IS ~インフィニット・催眠種付けおじさん~   作:シシカバブP

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もう、今回でシリアスっぽいのはやめにしよう……


第60話 IS運動会③ ~超展開~

 トイレから戻る途中襲われ、凄まじく胸糞悪い話を束から聞いた後、俺は気を失っている(束が言うには、睡眠薬を注射したらしい)ヴィシュヌを担いでテントに戻った。

 当然中にいた連中は驚き、そして俺を問い詰めたんだが、事情を説明したら『仕方ないなぁ』って顔を向けてきた。特にシャルは泣きそうな顔してたな。シャルとヴィシュヌ、どっちも親ガチャというか家庭ガチャが大ハズレだったからな、同情してるんだろう。

 そんな中でヴィシュヌが目を覚まし、さらには束から連絡が行っていたのか千冬さんもやってきた。

 

「ギャラクシー、お前は――」

「はい……私が、吾妻さんを襲ったんですね……」

「っ! ヴィシュヌさん、どうして」

「ぼんやりとですが、記憶があるんです……」

 

 パイプ椅子を並べた簡易長椅子から起き上がったヴィシュヌの顔は蒼白だった。

 

「玉打ち落としが終わった後、頭の中で声がしたんです……」

「声?」

「『吾妻怜二を襲え、既成事実を作れ』と……」

「俺を襲え、ね。タイ政府の高官とやらから指示されていたことか」

「ど、どうしてそれを!?」

「あっ、やべ」

 

 勢い余ってさらっと言っちまった! 周りが清香達だけだから忘れてたけど、この情報って束が調べて出てきた情報だから、本来俺は知らないはずなんだよなぁ……。

 

「それは……」

 

「それは束さんが色々調べたからでした~!」

 

「えっ!?」

「束ぇ! 突然出てくるな!」

「うぉぉぉぃ!」

 

 なんでお前、この場面で出てくるんだよぉ! しかも突然光学迷彩解除して現れんな! 心臓に悪い!

 

「し、篠ノ之博士!? やはり、吾妻さんと繋がって……!」

「ん~、繋がってるというよりは、束さんが首輪付きで"繋がれてる"?」

「え゛?」

「何世間体最悪な言い方してんだよっ!」

 

――スパァンッ!

 

「あいたぁぁ!」

「え……えと……」

「む~、だって本当のことじゃんかぁ。れっきゅんは束さんにあ~んなこととか」

「束ぇ! あんまり馬鹿言ってると、明日からお前のこと完全無視するぞ!」

「堪忍してつかぁさい」

 

 ニヤニヤしていた束が、即土下座に移行した。まったく……あっ

 

「あ、吾妻さんが、篠ノ之博士を完全に掌握している……!?」

「あ~……」

「怜二君、やっちゃったねぇ……」

「これはもういっそ、全てバラした方がよいのでは?」

「そうだよ怜二! ヴィシュヌさんもハーレムに取り込んじゃえばいいんだよ!(目キラキラ)」

「しゃ、シャルロットさん、どうしてそんなイキイキした顔でヴィシュヌさんのハーレム入りを……?」

「シャルロット、グリ姉の時みたい」

 

 もうね、セシリアの言う通りバラした方が早い気がしてきた。……いや、諦めるのはまだ早い!

 

「ヴィシュヌ!」

「は、はい?」

 

 俺はヴィシュヌに向き直ると

 

――パチンッ

 

「ぁ……」

「おぉぉぉっとぉぉ! ここで怜二君の催眠が発動したぁ! 最後に使ったのは一体いつだったんだぁ!」

「き、清香さん、楽しそうですね……」

 

 蘭ちゃんほっといて、清香はわりとそういうやつだから。けど実際、ロランに使ったのが最後か? ということは1か月ぶりってことか、うまくいってよかった。

 

「怜二、ギャラクシーに催眠で忘れさせるつもりか?」

「そうです。セシリアみたいに思い出される可能性も、無きにしも非ずですが」

「お尻叩かれなければ大丈夫じゃないかな~?」

「ちょっと本音さん!? わたくしそんな風に思われてますの!?」

 

 セシリアはM、はっきり分かんだね。と、そんなことより記憶の消去を――

 

「わ、私は……私は……!」

「ヴィ、ヴィシュヌ?」

「あ……ああ……ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「うぉ!?」

 

 催眠状態だったはずのヴィシュヌが絶叫したと思ったら、俺の胸に飛び込んで号泣し始めた。ど、どういうこと!?

 

「これはあれかな~?」

「あれってどれだよ!? 求めるは説明、イミフ!」

「れっきゅん余裕だね~♪ ……ねぇおっぱいちゃん、思い出したんでしょ? ()()()()()()、全部」

「い、今までって」

「うぐっ……ひっぐ…‥‥はい……思い、出しました……! あの男のことも……訓練校でのことも……!」

 

 それってつまり、自分が洗脳されていた時の記憶を思い出したってことか? なして?

 

「たぶん、れっきゅんの催眠が洗脳に干渉したんじゃないかな?」

「おいおい……」

 

 どうするよこれ、もう収拾がつかなくなりそうなんだけど……

 マジでどうしようか困っていると、スッと顔を上げたヴィシュヌと目が合った。

 

「吾妻さん……」

「お、おう?」

 

「私を……私をハーレムに入れてください!」

 

「なんでぇぇ!?」

 

 おかしいって! ハーレム入りしたいって、洗脳されて無理矢理思わされてたことだろ!? なんでその記憶が戻ったのに!? 理解不能!

 

「分からない……分からないんです! 記憶が戻ったのに、あの男の命令だったと分かっているのに! 吾妻さんのそばにいるとドキドキする、こうやって抱き締められたいという思いが止まらないんです!」

「うは~、ヴィッシー完全に堕ちてるね~」

「見てよ静寐、ヴィシュヌさんの目」

「うん、あれは完全に恋する乙女の目だね」

 

 おい静寐、恋する乙女の目ってなんだよ! ……気のせいか、ヴィシュヌの目にハートマークが見えたような……。

 

「吾妻さん! いいえ怜二さん! 不束者ですが、よろしくお願いします!」

「「「「おお~!」」」」

「おおじゃねぇよ!」

「ギャラクシー、閉会式が終わったら部屋の荷物をまとめておけ。新棟への鍵は山田先生に手配してもらう」

「わ、分かりました」

「ちょっとちょっとぉぉぉぉ!?」

 

 前回『ヴィシュヌを助けたい』とは言ったけどさぁ! どんどん外堀が埋められていくこの感じはなにぃ!?

 

「でもれっきゅん、おっぱい好きでしょ?」

「……だからその質問は卑怯だって」

「安心してよ、きちんとおっぱいちゃん、改めヴィッシーに付いてる"紐"は切っておくから」

「はぁ……分かった、頼んだぞ」

「うぃ~☆」

 

 もうこうなったらなるようになれだ!

 

「ヴィシュヌ」

「はい」

「もうこうなったら、俺も覚悟を決める」

 

「ヴィシュヌ、俺のもの()になれ」

 

「はいっ……!」

 

 くそぉ、なんていい笑顔しやがんだよ……『受け入れてよかった』ってガチで思っちまうじゃねぇか。

 

 

――――――

―――

 

 

 さて、そんな話をしている内に、次の競技が……

 

「怜二さん、午前最後の競技である騎馬戦は、とっくの昔に終わっておりますわ」

「えっ!? あ、そうか……」

 

 元々俺や一夏は出ない(というか出られない)から忘れてたけど、セシリア達含め全員参加の競技だもんな。それがテントに戻った時にみんないたら、そりゃ競技終了後だわ。

 ということに今更気付いた俺は、昼休みということで学園外縁部のリラクゼーション・エリアまでやってきた。リラクゼーション? 普通に広場じゃダメなん?

 

「あ~、やっぱりそうなるか~」

「セシリア達から事情は聞いたけど、怜二は相変わらずねぇ……」

「ホント、怜二には人が集まってくるね。私達も含めて」

「吾妻君、誘蛾灯」

「おいバカやめろ」

 

 別のクラスや学年で午前中はほぼ出会わなかったハーレムメンバーが集まったところで、ヴィシュヌのことを説明したらこれだ。特に最後の簪にざっくり刺された。

 

「それで、これですか」

 

 真耶さんの視線の先には、レジャーシートを敷いた上に座る隣で、俺の体操服を摘まむヴィシュヌの姿が。

 

「す、すみません。ですが、まだ怜二君の近くにいないと、心が落ち着かなくて……」

「そうだよね、仕方ないよね。大丈夫、みんな理解してくれるはずだから」

「シャルロットちゃん、すっかりヴィシュヌちゃんのお世話してるわねぇ」

「シャルロット、自分の身の上と重ねちゃってるみたいで」

「ああ、なるほど」

「でもこっちは?」

 

 ヴィシュヌが俺の左隣にいる中、右隣にはなぜかダリルが陣取っていた。というか、胸を当てに来ていた。

 

「べ、別にいいだろっ。オレの場合、学年も含めて接点が少ないんだから。こういう時に一緒にいても、いい、よな?///」

「ダリル、完全に乙女化してるっスよ」

「んだよっ! そういうフォルテだって怜二とくっ付いてるだろ!」

 

 そう、ダリルが俺の右腕にくっ付いてて、背中になぜかフォルテがくっ付いているのだ。当然フォルテのも"当たって"るわけで。

 

「私も怜二のこと好きっスから」

「そ、そうなんですか?」

 

 ヴィシュヌ、フォルテの戯言に付き合わんでよろしい。

 

「もちろんっスよ。じゃなかったら、誰もハーレム入りしようなんて思わないっス。それに……」

「それに?」

「い、意外と、ベッドの上では優しいんっスよ……///」

「おいバカやめろぉ!」

 

 なんでそんなこと外で話しちゃうの!? マジで馬鹿なの!? 他の生徒達とは離れた場所に陣取ってるから聞こえてないとは思うけど、もし聞かれたらどうするつもり!?

 

「別に構わないっスよ。私達が怜二と一緒の寮棟に住んでるのは公然の秘密ってやつっスから」

「あ、あわわ……!///」

「もういや……」

 

 そうだ、飯を食おう。こんな知りたくもない話を聞くぐらいなら、飯を食うことに集中……

 

――パクッ

 

「ぎぃぃぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

「えぇっ!? 怜二さん!?」

「ど、どうした怜二!?」

 

「あがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 左右からヴィシュヌとダリルの声が聞こえるが、それどころじゃない!

 口内のありとあらゆる箇所で、異常が感知された。なんというか、甘いとか辛いとか、ありとあらゆる味が混ざった……つまりゴミ(五味)

 

「あ……あが……」

 

 そんなゴミ信号の乱発で脳の許容量を超えたのか、俺はまた気を失うのだった。

 

 

 

――セシリアside――

 

 わたくし、なぜシートの上で正座をさせられているのでしょう。

 

「オルコット、なぜ自分は正座をさせられているのかという顔だな」

「そうですわ織斑先生。わたくし、悪いことなど! あ、足が……」

 

 周りのみなさんも、どうして犯罪者を見るような目をわたくしに向けますの!?

 

「鷹月からの証言がある。お前が吾妻の弁当に何かを振りかけたとな」

「そ、それはただのふりかけですわ!」

「ふりかけだと?」

「はい!」

 

 疲れた体に効くという成分を多く含んだ食材を使用して、怜二さんのために作った特製ふりかけですわ。特に午前中、怜二さんはヴィシュヌさんの件に巻き込まれたりでお疲れでしょうから、気持ち多めに振りかけましたの。

 

「……で? そのふりかけとやらには何が入っているんだ?」

 

 ジト目で見てくる織斑先生が怖いですが、それもきちんと説明すれば解消されるでしょう。なぜならこの中には――

 

「疲れに効くというカプサイシンを多く含む、ブート・ジョロキアをすり潰してじっくり濃縮した特製エキスを使用しておりますの!」

 

「いっぺん死んで来いオルコットォォォ!」

 

――シャッ

 

「んぐぅ!?」

 

 自信満々に説明しようとしたところ、鬼の形相となった織斑先生がわたくしからふりかけを取り上げ、わたくしの口の中に――

 

「んぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 し、淑女にあるまじき声を……なんて場合じゃありませんわぁぁぁぁぁぁ!!

 

 痛い辛い痛い辛い痛い辛い痛い辛い痛い辛い痛い辛い痛い辛い痛い辛い痛い辛い痛い辛い痛い辛い痛い辛い!

 

「お、おぶ……」

 

 も、もうしわけありません、怜二さん……次からは、もっと量を、調整、して……

 

――セシリアside end――




オリ主、結局ヴィシュヌのおっぱいに負ける。
下手にヴィシュヌの背景を重くし過ぎて、風呂敷畳むのに苦労しました。でも後はもうエッだけだね♪

セシリア、やっぱりやらかす。
原作では一夏がトムヤムクン(本作と同じジョロキアエキス入り)を食らって絶叫してましたね。食ってみろよ、(あの世に)飛ぶぞ。


次回から、ちゃんとギャグ&H路線に戻していきたい所存。
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