IS ~インフィニット・催眠種付けおじさん~   作:シシカバブP

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スランプ気味の時に、ノリと勢いだけで書くとこうなるっていう典型例。


第42話 簪暴走(色んな意味で)

「……」

「……」

 

 学食にあったような6人掛けのテーブルに、俺と布仏姉妹、そして更識姉妹が座ったものの、全員がだんまりして時間だけが過ぎていく。

 セシリア達も声を発せず、他のテーブルに座ってこちらを窺うだけに留まっていた。……束だけが、ニヤニヤしながらベッドの上に寝そべってるが。

 

「か、簪ちゃん?」

「まさか、お姉ちゃんまでここにいるとは思わなかった……」

「おぐっ!」

 

 刀奈さん、取り付く島もなくあっけなく撃沈。っていうか姉妹でその雰囲気は何なんだよ。

 

「えっとね~……」

 

 困り顔の本音曰く、妹の簪は姉の刀奈さんと比較されることが多く、優秀な姉にコンプレックスを抱いていたそうな。そのため、姉妹仲がよろしくないらしい。

 それでも、いつか姉に追い付こうと努力して、日本の代表候補生にまでなったんだと。すごいな。

 

「でも、お姉ちゃんにとって私は……」

「……刀奈さん、何かした?」

「えぇっ?」

「更識家の当主を継いだ日、お姉ちゃん、言ったよね……『貴女は何もしなくていいの。私が全部してあげるから。だから貴女は――』」

 

 無能なままで、いなさいな。

 

「い、いいいいい、言ってない! そんなこと言ってないからっ!!」

「ですがお嬢様、確かあの日、簪様とお話ししていたはずですが……」

「確かに簪ちゃんと話したわよっ!? けど私が言ったのは『貴女は更識の務めなんて(何も)しなくていいの。これは当主である私の務めだから(私が全部してあげるから)。だから貴女は何も気にせずいてちょうだい(無能なままで、いなさいな)』って言ったのよ!?」

「え……?」

 

 刀奈さんの反論を聞いて、簪が目を見開いて固まった。えっと、これってもしかして……

 

「姉に対するコンプレックスでネガティブ思考になってたことによる、聞き間違え、というか脳内変換された……?」

「その、ようですね……」

「かんちゃん……」

「あ、あああああああああっ!!///」

 

 年単位での自爆を身内どころか部外者の俺達にも知られた簪が、顔を真っ赤にして絶叫した。これは恥ずかしいわぁ……黒歴史決定だろ。

 

「あのぉ、こんなになるまで、刀奈さんは何か手を打たなかったんですか?」

「そ、それはぁ……」

 

 明後日の方を向く刀奈さんを、部屋の全員がジト目で見つめる。

 

「なにやってるのよ……」

「腹割って話せば、まだどうにかなっただろうに……」

「これは酷い」

「いやぁ、ドロドロの姉妹関係だねぇ☆」

「束、お前も人のことは言えんだろう。箒とはあれ以来話をしたのか?」

「おごぉぉっ!」

「えっ、織斑先生……? そ、それに2組の、ええっ!?」

 

 束を仕留めた千冬さんと一緒に、真耶さんとナタルさんも部屋に入って来たことで簪の処理能力が限界を突破したらしく、『え』を連呼し始めた。

 

「まさか、先生方まで吾妻君の……?」

「そうだ。ここにいるのは全員、怜二の女だ」

「ファーッ!?」

「いやまあ、普通驚くよなぁぁぁぁぁ!?」

「怜二君!?」

「ちょっと簪ちゃん!?」

 

 奇声を上げた簪に胸倉を掴まれた。ちょっとどういうこと!?

 

「すごいっ! やっぱり噂は本当だった!」

「う、噂?」

「『吾妻君はハーレムを作ってる』とか『ハーレムに入ったら、願い事を叶えてくれる』ってやつ!」

「なんだそりゃぁぁぁぁぁ!?」

 

 どっからそんな噂が出てきたんだよ!

 

「でも実際怜二君、グリ姉とかの願い事叶えてるからね」

「言われてみれば……」

「それがどこからか、噂として流れたのでしょう」

 

「だからお願いっ! 吾妻君のハーレムに入るから、打鉄弐式の開発に手を貸して!!」

 

「バッカじゃねぇのぉ!?」「簪ちゃぁぁぁぁぁん!?」

 

 真剣な顔でトンデモ要求する簪に、今度は俺と刀奈さんが絶叫した。他のメンバーは絶句するしかない。

 自分を身売りしてまでお願いすることがそれかよ! っていうか身売りをするなっ!

 

「いいね~、採用♪」

「おいぃぃぃ!?」

「束さん!?」

「束って……もしかして、篠ノ之束博士!? 吾妻君はこんなすごい人までハーレムに囲ってるの!?」

「かんちゃんがあんな活き活きした顔、久しぶりに見たかも~……」

 

 いや本音、重要なのはそこじゃないから。

 

「それで、倉持技研とやらから未完成品を引き取ったんだっけ?」

「は、はい!」

「それ、向こうに返しちゃって」

「はい!……はい?」

 

 束の指示に目が点になる簪。そりゃ、IS開発するのにISを返せって訳分からんよな。

 

「君がれっきゅんのハーレムに入った暁には、束さんが新しいISを用意してあげよう」

「ほ、本当ですか!?」

「ホントホント。けどいいの? れっきゅんのハーレムに入るってことは、れっきゅんと『あ~んなこと』や『こ~んなこと』をすることになるけど」

「そ、そうよ簪ちゃん。もっときちんと考え直して……」

 

「やります!」

 

「ちょっとぉぉぉぉぉ!?」

 

「それぐらいのリスクを負わないと、お姉ちゃんには勝てないから……!」

「か、簪ちゃん……」

「いや、それはどうなんだ?」

 

 姉に勝つって、それで自分の中のコンプレックスを払拭したいんだろうけど、そのために自分を売るってダメだろ。

 

「れっきゅんもいいよね?」

「れっきゅぅぅん……」

「怜二君……」

「いや、俺は賛成も反対もないんだが……本当に諦める気、ない?」

「ない。貴方に辱められてでも、私は専用機が欲しい」

「辱めって……なんか俺が悪党みたいな言い方はやめてくれ……」

 

 こいつの頭ン中で、俺は一体何をしてんだよ……エロいことか。

 

「そうと決まれば、さっそく準備をしようか☆ ほら、セッシー達も手伝って♪」

「はぁ……」

「引っ越し初日からこれだもん。やっぱり部屋広くて正解だったね」

「うん。この調子だと、ここも手狭になったりするんじゃないかな?」

 

 束に指示されて、みんながベッドを1台だけ隔離するように移動させ始めた。つまり……そういうことだな。

 その流れに簪も察したのか、黒歴史の時より顔を赤くして俯いてしまった。

 

「か、簪ちゃん? まだ引き返せるわよ?」

「もう決めた。けど……吾妻君」

「おう」

 

「や……優しく、してね……?///」

 

 ……そんな上目遣いで言うとか反則だろう。というわけで、椅子に座っていた簪をそのままお姫様抱っこ。

 

「えっ、ええっ!?///」

「怜二君、やる気になりましたね♪」

「うむ。そうやってどんどん増やしていけ」

「あらあら♪」

「先生達が誰も止めないんですけどぉ!?」

 

 最後の砦(だと勝手に思い込んでいた)教師陣が止めるどころか煽る姿を見て、刀奈さんが座ったまま崩れ落ちた。

 

「はいれっきゅん、準備万端だよ♪」

 

 そう言う束の言う通り、部屋の奥に衝立で囲まれたベッドが鎮座していた。さっきのテーブルから距離もあるし、まあマシってところか。

 お姫様抱っこしていた簪をベッドの上に降ろすと、

 

「これが最終確認だ。後悔しないか?」

「うん……///」

 

 

 

「あぁぁぁぁ!❤ 吾妻君、これすごいよぉぉぉぉぉ!❤ おっぱい揉まれて、こんなに気持ちいいなんてぇぇぇぇ!❤」

「んきゅぅぅぅぅ!❤ 吾妻君のハーレムに入って良かったぁ❤ もっと、もっと気持ちよくしてぇぇぇぇ!❤」

 

 

 

「か、簪ちゃんが、あんなに乱れた声を……」

「いやぁ、素晴らしい逸材を得たみたいだね☆」

「これ、お尻叩かれた時のセシリア並みだよね」

「清香さん? どうしていつもわたくしを比較対象にしますの?」

 

 

 

 外野の声を聞こえないくらいに、簪の喘ぎ声はすごかった。そして"初めて"のはずなのに、本能だけで自分や俺が気持ちよくなるような動きをするのだ。え、エロいぞこいつ……いくら久々にイーグル師匠が火を噴いたからって。

 そして簪と致すことなんと2時間。えっ、本当にそんなに経ったの?

 

「ハーレムに入って正解だった。こんなに気持ちよくて願いまで叶うなんて」

「す、すごいこと言ってるよ……」

「簪様、心なしか肌もツヤツヤに……」

 

 最初部屋に入って来た時の張り詰めた空気はなく、覚醒が解けたラウラ並みにニッコニコの簪がそこにいた。

 そんな簪は満足気な顔を束に向ける。

 

「これでいいんですよね?」

「OKだよ♪ それじゃあさっそく明日から、かんちゃんの専用機を準備しようか。あっ、ちゃんと粗大ゴミはゴミな連中に返しておくようにね」

「はい」

「そ、粗大ゴミ……」

「お姉ちゃん、あれって『未完成のISを、倉持技研に返してこい』って意味だよね……」

「そうでしょうね」

 

 未完成とはいえ、ISをゴミ扱いする束に顔を引き攣らせる生徒会の面々。鈴達は束との付き合いも長いから、『まあ束さんだし』ぐらいの反応だ。まだ日が浅い乱も引き気味だ。

 

「えっと、これでいい感じに落ち着いた、のかな?」

「そうだろうな」

「やぁやぁ! グリ姉がやってきたよ~! ってあれ、新しい子!?」

「あ、あのむぐぐぐぐぐぐぐっ!!?」

「グ、グリフィンさん! そんな簪様を抱き締めたら、胸で窒息してしまうわよ!」

「簪ちゃぁぁぁん!!」

 

 遅れてやって来たグリフィンに開幕ハグされて死にかけてるんだが……簪、強く生きろ。

 

 

――――――

―――

 

 

――???side―― 

 

 アメリカ西海岸のとあるマンションの一室。私は幹部会からの指令を受領して頭を痛めていた。

 

「確かに、オータムやエムを欠いた状態ではこれしかないでしょうけど……」

 

 秘密結社『亡国機業』の実働部隊である私達『モノクローム・アバター』は今、危機的状態にあった。

 2度に渡りIS学園で行われるイベントを襲撃した結果、オータムとエムを失ってしまった。正確には死んでいないけど、敵方に捕縛されたのだから死亡判定だろう。

 そのせいで、元々少数精鋭だったモノクローム・アバターは戦力が半減してしまった。秘匿性ゆえ、そう簡単に人員を増やせもしない。それでも指令はやって来るのだ。

 

「潜入中のレインを使うしかない、わね……」

 

 レイン・ミューゼル。ダリル・ケイシーという偽名でIS学園に潜入している、私、スコール・ミューゼルの姪。

 彼女を動かして、今度こそ織斑一夏の情報、あわよくば彼のIS『白式』を奪取しろというのが幹部会からの指示だった。

 幸いと言うべきか、IS学園では近々専用機持ちだけのタッグマッチとやらを催すらしい。そのタイミングを狙う。

 

 以前、篠ノ之博士が放棄した拠点から奪った無人機。あれのコピー機体を第1陣として送り込む。もちろんこれは囮、学園の目を逸らすためのものだ。

 コアも載っていない欠陥機だけど、襲撃は襲撃だ。おそらくタッグマッチは中止になるはず。その後はどう転ぶかによって展開は変わる。

 とはいえ、避難を指示されるにしろ、迎撃に加わるよう指示されるにしろ、隙を見てレインが彼を背後から襲えばいい。あとは無人機モドキを自爆でもさせて、その隙にレインを撤退させる。

 

(粗が多い作戦だけど、現状これが最良手ね)

 

 オータムとエムがいれば、もっとまともな作戦が練れたのに……そう思いながらも、私は秘匿回線を使ってレインを呼び出すのだった。

 

――スコールside end―― 




簪、まさかの勘違い。
「原作でも私、あんなこと言ってないからね!? 簪ちゃんの妄想だからね!?」

今日もハーレムが増える。
簪みたいな子は、一度経験すると開放的になるという妄想。

亡国機業、性懲りもなくまた動き出す。
スコールとしては、姪を戦わせることに良心の呵責とかはありません。ただ、せっかく潜入させたのに勿体ないなぁぐらいは思ってます。


次回、『タバンニが一晩でやってくれました』
「明日から準備すると言ったな? あれは嘘だ」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
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