IS ~インフィニット・催眠種付けおじさん~   作:シシカバブP

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前回からちょっくら時間が空きましたが。


第84話 卑怯くさいのはお互い様ってことで

 箒のワンオフ・アビリティー覚醒という衝撃の出来事があったものの、トーナメント自体はそのまま続行された。

 やっぱり一部で『ただでさえ専用機持ちなのに、途中でSE回復とか卑怯じゃん!』って声はあったんだが、

 

「そんな織斑と篠ノ之に勝てば、お前達も専用機をもらえるんじゃないか? 少なくとも、今日来ている政府連中の覚えはめでたくなるぞ」

 

 と千冬さんがニンジンをぶら下げた結果、文句をいう奴はいなくなった。

 でもそのニンジン、食べられる奴は出るんだろうか?

 

「はぁぁぁぁ!」

「うらぁぁぁ!」

 

「つ、強過ぎる!」

「マヤマヤが強いのは知ってたけど、吾妻君は私達と同じぐらいだったじゃん!」

 

 などと言ってきた3組の連中を倒し、俺と真耶さんは1回戦目を危なげなく突破した。

 この数日、特訓しまくったんだからな。マニュアル制御で飛んで、的撃って、おっぱい揉んで。

 

 と、俺達はすんなり2回戦進出となったんだが……

 

「悔しいですわぁぁ!」

「あーもう!」

 

「負けた……」

「ごめんねかんちゃ~ん」

 

 観客席に戻って来たらこの有様。清香と静寐に続き、今度は専用機持ちまで脱落者が出たのだ。

 というのも、セシリアと鈴の対戦相手は乱とヴィシュヌ、そして簪とのほほんの相手はシャルとラウラ。つまり、専用機持ちチームで潰い合いが発生したんだよ。しかも1回戦目から。

 

「対戦カードは抽選という話でしたが、何か作為を感じますわ」

「そうよ! 1年だけで50組以上いんのに、どうしてこの組み合わせになるのよ!」

 

 セシリアと鈴はとうとう陰謀論まで出してきやがった。そんなことする奴なんて……

 

『束、一応確認なんだが、やってないよな?』

『ないない。セッシー達を序盤で潰し合わせる必要性ないじゃん。というか、すぐに束さんを疑うとかひどーい!』

『まあ、確かに理由が無いか』

『いっくんと箒ちゃんの出番を増やすために専用機持ちとの対戦をズラすとかなら分かるけど』

『おい』

 

 束はやっぱり束だった。

 とにかく、今回束は全くのノータッチらしい。

 

『それにしても、こんなところで箒ちゃんのワンオフ・アビリティーが覚醒するなんてね~♪ もしかしたら、いっくんの白式も何かあったり?』

『おいバカやめろフラグを立てるな。その2人と次当たるんだぞ』

『にゃはは~! それじゃ、束さんはこのまま寮の部屋で観戦させてもらうよ☆』

 

 『試合、頑張ってね~☆』という言葉を最後に、プライベート・チャネルの通信が切れた。それにしても、やっぱハッキングでもして試合を見てやがったか。

 

「ですって」

「まあ、覗き見ぐらいなら大目に見る。システムのコントロールを乗っ取ったりしたら蹴り飛ばしにいくが」

「それでいいのか警備責任者」

 

 教員である千冬さんに学園の防衛を一任するってのがそもそも変なんだが。どっちつかずになるだろこれ。

 

「とりあえずオルコット」

「えっ、あ、はい!」

「お前はまず、懐に潜り込まれたらただの案山子になるのを何とかしろ」

「そ、それは……わたくし、スナイパーですし」

「それでギャラクシーにボコられた挙句、凰が挟撃されて負けたわけだが?」

「確かにそれはそう」

「はぅぅ……」

 

 千冬さんに指摘された上にジト目の鈴にも言われ、シナシナになるセシリア。お前、1学期から近接用武装が展開できない問題、まだ解決してなかったんだな。

 

「そして布仏だが……うん」

「ええ~、『うん』ってなんですか~?」

「お前はもう、どうしようもない。そんな気がする」

「何か無いんですか~?」

「ない。どうしたらあんな、撃った弾が明後日の方向に飛んでいくんだ。むしろ私が教えて欲しいくらいだ」

 

 片頭痛を抑えるように、こめかみを押さえる千冬さん。のほほんの口がへの字になるが、あれは俺もどうしようもないと思う。シャルに銃口向けてんのに、撃ったら斜め45度に飛んでいくんだもん、そりゃ掠りもしねぇわ。

 

 てな感じで、1年生は専用機持ちが1回戦目からガッツリ脱落。しかも酷いことに、2回戦目も乱・ヴィシュヌ組とシャル・ラウラ組が当たるという。……セシリアじゃねぇけど、おかしくね?

 かくいう俺も、次に一夏達と当たるんだよなぁ。あの即死攻撃(零落白夜)&回復コンビと、どう戦ったもんか。

 

 

――――――

―――

 

 

 とかなんとか言ってたら、あっという間に俺達の順番が回ってきた。

 

「それで、どうします?」

「そうですねぇ……」

 

 ラファールに乗った真耶さんも、目の前のコンビ相手に困り顔だ。

 

「吾妻君、織斑君の相手出来ますか?」

「一夏の? う~ん、ある程度は出来ると思いますけど、長くは持たないでしょうね」

 

 真耶さんとの特訓でそこそこ実力は上がったとは思うが、少なくとも零落白夜持ちの一夏を倒す自信はない。

 

「5分、出来れば10分時間を稼いでください。その間に、私が篠ノ之さんを何とかします」

「分かりました。俺が墜とされる前に来てくださいよ」

「はい!」

 

 というあけで、俺が一夏担当になったわけなんだが……

 

「うおりゃぁぁぁ!」

「うわっと!」

「避けるなぁ!」

「当たったらほぼ即死攻撃なんて、避けるに決まってるだろバカヤロー!」

 

 試合が始まってこいつ、零落白夜かましてきやがった! SE回復出来るからって開幕ブッパかよ!

 

「くそっ! どうして当たらないんだよ!」

「特訓の成果だ!」

 

 マニュアル制御で何とか一夏の攻撃を捌いていた頃、真耶さん達はというと

 

「はぁぁ!」

「甘いですよ!」

 

――ガンッ ガンッ

 

「うっ!」

 

 アサルトライフルの直撃を食らった箒だが

 

「絢爛舞踏!」

「またですかぁ!?」

 

 紅椿から金色の光が漏れ出して、すぐにSEを回復させる。いやおまっ、そんな連続発動可能なの!?

 

「ふははははっ! この技がある限り、私と一夏は負けん!」

「くっ! こうなったら仕方ありませんね……!」

「私のワンオフ・アビリティーをどうにか出来るとでも?」

「ええ……篠ノ之さん!」

 

 敢えてなのか、通信ではなく直接声を出して真耶さんが箒に話し掛けた。

 

「寮長として、モノ申したいことがあります!」

「え? 試合中に言うことなんですかそれ」

 

 いきなり試合と関係ないことを言われ、箒の攻撃の手が思わず止まる。

 

「部屋の換気はちゃんとしてください! 特に織斑君とゴニョゴニョした翌日は!」

 

「なぁぁぁぁぁぁ!? へぶっ!」

「箒ぃぃ! 山田先生も何言ってんだぁぁぁ!?」

 

 ……だから通信じゃなかったのか。オープン・チャネルだと、観客席にも聞こえるし……っていやいや、問題はそこじゃないって。

 とんでもないことを言われ、動揺した箒は操縦を誤ってアリーナの壁に激突。

 

『篠ノ之箒、気絶により戦闘不能』

 

 そしてアナウンスに言われるまでも無く、壁からズルズルと地面に落ちた紅椿が強制解除され、箒もその場でノビていた。

 

「精神攻撃って、レギュレーションに含まれてないんです?」

「無いですね。モンド・グロッソとかだと、今の以上に罵詈雑言の応酬になったケースもありますし」

「ええ~……」

「これ反則とられないのかよ!?」

 

 一応真耶さんに聞いてみたが、返ってきたのはある意味残念な回答だった。一夏、今だけはお前に同意。

 

「それじゃあ織斑君、私も混ぜてください♪」

「いやだぁぁぁぁ!」

 

 箒が墜ちて2対1になり、俺を追い回していた一夏が、今度は追われる立場となった。

 

「2対1とか卑怯だろっ!」

「んなわけあるか。これが卑怯だったら、そもそもタッグバトル自体が卑怯ってことになるだろ」

「はい織斑君、無駄口叩いてると当たっちゃいますよ~」

 

――ドガガガガッ

 

「いでででっ!」

 

 俺という猟犬に追いかけ回され、ハンターの真耶さんから偏差射撃を食らい、白式のSEがみるみる減っていく。勝ったなガハハッ!

 

その時、不思議なことが起こった

 

「な、なんだぁ!?」

「白式が、突然光り出して……!」

 

 真耶さんの言う通り、突如白式が光り出した。そして光が収まると……

 

 さっきよりウイングスラスターが増え、左腕もゴツくなった一夏が。えっ、どゆこと?

 

「白式が、俺の想いに応えてくれたのか……」

「あの~一夏? ちゃんと俺達にも分かるように説明を……」

「俺はまだ、戦える!」

「だから説明をしろってぇぇ!」

 

 全く説明せずにブレードを振り下ろしてきた一夏を何とか回避。アサルトライフルで牽制すると

 

――ガガガガンッ

 

「エネルギーシールドですか!?」

「うっそだろおい!」

 

 ゴツくなった左腕から発生したシールドで、こちらの攻撃が全て受け止められる。

 とにかく距離を取ろうとする俺に対し、真耶さんはハッとした顔になる。

 

「まさか、第二形態移行(セカンド・シフト)!?」

「それって、特訓の時に話してたあの!?」

「はい。でもまさか、こんなところで発現するなんて……!」

 

 いやいやタイミング良すぎね!? ピンチになったら強化されるとか、どんだけ主人公補正乗っかってんだよ!?

 そんな驚く俺達に、一夏があの左手を向けてきた。今度は何ぃ……?

 

――ドゴォォォンッ!

 

「なんか飛んできたぁぁぁ!」

「荷電粒子砲!? 吾妻君、あれは簪さんの打鉄弐式と同じ荷電粒子砲です!」

「んなアホな!」

 

 今までブレオン仕様だったのに、突然セカンド・シフトしたかと思ったらシールドと荷電粒子砲って、温度差でこっちが風邪ひきそう。

 

「やれる! この力があれば、勝てる! いっくぜぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

――ドンッ! ドンッ! ドンッ!

 

「うわっ! うひぃぃ!」

「わたたた……っ!」

 

 荷電粒子砲の連射を受けて、回避が精一杯の俺はもちろん、真耶さんも攻めあぐねていた。

 しかも近付いたら近付いたで、零落白夜も健在なわけで。マジどうしよ?

 

「怜二、もらったぁぁぁぁ!」

「やべっ!」

 

 そしてついに、回避し切れなくなった俺の真正面に、一夏の手が……!

 

――ポスンッ

 

「え?」

「は?」

 

 奴さんの手から砲撃が飛んでくることは無く、気の抜けた音だけが漏れ出てきた。

 

「ど、どうして……ええっ、エネルギー切れぇ!?」

 

 どうやらあの砲撃、滅法燃費が悪かったようだ。そうとは知らず、バカスカ撃った結果がこれと。

 なんというか……一夏はやっぱり、一夏だなぁ。

 

「そ、それでもまだ……は、はぁ!? あのシールド、零落白夜と同じでSE使うのか!? げっ、さっき防御したのでSEほとんどねぇ!」

「一夏ー、聞こえてるぞー」

「あっ、やっべ!」

 

 そしてオープン・チャネルで聞こえてくる一夏の独り言から、さらに新事実が発覚。まとめると、

 

【悲報・白式、第二形態移行でさらなる欠陥機となる】

 

 ただでさえピーキーな機体だったのに、さらにエネルギー配分で頭を悩ませる機体になったようだ。スラスターも数が増えたってことは燃費悪そうだし。

 

「う~ん、どうしましょう?」

「可哀想ですが、やっちゃいましょう」

 

 真耶さん、容赦ねぇ。でも仕方ないよな?

 

「というわけで」

「えっ、さすがにちょっと待って」

 

――ドドドドドドドドドッ!!

――ガガガガガガガガガッ!!

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 俺と真耶さんの総攻撃(ショットガンとアサルトライフルの掃射)を受けて、白式のなけなしのSEは0になった。

 

「すまんな一夏、勝ちは勝ちだ」

 

 

――――――

―――

 

 

 その後、一夏は千冬さんに連行されていった。白式が第二形態移行したから、検査と調査のためらしい。

 そんで残された箒だが

 

「篠ノ之さん、これ、消臭剤のリストです。ちゃんと"ヤッタ"後は使ってくださいね?」

「ウワァァ━━。゚(゚´Д`゚)゚。━━ン!!」

 

 真耶さん、それはさすがにオーバーキルですって……




束の立てたフラグ回収。
というわけで、セカンド・シフトです。原作の主要イベントですが、雑~に回収しました。
でも実際原作でも、鈴相手にボコられる程度の強化だったし……(ボソッ


ちょっと次回、束か簪のおっぱい揉んでブレイクタイムしたい。(欲望駄々漏れ
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