リコル「ようこそ。滅びを辿った可能性の世界へ」
エルザ「リコル。ちょっと整理する時間を頂戴…ここが滅びを辿った可能性の世界って言ったけど、どういう事なの?」
リコル「信じられないかもしれないけど、ここはサターンよ」
ケイル「サターン?けど、なんでいきなりマーキュリーから一気にこの世界にワープしたんだ?」
リコル「正確に言えばここは貴方たちがかつて訪れたサターンではないわ…ここは私がいた時代なのよ」
エルザ「私がいた時代…いや、けど…まさかそんな…!」
リオン「エルザ、どうしたんだ?顔が真っ青だぞ?」
リコル「あなたの想像している通りよ。ここは言うなれば過去に何らかの異変があった結果の世界」
ケイル「おいおい、その話が本当なら…姐さんあんたは!」
リコル「ウォッチャーという烙印の行方を監視する一族の末裔…それが私の正体よ。黙っていてごめんなさい」
リオン「なぁ、つまりはどういう事だ?」
エルザ「例えば、小川があるとするじゃない?そこに石を投げ込めば流れは2つに分かれるでしょ?ここは言うなれば並行した世界という事よ」
リオン「要するに…川が「時」って事で、2つに分けられた道が「時流」みたいな?」
リコル「大体、そんな所よ…そして、この世界でも星魔戦争によって多くの国が亡国となったのよ」
エルザ「亡国…それにここでも星魔戦争が…」
ケイル「まっ、俺らがいる場所については分かったし…あの状況からは悔しいが撤退するしか方法はなかった。そういう意味じゃ感謝してるぜ?姐さん?」
リコル「そんな事ないわ、私だって一種の懸けだった。それにこうやって生き延びる事が出来たのだって皆が足止めをしてくれたおかげよ」
リオン「みんな…必ず救ってみせ…る…くっ!」
ケイル「リオン!どうしたんだ!?」
リオン「悪ぃ…急にめまいが…」
リコル「まさか、この世界のマナと合わなかったというの!?それだと手立てがないわ」
ケイル「おい!リオンしっかりしろ!」
エルザ「いや、大丈夫よ…リオンはここ数日、ご飯食べてなかっただけだから」
ケイル「はっ?」
リオン「悪い…マジでそれっぽいんだわ…力が出ねぇ…」
エルザ「ソシエの事が心配なのわかるけど、今後こんな事になるのは勘弁しなさいよ?」
リコル「はぁ…近くにある村まで案内するわ。ソシエは私とエルザで運ぶから。ケイル、貴方はリオンをお願いね」
ケイル「えっ…?いや、姐さん…俺もさっき起きたばっかで大技繰り出した影響もあって本調子じゃないんだが」
リコル「大丈夫、大丈夫そんなに遠い所じゃないからさ」
リオン「悪い、ケイル…頼んだわ」
ケイル「全く、俺が背負って良いのは美女だけだっての…あぁ、重いな畜生」
リオン「なぁ、ケイル。改めてこんな事いうのあれだけど…生きてくれて本当にありがとう…あだっ!?何すんだよ!?」
ケイル「お前…そういうのは好きな異性に言えっての…鳥肌たつんだよ!?」
リオン「だからって急に降ろすんじゃねえよ!」
・マーキュリー
ディス「獅子(レオ)は奴らの手に渡りました…しかし、こちらには双児(ジェミニ)、人馬(サジタリアス)、天蠍(スコーピオン)、宝瓶(アクエリアス)4つの烙印を手中に収めましたか」
フレア「加えて、私の力で白羊(アリエス)、金牛(タウロス)、巨蟹(キャンサー)はこっちの陣営になるわ」
コルウス「残りは現在も行方を眩ませている」
ソーレ「ところでさ…新人ちゃんが言ってた。空間魔法の使い手である時空の番人(ウォッチャー)って実在してたの?」
フレア「いい加減にそのもの言いは止めろ!」
ディス「いいえ、間違いなく絶滅したと言っていいでしょう」
コルウス「…相違ない。古代遺産(アーティファクト)が関係しているようだが、この中にいたな?」
レクス「この太刀の事か?」
コルウス「総合歴よりも前から存在すると言われている業物か」
ソーレ「へぇ~その武器ってそんなに昔のものなのによく刃がボロボロにならないね」
ディス「良い事を想いつきました、レクス…貴方の古代遺産(アーティファクト)を分析させてはもらえませんか?無論、分析結果が終わり次第にお返しします。それが今回の貴方に対する罰という事で?」
レクス「承知した」
ディス「確かに、預からせて頂きます」
フレア「レクス、少し話があるわ」
レクス「珍しいね、君から誘いがあるだなんて」
フレア「盗み聞きするつもりなんてなかったけど、貴方は未だに迷いがあるんじゃないかと思ってね」
レクス「そうか、見ていたんだね…それで私をどうするつもりだ?」
フレア「別にどうもしないわ…ただ、私の目的に支障が出るようなら容赦はしないってだけよ」
レクス「警告…という事か?」
フレア「そうよ、私の目的はこの星の再生…いやゼロにかえす事(・・・・・・・)だから、身内に対して躊躇してるようなら、次は私がやるわ」
レクス「それは止めておいた方がいい、リオンは前の時とは違う」
フレア「生きる事への渇望かしら?」
レクス「その通りだ、あいつは烙印を宿し、不死身の身体を得たことで尚の事死ねない身体に成り代わった。それゆえに恐怖心がマヒをしていった」
フレア「貴方がその呪縛を解き、彼には一気に今まで積み重なってきた恐怖心が襲い掛かったわ…それが貴方にとって作戦のはずだった」
レクス「想定外なのはその恐怖心にリオンが打ち勝った事だ」
フレア「これでわかったでしょ?貴方は甘いのよ…だから、烙印も取り返された」
レクス「返す言葉もないね」
フレア「おまけに武器までとりあげられて…アッサリ渡しちゃうし、本当に甘すぎるというか」
レクス「ハハッ、亡くなった妹にも同じような事を言われたよ」
フレア「妹…言っておくけど、私とその妹さんを勝手に重ねないでよ?ともかく警告はしたからね?」
・サターン
リコル「良かった、何とか機能してるわ」
エルザ「ねぇ、村に人はいないの?」
リコル「いないわ。戦争に巻き込まれたのだから…ここだって例外じゃないわ。村を捨てきれずに巻き込まれたか、村を捨てて別の所に住んでいるかね。この世界でなら、貴方の故郷であるウラヌスもあるわ」
エルザ「けど…それは私の取り戻したい国じゃないわ」
ケイル「エルザ…」
リコル「ここの家主には申し訳ないけど、缶詰を頂くとしましょう」
エルザ「ちょっと待ってよ!それじゃあ、窃盗じゃない!」
リコル「気持ちはわかるけど、状況を理解して…そうでないと誰が皆を救うというの?」
エルザ「…わかったわよッ!いただきます!」
リオン「ふぅ~、とりあえず腹は満たされたな」
ケイル「んで、姐さんこの後はどうする予定だ?」
リコル「2つの選択があるわ、悪い選択ともっと悪い選択よ」
ケイル「どっちも悪い選択肢じゃねか!?んじゃ、先に悪い方」
リコル「この世界で暮らし、永遠に元の世界に関わらないで生きていく」
エルザ「ふざけないでよ!そんな選択できるわけがないでしょ!」
リコル「ソシエの病状を見ても?」
エルザ「そんな事は言ってないわ」
リコル「この際だから、はっきりと言うとソシエは私達にとってお荷物でしかないわ。だからこそ、元の世界に戻ってもまた同じように奇襲をされるだけ」
リオン「そんなつもりはない!今度こそこっちから攻め込んで!」
リコル「それで、今回の結果でしょ?攻めるつもりが向こうにとって思うつぼでしかなかったじゃない」
ケイル「ふぅ~、情けないがそれについては否定出来ない」
リオン「おい!ケイル!」
ケイル「けどな…ソシエやあいつらを見捨てて生きていける程、俺は器用じゃねえんだ…それによ、レイフのやろうとしてる事を放っておく訳にだっていかねえ」
リコル「それがどんな結果になろうとしても?」
リオン「未来なんて誰も見えない、だからこそ今を足掻いて少しでも理想に近づくんだ」
リコル「もうひとつのもっと悪い選択だけど…ソシエの症状を治す為にここを出るわ」
リオン「ソシエを治せるのか!?」
リコル「いうのは簡単だけど、思ったより簡単な事じゃないわよ」
リオン「なんだっていいわ!みんなを助ける為なら」
リコル「まず、ソシエの意識を覚醒させるためにも、奥にある神殿でエルザ…貴方の力が必要なの」
エルザ「私が?」
リコル「私の力で貴方をソシエの深層心理へと潜らせるわ、その間にリオンとケイルには星魔戦争を引き起こした教団…星誕教団のアジトに向かってほしいの」
ケイル「アジトへ向かうとか…空から探しても見つからなかったのにどうやって見つけるんだ?」
リコル「操られているルセナに発信機を仕掛けたわ、そこを目印にして私がもう一度空間魔法で転移させる」
リオン「そんな事までしてたのかよ…ったく、流石は情報屋だな」
ケイル「俺らは先行して、捕まった仲間達を救出するって事だな」
エルザ「けど、これって相当な危険が伴うわね」
リコル「そう、最悪全滅を辿る事にも繋がるわ…でも、今ならまだ引き返せるわ」
リオン「よしっ、決めた!やろうぜ?俺たちで今までの借りを返しによ?」
エルザ「私も…ソシエを助ける為に全力を尽くすわ」
ケイル「はぁ~揃いも揃って、状況を解ってるのかって…まっ、ここはお兄さんもついてやらなきゃだな」
リコル「決まりね。皆でやりきるわよ…あっちの世界もこっちと同じようになんてさせない」
エルザ「でも、リコル…いいの?せっかく元の世界に戻ったというのに下手をしたら二度と戻れなくなるかもしれない」
リコル「確かに私はここで育ったかもしれない…けど、思いとどまって何もしないでいるのは死んでいるも同然だから。私は自分で出来る事は自分でやっていく。そう決めたから」
ケイル「惚れ直したぜ、姐さん」
リオン「んじゃ、まずは神殿とやらに行かなきゃな」
エルザ「必ずみんなを助けましょう」
リコル「…準備はいいわね?」
リオン「ああ、待ってろよみんな!」
・星誕教団アジト
ディス「クソッ…何故、何も解析が出来ない。同じ古代遺産(アーティファクト)だというのに」
ソーレ「所詮は種類が同じなだけで、解析なんて出来ないんだよ」
ディス「認めないよ…道具の分際で人の上へと立とう等と!」
ソーレ「ディスベリオンちゃん、何を焦ってるのさ?いや…違うね、その瞳は追い詰められている人の目だ」
ディス「追い詰められる…ですって?誰が私を追い詰めているというのです?」
ソーレ「今回、君に与えられた任務は双魚を葬る事…けど、それが遂行できずにまんまと逃げられちゃったからね…レイフの命令には失敗を許さないんでしょ?」
ディス「崇高なるあの方を呼び捨てにするな!」
ソーレ「大丈夫だよ…彼らは僕らを狙ってやってくる…まるで、この糸が運命の赤い糸であるかのようにね?」