転生したので、欲望の為に突っ走る   作:やがみ0821

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今更だけども、タグに原作キャラ所属ファミリア変更を追加しました。


出発と相談

 

 晴れ渡った空は、まるで今日という日を祝福しているかのようだ。

 いよいよ本日、リヴァイアサン討伐に向けて討伐隊がオラリオを出発する。

 フレイヤ達やフリュネなどの馴染の娼婦との別れを済ませたレヴェリアは、馬車に乗り込んで書類仕事をしていた。

 彼女の前には今回も当然のように同乗しているアルフィアと、彼女を睨みつけているディース姉妹がいる。

 こうなることはレヴェリアに予想できていた為、ミアとオッタルには最初から別の馬車に乗るように伝えてあった。 

 

 

 今回、ベヒーモス討伐時よりも戦力が充実しているとレヴェリアには断言できる。

 3ヶ月に及んだ合宿によりレベル10こそ誕生しなかったが、レベル8以下の者達が軒並みランクアップをして、そのレベルを1つ上げていたからだ。

 ロキ・ファミリアでは三首領が揃ってレベル7にランクアップをしたことで、お祭り騒ぎとなったのは記憶に新しい。

 

「レヴェリアお姉様、そのクソガキをいつまでのさばらせておくの?」

「そうよ、レヴェリアお姉様。さっさとどうにかすべきだわ」

「貧相なクソガキ共に言われたくない」

 

 ディース姉妹の言葉に、最近大きくなってきた胸をわざとらしく張ってアルフィアが答えれば、姉妹揃ってむきーっと表情を怒りに変える。

 レヴェリアからすれば大変微笑ましい光景だ。

 

「おいで、ディナ、ヴェナ」

 

 名を呼べば、素早く姉妹はレヴェリアのところへ。

 頭や頬を優しく撫でたり、長耳を弄ったりしてレヴェリアが耳元で囁きながら宥めれば、その怒りはたちまち鎮火。

 だが、姉妹揃ってアルフィアを煽ることは忘れていない。

 

「可哀想なアルフィア。レヴェリアお姉様に、撫で撫でしてもらえないなんて」

「ディナお姉様、撫で撫でだけじゃないわ。抱っこもほっぺむにむにもしてもらえないのよ」

 

 クソガキというよりはメスガキなディース姉妹だが、そういうところもレヴェリアは大好きだ。

 それはさておき、彼女はアルフィアのフォローも忘れていない。

 ディース姉妹を離したレヴェリアは、アルフィアを手招きする。

 ツーンとした顔のアルフィアが至近距離まできたところで、レヴェリアは彼女の頭へ手を伸ばす。

 

「灰色の髪など、撫でてもつまらんだろう」

「私がそうしたいから、そうするだけさ」

 

 以前にも聞いたアルフィアの言葉に、レヴェリアは微笑みながら答えた。

 撫でるだけに留まらず、彼女はアルフィアを優しく抱きしめる。

 

「……なんか私達が都合良く使われた感じがするわ、ヴェナ」

「ええ、ディナお姉様。でも、アルフィアはお子様だから、許してあげましょうよ」

「そうね、ヴェナ。私達、大人のレディだもの。子供のやることで目くじらを立てるのは良くないわ」

 

 ディース姉妹はメスガキにしか見えないが、ヘディンとヘグニより歳上という合法メスガキ白黒妖精姉妹である。

 なお、子供みたいな喧嘩をふっかけていったのは姉妹からであったが、アルフィアが何も言わなかったので、レヴェリアも余計なことは言うまいとして姉妹の発言を聞かなかったことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オラリオを出発した討伐隊は2週間程掛けて、目的地に到着した。

 前入りしていた後方支援を担当するファミリアによって、設けられた拠点だ。

 この拠点は、リヴァイアサンが生息している海域に面した沿岸部からおよそ3K、内陸に入ったところにある高台にあった。

 リヴァイアサンが海上で跳ね回るだけで、その巨体ゆえに大津波を簡単に引き起こせる。

 そういったことを考慮した結果、この位置となっていた。

 

 決戦を明日に控え、各派閥の団長と幹部達によって会議が開かれたが、その場で前回と同じようにレヴェリアが正面に1人で立つことを宣言。

 会議に参加した面々には事前にその旨を伝えて根回ししてあった為、反対意見が出ることはなく、リヴァイアサンがやってきそうな攻撃とその対策などが話し合われて、スムーズに終わった。

 そして、始まったのは英気を養う為の宴会であったが、その最中にレヴェリアはフィン・ディムナにこっそりと呼び出された。

 

 

 拠点から少し離れた森の中に男女が2人。

 ゆえに、レヴェリアはからかい気味に尋ねた。

 

「愛の告白か?」

「あいにくと伴侶は同族の女性と決めているんだ。すまないね」

 

 苦笑してそう答えたフィンは本題を切り出す。

 

「前々から、君に聞きたかったことがあったんだ」

「聞きたかったこと?」

 

 フィンは頷いて、彼女の瞳をまっすぐに見つめて問いかける。

 

「勇者とは、どういう人物だと思う?」

 

 レヴェリアはただ強いというだけではなく、鍛冶やら魔道具やらあらゆる分野において才能を発揮している。

 最強の眷族でありながら最優の眷族と称するに相応しい。

 そんな彼女が考える勇者像、それを聞けば得るものがある筈だ、と彼は考えた。

 勿論、純粋な好奇心があるのも否定はできなかった。 

 

 真剣な表情のフィンに対して、レヴェリアは答える。

 

「どんなに絶望的な状況であっても、夢物語のような最高の結果を諦めることなく掴み取りに行く者だと思う」

「性格や振る舞いとか、そういったところは?」

「悪行三昧をしていなければ問題がないだろう。むしろ、問題点が何もない完璧超人だと忌避されるかもしれん」

 

 レヴェリアはそう答え、具体的な事例を出してみせる。

 

「私が色ボケではなかった場合、世間一般がどう思うか。それを考えてみてくれ」

「……忌避とまではいかないだろうけど、近寄りがたいとは思われるだろうね」

「そういうことだ。もっとも、私の場合はそういうことを狙っていたわけではないが……ともかく、あえて隙を見せておくことで、親しみやすさを出すことができると思う」

 

 一理ある、とフィンは頷いた。

 例えばガレスは【暴喰】に酒飲み対決で負けて、オデコに落書きされるなどといった酒に関するエピソードが多くある。

 リヴェリアはそういうものがないかと思いきや、セクハラをしてくるロキの口にロールケーキをぶち込んだというオラリオでも屈指の面白いエピソードがあり、またレヴェリアとの絡みで様々なエピソードがあった。

 だが、フィンにはそういったエピソードがない。

 

「お前にはそういったものがあるか?」

「それが思い当たらないんだ。基本的にはダンジョンとホームの往復で、ホームにいるときも書類仕事ばかりでね」

 

 レヴェリアからの問いかけに、彼はそう答えた。

 派閥が大きくなるにつれて仕事量はどんどん増えている。

 書類仕事以外にもギルドや他派閥との折衝など多岐に渡っており、幹部や団員達に仕事をある程度割り振っていてもなお激務だ。

 フィンからすると、レヴェリアが団長業務をこなしながらも、しっかりと休日を確保しているのが不思議で仕方がない。

 

「どうやって君は休日を確保しているんだい?」

「仕事の効率化だ。うちは書類仕事をやってくれる団員が少なくてな。フレイヤの寵愛を得る為に強くなることしか頭にない輩ばかりで……」

 

 フィンは察した。

 フレイヤ・ファミリアの状況から、そういう予想はあったが――いざレヴェリアの口から語られると、同じ役職を担う者としては心にくるものがある。

 そこでレヴェリアは何やら良いことを思いついたとばかりに、朗らかな笑みを浮かべた。

 

「ところでフィン。ミアが将来的に料理屋を開く為に抜ける予定なんだが……お前を副団長として引き抜きたい。月給5億、その他待遇面で可能な限り要求を聞くから来てほしい」

「そんなに堂々とした引き抜きは予想外だよ。答えは分かっていると思うけど」

「今この瞬間に天地がひっくり返るくらいの確率で、もしかしたら可能性があるかもしれないだろう?」

「それって実質的にゼロって言わない?」

「それでも言わないよりは言ったほうがいい」

 

 それもそうだ、とフィンは頷いてみせる。

 そんな彼に、レヴェリアは更に言葉を続ける。

 

「それはそうと、歓楽街に私がよく行っている小人族の娼婦しかいない専門店があるんだが……どうだ? 息抜きに」

「飲み屋に行くような感覚で、娼館に誘わないでくれるかな?」

 

 レヴェリアに呆れるフィン。

 それでいいのか黒の王女、将来は大丈夫か黒妖精――他人事ながら心配になってしまう。

 そんなことを考えていると、レヴェリアは真面目な顔でもって告げる。

 

「お前はもっと吹っ切れた方が良い。小人族再興という大目標へ一直線に突き進むのもいいが、寄り道をして人生を楽しんでも損はない」

「それもそうだね。ロキに相談でもしてみるよ」

「それと、お前は何やかんやで嫁探しを後回しにしそうだ。いい感じの子がいるのに、理由をつけて逃げ回ったりするなよ? そうしたら、私がお前を捕まえてその子と密室に放り込むからな」

 

 エロいことをしないと出られない部屋を最硬金属(オリハルコン)をふんだんに使って作ってやるから、と良い笑顔を浮かべてレヴェリアは告げた。

 視線を逸らしながらフィンは笑って誤魔化すのだった。

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