最速×無敵=驀進王   作:カニ漁船

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夏合宿の始まりですわよ。


夏合宿の始まり

「おやぁ?カフェじゃないか!こんなところで奇遇だねぇ!」

「……何故、タキオンさんが、ここにいるんですか?」

「当然さ。私は委員長君と同じチームだからねぇ。一緒にいるのは当然というものさ」

 

 始まる夏合宿。アグネスタキオンは早速マンハッタンカフェに絡みに行ってる。マンハッタンカフェは鬱陶しそうにしているけど。向こうではキタサンブラックとサトノダイヤモンドが楽しそうにしていた。ドゥラメンテは相変わらずである。

 

「さて、今日からやっていくわけだけど……ちょっといいかな?聖トレーナー」

「何でしょうか?」

 

 夏合宿を始める……前に、向こうのトレーナーとの話し合い。どうもシンボリルドルフからある提案があるらしい。

 

「今回の夏合宿なのだが、週末は併走による実戦的なトレーニングをしたくてね。いかがだろうか?」

「実戦的なトレーニング……」

「あぁ。言うまでもないが、私とテイオーは菊花賞を勝った経験がある。なおかつ、高村トレーナーには私が長距離を最も得意としていることが分かるのだろう?だから、サクラバクシンオーが菊花賞を勝つために色々と指導をしようと思ってね」

 

 願ってもない提案だ。経験者からの手ほどきはものすごくありがたい。それに、チラッと見えたマンハッタンカフェとサトノダイヤモンドの長距離適性はA。一緒にトレーニングしていけば、適性も上がって行くというものだろう。バクシンオーの長距離適性はC。もうすぐBに上がりそうな気がするし、この夏合宿でAになるのも夢じゃないな、これは。Bに上がりそうというのはただの願望でしかないけど。

 

「ありがたい提案です。では、平日は通常のトレーニングを行い、週末は実戦的な併走をする。これで行きましょう」

「あぁ。任せてくれ」

「よ~し、バクシンオー!早速トレーニングだ~!」

「ちょわ?やる気ですねテイオーさんッ!委員長も負けていられませんッ!トリャー!」

 

 バクシンオーとテイオーは早速トレーニングを始めた。やる気十分なようで何よりである。

 

 

 そんなわけで一日目のトレーニングが終わった後のことなのだが。

 

「では、今回は領域について説明をしていこうか」

 

 シンボリルドルフによる特別講座のようなものが始まった。メンバー全員がしっかりと話を聞いている。それにしても、領域についてか。

 

(ノートにまとめておこう)

 

 自分もペンとノートを持って話を聞く。

 

「領域……ゾーンとも呼ばれているものだが、これは時代を作るウマ娘が必ず至ってきたと言われている。私も当然使えるし、有名どころならマルゼンスキーやミスターシービーも使える」

「ボクも!ボクも使えるよカイチョー!」

「そうだな。テイオーも勿論使える。領域の効果は凄まじい。時に、自分さえも知らない剛脚を生み出す」

 

 自分さえも知らない剛脚、か。思い出すのは日本ダービーのライスシャワー。あれも凄かった。今まで見たことがないような末脚だった。

 

「限界の先の先……そんな場所へと辿り着く力。それを我々は領域と呼んでいる」

「ほへ~」

「領域……私も、いずれはっ!」

「な、なんだか凄そうだねダイヤちゃん」

「そうだね、キタちゃん……」

 

 何やら決意を固めているドゥラメンテ。彼女の目標を考えたら気合が入るのも当然か。バクシンオーは……なんだか凄そう、ぐらいには分かってそう。

 

「ほほ~う!モルモット君から概要は聞いていたが、実に興味深い!領域……是非とも見せてもらいたいものだねぇ!」

「慌てなくとも、週末の併走で見せるさアグネスタキオン」

「あなたは、全く……」

 

 領域の話を聞いてテンションを上げるアグネスタキオン。それをジト目で睨むマンハッタンカフェ。2人の関係がうかがい知れる……のだが。

 

(さっきから宙に浮いているマンハッタンカフェのそっくりさんは何だろうか?やたらとこっちに絡んでくるけど)

 

 夏合宿で、というよりはマンハッタンカフェに会ってからだろうか?彼女のそっくりさんが自分の周りをウロチョロとしていた。しかも楽し気に。害はないから無視してるけど、本当になんだ?

 

〈ナカマ!ナカマ!〉

 

 誰が仲間だ。まだ死んでないよ。

 

「それで領域だが……自分が持っている力の100%を引き出すようなものだ」

「それは、つまり?」

「本人の実力が高まれば高まるほど、領域もより強力なものとなる。自分が持っている力以上のものを引き出せるような代物ではない、ということさ」

 

 なんだろう、ちょっかいが凄くなってきた。楽しそうだね、君。

 

「はい!領域に至るとどんな景色が見えるんですか!?」

「それにはワガハイが答えようキタちゃん!そうだね~……なにも聞こえない、自分だけがいる景色。そんな景色が見えるよ!」

「大体そんな感じだ。集中力が極限まで高まった結果だろうな」

 

 もうこの際無視して話に集中する。それにしても凄いな領域。

 

「サクラバクシンオーは一度体験しているだろう。領域を使うウマ娘の末脚を」

「ちょわ?……あぁ!日本ダービーのライスさんですねッ!」

「そのとお「あれは凄い脚でしたッ!ま~私の方がちょっぴり速かったわけですがッ!いえ、あのままでも私は負けませんでしたともッ!」それは置いておくとして。アレが領域の力だ」

「ま、ライスの領域はまだ未完成だったけどね~。途中で落ちたし」

「あ、アレで未完成……!」

 

 キタサンブラックが驚いている。あれだけの豪脚を発揮して未完成だったらそりゃ驚くか。

 

「お友だちが、楽しそうにしています。ふふ、とっても、楽しそう……」

「カフェ?何の話だい?」

 

 気にしないでおこう。うん、気にしない方が良い。

 

「……と、ここまでは領域の良い点を挙げてきたわけだが」

()()()()()()()()()()()()。ま、当然だよね。そんなデメリット無しにスーパーパワーが使えるわけないもん」

「だろうね。考えられる線としては……体力の消耗かい?」

「その通りだ、アグネスタキオン」

 

 これまでは領域の凄いところを語ってきた。だが、領域だって便利な力じゃない。デメリットだってあるだろう。

 

「使いどころを誤れば、後に返ってくるのは使った反動だ。ちゃんとどこで仕掛けるべきかを判断しなければならない」

 

 使いどころが重要、と。

 

<ギャハハ!ツカイドコロツカイドコロ!>

 

 何が楽しいのだろうか?お友だちさんは。

 

「後は、領域同士がぶつかれば地力が上の方が勝つ。これもまた当然だな」

「あくまで自分のポテンシャルを100%に引き出しているから……ですね?」

「その通りだドゥラメンテ。それに、領域が使えるからと言って必ずしも勝てるというわけではない。そのことを覚えておいてくれ」

 

 そんなわけで続いたシンボリルドルフによる領域講座。まもなく終盤といったところ。

 

「領域は、どうすれば至れるんですか?」

 

 サトノダイヤモンドの何気ない質問。確かに気にはなるだろう。シンボリルドルフは困ったような笑みを浮かべている。

 

「難しい質問だな。残念だがこうすれば至れる、という明確なものはないんだ。最終的には自力で辿り着くしかない」

「そう、ですか。やっぱりそう簡単に使えるものでもないですよね」

「元々限られたウマ娘のみにしか使えない、なおかつ都市伝説的な扱いをされていたからね。ただ、ライバルの存在は重要だと考えている。オグリキャップとタマモクロスが良い例だ」

 

 確かにあの2人は領域を使えるかもしれない。なんとなく、だけど。

 

<ゲンカイトッパ、ゲンカイトッパ!>

 

 限界突破?どういうことだ?

 

「限界突破……シンボリルドルフ、ちょっといいかな?」

「構わない。何だろうか?高村トレーナー」

「領域に至ることで副次的な効果……例えば、能力値の向上、みたいなものはあるのだろうか?」

「ふむ」

 

 少し考え込む様子を見せるシンボリルドルフ。果たしてどうなのだろうか?

 

「そうだな……確かに、そのような効果はあるかもしれない」

「かもしれない、とは?」

「能力値の向上というよりは、領域に至ることで今までよりもレースパフォーマンスが向上したという話はある。ただ……いかんせん確認する手段がなくてね」

 

 困ったような笑みを浮かべて言われる。まぁ確かにそうか。自分以外には確認する術はないだろう。

 

(能力値Uランクに至るには、領域に至ることが必須条件……かもしれない)

 

 これはまだ仮説だ。もしかしたらそうじゃないかもしれない。こればっかりはどうしようもないか。

 

(ただ、ネームド以外のウマ娘の最高ランクはSとかだった。けどネームドはUランクを超えているウマ娘がいる……つまりはまぁ、そういうことなのかもしれない)

「そうそう、サトノダイヤモンド。どうすれば至れるのかという話の続きだが」

「は、はい!」

「自分の得意距離で走れば、領域に至れる可能性が上がると思う。これはあくまで推測だがね」

「得意距離で、走る……」

 

 やはり色々とあるんだなぁ。

 

<トクイキョリ!ダイジ!>

 

 このお友だちさんも凄いな。どういう存在なのか知らないけど。

 

「……まぁ、サクラバクシンオーならば必ず至れるだろうね」

「ちょわ?何故ですか?」

 

 シンボリルドルフは、バクシンオーならば確実に領域に至れると言い放った。バクシンオーの疑問に、シンボリルドルフはこともなげに続ける。

 

「何故って──君は模範的な学級委員長だからね。いつかは約束できないが、必ず至ることができるだろう」

「ッ!ま~そうですとも!私は模範的な学級委員長、領域にもかる~く至ってみせましょうッ!」

「あんまり固執し過ぎないように。それだけは覚えておいてくれ」

「分かりましたッ!」

 

 これにて領域講座は終わり。終わった後にマンハッタンカフェに呼び止められる。

 

「お友だちが、嬉しそうです。もしかして……見えていたり、しますか?」

「そうだね。見えてるし聞こえてる。なんか、懐かれたんだけど」

<ナカマ!ナカマ!>

「お友だちは、あなたを気に入ったようです。仲間の、ようだと。それに、見えていて、聞こえてもいるんですね」

「まぁね……僕まだ死んでないんだけど」

 

 どうやら自分はお友だちに気に入られたらしい。マンハッタンカフェのお墨付きだ。

 

 

 

 

 

 

 領域講座の後、シンボリルドルフのトレーナーと話をすることに。

 

「ミホノブルボンにライスシャワー、2人で合同トレーニングをしているみたいだよ」

「らしいですね。風の噂で聞きました」

 

 話題はバクシンオーのライバルとなる陣営の話。どうも、ミホノブルボンとライスシャワーはこの夏合宿で合同トレーニングをしているらしい。ライバル同士であるにも関わらず、だ。

 

「それにマルゼンスキーやニシノフラワーも加わってるからね。多分だけど、領域を完成させてくるだろう」

「……」

「ちなみに、聖トレーナーは算段はあるの?領域に至るために」

 

 領域に至るための算段、か。

 

「ないですよ。シンボリルドルフが言っていたように、どう至るかが明確化されていないわけですし。まぁ……頑張ってみます」

「アハハ……そうだね」

 

 こればっかりはどうしようもない。バクシンオーなら間違いなく至れるだろうが、それが菊花賞までに間に合うかどうかだ。

 

「……ま、やれるだけのことはやりますよ。()()()

「……っ!あぁ、そうだね。()()()()

 

 夏合宿は始まったばかり。この夏合宿で、菊花賞で勝つための力をつける。色々と考えないとね。

 

「ちなみに、サクラバクシンオーの次走は決まってるの?菊花賞前に前哨戦を挟むと思うんだけど」

「あぁ、スプリンターズステークスです」

「へ~……え゛っ?」

「バクシンオー曰く、最速と最強を同時に制すれば誰もが憧れる学級委員長でしょうッ!……とのことです」

「あぁ、彼女なら言いかねないね……」

 

 ま、勝てるように頑張るだけだ。スプリンターズステークスの出走者とか、色々と調べておかないと。




お友だちに気に入られた模様。仲間扱いされてるよやったね高村T。そして特別なライブを見てなかったがために今現在グランドライブをやってるというね。
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