IS ~インフィニット・催眠種付けおじさん~   作:シシカバブP

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すんません。スランプ気味で激短です。

さらに業務連絡です。GWにつき、しばらく更新はありません。
再開は5/7を予定しています。



第38話 (襲撃者が)キャノンボール

 キャノンボール・ファスト当日。天気は快晴で、会場のISアリーナは満員御礼。空には花火も上がっている。

 

「おー、よく晴れたなぁ」

 

 そんな秋晴れの空を見上げる一夏を先頭に、1年の専用機持ちはぞろぞろと会場に入り、ピットの中で待機となった。

 そんな今日のプログラムだが、2年生、1年専用機組、1年訓練機組、3年生という順になっている。そう真耶さんから聞いた。

 

「あれ? この2年生のサラ・ウェルキンって先輩、イギリスの代表候補生なのか」

「そうですわ。専用機はありませんが、優秀な方でしてよ」

 

 ピットに備え付けられているディスプレイで2年生のレースを見ていた一夏に、セシリアが合の手を入れる。

 そのサラ先輩とやらが抜きつ抜かれつのデッドヒートを繰り広げているようだ。

 刀奈さん? あの人は出場しないそうだ。というか、元々専用機持ちは数が少ないから、キャノンボール・ファストには出場しないものらしい。けれど今年は1年生に専用機持ちが多いから枠を増やしたわけで。

 

「それにしても、鈴のパッケージ、ごっついなぁ」

「ふふんっ、いいでしょ。こいつの最高速度は、セシリアの『ストライク・ガンナー』にも引けを取らないわよ」

 

 そう自慢気に話す鈴の甲龍には、4基の増設スラスターが積まれている。衝撃砲の砲口が真横を向いてるのは、追い抜こうとした奴を撃つための妨害用ってことか。

 『ギリギリ間に合ってよかったぁ……』と安堵していたのを思い出すな。最悪素のままで飛ぶことになってたわけだし。

 

「ところで清香はどうなのよ、増設ブースター付けるとか言ってなかった?」

「それなんだけど、た……追加してくれた人曰く『最後の直線で展開して使うんだよ』って」

「……なーんか嫌な予感がする言い方ねぇ」

 

 鈴だけでなく、事情を知らない一夏と箒を含めた全員が頷いていた。

 

「あれ? でも相川さんの機体って、束さんが用意したものだよな? もしかして束さんに会ったのか?」

「えっ、あ、いや……」

「確か整備科の人に相談したんだよな。機体自体は原型のラファールだから、どうにか出来ないかって。なぁ?」

「そ、そそ、そうなの!」

「へぇ、そうだったのか」

 

 やや苦しい説明だったが、一夏はそれで納得したようだ。チョロい。後で虚さんに話を合わせてもらおう。

 

「さて、そろそろ俺達の出番みたいだな」

 

 ディスプレイを見れば、2年生のレースが終了したようだ。結局サラ先輩が優勝したようだ。

 俺が紫電を展開した時には、すでに他のメンバーも全員ISの展開を終えていた。

 

「キャノンボール・ファスト仕様パッケージ『(フェン)』の力、見せてあげるわ」

「ふん。戦いとは武器だけで決まるものではないことを教えてやろう」

「戦いは流れだ。流れを制するものが戦いを制する」

「みんな、頑張ろうね!」

 

 鈴、箒、ラウラ、シャルがそれぞれに意気込みを口にする。

 

「いくらお姉ちゃんの装備が大会仕様だからって、そう簡単に負けてあげないんだからね!」

 

 乱も意気込みは十分なようだ。

 

「みなさーん、準備はいいですかー? スタートポイントまで移動しますよー」

 

 真耶さんの若干のんびりした声が響き、各々マーカー誘導に従ってスタートポイントまで移動を開始した。

 

『それではみなさん、1年生の専用機組のレースを開始します!』

 

 アナウンスの声が聞こえると、俺達は各自位置に着いた状態で高速機動用のハイパーセンサー・バイザーを下ろし、スラスターを点火した。

 シグナルランプが3つ全て赤く点灯し、そして――

 

――赤から緑に変わった

 

「っ!」

 

 急加速で一瞬景色が飛ぶ。すぐにハイパーセンサーの補助で視界が追い付くが、その時にはすでに先頭集団から少し遅れていた。そんな俺もビリではないらしい。

 

「うわぁぁぁん! やっぱりこうなるんだぁぁぁ!」

「やっぱそうなるよなぁ」

「置いてかないでよぉぉぉぉぉ!」

 

 出力配分を弄っただけのラファールの姿が、どんどん小さくなっていった。清香、すまんなぁ。

 そして前を見れば、トップ集団にセシリア、シャル、ラウラの3人。その少し後ろに鈴と乱。さらに後ろ、というか俺の目の前を一夏と箒が飛んでる形だ。

 

「レースはまだまだ!」

「これからよ!」

 

 白熱するレースバトル、それが2周目に差し掛かった時、

 

――チュィィィィンッ!!

 

「何っ!?」

「上からだとっ!?」

 

 突如、上空から飛来した機体が、トップ集団のセシリア達に向かって攻撃を加えたのだ。

 

「あ、あれは、サイレント・ゼフィルス!」

 

 攻撃によって足(?)を止めたセシリアが、相手の正体を看過する。確かそれって、学園祭の時にオータムと一緒に襲撃してきた奴だよな?

 突然の襲撃者はにやりと口元を――

 

きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ避けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!

 

――ドゴォォォォンッ!

 

「ぐへっ!」

 

 俺達の後ろから飛んできた()()の直撃を食らった襲撃者は、肺の中の空気が抜けたような声を上げながらコースの緩衝壁に激突した。そして運動エネルギーを100%伝達して止まったのは

 

「あいたたたた……」

「「「「き、清香ぁ!?」」」」

 

 背中にごっついブースターをくっ付けたラファールに乗った清香だった。

 

 

――清香side――

 

 やっぱり第2世代機の、しかもカスタムすらされてない機体じゃ無理だよぉ!

 セシリアや鈴は仕方ないとしても、怜二君にすら置いてかれるって嫌だよぉぉ!」

 

「ここ、こうなったら奥の手を……!」

 

 束さんからも『最後の直線で展開して使うんだよ』って言われたけど、このままじゃ使う間もなく終わっちゃう。それなら……!

 そう覚悟を決めて拡張領域に量子化していたものを展開してみれば……

 

「でっか!」

 

 ラファールの背後に付いた増設ブースター。けどこのサイズ、シャルロットが付けてた増設スラスターの数倍はあるんですけど!?

 そしてこのブースター、展開したと同時に勝手に点火して――

 

「おごっ!!」

 

 トンデモナイ加速でででででっ!! こ、これ、どう頑張っても方向転換出来ないんですけどぉぉぉぉ!?

 

『方向の調整? そんなものは必要ない! ただまっすぐ飛べばよい。ただまっすぐ進み続ければよいのだ!』

 

 だぁぁぁ! この前見たアニメのセリフを思い出してる場合じゃないってぇぇぇ!

 え? なんか前方に見知らぬISが……ってこれ直撃コースじゃん! 方向の調節……だから出来ないってぇ!

 

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ避けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

――清香side end――

 

 

――――――

―――

 

 

 謎のISの襲撃により、キャノンボール・ファストは中止となった。

 しかも市街地戦闘になりかけたことから、俺達も事情聴取を受けて、解放されて寮の部屋に戻った時にはクタクタになっていた。

 

「みんなご苦労様ー。それできよぴー、どうだった? 束さんの作った『ヴァンガード・オーバード・ブースト(VOB)』は」

「危なすぎますよ! まっすぐしか飛べないとかどういうことなんですか!」

「多少は方向転換も出来るよ? 左右に」

「曲がれないって言ってるんです!」

 

 珍しく清香が束に食って掛かってるな。というか、清香もよくあんな激突の仕方して無事だったな。

 

「清香ちゃん、お手柄ね。まさか襲撃者を一人で倒しちゃうなんて」

「刀奈さん、それってこれっぽっちもすごいと思ってないですよねぇ……」

「まぁ……酷いオチだとは思ったわ。秘密結社のエージェントを、体当たりで倒すって……」

「学園祭の時に、おじょーさまが逃がした相手なのにね~」

「おごぉっ!」

「ちょっと本音!」

 

 本音の悪意無き一撃で、刀奈さんがベッドの上に沈む。

 

「それで、その襲撃者の身柄はちーちゃんが預かってるんだっけ?」

「ああ。なんか真剣な顔してたな。真耶さんですらも立ち会い無しで尋問してるんだと」

「へ~」

 

 なんかまるで、あの襲撃者が何者か知ってるような……いや、亡国機業のエージェントなのは俺も知っているけど。

 

 

――千冬side――

 

 普段立ち入り禁止区域になっている、IS学園の地下区画。その中の収監エリアで、私は後ろ手に拘束されたサイレント・ゼフィルスの操縦者と対峙していた。

 

「……」

「ふんっ、何か言ったらどうなんだ? 織斑千冬」

 

 私を睨みつける襲撃者の顔を見る。

 全く面白いものではないな。……()()()()()()()()なんぞ。

 

「まさか、私のクローンを作ろう等という馬鹿がいるとはな」

「ただのクローンではない。貴様の遺伝子を強化して生み出された、いわば貴様を超える存在だ」

「私を超えるなぁ……」

「ああそうだ。だから許せんのだ……そんな私を『出来損ない』と言って破棄しようとした連中が! そしてオリジナルたる貴様が!」

「下らんな」

「っ!」

 

 だから睨むな。まったく、これがキレやすい子供というやつなのか。一夏ですら、もう少し聞き分けが……いや、何でもない。

 

「百歩譲って、私が憎いのは分かった。で、だ。それがどうして亡国機業などというテロ組織に加担することに繋がる?」

「加担? 別に、あの連中を利用していただけだ。貴様を、いや、織斑一夏を狙うにはちょうどいい場所だったからな」

「っ!? 一夏を、だと?」

「ああそうだよ! 憎い貴様が大切にしているもの、それを私が奪ってやる! 貴様はその時、どんな顔をするのかなぁ?」

 

 拘束されているにも関わらず、こいつはまだ打てる手があると思っているのか、ニヤニヤした顔をこちらに向けて来る。

 しかも私を直接狙わず、一夏を手にかけようとは……!

 だがな、貴様は思い違いをしているぞ?

 

「そういうことなら、こちらも手段を選んではいられないな」

「ほう、どうするつもりだ? 言っておくが、私に薬や拷問の類は通用しないぞ。それはオリジナルである貴様がよく知ってるはずだ」

「ふっ、そんなつまらん真似はせん」

 

 貴様も味わうがいい。かつて同じ組織の仲間だった奴と、同じものを――

 

「感度30000倍だ」

 

「は?」

 

――千冬side end――




清香、サイレント・ゼフィルスを撃破する。(白目)
今回はACfAと幼女戦記を悪魔合体させてみました。

マドカ、感度30000倍を宣告される。
次回はペットが増える回になります。

「ははっ! オータム、貴様はやはり飼い犬がお似合いだ!」
「お前も(怜二の)犬になるんだよ!」
「えぇ……?」
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