IS ~インフィニット・催眠種付けおじさん~ 作:シシカバブP
ただし、学園祭編はちょっとお預けかも。理由は後書きで。
第27話 またハニトラとか、それしか無いのかこの猿ゥ!
前回から時間は流れ、夏休みが終わり二学期に突入した。
とはいえ、あんまり生活が変わったと感じない。というか、全然変わっていない。
「れっきゅん、おはよっ」
「おう、おはよう」
IS学園の学生寮。そこの一番端の大部屋で寝ていたところを、束に起こされる。一学期でもあった光景だ。
一学期と違う点があるとすれば、ただでさえ12台もあったベッドがさらに増えていることとか。
「怜二、起きたか。お前も朝のジョギングに行くだろう?」
「ええ、まあ」
織斑先生――千冬が上下ジャージ姿で俺を待っていたこととか。
「んぅぅ……おはようございますぅ……」
「あらあら、蘭ってば寝癖が付いてるわよ」
五反田母娘も一緒に起きてきたりとか。
「よし、着替えたな。それでは行くぞ」
「ういっす」
「怜二君、いってらっしゃーい」
「誰か、ドライヤーがどこにあるか知りません?」
「あ、ごめん。さっき使ってそのままだわ」
「鈴ってば、ちゃんと元の場所に戻してって言ってるのにぃ」
「まったくお前達は、朝からドタバタと……」
「そういうラウラも、寝癖が付いてますよ」
「あ、あれ? 眼鏡が……」
「マヤ、貴女何ベタなこと言ってるのよ……」
吾妻ファミリーは、二学期になっても賑やかだ。
――――――
―――
「皆さん、おはようございます!」
「お前達、席に着け」
二学期に入っても、真耶さんと千冬さんの朝の挨拶は変わらない。そして1組の賑やかさもだ。いや、一部は……
「箒、SHRが始まるってよ」
「そうか……一夏、んっ❤」
「「「「「「ファーッ!?」」」」」」
「し、篠ノ之さんが、織斑君にキキキ、キスしたぁ!?」
「しかも織斑君も普通にしてるし!」
「何があったの!? 一体夏休み中に、何があったっていうのぉぉ!?」
「す、すごいね……話には聞いてたけど、篠ノ之さんがあんなことしちゃうなんて……」
「いわゆる『バカップル』ですわ」
「ぼ、僕達ですら、場所は選んでるのに」
「にぃに! 私もあれやる!」
「「「「コラコラコラ」」」」
――スパパァァンッ!
「いってぇ!」「ぐぅ!」
「そういうことをするためにSHRがあるわけではないんだぞ、自重しろ」
「ち、千冬ね「織斑先生だ(スパァンッ!)おごっ! お、織斑先生……」
「まったく、こいつらは……うっ、胃が……」
「あ、あはは……」
千冬さんが腹を押さえて、よろよろと教壇に戻っていく。担当するクラスで一番の問題児が弟だと苦労するな。何?『近付く女を片っ端から手籠めにする問題児がいる』? 知らんなぁ。(すっとぼけ)
「今日の連絡事項だが、今期から新しく『先行入学制度』が行われることになった」
「先行……」
「入学?」
「はい。この制度はですねぇ」
みんなの疑問に答えるべく、真耶さんが千冬さんの代わりに説明を行う。黒板代わりのディスプレイには、その流れっぽいことが表示される。
「言ってしまえば、IS学園への体験入学みたいなものです。もちろん誰でもということではなく、成績優秀かつIS適性が簡易検査でAランク以上など、厳しい条件をクリアした人に限定されます」
「つまり、次の年に確実にIS学園の入試を突破出来るだろう者ということだ」
「なるほど……私達の後輩になる子ってことですか」
「そうなるな」
この『先行入学制度』、いつ誰が決めたかと言えば、言うまでもないだろう。そして、今回それで先行入学してくる人物についても。
「まずは初回ということで、この1組に先行入学することになりました!」
「「「「おぉぉぉ!!」」」」
「入ってきてくださ~い」
「失礼します」
「へ?」
廊下から聞こえて来た声を聞いて、一夏が間抜けな声を上げた。そりゃ、聞き覚えのある声だろうからな。
そして真耶さんの横まで歩いてきた子は、用意されていたIS学園の制服を着ていた。
「今回先行入学に選ばれました、五反田蘭と言います。IS学園については色々調べていましたが、全然知らないことだらけでご迷惑をかけることが多いと思いますが、その時はご助力いただければと幸いです。よろしくお願いします」
「「「「おぉぉぉ!!」」」」
丁寧な自己紹介に、パチパチと拍手が沸いた。そしてそこまでなって、ようやっと一夏が再起動したようだ。
「ら、蘭!?」
「お久しぶりです、一夏さん」
「い、一夏、知り合いなのか?」
「えっと、中学時代のダチの妹」
「へぇ、そうなんだー!」
「織斑君、他に何か情報ないの!?」
「ええいお前達! 一旦鎮まれ!(バンバンッ)」
すぐ賑やかになるクラスに、出席簿が唸りをあげる。その内あの出席簿、真ん中から折れ曲がるんじゃないだろうか。
「はぁ……五反田の席だが……あそこしか空いてないか」
「あ、あの空席に座ればいいですか?」
そう言って蘭ちゃんが空席に――俺の列の一番後ろに座った。
「今日の連絡事項は以上だ。山田先生」
「はい。二学期最初の授業は、IS理論の確認テストですよ~」
「「げげっ!」」
「五反田も元いた学校で、ある程度は習っているだろう。現段階での理解度を確認するという目的があるので、お前も受けるように」
「分かりました」
「それと、今確認テストと聞いて声を上げた馬鹿共。顔を覚えたからな」
「「……」」
千冬さんから死の宣告を受けた二人――一夏と清香が、真っ白な灰になって意識を明後日の方向に飛ばしていた。俺? 正直よろしくないが、声に出さないぐらいの分別はあるって。
「ひ、酷い目に遭った……」
「もー清香ってば、あんまり正直すぎるのもどうかと思うよ?」
確認テストごと授業が終わり、机に突っ伏した清香にシャルから追撃が入る。そこにセシリアやラウラも集まり、いつも通りのコロニーが形成される。ただ、今回はそこに
「怜二さん!」
「蘭ちゃん、みんなとの交流は済ませたの?」
「えっと、まずは色々知ってる皆さんとと思いまして……」
「あれぇ? 蘭ちゃんって吾妻君とも知り合いなの?」
てっきり、蘭ちゃんは知り合いの一夏の方に行くと思ってたんだろう。谷本さんが首を傾げた。
「ああ、実は夏休み中一夏に誘われて、五反田家に遊びに行ったんだよ。その時出会ってな」
「はい!」
「ああ、そうなんだぁ」
嘘じゃない本当の話だから、矛盾するところは何もない。だから谷本さんもすんなりと納得した。
「もしかして、蘭ちゃんも吾妻ハーレムの一員になるの?」
「はは、ハーレムですか!?」
「あはははっ、さすがにそれはないか~」
ハーレムという単語に驚く蘭ちゃんを見て、それはないと結論付けたクラスメイト達が笑いながら撤収していく。
「(谷本さん達、驚くだろうね。蘭ちゃんがすでに怜二のものだって知ったら)」
「(にぃに、モテモテ)」
「(ハーレム……怜二さんの……え、えへへ……///)」
「今いいか?」
お? 一夏の方からこっちに来るなんて珍しい。
「えっと、蘭……」
「一夏さん、この前はお騒がせしました」
何かを言おうとする一夏に、ぺこりと蘭ちゃんが頭を下げる。
「こ、この前って、怜二と遊びに行った時のこと、だよな?」
「はい。私あの時、色々悩んでいまして。それであんな突拍子もない行動を」
「そ、そうなのか。それで、その悩みはもういいのか?」
「はい! 怜二さんに相談に乗っていただいて、解決しました!」
「なら良かった。もしかして、俺と弾は話してた内容で、蘭を怒らせることがあったのかと思ってさ」
大当たりぃ! お前が箒と付き合い始めたから強制失恋したって話だ! でも言えねぇ!
蘭ちゃんの話を聞いて安心したのか、一夏は胸をなでおろして自席に戻っていった。
「まあ、蘭ちゃんが決めたならいいんじゃないかな?」
「はい! それに"あのこと"があったから、今こうして私がいるんですから!」
だから気にしないでください! と蘭ちゃんは胸を張って言った。それなら、俺達がどうこう言うことでもないか。
――――――
―――
こうして蘭ちゃんはIS学園に先行入学することになったんだが、そうすると蓮さんはどうなった? その答えは
「今日の日替わり定食は、鮭の塩焼きですよ~」
「れ、蓮さん!?」
「あら一夏君、久しぶりね~」
放課後の学生寮食堂。そこの食券を出す場所で、蓮さんを見つけた一夏から驚きの声が。
そう、これが束達が用意した五反田母娘を巻き込む作戦の二つ目、『学食従業員の増員』である。
『学園の関係者以外ダメなら、関係者にしちゃえばいいんだよ☆』
とは束の言。そして真耶さんや千冬さんも巻き込んで、本当に実現させてしまったのだ。いや、万歩譲って採用枠とか用意出来たとして、こんな短期間でよくやったよ。しかも、蘭ちゃんは寮生活だし、蓮さんも他の従業員の人達と同じ住み込みだろ? よく五反田食堂はOK出したよな。出した……んだよな? まさか二人揃って家出なんてことは……うん、これ以上考えるのはやめよう。
「は~い、日替わり定食よ~」
あれこれ想像している間に、俺の頼んだ日替わり定食が来たよう……だ……。
「あ、あの~」
「何かしら?」
「これ、頼んでないんですけど」
俺が頼んだ日替わり定食は、鮭の塩焼きだったはずだ。なのになぜ、栄養ドリンクのような瓶が盆に載ってるのだろう。
「❤」
やめてぇ! 親指を人差し指と中指で挟むのはやめてぇ! どういう意図か大体分かったよちくしょう!
「ああそっか、怜二君には必須だもんね♪」
「そうなんですの? これは一体」
「セシリア、ちょぉっと耳貸してね。ゴニョゴニョ……」
「っ!?///」
「あ~、確かに怜二には必要ね」
「あ、あはは……」
「にぃに、これなーに?」
「ラウラ持っちゃダメ!」
勘弁してくれ……なぜに栄養ドリンク(中の成分については触れたくない)一本でここまでドタバタせにゃならんのだ……。
「ところがぎっちょん!」
「おい待て束」
夕食を食って這う這うの体で部屋に戻って来た俺に、束が発したセリフがこれって……。
部屋には、蓮さんとナタルさんを除く全員が揃っている。
「束さん、まだ何かあるの?」
「それが聞いてよきよぴー。らんちゃん達を学園に入れるために、束さんやちーちゃん、まーやんが色々頑張って手を回してたんだけど、どうも面倒な連中に嗅ぎ付けられちゃってねぇ」
「面倒な連中?」
「国際IS委員会だ」
千冬さんが束の後を引き継ぐ。
「知っての通り、IS学園はIS運用協定――アラスカ条約によって運営されている。そして実情はともかく、建前上はどの国家からの影響も受けない治外法権を有していた」
「有して
「ああ。五反田を先行入学させた際に、各国がイチャモンを付けて来てな。『それなら、今まで対応されなかった我が国の優秀な人材も先行入学させてくれ』とな。見てみろ」
千冬さんが空中投影ディスプレイを出すと、そこには話にあった『先行入学したい人間』と思しき、名前と顔写真が表示されていた。
「げっ! 乱もいるじゃない!」
「え、私ですか?」
「ああいや、アンタじゃなくて、あたしの従姉妹にあたる奴が載ってたのよ。
「ああ、この子か」
スクロールしていたのを少し戻すと、鈴のツインテールと対照的な、サイドテールの女の子が表示された。凰乱音、台湾の代表候補生か。
「オランダにタイも候補生。カナダに至っては双子?」
「あ、この双子知ってる。確か姉妹でアイドル活動もしてるんだよ」
「こいつはまた……」
けど、そんな人材を学園に送り込む理由はなんだ? これだけ優秀なら、わざわざ急いで入学させる必要もないだろう。来年に受験させれば十分合格するレベルなんだろうし。
「いっくんだよ」
いっくん? 一夏がなんだって?
「今この学園には、世にも珍しいISの男性操縦者が2人もいる。その内の1人はイギリスを始めとした代表候補生達がくっ付いてて、今更入り込む隙間は無い。けどもう片方の男子生徒、いっくんは違う。いっくんには箒ちゃんしかいないからまだイケると、出遅れた連中は踏んだんだろうさ。腹が立つ話だけど」
なるほど。俺からセシリア達を全員剥がすのは難しくても、一夏から箒一人を剥がして後釜に座るのは容易だと。で、今回の先行入学にかこつけて、ハニトラ要員を送りつけようとしていると。
「そういうことだ。そして現状、学園側にはこの要請を突っぱねる正当な理由がない。よって、こいつらが学園にやって来ることはほぼ確定だ。今のところ、一人ずつ順番に送り込まれてくるようだがな」
だから――と千冬さんが俺の方を見た。
「怜二、この小娘どもを手籠めにして、お前無しでは生きられない体にしてしまえ」
「もうちょっと言い方ぁ! っていうか教員が言っていいセリフじゃねぇ!!」
未来の教え子を
「でも実際、れっきゅんにはやってもらわないと。束さんとの取引、まだ生きてるからね♪」
「……そうなんだけどさぁ」
各国が一夏目当てに送り込んで来るハニトラ要員を、片っ端から催眠を使って遠ざける。場合によっては手籠めにしていく。確かにそう束と取引したよ? でもさぁ、あの時はここまで大所帯になるとは思って無かったんだって。
ディスプレイをスクロールしていく。さっき出てきた国以外にも、ギリシャやロシア、ブラジルまでいるのかよ。……
「れっきゅん」
「なんだよ」
「その子、おっぱい大きくて年上で、れっきゅんの好みだよね?」
「……もう俺の癖を探るのやめて」
スクロールを止めたディスプレイには、来週送り込まれる予定の人物――ブラジルの代表候補生、グリフィン・レッドラムの写真が表示されていた。
<今日の???>
「そう、各国の専用機持ちが……」
「はい。狙いは1年1組の男子生徒の2人と思われます」
「う~ん、本音ちゃんはどう思う?」
「そうですね~……れっきゅんはせっしー達が一緒だから入り込む隙は無いと思いますけど、おりむーは引っ掛かっちゃうかも」
「そう……」
「どうしますか?」
「まずは私が直接2人を見てみるわ。百聞は一見に如かず、ってね」
五反田母娘、無事(?)IS学園へ。吾妻ハーレムの隔離部屋がまた大きくなるぜい!
夏休み前ですでに12人だから、ちーちゃん含めて15人……もはや一軒家やコテージを用意するレベルやんw
進め! 対一夏ハニトラ部隊『アーキタイプブレイカー』!
そしてシシカバブの癖からして、ヴィシュヌが来ると思った? 残念、グリ姉でした~!
もはや原作の原型を留めないであろう、次話もよろしくお願いします。