はないようだ。

 ちなみに代表候補生は、有事の際には作戦に強制参加することになっているそうだ。俺? 俺も清香と同じ非代表候補なんだが、言い出しっぺだから行かないわけにもいかなくてなぁ……。

 

「清香、留守番は頼むな。……主に、束の」

「そ、それは荷が重いなぁ……」

 

 俺がポンポンと肩を叩くと、苦笑いを返して来た。それでも多少は気が晴れたようだ。

 

 

――――――

―――

 

 

 30分後、砂浜には専用機持ち全員が集合していた。

 

「来い、白式」

「行くぞ、紅椿」

 

 先発組の二人がISを展開する。それに続いて、俺達もISを展開する。

 

「じゃあ、箒。よろしく頼む」

「うむ。本来なら女の上に男が乗るなど私のプライドが許さないが、今回は特別だぞ」

 

 今回一夏は攻撃にエネルギーを全振りするため、移動は全て箒任せだ。だから、一夏が箒の背中に乗っかる形になる。

 箒の奴、言葉では嫌そうなこといいながら、顔は満更でもなさそうだ。非常に分かりやすい。

 

「一夏さんと箒さんだけで終わればいいですわね……」

「ちょっとセシリア、不吉なこと言わないでよ」

「そうだぞ。戦場では変なフラグを立てると、大抵よくないことが起こるものだ」

「ら、ラウラが言うといやに説得力があるね……」

 

 確かに現役の軍人が言うと、妙な説得力があるな。

 

「まあ、(束のポンさえなければ)何とかなるだろ」

「あ、ちょっと怜二……」

 

 シャルが何か止めようと手を伸ばすが、それより先に俺がラウラの頭に手を置いていた。

 

「にぃに! 私、頑張るねっ!」

「……怜二」

「やっちまった……」

 

 ラウラの覚醒モードを解いちまった……。えっ、この状態で作戦参加すんの?

 

『現刻を以て作戦を開始する。織斑、篠ノ之、出撃!』

「了解!」

「一夏、一気に行くぞ!」

 

 そんなことを知らない織斑先生の号令で、一夏を乗せた箒の紅椿が強力なエネルギーを放出して一気に加速して見えなくなった。

 

「こうなったら仕方ない! 織斑先生、後詰組も出撃します!」

『よし行け!』

「みんな、行くぞ!」

「うん!」「はい!」「ええ!」

 

 そうして出撃した俺達だったが、なんだあの紅椿の速度! 一夏を乗せながらなのに、引き離されないようにするのが精いっぱいなんですけど!?

 

「さ、さすがIS生みの親お手製。スペックが段違いだよ」

「ええ。展開装甲でしたか、あんな短時間で速度特化型に切り替えてしまうなんて、恐ろしいまでの技術ですわ」

「ちょっとぉ! まだ加速するわよ!?」

「私達、置いてかれちゃう?」

 

 ラウラの言う通り、箒の奴、俺達を置いてくつもりか? というかあれ、専用機を手に入れて舞い上がってるんじゃないだろうな?

 

『見えたぞ、一夏!』

 

 先発組と繋いでいたオープン・チャネルから、箒の声が聞こえてきた。あっちはもう接敵したか!

 

『加速するぞ! 一夏、準備はいいか!』

『ああ!』

「で、出来れば、戦闘が終わる前に追い付きたいね……!」

「いくらわたくし達が後詰とはいえ、さすがに放置は酷すぎますわ……!」

 

 セシリア達が愚痴りながらも、出来る限り速度を上げて一夏達の後を追う。

 そしてようやっと追いついた時には

 

「おおおおおおおおっ!!」

 

――バキィンッ

 

 一夏が全身装甲のIS、その胴体に零落白夜を突き立てたところだった。

 

「はぁぁぁっ!」

 

 そのままエネルギー刃を振り抜くと、その斬り跡を中心に装甲に罅が入っていく。

 

――パキィィンッ

 

 そして装甲もスラスターの翼も失った操縦者が、海へと墜ちて……ってぇ!

 大急ぎでスラスターを全開にして俺も海に向けて突っ込み、海面ギリギリで何とかキャッチに成功した。あ、あぶねぇ……

 

「バカ一夏ぁ! お前はどうして最後にポカやらかすんだよぉ!」

「す、すまん……」

「怒るな吾妻! 一夏は作戦を完遂したんだぞ!」

「あの、箒さん? 確かに今回の作戦目的は福音の撃破ですが、操縦者は無視していいとは……」

「箒ぇ……」

「わ、私が悪いことになってる!?」

 

 なんか、箒とセシリアと鈴でわちゃわちゃし始めたんだけど。あ、箒が逆ギレして一夏にとばっちりがいった。

 

「にぃに、作戦終わったのに帰らないの?」

「いや、そうだな。え~っと、吾妻から織斑先生」

『織斑だ』

「作戦は完了。一夏が福音を撃破、操縦者も救出。ただし消耗しているのか意識は無し」

『よくやった。総員帰投しろ。負傷者はいるか?』

 

 そう聞かれて確認すれば、さっきまで気付かなかったが、結構白式が傷ついてるな。とはいえ、一夏も疲れただけで怪我は無いって言ってるし。

 

「いいえ。白式がダメージを負ってますが、一夏自身は疲弊しただけで怪我は無いと」

『分かった。福音の操縦者を収容できるよう、こちらで準備しておく』

「了解。さて、みんな帰るぞー」

 

 こうして軍用ISとの戦いは束の計画通り、一夏も箒も怪我をすることなく決着した。

 その後帰投すると、織斑先生と真耶さんが砂浜で待っていた。

 

「改めて、よくやった。作戦完了だ」

「それで織斑君、篠ノ之さん。えっと、大丈夫ですか? 初めての実戦で、変なところがあったりとか」

 

 真耶さんに聞かれ、二人共特に問題なさそうにしていたが、突然力が抜けたようにその場にへたり込んでしまった。

 

「緊張の糸が切れたな。後のことは任せて、お前達は休んでいろ」

「そうさせてもらうよ……」

「はい……」

「それじゃあ二人共、付いてきてください」

 

 そう返して、一夏と箒はよろよろと真耶さんに続いて旅館の中に入っていった。

 

「そして吾妻、そいつが」

「はい、福音の操縦者です」

 

 俺が抱えている女性――束に見せられた顔写真通り、ナターシャ・ファイルスさん――をちらりと見た織斑先生が、俺に部屋まで運ぶよう指示した。

 で、言われた通り教員室の一部屋に運ぶと、すでに敷いてあった布団の上に寝かせる。

 

「それで、この人は織斑先生が付いてるんですか?」

「いや、私はこの後もやることがあるからな。山田先生が交代に来るから、それまでお前が様子を見ていろ」

「マジっすか。了解です」

 

 山田先生と同室だった時といい、俺が年上には手を出さないと思ってるんだろうか。微妙な信頼だな。

 そうして織斑先生が部屋を出ると、少しして真耶さんが入って来た。

 

「吾妻君、交代です」

「了解です。それじゃあ後は――」

「というのは建前で、束さんから話は聞いてますよ」

「え゛」

 

 束から話を聞いてるって、何をかなぁ?

 

「怜二君、ガンバです♪ 今なら意識が覚醒してませんから、催眠も掛かりやすいと思いますよ」

 

 そう言って、真耶さんが俺に向かってサムズアップをしてきたんですが……。

 そしてなんで、ニコニコ顔でそんなこと言えるんですかねぇ……。

 

「織斑先生が束さんのところに行ってる間に、ハーレムを増やしてしまいましょう♪」

「ああそう、織斑先生のやることって、束に会うことか」

 

 もしかしたら織斑先生は、今回の件が束のマッチポンプだって気付いたのかも。とはいえ、束がそう簡単に証拠を残すとも思えないけど。

 ……うん、現実逃避してただけ。

 

「本当にもう、一夏から女子を遠ざけるって目的と関係ないよなこれ……」

「でも、ナターシャさんは?」

「……好みです」

 

 もうヤダ。最近真耶さんが束に似てきた気がする。

 

「ささっ、怜二君も布団に入って入って」

「ああもうっ! こうなったら自棄だ! 自分の欲望に忠実になってやる!」

「その調子ですよ♪」

 

 真耶さんに促されるまま、ナターシャさんの寝ている布団に入る。

 そして彼女の背後から手を回し、ISスーツ越しに胸をまさぐる。

 

「んん……、んっ」

「眠っていても、きちんと感じているようですね」

「実況しないで。恥ずいです」

「ふふっ♪ そろそろ催眠もかけましょうか」

「俺より真耶さんの方が乗り気な件。さて……」

 

――パチンッ

 

「……」

 

 いつもの指パッチン催眠を掛けてみたんだが……寝てるから掛かってるかどうか判断できん。

 

「ナターシャさん、聞こえてますか?」

「は…い……」

「良かった、反応はある。これからナターシャさんに質問しますから、正直に答えてください」

「はい……」

 

 おっ、さっきより反応が良くなってきた。

 

「ナターシャさんは、男性経験がありますか?」

「2人……」

「あ、あるんですか……」

「そりゃあるでしょう。特にあっちはそういうのに関して開放的って話ですし」

「そ、そうですか……」

 

 なんで真耶さんがガッカリするんですか。おかしいって。

 

――ムニュッ❤ ムニュッ❤

 

「あぁぁんっ❤」

「ナターシャさん、今の気持ちいいですか?」

「気持ちいい……今まで、感じたことないぐらい……」

「ずっとこうしていたいですか?」

「気持ちいいの……ずっと……ほしい……」

「今貴方を気持ちよくしたのは、吾妻怜二という男です」

「あづま、れいじ……」

 

 こうやって、『吾妻怜二=自分を幸せにしてくれる人』という刷り込みを行うのだ。

 あとは目が覚めれば、その刷り込みが効いてきて俺のことを――

 

「っ!? うぷっ!」

「怜二君!?」

 

 突如込み上げてきた吐き気に布団から転げ抜けた俺に、真耶さんが心配そうに近づいてくる。

 

「ど、どうしたんですか!?」

「やっぱこれ以上無理……」

 

 久々にヘタレ属性が……! シャル、ラウラと催眠暗示&快楽堕ちさせても平気だったから、もう大丈夫だと思ったんだが……。

 

「んん……ここは……」

 

 俺がのたうち回ってる間に、ナターシャさんが目を覚ました。ど、どうやらここまでみたいだな。

 

「私、確かハワイで稼働試験を……貴女達は?」

「私達はIS学園のものです」

「IS学園……」

「あ、まだ起き上がらない方が……」

「大丈夫よ。少し体が怠いだけだから」

 

 そう言ってゆっくり上半身を起こしたナターシャさんが、俺達の方を向く。ん? なんか俺の方を凝視してる?

 

「もしかして君、アヅマレイジ?」

「え? そうですけど……」

「っ!」

 

――ガバッ

 

「貴方が私のダーリンなのね!?」

「え、ちょっんんっ!」

 

 突然抱き着かれたかと思ったら、凄まじく情熱的な口づけを……す、吸われてる!

 

「怜二君の暗示、途中で止めたせいで暴走しちゃったんでしょうか?……でも、結果オーライですね♪」

「んんっ!(結果オーライじゃないですって!)ぷはっ!」

「ダーリン❤」

「ちょ、ナターシャさん」

「ナターシャなんて、他人行儀はNoよ! ナタルって呼んで❤」

「話が通じねぇ! しかもなんか目がハートになってるぅ!?」

 

 そのまま俺はナターシャさんに押し倒され……現役軍人強ぇ! 全然抵抗できねぇ!

 

「ダーリン❤ 私を気持ちよくしてくれる、幸せにしてくれる人……!❤」

「そうですよ~。だからナタルさんも、怜二君のハーレムに入りましょうね~」

「oh! ハーレム!? 入る! ハーレムに入ってダーリンと……うふふふっ❤」

 

 おかしいっ! この状況、まるで俺が逆レされてるみたいじゃん! あ、ああ……

 

 助けて束ぇぇぇ!! あっ……(マイサンの始動を感知)

 

 

 

 

 

――一夏side――

 

 みんなより一足早く休ませてもらった俺と箒は、敷かれたそれぞれの布団で横になっていた。

 今日は色々あったなぁ……。

 

「一夏」

「ん?」

「……」

 

――むにゅっ

 

 えっ? な、なんか背中に柔らかいものが……

 

「ほ、箒!?」

「今だけ、こうさせて欲しい……」

「あ、ああ……」

 

 箒に後ろから抱き着かれるという事態に、俺は気が動転してなんて返事したか分からなかった。せ、背中に当たってる……

 

「一夏、お前は福音と戦った時、何を感じた?」

「何だよ突然。そうだな……試合の時より何倍も強い興奮というか、高揚感?」

「そうか……」

「箒も感じたんじゃないのか? 束さんからもらった紅椿に乗って」

「私も最初はそう感じると思っていた。だが……私が感じたのは、『恐怖』だった」

「恐怖……?」

 

 箒らしくない言葉に、俺は思わず聞き返した。箒が戦いの最中に、恐怖?

 

「一夏が福音の攻撃を受けたのを見た時、私はやっと理解したんだ。これは実戦だと。模擬戦とは違う、一歩間違えば死ぬかもしれない実戦だと。そして理解した。もしかしたら、一夏が死ぬ可能性もあったのだと」

「そりゃあ、千冬姉も言ってたからな。これは実戦だって」

「その時の私は、それすら理解していなかったのだ。そして理解して、恐怖した。だから……」

 

 

「好きだ」

 

 

 好き? ああ、こうやって、全部が解決して安心できる今の時間が

 

「一夏、お前のことが好きだ」

「……えっ」

 

 き、聞き間違えかな? 今箒が、俺のことを、す……いやいや!

 

「ほ、箒? もう一度言ってくれるんっ!?」

「んっ……」

 

 聞き返そうと後ろを振り向いた俺の口を塞いだのが何だったか、それを理解することが出来なかった。

 その時理解できたのは、潤んだ目で俺を見る箒の顔と、息遣いだけだった。

 

「ぷはっ……何度でも言うぞ。私は、お前のことが好きだ」

「ほう、き……」

「怖かったんだ。お前にこの気持ちを伝えられずに、またお前がいなくなるのが、怖かったんだ……」

 

 心の内を曝け出す箒に、気付けば俺は左手を箒の背中に、右手を頭の後ろに回して抱き締めていた。

 色んな記憶が蘇ってくる。小学校で初めて出会った時の箒。篠ノ之道場で一緒に竹刀を振るった箒。転校した日の箒。その全てが、愛おしく感じるようになった俺がいる。

 

「一夏……」

「ごめんな、箒。ずっと、お前の気持ちに気付いてやれなくて」

 

 背中に回していた手が、ゆっくりと箒の頬に触れる。そして流れそうになっていた涙を親指で拭った。

 

「まったくだ……馬鹿者……」

 

 いつものように罵倒しながら胸元に顔を埋める頭に手を触れながら、また箒を抱き締める。

 もう、放したくない。ずっと、ずっと――

 

――一夏side end――

 

 

 

 

 

<今日の千冬>

「やあやあちーちゃん、私に何か用かな?」

「……どこまでがお前の計画だった?」

「計画? なんのことかな~?」

「ふんっ、答える気はないか」

「さ~てね。ちーちゃんも、そんなに眉間に皺寄せてばっかだと男運が無くなっちゃうよ」

「黙れ。そもそもお前だって似たようなものだろう」

「……ふっ」

「何だその笑いは。……まさか」

「ぱんぱかぱ~ん! 実は束さん、素敵な旦那様をGET済みなのでした~!」

「……」

 

――バタッ

 

「ち、ちーちゃん?」

「そんな……束に先を越されるなんて……ウソだ……ウソだぁ……!」

(おほっ、ちーちゃんの貴重な泣き顔GETだぜ☆)




銀の福音撃破RTA。密漁船? 先に束が福音使って沈めておきました。一夏と箒の安全を確保するためだし、仕方ないよね? というか、作戦中の封鎖海域にいる方が悪い。(原作の箒のセリフまま)

オリ主、ヘタレたところを逆レされる。
束「れっきゅんがご主人様になるんだよっ☆」

箒覚醒。やっとオリ主と束の初期目標が達成されました。このあとは夏休み中、篠ノ之神社で一夏と箒が青か(運営によって消された跡がある)

ちーちゃん敗北。ここら辺から、ちーちゃんのハーレムINフラグが立ち始める予定です。まずは男を欲しがらないと。


次回で臨海学校編完結の見込みです。最近、みんなの出番がまーやんに持ってかれてる気が……。
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