IS ~インフィニット・催眠種付けおじさん~   作:シシカバブP

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更新遅れてすまん……すまん……


第47話 全学年合同タッグマッチ③

「疲れた……」

「もう寮に帰って寝たい……」

「だ、ダメですわ鈴さん、まだ試合が……」

「そういうセシリアも、もうよれよれじゃん……」

 

 無人機の残骸を何とか回収して観客席に戻ってみれば、すでに第3から第5試合が終わっていた。

 

「それで、誰が勝ち残った……って、見れば分かるか」

「うぐぅ」

「いくらシードとはいえ、生徒会長が相手は反則だろう……!」

 

 一夏が凹み、箒がグチグチ言っているが、つまりはそういうことだ。シャルとラウラもここにいるってことは、第3試合で勝った刀奈さんと乱のペアとぶつかって負けたんだろう。

 第5試合の勝者は……簪とグリフィンか。ISを展開してアリーナにいるってことは、このまま決勝戦をやるんだな。

 

「おっ、乱達が出て来た」

 

 タッグマッチ決勝戦は、更識姉妹の戦いって感じになっていた。真剣な眼差しで見つめ合う二人に、乱とグリフィンは『これどうしよっか?』とアイコンタクトを交わしてるようにも見える。

 

「お姉ちゃん、やっと私の力を見せる時が来たよ……」

「ええ、簪ちゃんと打鉄弐式の力、試させてもらうわ。……それと、グリフィンちゃぁぁぁん?」

「はひぃ!」

「今回は邪魔したらダメよぉ? 分かってるわよねぇ?」

「も、もちろんですっ!」

 

 刀奈さんの目が笑ってない笑顔を向けられて、グリフィンの首が水飲み鳥のようにカックンカックン上下に揺れる。どんだけすごい"お話"したのやら……。

 そうしてる間にも4人とも武装を展開する。そして……試合開始のブザーが鳴った。

 

「グリフィンさん、今度フレンドリーファイアしたら承知しませんからね!」

「分かってるから!」

「乱ちゃん、グリフィンちゃんに注意してね!」

「分かってます! 流れ弾が行かないようにですよね!」

「私ってそんなに信用ない!?」

 

 あるとお思いで? と、そんなことはいいや。

 刀奈さんと簪、乱とグリフィン。決勝戦も1対1の戦闘が2ヵ所で行われた。う~ん、タッグマッチとは一体。

 

――ドォン!

――ドドドドッ!

 

 簪の荷電粒子砲と、刀奈さんのランスから撃ち出されるガトリングの応酬が始まった。

 

「さて、それじゃあ私達も始めましょうか」

「はい。……フレンドリーファイアは」

「だからしないってぇ!」

 

――ブォンッ!

 

 グリフィンのIS、もしかして格闘戦用なのか? 今、思いきり乱の顔面に蹴りが入りそうだったんだが。

 

「あ、ISで蹴りとか野蛮すぎますよ!」

「野蛮とは失敬な。私のテンカラット・ダイヤモンドはそういう機体なんだもん」

 

――ブォンッ!

 

「あぶなっ! アタシの頭はボールじゃないんですよ!」

 

――ドゴォォンッ!

 

「うわっ! そっちの砲撃の方が野蛮だと思うな!」

 

 互いに文句を言い合いながらも、結構いい試合してるなあの二人。と、更識姉妹の方は……

 

「はぁ……はぁ……」

「強くなったわね、簪ちゃん。でも、私もこれでロシアの国家代表なのよ。そう簡単には負けてあげられないわ」

 

 肩で息をしている簪に対して、刀奈さんの方はまだ余裕そうだ。SEの残量も倍近く差があるし、これが代表と候補生の差ってやつなのかもしれない。

 

「まだ……まだ終わってないよ、お姉ちゃん!」

 

――バカンッ

 

「山嵐、全弾発射!」

 

――ドドドドドドドッ!!

 

「出たっ! 48発の誘導ミサイル!」

「簪、とうとう切り札を……ってええぇぇぇ!?」

 

「なあセシリア、俺には楯無さんが簪のミサイルを躱してるように見てるんだが……」

「躱して、ますわね」

「うわぁ、すごいことになってるね……」

 

 俺達が唖然とするのも当然だろう。以前見たマイクロミサイルの嵐を、刀奈さんは回避行動を取りながらガトリングで撃ち落としてるんだから。

 それでも数発は撃ち漏らしがあって爆発したものの直撃とはいかなかったようで、ミステリアス・レイディのSEはまだ半分近く残っていた。逆に全弾撃ち尽くした簪は再装填に時間がかかる。

 

「それじゃあ、次は私の番ね!」

「っ!」

 

 簪が夢現を構える中、ミステリアス・レイディから……水? が周りに散布されて――

 

――ドゴォォォォォォンッ!!

 

「うぇぇぇっ!?」

「ほ、本音さん、あれは一体……」

「あれは『清き激情(クリア・パッション)』だね~。ナノマシンで水を操って水蒸気爆発を起こす、かいちょーの十八番なんだよ~」

「うわぁ……」

 

 本音の説明を聞いていた生徒達がドン引きしていた。これはエグイな、まるっきしMAP兵器じゃんあれ。

 そんな爆発に巻き込まれながらも、打鉄弐式はまだ立っていた。とはいえ、SEが危険領域に入っていたが。

 

「ま、まだ……」

「簪ちゃん、これ以上は無理よ。ISにも負担がかかり過ぎるわ。だから――」

「まだぁ!」

「っ!?」

 

 刀奈さんが驚いたのは、簪がものすごい形相で声を荒げたからか、それとも持っていた夢現を自分に向かって投擲してきたからか。

 どちらにせよ、硬直していたのはほんの一瞬。顔面に向かって飛んできた薙刀の切っ先を回避したところで――

 

 

 葵――打鉄の標準装備である刀――の刀身が、目前まで迫って来ていた。

 

 

――ドゴッ!

 

「がぁっ!」

 

 顔面に直撃を食らい、仰け反った姿勢をなんとか立て直すミステリアス・レイディ。負傷こそしていないものの、刀奈さんに驚愕の表情が貼り付いている。

 

「それ、打鉄の」

「うん」

「やられたわ……打鉄弐式は打鉄のバリエーション機、前バージョンの武装と互換性があって当然よね」

「これで、お姉ちゃんに、一矢報い、た……」

 

 今の機動で限界だったのだろう、ガシャンと打鉄弐式が膝をついて動かなくなる。それに続くように『打鉄弐式、SEエンプティ』とアナウンスが入った。

 

「ありゃりゃ、簪ちゃんがやられちゃったか」

「どうします?」

「う~ん、さすがに2対1は分が悪いんだけど……」

 

 遠回しに降参を勧める乱に、グリフィンも苦笑しながら弱音を口にする。が、

 

「それでも、自分から勝負を降りるのは嫌なんだよね!」

 

 ニヤッと笑いながら、ビットにエネルギーが集まり出して――っておい!

 

「簪ちゃんがやられた以上、フレンドリーファイアにはならないよね!?」

 

「待て待て待てぇ!!」

 

 慌てた乱が止めるよりも、ギョッとした刀奈さんが退避するよりも早く、第2試合と同じように生成されたエネルギーボールが

 

「ダイヤモンド・シューーーート!!」

 

 グリフィンの脚によって蹴り出された。

 

――ドゴォォォォォォンッ!!

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁっ!!」

「なんでこうなるのよぉぉぉぉぉっ!!」

 

 大爆発に刀奈さんと乱が吹き飛ばされ、

 

「だからなんで私までぇぇぇぇっ!?」

 

 ……動けない打鉄弐式も巻き込まれていた。

 

「あ」

 

『しょ、勝者、更識簪、グリフィン・レッドラムペア』

 

 あ、じゃないが。どうすんだよこれ。アナウンスも動揺して噛んじまってるじゃねぇか。

 

 

 

 その後、閉会式の前にまたもやグリフィンは刀奈さんに連行されたのだった。残当。

 

 

――――――

―――

 

 

――ダリルside――

 

 気付けばよく分からないうちに、決勝戦が終わっていた。結局最後は爆発オチかよ、さいてーだな。

 

「ダリルー、優勝出来なくて残念だったっスねぇ」

「そうかぁ? むしろあんな爆発オチに巻き込まれなくてよかったとすら思うぞ」

「あ、あはは~……」

 

 ほら見ろ、あのフォルテですら苦笑いするような試合だぞ? オレは絶対嫌だな。

 と、生徒会長の更識がマイクを持って現れた。そろそろ閉会式だな、叔母さん、うまくやってくれよぉ。

 

「はい皆さん、今回のタッグマッチは――」

 

――ドゴォォォォォォンッ!!

 

「きゃぁぁぁぁぁっ!」

「爆発!?」

「な、何、何なのぉっ!?」

 

 試合が終わったはずのアリーナに爆発音が響く。来たか!

 

『織斑より全専用機持ちへ。所属不明の機体から攻撃を受けている。お前達は今すぐISを展開、迎撃に向かえ』

 

 織斑千冬からオレ達にプライベート・チャネルで通信が入る。ここまでは予定通りだな。

 1年生連中は互いに顔を見合わせていたが、覚悟を決めたように頷いた――

 

――ドゴッ!

 

「がっ!?」

「えっ……」

「だ、ダリル!?」

 

 織斑一夏がISを展開する前に、奴さんの腹に一発ぶち込んで昏倒させた。ISを展開されちゃ、さすがのオレも手が出せなくなりそうだからな。

 そして何が起こったのか理解出来ない連中を放置して、オレはヘル・ハウンドを展開、スラスターを全開にしてアリーナから飛び去って行った。

 

「ダリル! ダリルぅぅぅぅぅぅ!!」

 

 すまんなフォルテ、出来ればお前にも声を掛けたかったけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何してるのかしら?」

「え?」

 

 突然声を掛けられて、我に返った。

 一体どこから!? プライベート・チャネルは切ったはず! しかもこの声……!

 

「更識か!?」

「ええ。みんなの生徒会長、更識楯無さんよ。それで、一体何をしているのかしら?」

「決まっているだろう、織斑一夏と、こいつのISを……」

「織斑君?」

「ああ、こいつを――」

 

 チラッと肩に担いだものを見る。そこには――

 

 

 

 中身の詰まった、長い土嚢袋だった

 

 

 

「……は?」

「それと、話をする時はちゃんと相手を見てするものよ」

「な……なぁ!?」

 

 目の前に、更識が立っていた。肩から土嚢袋が落ちて、ドサッと音を立てて床に落ちる……床? どうして、オレはヘル・ハウンドに乗って、IS学園を海上脱出していたはず……それが、どうして3年の教室にいるんだ!?

 

「何が、どう、なってるんだ……? 」

「どうって?」

「閉会式で、所属不明機が」

 

「何言ってるの? 閉会式なら少し前に終わったじゃないの」

「おわ、った?」

「ええ。貴女は呆けてて覚えてないのかもしれないけど」

 

 更識は呆れたような顔でオレを見てくる。

 

「あっ、もしかして【閉会式中に学園が襲撃されて、それに乗じて織斑一夏を拉致することに成功した】のかしら。ねぇ、()()()()()()()()()さん?」

「っっ!?」

 

 なんで……なんで、なんでなんでなんで!?

 

「貴女が亡国機業のエージェントだって判明してから、ずっと泳がせていたのよ。そうしたら今回の襲撃と拉致計画を知って、罠を張らせてもらったのよ」

「わ、な……」

「ええ、見事に催眠暗示に掛かってくれたわね。ありもしない襲撃タイミングの変更とか、一夏君を拉致した記憶とか」

「あ……」

 

 膝から崩れ落ちた。つまり、オレは最初から更識の掌の上で踊らされてたのか……。

 

「オレを、どうするつもりだ……?」

「当然、IS委員会に……と言いたいところなんだけど。怜二くーん、入っていいわよー」

「はいよー」

 

 更識に呼ばれて入って来たのは、今日の試合でやり合ったもう一人の男性操縦者……吾妻だった。どうしてこいつが……まさか!

 

「そうよ、貴女に催眠暗示を掛けたのが彼ってわけ」

「お前が……!」

「ちょっとちょっと、【ここで暴れないでくださいよ】」

「あっ……!?」

 

 奴の言葉で、突然動かなくなる体。それを認識した途端、背筋に悪寒が走る。

 

「というわけで怜二君、やっちゃって♪」

「ホントにやるんですか?」

「もちろんよ」

 

 何が何だか分からないやり取りの末、吾妻がため息を付きながらこっちに近付いてくる。

 

「な、何をするつもりだよ……!?」

「あ~、とりあえず、痛くないようにはするんで」

 

 そう言うと、奴はあろうことかオレの胸に向かって手を……!

 

「ひゃぁんっ❤」

 

 ……え? なんだ今の声は? まさか……オレ?

 

「へ~、そんなエッチな声も出せるんだ~?」

「ち、ちがっ! んんっ❤」

「うわぁ、ケイシー先輩、最初から感度良過ぎなんですけど」

「やめ、ろぉ……触るにゃぁ……❤」

「亡国機業を裏切る気になったらやめますね」

「そ、そんな、んきゅぅぅぅぅ!❤」

 

 やめろぉ! おっぱい揉むなぁ! 今まで経験したことないぐらい感じてぇぇぇぇ!

 ダメ……っ、これ以上やられたら、オレ……わたしぃ……!

 

――ダリルside end――

 

 

――――――

―――

 

 

 閉会式の後、土嚢を肩に担いだケイシー先輩を追って、俺と刀奈さんは3年生の教室で待機していた。

 条件型の暗示が発動したケイシー先輩は今頃、一夏を拉致したと思い込んでいるんだろう。綺麗にハマってよかったよかった。

 で、その後はなんというか……はい、()()です。

 

「諦める……もう亡国機業には戻らないからぁ……❤」

「なら、怜二君のハーレムにも入るわよね?」

 

 刀奈さんがケイシー先輩の顔を覗き込む。ニコニコ笑顔でなんつーこと聞いてんだよ。

 

「それはダメだぁ……オレには、フォルテがぁ……」

「あら、それなら大丈夫ね。入っていいわよー」

「え……」

 

 刀奈さんに呼ばれて教室に入って来たのは

 

「ダリルぅ……❤」

「フォ、フォルテ……?」

 

 はい、ケイシー先輩の恋人でギリシャの代表候補生、フォルテ・サファイア先輩です。

 そのサファイア先輩なんだけど、目がトロンとして口端から唾液を垂らしてる光景を見たらそら驚くよな。

 

「フォルテちゃんは、怜二君のハーレム入りを承諾してくれたわよ?」

「そ、そんな……フォルテ、嘘だよな……?」

「ホントっスよぉ。それでダリルのこと、許してくれるって。だからダリルも一緒に、ハーレムに入るっスよぉ❤」

「お、お前……!」

 

 ゲスい話だろ? いや、俺も当事者なんだが、なんか先輩と刀奈さんとの間で話がどんどん進んでな?

 

『そんな、ダリルがテロリスト……!?』

『本当なら、捕縛後はIS委員会に引き渡さなきゃいけないんだけど……』

『な、なんとか出来ないんスか!?』

『そうは言ってもねぇ?』

『お願いっス! ワタシで出来る事なら、何でもするっスから!』

『ん? 今何でもするって言ったよね?』

 

 そして一足先にπ揉みされた結果がこれである。サファイア先輩がハーレム入りする代わりに、ケイシー先輩を委員会に突き出さないという取引をしたのだ。俺を蚊帳の外に置いて。

 

「だから、一緒にハーレムに入るっスよ❤」

「あ、ああ……」

「どうするの?」

「……はい、る」

「分かったわ。というわけで怜二君、二人一緒に可愛がってあげてね♪」

「……」

「あら、気に入らないの?」

 

 気に入るわけ……いやあの、そんな『私達に魅力は無いのかぁ』みたいに落ち込まないでもろて。

 

「いや、二人とも可愛いですけど」

「か、かわっ!?/// そ、そんなこと、初めて言われて、あの、そのぉ!///」

「だ、ダリル?」

 

 あっ、やっぱダメだ。ケイシー先輩可愛すぎる。そんな反応見せられたら、マイサンが臨戦態勢整えちまうだろ。

 というわけで、ケイシー先輩とサファイア先輩を……

 

「あっ///」

「い、一緒にっスか!?」

 

 

「あぁぁっ!❤ ダリルぅ、ダリルぅぅぅぅぅ!!❤」

「フォルテぇ、お前と一緒にぃ、あひぃっ❤ あぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!❤」

 

 

 これって『百合の間に挟まる男』だよな。炎上しないか心配なんですけど。




姉妹対決。
少しはまともな試合をと思い、この対戦カードにしました。けど……

また君か壊れるなぁ。
もうね、グリ姉は本作のオチ要員になっちゃいました。残念!

ダリル陥落。そしてフォルテも巻き込まれ。
最初ダリルはオータムと同じ運命を辿るはずでしたが、フォルテとの絡みで無事ハーレム行きとなりました。良かったね。(何が



そして今回でタッグマッチ編は終了予定です。『もう少しだけ続くんじゃ』が無ければ、次回はワールド・パージ編……あれ? クロエもういるよね? おや?
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