IS ~インフィニット・催眠種付けおじさん~   作:シシカバブP

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酷いサブタイ。そして今回、すごい詰め込み過ぎた感。

※本作品はフィクションであり、現実の犯罪等を助長するものではありません。


IS学園入学
第4話 催眠種付けおじさんと云ふはオラッする事と見つけたり


 ごきげんよう、吾妻怜二だ。

 俺が織斑一夏に続く、第2のIS男性操縦者だと発覚して早半月。いよいよIS学園入学と相成ったわけだ。

 不安要素は色々ある。ほぼ女子校の中で、これから3年間過ごさないといけないのかぁとか、唯一の同性である織斑が、もしいけ好かない奴だったらどうしようとか。

 そんな中、今俺が考えなければないこと、それは……

 

 

「あひぃぃぃ……❤ もっとぉぉ、もっとしてくださいぃ……❤」

 

 

 学園校舎の屋上で、制服脱ぎ散らかし全裸状態でベンチに横たわる、金髪美女のトロ顔クラスメイトをどうするかってことだ……。

 

 

――――――

―――

 

 

 4月某日。入学シーズン真っ只中のこの日、IS学園も入学式が行われる。ただし、俺は式には出ないけど。

 

「入学式、出たかった?」

「いいや、騒ぎになる時間は短い方が良い」

「だよね~。いっくんも式の後に直接教室に入るスケジュールみたいだし」

 

 時間は朝の7時。吾妻家のリビングで、俺と束は今後の予定を確認していた。

 IS学園は全寮制だが、急遽入学することになった男子2人の部屋割りが決まっていないらしい。だがその後は寮に入ることになるため、束とのやり取りをするのが難しくなる。

 

「だから、はい」

「はいっておい……腕時計?」

 

 束から手渡されたのは安っぽくない、かといって高くもなさそうな、普通のサラリーマンが付けていそうなアナログの腕時計だった。いや俺、普通に時計は持ってるんだが……

 

「れっきゅんの専用機」

「は?」

「だ~か~ら~、その時計がISなの」

「はぁ!? これが!?」

 

 いやいやいや! ISって先月学校の体育館で触った、あのごつい奴だろ? 似ても似つかないだろ!

 

「専用機として最適化を行うと、こうやってアクセサリーみたいな形状で待機状態になるんだよ」

「マジか……って、最適化?」

「そう、最適化。れっきゅんの情報をISにインプットして、れっきゅんだけのISに設定するんだよ。ちなみに、本来は持ち主がISに乗った状態でやるんだけど、この(IS)はれっきゅんが寝てる間に最適化を済ませてあるよ」

「さ、さすがISの生みの親……って、寝てる間に?……おい、その最適化以外、何もしてないよな?」

「ひゅ、ひゅ~♪」

「口笛吹けてねぇぞバカタレ! 何した! 一体何しやがった!」

「そ、それは……」

 

 な、何だよ……

 

 

「れっきゅんにキスしたり、指しゃぶったりしました……」

 

 

 ……

 

「許す」

「わーい!」

 

 くやしい……! でも(束が可愛いから)許しちゃう! ビクンビクン

 

「で、これをどうするんだ?」

「まずはその待機状態のISを装着して」

「装着……こうか?」

 

 渡された腕時計型ISを左腕に付ける。……うん、見た目は完全に腕時計だな。

 

『れっきゅん~、聞こえる~?』

「聞こえるも何も……え?」

 

 この距離で何を言ってんだ、そう言おうとして、いつの間にか束がいなくなっていることに気付いた。

 

『ISにはコア・ネットワークってのがあってね、こうやって操縦者同士で通信が出来るんだよ』

「すげぇな……どうやってんだ?」

『えっとねぇ』

 

 それから束に色々教わり、オープン・チャネルとプライベート・チャネルなるものを使えるようになった。名前の通り、通信対象が周囲の通信機器全部(オープン)か、指定した個人だけ(プライベート)かってことらしい。

 と、束が2階から降りてきた。この前の織斑さん来襲の時といい、ホント動き早ぇのな。

 

「これで学園にいる時も、束さんと連絡が取れるよ。下手にスマホとか使うと、足が付いちゃうからね」

「それもそうか。なら、お前とのやり取りは基本、ISのプライベート・チャネルだけにするか」

「それが賢明だね。っと、そろそろ時間じゃない?」

「おっと、もうそんな時間か」

 

 そろそろ出発しないと、入学式はおろか初日から遅刻になっちまう。ただでさえ目立つ立場なのに、悪い印象は持たれたくない。

 

「それじゃあ束、行ってくるな」

「行ってらっしゃい。ん……」

 

 行ってらっしゃいのキスとか、アニメやゲームの中だけだと思ってたぞ……いやまあ嬉しいけど。

 

 

――――――

―――

 

 

(あ~……居心地悪ぃ……)

 

 1年1組の教室、廊下側の前から2番目。そこが俺の席なんだが、飛んでくる好奇の視線が辛いのなんのって。

 こんな視線を受けながら生活してるであろう、動物園のパンダの気持ちが分かった気がした。

 

 ただ、そんな俺でさえまだマシな状況だったりする。

 教室の中央最前列、一番目立つであろう席に、もう一人の男子生徒が顔色悪そうに座っていたからだ。

 

(あれが織斑一夏か……ニュースでも見たが、結構なイケメンじゃねぇかチクショウ)

 

 束が言うには、妹の箒のみならず、今までにも多数の女子生徒に好意を向けられながら、その尽くを跳ね除けて(気付かずに)来たという猛者(朴念仁)とのこと。

 最初聞いた時、自分の耳を疑ったね。『箒以外もかよ!』って。

 

「全員揃ってますね~。それではSHRはじめますよ~」

 

 そうこうしていたら、担任だろうか、眼鏡をかけた女性が入ってでっかぁ!!

 え、何あの胸部装甲、束のそれに匹敵するか、下手すれば上回ってるぞおい。それでいてあの童顔と身長って。さすが日本製、『小型で高性能』ってことか。(何を言ってる)

 

「今日からこの1年1組の副担任になる山田(やまだ)真耶(まや)です。皆さん、1年間よろしくお願いしますね」

 

 パチパチと拍手の音が響き、そのままの流れで自己紹介タイムが始まった。そしてすぐ俺の番に。出席番号順で『あづま』は2番目だからね、しょうがないね。

 

「吾妻怜二です。色々あって急遽IS学園に入学することになりました。これまでISと無関係で育った完全ど素人なので、特に実習では生温かい目で見てくれると助かります。これから1年、よろしくお願いします」

 

 自分でも無難だと思う自己紹介で、まばらに拍手が上がる。昔っから俺、こういう人前で話すの得手じゃないんだよ。前世ではプレゼンとかあったから気合で頑張ってたけど。

 その後も順々に進んでいき、ある意味本命、織斑一夏の番へ。……ん?

 

「織斑君? 織斑一夏君っ」

「は、はいっ!?」

 

 山田先生に声を掛けられた織斑が裏返った声を上げた。緊張し過ぎて、頭の中真っ白にでもなってたか? あ~ほら、周りからくすくす笑いが。

 

「あ、あの~織斑君、自己紹介、してくれるかな? 『あ』から始まって、今『お』の織斑君の番なんですよ」

 

 ……先生、どうして生徒に自己紹介させようとするだけで、そんなにビクビクしてるんですか。一応校内では、教師は生徒より立場は上のはずですよ?

 

「えー……えっと、織斑一夏です。よろしくお願いします」

 

 おう、それで?

 

「以上です!」

 

――ドンガラガッシャーン!!

 

 コケた。山田先生も、他の生徒も、俺も。この教室にいる、織斑以外の全員がコケた。

 

「あ、あの~……」

 

 ほら見ろ、山田先生泣く5秒前だぞ。どうすんだよこれ。

 と、その時だった。

 

――パァンッ!

 

「いっ――!?」

 

 いつの間にか、黒スーツの女性が織斑の隣に立って奴の頭を叩いていた。

 

「げぇ! 関羽!?」

「誰が三国志の英雄だ。馬鹿者」

 

――ゴンッ!

 

 頭を叩く手が、パーからグーに変わっていた。織斑、それ関羽ちゃう、お前の姉や。

 

「あ、織斑先生、もう会議は終わったんですか?」

「ああ、山田君。クラスへの挨拶を任せてすまなかったな」

「いえいえ、これでも副担任ですから」

 

 山田先生とやり取りをしていた織斑さん――そういえば教員だって言ってたな。織斑先生と呼ぶか――が俺達の方を向く。

 

「私が織斑千冬だ。私の仕事は1組の担任として、諸君ら新人を使い物になる操縦者に育てることだ。私や山田先生の言うことをよく聞き、理解しろ。出来ない者は出来るようになるまで指導してやる。いいな」

 

 う~ん体育会系。IS自体が宇宙開発から兵器、スポーツと遷移してることを考えれば、体育会系にもなるのか?

 でもこの女子ばっかりの中で支持されるのか? と思っていたら

 

「きゃー! 千冬様、本物の千冬様よー!」

「ずっとファンでした!」

「あの千冬様に指導していただけるなんて!」

 

 凄まじい黄色い声の津波が発生しました。なんだろうこれ、前世のテレビで見た、宝塚俳優とファンみたいな?

 その反応を見て、当の織斑先生は眉間にしわを寄せてため息をついた。

 

 

 

 その後、織斑両名が姉弟であることがバレて黄色い声が再発したりもあったが、なんとかSHRは終了した。ただそのせいで自己紹介の時間が無くなり、クラスの大半の名前が分からないままなんだが……。

 

「なぁ、ちょっといいか?」

「ん?」

 

 入学日なのに普通に授業あるのかぁと思いながら準備をしていたら、目の前に織斑が立っていた。俺が接触する前に、あちらからファーストコンタクトしてきたか。

 

「吾妻怜二、で合ってるよな?」

「ああ、合ってるな」

「俺の名前は織斑一夏だ。一夏って呼んでくれ。よろしくな怜二」

「……突然下の名前で呼ぶのな。まあいいけどよ……」

 

 なんだこいつ、妙に馴れ馴れしいと言うか……さっきまでのは演技か何かか?

 

「いやぁ、怜二がいてくれてよかった! 女子相手だと、何を話したらいいのか分からなくなっちゃって……」

 

 訂正、演技じゃなかった。単純に異性ばかりでどう接したらいいか分からない環境の中で、同性を見つけて舞い上がってるだけだ。

 だけどこれ、馴れ馴れしいのは素だな。たぶん、普段からこのスタンスなんだろう。

 

「そうか。なら俺から一つアドバイスだ」

「おっ、なんだ?」

 

――ズビシッ

 

「ぐあっ!」

「相手の同意を得ずにファーストネームを呼ぶのはやめとけ。異性ならなおさらな」

「うぐぐ……! 男同士だしいいだろ……これからは気を付ける……」

 

 織斑先生、弟さんはぶん殴らず、デコピンで勘弁しておいてやります。

 

「……ちょっといいか」

「え?」

「お?」

 

 そんなやり取りを一夏としている中、さらに声が。千客万来である。

 

「……箒?」

「一夏に用か?」

「ああ、借りて行ってもいいか?」

「借りてって、俺は物……」

「俺は別にいいんだが……」

 

 周りが声を掛けようか牽制しあってる中、勇気を出したのは認めてやりたい。6年ぶりだっけ? 一夏と久しぶりに話したいってもの分かる。だがなぁ……

 

――キーンコーンカーンコーン

 

「時間切れだ」

「あ……」

 

 残念、判断が遅い。 

 

 

 

 IS理論の授業で、一夏が参考書を古い電話帳と間違えて捨てたとカミングアウトして織斑先生に叩かれた以外は、スムーズに学園生活初日が終了した。

 そしてこの初日で分かったこと。

 

 一夏と箒、こいつら面倒くせぇぇぇぇ!!

 

 校舎の屋上で、俺はクソデカため息をついていた。

 

 一夏は朴念仁だって聞いてたし、実際その通りだった。

 

『織斑君、付き合ってください!』

『いいぞ。で、何を買いに行くんだ?』

 

 こんな光景を初日の昼休みに見せられたら、ねぇ?(遠い目)

 しかも箒は箒で、一夏が好きだって分かる動きはしてるんだが、今一歩前に踏み出せず、そのまま竹刀を振り回して……ってなんでだよ!? 照れ隠しにしてもおかしいだろ!

 

「これ、本当はムリゲーなんじゃねぇのか……?」

 

 束との取引を受けたことを、ちょっぴり後悔し始めていたところに

 

「ちょっと、よろしくて?」

「はい?」

 

 落下防止用の手摺りに寄りかかって外を見ていたところを振り向くと、そこには金髪縦ロールという、いかにも貴族のお嬢様!な女子生徒が立っていた。

 

(ああ、この目……)

 

 俺を見つめる目、見覚えがあるわ。入学前、俺の家に詰めかけてた連中の一部、確か女性権利団体だっけ? あの女尊男卑バンザイな奴等、あいつらと同じ目をしてやがる。まあつまり、そういう思想の奴なんだな。

 

「訊いてますの?」

「ああ、訊いてる。それで、何か用か?」

 

 すると相手はわざとらしく

 

「まあ! 何ですのそのお返事。わたくしに声を掛けられるなんて光栄なことなのですから、それ相応の対応というものがあるのではなくて?」

 

 ……束ぇ、面倒な奴に絡まれましたどうぞー。

 ってそうだ、束で思い出した。入学前に、あいつが要注意人物だって言って渡して来た入学予定者のリスト、こいつもそれに載ってた気が……

 

「ああはいはい、イギリスの代表候補生様すごいすごーい」

「貴方、馬鹿にしてますの!?」

「正直他国の代表候補生なんて、同じクラスじゃなきゃ知らんがな、セシリア・オルコット」

 

 セシリア・オルコット、イギリスの代表候補生。

 色々端折って説明すると、数年に1回、『モンド・グロッソ』とうISの世界大会があり、その出場選手が国家代表と呼ばれている。代表候補とはその名の通り、国家代表の候補生。ISが幅を利かせているこの世界では、いわゆるエリートに当たるらしい。

 しかもこいつの自体がイギリス貴族の出で、昨今の女尊男卑思想もあって、プライドが『倍プッシュだ……!』になっているらしい。

 とはいえ、国家代表なら世界大会で見る機会もあるだろうが、その候補生、しかも他国のなんて誰が知ってるってよ?

 

「き、極東の猿がなんてことを……! これだから文化としても後進的な島国は……!」

「……」

 

 こっちを睨みつけながらぶつぶつ独り言を呟くオルコットを見せられて、俺はなんというか……イラッときた。

 どうしてそこまでディスられないといけないのか。しかもわざわざこんな、誰もいない屋上まで来て。

 

(ああそうか。こいつ、俺が男だから何をしてもいいと思ってるのか)

 

 女尊男卑の世界だから、男は女をヨイショして当然、女は男を奴隷のように扱って当然。そう思ってる奴がいるとは聞いてたが、こいつもそうだってことか。

 しかも他の連中が見ていないところを狙って。何かあれば俺が悪いと濡れ衣を被せられる状況にして。

 

 ああ、腹立つな……。こんな奴には何か――

 

 

(何かお仕置きが必要だよなぁ?)

 

 

 ……そっか。『催眠種付けおじさん』って、そういうもんだよな。

 俺の中で、可能性の獣(淫獣)が鍵の掛かった扉をぶち破る音が聞こえた気がした。

 

「もういい、少し黙れ」

「はぁ? 猿のくせに人間の言葉を――」

 

――パチンッ

 

「あ……」

 

 指パッチン(催眠術)で、散々罵詈雑言を垂れ流していたオルコットが黙り込む。

 

「そうだ、これでいいんだよ」

 

 (気の)強い女にオラッてやる(催眠をかける)こと、それがあるべき姿なんだよ。

 そして催眠に掛かったオルコット、いやセシリアに、俺は条件を設定していく。

 

「これから3つ数えると、お前は目を覚ます。3、2、1……」

 

――パチンッ

 

「……はっ! わたくしは一体……」

「屋外でぼーっとしてると風邪ひくぞ、()()()()

「そう、ですわね……心配していただき、ありがとうございます、()()()()

 

 そう言ってぺこりと頭を下げるセシリアを見て、先ほどの溜飲が下がった気がした。

 先ほどまでの傲慢さは無く、やや顔を赤らめながら素直に感謝する。これだよこれ。

 

 そしてここで満足すればいいものを、気が大きくなった俺は

 

――パチンッ

――パチンッ

 

「それじゃあセシリア、分かってるな?」

「はい……『わたくし、セシリア・オルコットを躾けてくださいニャン❤』」

 

 

――――――

―――

 

 

「やっちまった……」

 

 そして冒頭の惨状である。

 束の時は『殺されそうだったから』って言い訳出来るけど、これはダメだろう……てかなんだよ『催眠種付けおじさん』のあるべき姿ってぇぇぇ!

 

「どどどどど、どうする俺! どうすればいい!?」

 

 ままま、まずはセシリアに服を着せて……!

 

「ふぁ……」

 

 よ、よし! 外見は大丈夫! あとは……

 

――パチンッ

 

「セシリアは俺が屋上を出て行ったら目を覚ます。目を覚ましたら屋上に来てから今までのことを忘れる」

「今までのこと、忘れる……」

 

 これで証拠隠滅! "初めて"は奪ってないから大丈夫なはず! ……ちょっと尻を叩いたりしたから、目が覚めた時ヒリヒリするかもしれんけど。いやだって『女尊男卑に染まったせいでご主人様に粗相をしたセシリアを、躾けてくださいましぃぃ!』とか言われたらさぁ……。 って、思い出すな俺!

 

「あっ、あと日本を侮辱する言動は控えるようにな」

「日本、侮辱、控える……」

 

 せめてもの償い(身勝手)で、今後クラス(半分が日本人)の雰囲気が悪くならないよう暗示を追加して、俺は逃げるように屋上を後にしたのだった。

 

 

 

 

 そうして、ムカついたからと一人の女にやらかした罪悪感でヨロヨロと校舎を出る直前の俺を、山田先生が呼び止めた。

 

「はい、寮の部屋の鍵です」

「え?」

 

 渡された鍵を反射的に受け取ったが、部屋割りで揉めてたって話は? 調整が終わるまで、俺と一夏は自宅通学って言ってたじゃん。

 

「それなんですが、事情が事情なので無理矢理部屋割りを変更したそうです」

「事情って……もしかして、通学途中に拉致られないように、とか?」

「それはぁ……」

 

 うん、この先生嘘つけねぇな。

 

「とにかく、政府特命で吾妻君も織斑君も、今日から入寮してもらうことになりました」

「はぁ……分かりました。確かIS学園の寮って2人部屋でしたよね? まあ一夏がルームメイトならさほど問題は……」

「え?」

「え?」

 

 ちょっと待って山田先生。どうしてそこで首を傾げるの? この学園、俺と一夏しか男いない、だから2人部屋にまとめる当然、OK?

 

「実は急遽部屋割りを変更したせいでですね……吾妻君と織斑君は別々の部屋に……」

「ファッ!?」

「織斑君は別の生徒と相部屋で、吾妻君は物置だった部屋を改装して……」

「も、物置……」

 

 俺だけ物置住みか、チューチュー。

 

「あ、でもでも! 吾妻君は一人部屋ですよ! しかも元は物置だったので、他の部屋よりも広いですし!」

「うっ! それならまだ納得できるか……あ、着替えとかは」

「それは安心してください。ご実家に連絡したところ、すぐに荷物一式を送ってくださいましたから」

「実家から?」

「はい、そうですけど……何かありました?」

「いえ……」

 

 山田先生が普通なところを見ると、束がうまく誤魔化して対応してくれたのだろう。まったくいい女だ。いい女……あっ(オルコットのことを思い出して凹む)

 

「吾妻君? 大丈夫ですか?」

「だ、大丈夫です。ちょっと新しい環境に慣れてないだけで……」

 

 それだけ言うと、俺はこれ以上変なところを探られないよう、学生寮がある方へ歩いて行った。

 

 

 

 そして学生寮に到着し、なんか一夏と箒が鬼ごっこ(木刀付き)をしているところを横切り、キープレートに書かれた番号の部屋の前まで来た。

 

「山田先生は、他の部屋より広いって言ってたけどなぁ」

 

 一人部屋で他より広いとか、逆に居心地悪くね? とか思いつつ、鍵を開けて中に入った。

 

 寮部屋だからそこまでと思っていたが、俺の予想を大きく上回っていた。

 入ってすぐ右手側には小さなキッチンがあり、左手側のドアを開けると脱衣所が。その脱衣所から見えるドアは、シャワー室だろうか。

 さらに奥へ進むと、勉強机とベッドが鎮座している。他の部屋の作りを流用しているからだろう、机とベッドがそれぞれ二つずつ並んでいる。

 

「言ってた通り、かなり広いな。ビジネスホテル以上だ」

 

 これなら3年間住むのにも不自由は無さそうだ。けどなぁ……

 

「やっぱ一人でこの広さは寂しいもんがあるな……」

「だいじょ~ぶだよ! れっきゅん一人じゃないから♪」

「え……」

 

 とうとう幻聴が、と思った瞬間、壁際の風景がぐにゃりと歪み、そして――

 

 

「たはは~……急に寮暮らしになるって聞いてね、やっぱりれっきゅんと離れ離れは嫌だから、付いてきちゃった☆」

 

 

「束……」

「お、おお!? れっきゅんから抱き締めてくれるなんてっ!……れっきゅん、まだオラッてやった(催眠をかけた)罪悪感があるのかい?」

「なんだよ、見てたのかよ……ある、かもしれない」

「まあ仕方ないか。なら、セシリアだっけ? あの子はれっきゅんが責任持ってハーレムに加えないとね」

「結局そういうオチになるのかよ……」

 

 束の提案はセシリアからしたら身勝手極まりないものだったが、それでいいのかもと思った俺は、死んだら地獄に落ちること確実だな。

 

「そうしたら束さんもお供するよ。れっきゅんと一緒に、地獄の閻魔相手に国盗りじゃー!」

 

 

 

 

 

<今日の一夏>

 

「この、不埒者がぁぁぁぁ!!」

「悪かった! 部屋のドア開ける前にノックしなかったのは謝る! だから木刀振り回すのはやめろぉぉぉ!!」




オリ主、中途半端に一般人思考だから、変に罪悪感とか持って大変です。(書くのが)

今更だけど、タイトルに『種付けおじさん』入れたの失敗だったか……? これじゃあオリ主、セシリアに催眠セクハラだけして逃げたTDNヘタレクズじゃん。あ、束の時もそうだっけ。

今後で何とか軌道修正を……出来たらいいなぁ(遠い目)
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