IS ~インフィニット・催眠種付けおじさん~ 作:シシカバブP
最初より本文の文字数が少なくなっているのは、堪忍してつかぁさい。
第55話 なして?
『人間は、どんなことにもすぐに慣れる生き物である』と言ったのは誰だったか。人は辛い状況でも慣れるから生き残ることが出来る、生存本能なのだと。
とはいえ、慣れるにしても時間は必要だ。特にインパクトが大きい場合は余計に。つまり何が言いたいかというと――
「怜二さん、朝です。起きてください」
「……おう」
頭に
「ほら、制服もきっちりアイロンかけといたぞ!」
「……あんがとよ」
それと、制服の上着を持ってニコニコ顔の、スコールと同じメイド服を着たオータムにも。
「いやぁ、すっかりメイド業が板についてきてるね~☆」
「そう、ですわね……」
「誰も元テロリストなんて思わないですよこれ」
「いいんじゃない? ダーリンやタバネのお世話をする人員が増えるのは」
「い、いいのかな~?」
静寐、お前の感性が正しいからな。例えもうどうしようもないことだったとしても。
そんな話をしつつ、登校準備を進める。制服? マジでアイロンかかってて、袖の所とかパリッと仕上がっていたよ。なんだこの元テロリスト。
「ドクターのお世話は私とオータムにお任せください」
「おうよ! マドカ、お前もな」
「え~? 私はお兄専属がいい~」
「おまっ!」
「はいはい、落ち着きなさいオータム。エム……マドカも、怜二さんが戻られるまではしっかり働きなさい」
「ちっ」
「む~……分かった」
「なんだこの状況……」
3人のやり取りを見て、ダリルが頭を抱えていた。叔母がメイドになったらそうもなるか。
「ダリルもメイド服着るっスか?」
「フォルテぇ! お前何言ってんだよっ!?……け、けど、怜二が見たいって言うなら……やっても、いい、ぞ?///」
ダリル……そんなモジモジしながら顔赤くすんな。そしてフォルテ、ニヤニヤすんな。むしろお前にメイド服着せるぞおぉん?
――――――
―――
アンネイムド襲撃から数日。月が変わり、本格的に秋到来となった頃。IS学園の1年1組の教室は相変わらずの賑やかさだった。いやむしろ、いつも以上に賑やかかもしれない。
「今月は運動会がありますので、誰がどの種目に出場するか決めたいと思います。というわけで織斑君、クラス代表として進行お願いしますね」
「えっ、あっ、はい」
HRの時間、真耶さんに指名された一夏が壇上に立つ。それと同時に、黒板代わりの大型ディスプレイに競技種目と出場人数が表示される。
50m走、二人三脚、玉打ち落とし(ん?)、軍事障害物競走(んんっ?)、コスプレリレー……おいィィィ!! なんだよコスプレリレーって!?
「50m走、二人三脚、玉打ち、落とし? ぐ、軍事障害物競走? コスプレリレー……なんですかこれぇ!?」
種目を確認していた一夏と、まさかのシンクロしていた。いや、むしろこれにツッコまない方がおかしいって。
案の定、真耶さんも苦笑いだけして説明はしてくれなかった。千冬さんは……明後日の方を向いていた。一夏も『話しかけるな』オーラを放っている姉には聞けないようだ。
「あ~……とりあえず皆、出たい種目に手を挙げてくれ」
「言い忘れていたが、吾妻は二人三脚への参加は禁止だ」
「はい?」
あの~織斑先生? 突然何を言い出すんです?
「あの~織斑先生? どうして吾妻君は二人三脚に出ちゃダメなんですか?」
「決まっているだろう。もし吾妻が二人三脚に出るとなったら、どうなると思う?」
「どうなるって、誰かと一緒に出場……あっ、ダメだ」
「分かったな? せっかく寮を別棟にしてまで封印した地獄が、グラウンドで顕現するぞ。……あと私が個人的に気に食わん」
「えっ、先生?」
最後に小声で呟いた言葉に聞き返した谷本さんをスルーして、千冬さんはまた明後日の方を向いた。
「地獄が顕現って、どういうことだ?」
「おりむー鈍いよ~。もしれっきゅんが二人三脚に出るってなったら、誰がパートナーになるかで喧嘩になるんだよ~」
「あ~……そういえば怜二はスケコマシだったな」
「誰がスケコマシだ朴念仁」
「なんで俺が朴念仁なんだよ!?」
「「「はぁ……」」」
「えっ? 何で皆そこでため息つくんだよ? というか箒までぇ! これ俺が悪いのか!?」
そりゃお前、今まで女子からの告白を誤解しまくった前科があるからだろ。
「けど吾妻君がスケコマシなのも事実だよね」
「What!?」
「セシリアと清香を筆頭に、別棟に住んでる子何人いるのかな~?」
「……」
「最近だと、鷹月さんもだよね~?」
「降参デス……」
もうやめて岸原さん! とっくに俺のライフはゼロよ!!!
「え~っと……織斑君、選手決めを進めてもらっていいですか?」
「あっ、はい」
泥沼と化した流れを変えるべく真耶さんが話を振ったことで、運動会の出場選手決めが再開されたのだった。スケコマシ……
「彼が出られないというなら、二人三脚には私が出るべきだな」
「えっと、ロランが二人三脚、と。それで、誰が一緒に走るんだ?」
「ふふっ、こういう時に選り取り見取りだと迷ってしまう――」
――スパァァァンッ!
「あひぃぃぃんっ!」
「ロランさん、そういった視線を皆さんに向けるのは良くないと言ってますよね?」
「そ、そうですぅ……か、神楽、一緒に走ってくれるかい?」
「いいですよ」
「……四十院さん、と」
二人を直視しないように、一夏がディスプレイにロランと四十院さんの名前を入力する。……入力してる手が震えてるのは気のせいだろうか。
その後は特に滞りなく、ポツポツと各種目の出場者が決まっていく。玉打ち落としとやらはISを使う競技らしく、射撃競技っぽい種目名だから射撃の上手いセシリアが出場することになった。軍事障害物競走には本音が。……大丈夫か?
「おっと、俺も何かに出ないといけなかった」
「織斑、お前は篠ノ之と二人三脚で固定だ」
「はいぃ!?」
「い、いいんですか?」
千冬さんの突然の発言part2に、一夏と箒はもちろんクラス全員が驚く。確かに二人には、一緒の競技に出てイチャラブしてもらう必要があるんだけども。あからさま過ぎません?
「四の五の言わずに出ろ。これは決定だ」
「お、おう……」
「ふふふ……一夏! 当日は絶対に1位を取るぞ!」
「お、おう……」
一夏、姉の強権で決まっちまったんだから諦めろ。箒はやる気満々だぞ?
「ところで、あのコスプレリレーとやらには誰が出ることになったんだっけ?」
「あれ? 怜二君じゃないの?」
「バカタレ。あんな競技に出るわけねぇだろ。俺は普通に50mに参加だ」
「う~ん、女子の中で一人だけ男子が走るっていうのも不公平感があるね」
言うな清香。俺もちょっとは思ったことだから。けどこれ以外だと、まともなのが借り物競争ぐらいだったんだよ。
「それなら借り物競争でよかったんじゃないの?」
「お前、それでもし指示されたものがアレなものだったらどうすんだよ。たぶん借り物決めてるの、あの生徒会長だぞ」
「あ~……」
刀奈さんなら絶対面白がって、トンデモナイものを混ぜてくる確信がある。だから多少の非難があっても、安牌の50m走を選んだんだよ。Do you understand?
そんな話を清香としている間に、全種目の出場選手が決まったようだ。それで結局、コスプレリレーには誰が……ファッ!?
「あの、これは一体……」
「クロエさん、どの競技にも手を挙げなかったから、残った
「え~っと……ガンバッ!」
教室前方のディスプレイには、コスプレリレーの隣に『クロエ・クロニクル』と表示されていた。く、クロエがコスプレとか想像が出来んぞ……。
――――――
―――
衝撃のHRが終わり、1時限目の授業も終了した休み時間。ここ最近では珍しい他クラスの生徒がやって来た。……正直、俺は今朝会ったばっかだけど。
「それで乱、一体どうしたんだ?」
そう、1組にやって来たのは3組の乱だった。編入当初こそ1組にやって来てはドアから覗き込むという奇行に走っていたが、ハーレム入りしてからは『別に夜に必ず会えるからいいわ』と言ってこなくなってたんだが。
「それが……」
チラッと廊下の方を見ると、褐色の肌に緑色の髪をした女子生徒が教室に入って来て、俺の前で自己紹介を始めた。
「はじめまして、タイ代表候補生のヴィシュヌ・イサ・ギャラクシーです」
「あ、ああ。吾妻怜二だ」
「彼女、今日ウチのクラスに編入してきたんですよ……」
タイの、代表候補生……ああっ! いつだったか真耶さんが言ってた、月刊代表候補生10月号、って違う違う! えっ、なんで俺に挨拶して来たん? 君、一夏へのハニトラ要員じゃないの? めっちゃ胸でかいし。(セクハラ
なんて考えていたら、目の前の褐色美少女は極大の核爆弾を落として来た。
「それで吾妻さんは、ハーレム? を作っているとか」
「おい誰だ、転校生にそんなこと教えた奴」
「そのハーレムに、私も入れてください」
「……」
「「「「「「はぁ!?」」」」」」
教室にいた全員が発した声によって、1年1組の窓ガラスは全て割れた。
モノクローム・アバター、メイド集団になる。
スコールにメイド服着せて眼鏡を付けたら、メイド長って感じになりそう。なりそうじゃない?
運動会の選手決め。
クロエに出番をと思ったら、コスプレリレーに……どうなるんだこれ?(自分で書いといて
ヴィシュヌ登場。
一夏狙いじゃなかったんかワレェ!
どうしてこうなったかは次回以降で説明予定です。