IS ~インフィニット・催眠種付けおじさん~   作:シシカバブP

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予定より1日遅れで投稿です。


第41話 新しい部屋、そして……

「やっほ~、織斑君、篠ノ之さん」

 

 2時限目が終わった後の休み時間、1年1組に現れたのは……確か黛先輩だっけ? 一夏のクラス代表就任パーティの時にやって来た新聞部の。

 

「どうしたんですか?」

「いやぁ、実は二人にお願いがあってねぇ」

「お願い? 私と一夏にですか?」

「そう。実は私の姉が出版社に勤めてるんだけど、専用機持ちの二人にインタビューさせてくれない? あ、ちなみにこれがその出版社で出してる雑誌ね」

 

 そう言って先輩が机の上に置いた雑誌は、どうみてもモデル雑誌だった。あれ、さっき専用機持ちの二人にインタビューって言ってなかったっけ?

 俺が横で首を傾げると、当の本人達も同じように首を傾げていた。

 

「怜二君、専用機持ちって普通国家代表かその候補生だから、国の顔というか、タレント的な面もあるんだよ」

「ああ、なるほど」

 

 清香の説明に納得。あっちの二人も先輩から説明を受けているが、一夏は微妙な顔。

 

「箒、どうする?」

「断る。見世物になるなど、私の主義に反する」

「まあ、箒ならそう言うよな。というわけで――」

「ちなみに報酬は……じゃん! この豪華一流ホテルのディナー招待券よ! もちろんペア」

「受けましょう」

「箒!?」

 

  凄まじい高速掌返しに、一夏が唖然とした顔で箒の顔を見る。

 

「何事も経験ですので」

「そう? よかった~」

「ほ、箒? お前の主義とやらは?」

「柔軟な思考というものも、時には必要だ」

「……本音は?」

「一夏とデートして、その後は……デュフフ」

「……」

 

 諦めろ一夏、それがお前の嫁だ。つーか箒の奴、完全に本性を現してるな。周りも『ああ、またか』みたいな顔しかしないし。

 

「じゃあ決まりね。織斑君もいいわよね? 次の日曜に取材だから、この住所で午後2時に集合でよろしく~!」

 

 そう言って一夏にその住所の書かれた紙を握らせると、先輩は颯爽と去っていった。

 それと入れ替わりに、千冬さんと真耶さんが。

 

「あれは、新聞部の黛さんですねぇ」

「何かあったのか?」

 

 そう聞かれた(教室の入口に一番近い)清香が、さっきまであったことを説明すると

 

「そうか。篠ノ之、外出許可の備考に取材だと記載しておけ。多少の門限オーバーには目を瞑ってやる」

「ありがとうございます!」

「えっ、ちょっと千冬ね「織斑先生だ(ゴンッ!)」ぎゃふっ!」

 

 もはや形式美とも言える織斑姉弟のやり取りを経て、何事もなく3時限目の授業が始まるのだった。

 

 と思っていたんだが、授業終了5分前でまさかの爆弾が投下された。

 

「あっ、そうでした。吾妻君」

「はい?」

「放課後、お引越しです」

「はいぃ!?」

「えっと、それって……」

「わたくし達も……」

「はい、皆さん一緒です♪」

 

 引っ越しって、あの寮を増築ってやつだよな? まさか……

 

「せんせー、吾妻君達が引っ越しって、寮を出るってことですか?」

「違いますよ谷本さん。先ほど学生寮の増築が完了したので、そちらに移ってもらうという意味です」

「え……?」

 

 クラス全員が、真耶さんの説明を聞いて固まった。

 

「いやいやいや! 寮の増築って、工事してる気配なんてなかったじゃないですか!」

「もしかして、今の寮とは別の場所に?」

「あっ、なるほどぉ」

「いいえ、今の寮の隣に建ってますよ」

 

「「「「えぇぇぇぇぇぇ!?」」」」

 

 まあ、そんな反応になるよなぁ。俺も束っていうチートキャラを知らなきゃ、同じ反応してたと思う。

 というか、今朝寮を出た時は何も無かったはずなんだが……あいつ、1日どころか半日以下でやりやがったのか?

 

「放課後は元の部屋で荷物をまとめて、新棟に移るように」

「織斑先生、新棟に移るのは吾妻君達だけなんですか?」

「そうだ。今後は分からんが、現時点では吾妻達を隔離する目的に使用する」

「あっ、やっぱり隔離なんですね」

 

 前までは咳払いしたりしてたのに、もう隔離部屋って隠す気も無くなった?

 

 

――――――

―――

 

 

 午後のIS実習。なぜか俺と蘭ちゃん(訓練機)が模擬戦をするという話になった。

 

「やっと五反田を訓練機に乗せる手続きが済んでな」

「はぁ」

「ずいぶん時間がかかりましたね。確か2学期に入ってすぐだったから、かれこれ2ヵ月近くですか」

 

 お役所仕事だから仕方ないとはいえ、ホント時間かかったな。それで、対戦相手が俺である理由は?

 

「程よい強さだからだ」

「はい?」

「他の生徒達だと力量の差が少ないせいで、手加減できずに弱い者イジメになる」

「一夏や、セシリア達は?」

「織斑はダメだ。雪片弐型だけの奴と戦ってどうなると?」

「へぶぅ!」

 

 実姉にダメ指定されて潰れちまった。

 

「オルコット達は逆に強過ぎて、それこそ弱い者イジメだ」

「つまり、いい勝負になる対戦カードが俺しかいないと」

「次点で相川と言ったところか」

 

 その相川も、他の生徒と大差ないだろうがな。と付け加える。そこまで説明されたら、拒否れないですよねぇ。

 というわけで、アリーナの中央で打鉄に乗る蘭ちゃんの前に立って、紫電を展開した。

 

「怜二さん、胸を貸してもらいます!」

「ああ、そこまで実力はないけどな」

 

 お互いアサルトライフルを展開すると、真耶さんの開始の合図とともに

 

――ガガガガッ!

――ガガガガッ!

 

 銃撃戦が始まった。

 

「蘭ちゃん、普通に動いてるんですけど!?」

「あっちの学校の特別授業で1度乗ってますから!」

 

 1度って、それでこの動きかよ! やべえぞこれ!

 

「そういう怜二さんだって、さっきから全然当たらない……!」

「それこそこっちだって、伊達に専用機乗り続けてないからな!」

 

 ただ、動きながらの射撃がヘタクソすぎて、蘭ちゃんと同じように有効打がほぼ無いけど。

 そうしてお互い撃ち合いながら動き回っていると

 

「そこまでだ!」

 

 千冬さんの号令で、模擬戦は勝ち負け決まらず終了となった。

 

「蘭ちゃんすご~い!」

「吾妻君とあれだけ戦えるなんて!」

「え、えへへ、ありがとうございます……///」

 

 蘭ちゃんは女子生徒達から称賛され、

 

「蘭ってあんなにIS乗り回せてるのか……」

「むむむっ……」

 

 一夏と箒は、専用機持ちとして危機感を募らせ、

 

「二人とも、あれだけ戦えるとは思ってなかった……」

「織斑先生!?」

 

 千冬さんにがっつり過小評価されてることを知って、俺はorzっていた。アンタどれだけ俺の(実技の)成績に興味ないのさ。

 

「怜二君、私達はちゃんと分かってるからね~」

「そうですわ……って清香さん! なにドサクサで怜二さんの手を胸に持っていってますの!」

「かーっ! 卑しか女ばい!」

「シャルロット? それはどこの言葉だ?」

 

 ラウラ、そこは追及しなくていいんだぞ? ただの"お約束"ってやつだから。

 

 

――――――

―――

 

 

 そんな午後の授業も終わり放課後。寮に戻って来た俺達が見たものは――

 

「「「「マジかぁ……!」」」」

 

 今朝見たままの学生寮がある。それはいい。問題は、その隣に全く同じ――訂正、入口のドアだけが無い――建物が建っていたことだ。というか、二つの建物がピッタリくっ付いていた。

 そして俺を先頭に入口から入ってみると、今朝まで壁だった突き当たりに奥が……。

 

「どうも、そこから隣の棟に行けるらしいな」

「ほ、本当に増築されてるよ……」

「あれ? 突き当たりの部屋……寮長室と寮監室!? 織斑先生と山田先生の部屋ってこと!?」

「完全に監視されてるね、吾妻君……」

 

 一緒に付いてきていた谷本さん達から、同情の視線が……。事情を知ってるからいいんだけど、それでもその視線は刺さる……。

 

「怜二さん、早く荷物を運びませんと」

「そうだよ。後で織斑先生が来た時に終わって無かったら怒られちゃうよ」

「お、おう」

 

 セシリア達に催促されて、俺も(旧)部屋に戻って荷造りを始めることになった。とはいえ、俺の荷物ってほとんど無いんだよな。どっちかっていうと

 

「おかえり~。束さんの荷物はもう搬出済みだよ♪」

「それはよかった。お前の荷物が一番量があるからな。次がセシリアで」

「れ、怜二さん! それは言わないお約束ですわ!」

 

 そんなプンスカ怒ったって、実際セシリアの私物が多いんだからな? 最初天蓋付きのベッドを運ぼうとしてきた時、清香と二人口をアングリ開いて固まっちまったし。

 その横では、シャルとラウラが机の上や中に入っているものをまとめている。ベッド下の収納スペースもまとめ終わってるのか、スーツケースがベッドの上に鎮座している。

 

「ラウラ、お願いだから刃物はちゃんとケースに仕舞っておいてね……」

「うむ。今度調達しておこう」

 

 引き出しの中から剥き出しの大型ナイフを取り出したラウラ(覚醒)を見て、ゲンナリするシャル。俺もゲンナリしそうだ。なんで机にナイフ入れてるんだよ……。

 そうして1時間もすれば、備え付けのもの以外は全て無くなり(五反田母娘の私物は無い、そもそも二人には別部屋があるから)、各自荷物を持って隣の新棟へ。そこには千冬さんが立っていた。

 

「えっと、なんで仁王立ちを?」

「他の連中が入っていかないようにな。お前達を隔離するために用意したのに、出入り自由では意味がなかろう」

「はぁ」

 

 その設定、まだ生かすんスね。他の生徒達が、遠巻きにこっちを見てるのはそういうことね。

 

「ほら、ここが新しい部屋だ」

 

 そう言って俺達分の鍵を渡してきた。……ん?

 

「先生、なんですかこの『0000』って」

「こんな番号の部屋、旧棟にはありませんよね?」

「それはな――」

「お、お待たせしました~!」

 

 奥からドタバタと真耶さんが走ってくる。って、なんか自動ドアみたいに通路が塞がったんですけど。

 

「山田先生、セキュリティの準備は出来ましたか?」

「はい!」

「えっと、先生? 今通路が……」

「ああ、そこのドアですね。新棟と旧棟は、専用の鍵が無いと開閉しないようになっています。吾妻君達が持っている、その鍵です」

 

 真耶さんに手招きされて通路の方に行くと、壁にカードリーダーみたいなものが。そしてさっきもらった鍵をよく見ると、キーホルダーがカードになってるのか。これで開けろってこと?

 試しにカードをリーダーに通してみると、スーッとさっきの光景を逆再生したかのように壁が無くなって、奥の通路が見えるようになった。

 

「これ、織斑先生達の見張りは要らないんじゃ……」

「かもな。しかしハッキングでもされたら問題だ。私と山田先生はそのための抑止力でもある」

「(それに、ここに部屋がある方が怜二君に会いにいきやすいですし❤)」

「(結局そこに行きつくんですか)」

「~♪」

 

 ニッコリ笑顔の真耶さんに、相変わらず誤魔化すのがヘタクソな千冬さん。完全なる職権乱用である。俺が言えた義理じゃないけど。

 

「さあ、ちゃっちゃと荷物を運べ」

「私が部屋まで案内しますね~」

 

 荷物を持った俺達が、真耶さんに案内された先、そこは……うん、俺の記憶が確かなら、ここって旧棟の食堂に当たる場所では?

 

「はい! これからもハーレムが増えることを想定して、一番広い区画を用意しました!」

「もうこれ、広いってレベルじゃないですよ」

「わたくしのベッド、持って来てもよろしいかしら……」

 

 思わずセシリアがそう言ってしまうぐらい、その部屋は広かった。

 1学年全員が食事できるスペース+厨房分の広さだぞ、一体何人ハーレムが増えるってさ。まさか3ケタもいかんだろ。束の大荷物(隠し部屋からも持って来たであろう、機材やらなんやら)がすでに置かれているが、それでも部屋全体の2割やそこらだ。俺の感覚的に、やっと厨房分が埋まった感じか。

 

「と、とにかく荷物を置こう。ね?」

「そ、そうですわね」

「賛成賛成。後で鈴達の荷物も来るんだし」

 

 シャル、セシリア、清香が次々に発して、まずは備え付けのベッドと机に荷物を仕舞うことに。

 その後、鈴と五反田母娘、刀奈さんと虚さんもやって来た。みんな最初は『なにこの広さ……』とドン引きしていたが、正気に戻ったら粛々と荷物を仕舞っていった。

 

「ところで本音ちゃんは?」

「本音は抜けるのが難しいかと。あの子の同室は……」

「ああ……そうだったわね」

 

 ん? 本音のルームメイトがどうしたって?

 

「本音のルームメイトなんですが……お嬢様の妹なのです」

「妹? 刀奈さんの?」

「ええ、簪ちゃんっていうんだけど……」

 

 刀奈さんが端末を見せてきた。そこには刀奈さんと同じ青髪で、眼鏡を掛けた女の子が……ん? 青髪で眼鏡? なんか清香とかなりんの会話を思い出して……あっ、そうだ!

 

「もしかして、1年4組の生徒だったりします?」

「知ってたの!?」

「いやいや、前に4組のクラス代表の話が出てきて」

「そうなの……」

 

 え~っと、どうしてそこでまた暗くなるんです……?

 

「なら、簪ちゃんが代表候補生なのも知ってるわよね?」

「ええ。専用機持ちなんですよね」

「それが……専用機が無いの」

「はい?」

 

 専用機持ちなのに、専用機がない? なんだその謎かけみたいなのは。

 

「日本の代表候補生なんだけど、まだ専用機が完成してないのよ」

「マジっすか……でも、最近代表候補生になったってわけじゃないですよね」

「違うわ。本当なら1学期中に渡されるはずだったんだけど……」

 

 そこまで言って、刀奈さんがワシャワシャと頭を掻きむしり始めた。ええっ!?

 

「あんの倉持技研っ! 何が『白式の解析を優先するため、打鉄弐式の開発は無期限凍結となった』よ! 候補生とはいえ、自国の代表なのよ! その専用機より優先ってぇぇ……!」

「それは酷い。で、そうなるとどこが開発を引き継いだんですか?」

「どこもよ」

「……パードゥン?」

 

 えっ、今何と? 俺の耳がおかしくなってなければ、新しい引き取り先も決めずに仕事を放棄したって聞こえたんですけど。

 

「その通りよっ! 連中、簪ちゃんの専用機――打鉄弐式――の引継ぎ先すら決めずに放棄したのよ!」

「ええ……」

「それ、企業としていいの……?」

「いえ、ダメですわ……」

僕のところ(デュノア社)より、よっぽど経営リスクが高いことしてるよ……」

 

 横から聞いてた面々も、倉持技研のウルトラC級バカに唖然としている。一夏悪い。俺の専用機、倉持技研製じゃなくてよかったと心の底から思ってる。そんな会社、いつサポート切られるか分からんくて安心して乗れねぇよ。

 

「れっきゅぅぅん……」

「あら本音ちゃん、やっと来た……え?」

 

 本音の声に振り向いた刀奈さんが固まる。少しして、刀奈さん以外の俺達も固まった。

 

 

「ごめんね~、つけられちゃったよ~」

「やっぱり、ここが……」

 

 

 本音の後ろから、さっき刀奈さんに見せられた画像と同じ人物が姿を現した。そう、刀奈さんの妹、更識簪が。




箒の掌ドリル。なお原作ママ。
一夏が種切れするのが先か、箒が出産するのが先か。

オリ主vs蘭。文字数稼ぎですね、はい。(ぶっちゃけ)
同じIS適性Aなら、それなりにいい勝負しそうだと思ってこの対戦にしました。
あとシャルは平常運転。

さっそく部屋替え。タバンニが半日でやってくれました。
もうね、最初から広い部屋にしちゃえばいいんだよ。というわけで食堂と同じ広さに。……1年生全員お手付きにならない限り、埋まることはないよね?


次回、簪暴走。(すでにしてるけど)
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