IS ~インフィニット・催眠種付けおじさん~ 作:シシカバブP
でも今回は催眠もエロ要素も無いです。
千冬さんに薬を盛られたり、グリフィン――レッドラム先輩がハーレムに入った翌日。1組の教室に鈴がやって来た。
「よぉ鈴、一体どうしたんだ?」
「一夏、アンタ3組に転校生が入ったのは知ってる?」
「転校生? そうなのか?」
ああ、一夏は知らないか。シャル達の時と違って、自分のクラスじゃないからな。
で、それを一夏に話すために鈴がここに来たってことは……
「正直あたしは教えたくなかったんだけどねぇ……」
「ちょっとお姉ちゃん、置いてくのって酷くない!?」
非難の声とともにやって来たのは、鈴に良く似た少女だった。というか、あの『ハニトラ要員』のリストに載ってたやつだった。
「あーはいはい悪かったわよ」
「何その気の無い謝り方はぁ!」
「それより、自己紹介しなくていいの?」
「あっ! は、初めまして、台湾の代表候補生、凰乱音です!」
そう言って一夏に向かって自己紹介する乱音。彼女も政府から色々言われてるんだろう。
「まったく、飛び級なんてよく分からない制度、よくやるわね台湾政府は」
「羨ましいの? 鈴『おねえちゃん』」
「アンタねぇ……その胸を張ったポーズ、わざとよね? 絶対わざとよね!?」
「えー? そんなつもりないけどー?」
「うぎぎ……」
余裕な顔の乱音に、鈴の歯ぎしりが聞こえて来そうだ。なんだろう。このやり取りを見てたら本当の姉妹みたいだな。
「ちょっと鈴さん、落ち着いてくださいまし」
「おねえちゃん、とはどういうことだ? 鈴の妹なのか?」
「違うわよっ! 従妹よ従妹!」
「そうなのか。しかしよく似ているな」
箒が二人を見比べながら言うと、一夏も同意するように首を振りながら
「ああ、まるで鈴二号機だな」
「……」
あっ、一夏が地雷を踏んだようだ。乱音の一夏を見る目が険悪なものに。
「言ったわね……言ってはならないことを、言ったわねぇ!」
「え? ダメだったのか?」
うわぁ、うわぁ……さらに火にガソリンを……!
「いいわ、織斑一夏! アンタは今日からアタシの敵よ! 覚悟しなさい!」
「な、なんでだよ!」
乱音は怒り心頭のまま1組の教室を出て行った。
「なあ箒、俺、なんか悪いこと言ったか?」
「一夏……」
地雷を踏んだことを理解していない一夏に対して、箒は頭を抱えていた。
「なあ怜二」
「お前が悪い」
「うぇ!?」
「あれが許されるなら、俺はこれからお前のことを"織斑二号機"って呼ぶがいいんだな?」
「ふざけんなよ! 俺には一夏って名前が……あっ」
ようやく気付いたようだ。そりゃ、誰かのコピー品みたいな言い方されたら面白くないだろ。むしろ、千冬さんと比較されることが多いお前がそれでどうするよ。
「どっかのタイミングで謝っておけよ」
「あ、ああ……」
「(ねぇ怜二君、これ、私達が動かなくてもいいんじゃ?)」
「(そうかも……あっ、もしかして、今のも教えない方が良かったか?)」
二人の仲を悪いままにしておけば……やっちまったぁ! なんで仲直りさせるようなこと言っちまったかなぁ!?
「怜二、迂闊だよ……」
「とはいえ、最終的にはわたくし達と同じ……になりますから、あまり気にしなくてもよいのでは?」
「にぃに、また家族増える!」
「ま、まだ穏便に済む可能性が……」
「無いよ?」
「へぶっ!」
清香の情け容赦ない否定に、俺は轢かれたカエルのような声を上げて机に突っ伏したのだった。
――――――
―――
――乱音side――
同じ代表候補生になって、同じ専用機持ちになって、
『見てなさいよ、凰鈴音! アタシは……アンタを超えるのよ!』
そう言って台湾の候補生養成所を出て来たっていうのに……ああもうっ! やっと鈴と同じ舞台に、IS学園に入った初日から散々だったわ!
(政府から近付くように言われた織斑一夏……あれといい雰囲気になれ? 無理に決まってんでしょ!)
アタシのことを鈴二号とか言い出す奴の、どこを好きになれって言うのよ!?
そしてもう一人の男性操縦者、吾妻怜二だったかしら。 あれはあれで、複数の女の子を侍らせてたし……。女権団の連中じゃないけど、まともな男がいないじゃない!
「はぁ……鈴も腑抜けたわねぇ。あんな男を好きになって、わざわざIS学園まで追って来るなんて」
政府の人間から聞いた話では、アイツは織斑一夏を追ってIS学園に転校してきたそうだ。あんな腑抜けた男に、なんで……
「乱音ちゃん、学園の授業は大丈夫そう?」
「えっ、あ、うん。本国の候補生養成所で習った内容だから」
「そっか。何か分からないことがあったら遠慮なく言ってね」
「ありがとう。そうさせてもらうよー」
クラス代表(学級委員長みたいなものっぽい)に、アタシは慌てて返事をした。
(こんなの、認めないわよ……アタシは鈴を……強くてかっこよかった、おねえちゃんを超えるために、頑張って来たんだから……!)
――乱音side end――
――――――
―――
凰乱音がやって来た日の昼休み、学食のテーブル席で一夏は見事に撃沈していた。
「取っ掛かりも見出せなかった……」
「見事に拒否されていたな」
「マジか」
一夏の奴、休み時間を使って乱音に謝るため3組に行ったらしいんだが、ものの見事に門前払いを食らったらしい。
「『アンタと話すことなんて何もないわ』だって」
「ああ、そりゃダメだ」
「なあ鈴、どうにか間を取り持ってくれねぇか?」
「嫌よ、なんであたしがそんなことしなきゃいけないの」
「ぐはぁ!」
鈴に援護を断れ、再度一夏がテーブルに突っ伏す。
「(ここで間を取り持ったら、余計に乱と一夏の距離が近くなるじゃないの)」
「(と言われておりますわよ、怜二さん)」
「(やめてセシリア、その言葉めっちゃ痛いから)」
「(何よ、怜二のことだし、乱に謝るように勧めたとか言うんじゃないでしょうね?)」
「(鈴も追撃しないでぇ……)」
もう俺のライフは0だよ……。
「あらあら、腑抜けが集まって何をしてるのかしら?」
「はぁ? 誰が腑抜けですって?」
突然の悪口をたたき込んできたのは、件の代表候補生、乱音だった。ってちょっと待て、その腑抜けに俺達も入ってるのか?
「まったく、鈴もこんな男のどこがいいのかしら?」
「ええ、まったくね」
「え?」
「は?」
一夏を指さして嘲笑ったら、鈴にさらっと返された乱音が固まった。
「えっ、だって、鈴はこの男と付き合って腑抜けたって……」
「はぁ!? そんなデマ、どこから出てきたのよ?」
「で、デマ!?」
「そうよ。あたしと一夏が付き合ってるわけないじゃない。ねえ、一夏?」
「あ、ああ。俺と鈴は親友同士であって、付き合ってるのは……」
「私が一夏の恋人だ!(ドンッ)」
「え、ええ、え……」
一夏の証言と箒の胸張りポーズに、まるで壊れたラジカセのような声を上げる乱音。
「もしかして、台湾政府も一夏の周辺情報が更新されてないんじゃ……」
「いや、それはないだろう。ない、よな……?」
「いくらなんでも、グリ姉ですら知ってた情報なのに……ねぇ?」
シャルの仮説に、ラウラも清香も引き笑いをするしかない。鈴が一夏のことを諦めたのがクラス対抗戦の時だから、かれこれ3ヵ月以上経ってるんだが?
「そ、それじゃあ、おねえちゃんは……!」
「あたしはこっち」
「へぇ?」
俺の腕を掴む鈴に、再度乱音が固まる。
「り、鈴!? いつの間に怜二と!?」
「……一夏、アンタそれ本当に言ってる?」
「当たり前だろ! 怜二もどうして教えてくれなかったんだよ!?」
「篠ノ之……」
「すまん……これが一夏なのだ……」
「ほ、箒も知ってたのか!? なんだよみんなして!」
一夏ェ……どうしてお前は、戦闘以外はそんなに鈍感なんだ……。
「おねえちゃんが……こんな女誑しに……」
「まあ、怜二が女誑しなのは否定しないけど」
「あ、しないんだ?」
「したところで、結果は変わらないでしょ」
そりゃまあ、鈴を含め何人も手を出したわけで。今更言い繕ってもなぁ。
「けどね、あたしは別に怜二と付き合い出して腑抜けたわけじゃないわよ」
「それなら……」
「それなら、あたしと勝負しなさいよ!」
ということがあり、放課後のアリーナで鈴と乱音の模擬戦が行われることになった。
「あれが台湾の専用機……どことなく鈴の甲龍に似てるな」
「そうだね。あの後ろから伸びた龍の頭みたいなの、あそこから衝撃砲が出るんじゃないかな?」
「その他にもなんか尻尾みたいなのが伸びてるが……砲は一つだけか」
「たぶん衝撃砲を減らしてその分固定武装を増やすことで、安定性に重点を置いてるんだと思うよ」
「つまり量産型ということか。しかしあの中国が、自国のISの設計図を他国に渡すような真似をするのか?」
「「「う~ん……」」」
俺達が首を傾げる中、鈴と乱音の準備も整ったようだ。
「あたしの甲龍の猿真似で勝てると思うの?」
「猿真似? アタシと『甲龍・紫煙』なら本家超えしちゃうかもねー?」
「……」
「……」
お互い罵り合った後は、途端に静かになって武器を構える。鈴は青龍刀を、乱音は……あっちは青龍刀というよりはマチェットっぽいな。
「それでは……開始ですわ!」
セシリアの合図で、二人が急接近して武装をぶつけ合う。
「ぐぬぬ……!」
「どうしたのかしら、乱。あれだけ啖呵を切っておいて」
「こんのぉぉぉ!」
「甘い!」
尻尾のような三又の武装が襲い掛かるが、それをさらっと回避……したかに思った瞬間
「甘いのはそっちよ!」
――ガガガガッ!
「ちぃっ!」
その尻尾から放たれた銃撃を、鈴は舌打ちしながら辛うじて回避した。ただその所為で、反撃のチャンスを失ってしまった。 あれ銃火器だったの? マジで?
「やっぱり腑抜けたんじゃないのー?」
「うっさいわね、この程度で偉そうにしてんじゃないわよ」
その後も2機の鍔迫り合いと砲撃が続く。均衡が崩れたのは、模擬戦が始まってしばらく経ってからだった。
「くっ……!」
「だいぶ疲れて来たんじゃないの?」
「うる、さい……!」
「代表候補生になるぐらいだし、それなりに腕は立つんでしょうけど。いえ、だからこそ今まで相手は時間を掛けずに倒せたのかしら?」
「なにが、言いたいの……!」」
「だから持久戦の経験がない」
――ガキィィィンッ!
「くぅ!」
「技術を積むのも結構だけど、結局は身体が資本なの、よ!」
――ガァァァンッ!
――ドゴォォォォォンッ!
「きゃぁぁぁぁっ!」
肩で息をし始めた乱音のマチェットが、鈴の青龍刀に弾き飛ばされる。
それと同時に甲龍の衝撃砲が両方から放たれ、乱音が地表に叩きつけられた。
「それまで! 勝者、鈴さん!」
「ぐ、ぅぅ……!」
「どうかしら? これでもまだあたしが腑抜けてるって言える?」
鈴が乱音を見下ろしながら問うと、
「どうして……男なんかに現を抜かすおねえちゃんが、どうしてこんなに……」
「そんなこと知らないわよ。とにかく、これ以上一夏や怜二に突っかかるのはやめなさい」
それだけを言うと、鈴はISを解除してこっちに歩いてきた。
「さっ、引き揚げましょう」
「あの、鈴さん? あちらはそのままで……」
「いいのよ。しばらく一人にさせて、考える時間をやってちょうだい」
「……鈴さん、お優しいんですのね」
「なぁっ!? 何言ってるのよセシリア!」
生温かい微笑を向けるセシリアを、鈴がポカポカ叩く。そんな2人を引き連れる形で、俺達はアリーナを後にした。
「え~っ!? そんな楽しいイベントがあったんなら、お姉ちゃんも呼んでよ~!」
「ぐ、グリ姉、苦しい……」
「おーいグリフィン、それ以上ハグすると清香が胸で窒息しちまうからやめとけー」
――乱音side――
(負け、た……)
おねえちゃんとの模擬戦で、アタシは
(おねえちゃん、やっぱり強くてかっこよかった……)
間違いなく、あれはアタシが憧れたおねえちゃんだった。それを知って、アタシは安心してしまった。
本国の養成所でも時々いたのだ。男に現を抜かして訓練に身が入らず、そのまま養成所を去っていった予備候補生達が。
だからこそ、織斑一夏なんて男に現を抜かすおねえちゃんなんて見たくなかった。その所為で、あの頃の強くてかっこよかったおねえちゃんがいなくなるのが、許せなかった。
(けど、おねえちゃんは織斑一夏とはただの友達だって、本当の恋人は吾妻怜二だって言った……)
あの男、アタシが思っているような、ただの女誑しじゃない?……そうだ、思い出した! アイツの周りにいたのは、英仏独の代表候補生達だ! つまり――
「つまりあの男の周りには、強い人ばかりが集まっている? そんな人達とつるんでるから、おねえちゃんは強いの?」
もしそうなら、あの男、吾妻怜二に近付けば……
「……とりあえず、明日から頑張ろう」
今日はおねえちゃんのことが知れただけでも良しとしよう。
明日から。そう、明日から色々調べていけばいい。おねえちゃんの強さの秘訣を。そして、あの吾妻怜二って男のことも……。
「あっ、でもその前に、アタシにガセ情報渡した連中に文句言っとかないと」
――乱音side end――
<今日の箒>
「いかん、最近一夏を求めすぎている……。このままでは、一夏が枯れてしまう……んっ? なんだこの箱は?」
『箒ちゃんへ』
「ね、姉さんからか? 一体どうやってここに……。中身は……瓶? っと、底の方に紙が」
『安心安全の精力剤だよ♪ いっくんに使ってみてね☆ 注意:一度に3滴以上使うといっくんがビーストモードになっちゃうから、用法・用量を守って正しく使用してね☆』
「ね、姉さん……(心の中で感涙)」
「ただいまー」
「い、一夏、茶でもどうだ?」
「な、なんだよいきなり……箒が淹れてくれるのか?」
「ああ、そうだ」
「それじゃあもらおうかな」
「わ、分かった。少し待っててくれ」
(これに精力剤を混ぜて飲ませれば……ぐへへへっ)
(っ!? な、なんだろう……すごい寒気が……)
凰乱音登場ですが……グリ姉以上に扱い辛い……。
とりあえずは原作(ISAB)準拠になるよう頑張ってます。
そしてさらに書き辛い鈴vs乱の模擬戦。
調べてみて思ったんですが、台湾のIS、本家の中国より武装が充実してね? これで量産型とは如何に。
そしていつも言ってますが……いいよね、ISスーツ。
姉妹の絆(ゲス)
オリ主より、一夏が誤射(意味深)する方が先だったり……?
次回、キャノンボール・ファストの当日までキング・クリムゾンするか、それとも1話挟むかは未定。