最速×無敵=驀進王   作:カニ漁船

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(こちらでは)お久しぶりですねぇ!


次なる戦いに向けて

 新年を迎えて、バクシンオーはトレーナー室で声高に告げた。

 

「トレーナーさんッ!高松宮記念と大阪杯の両方に出走しましょうッ!」

「ダメに決まってるでしょ」

 

 今日も一日が始まる。

 

 

 目の前のバクシンオーはやっぱりか、という表情。僕が断るのを分かってて提案したな?あわよくば、なんてものはないぞ。

 

「う~む、しかし……そうなるとどちらに出走するか迷いますね~」

「……高松宮記念か、大阪杯か?」

 

 はいッ!と元気よく返事をするバクシンオー。この2つのレース、日程が近いのでどちらにも出走するというのは無理だ。高松宮記念の1週間後に大阪杯、中1週ならギリ考えなくもなかったけど、さすがに0週となると断らないといけない。

 自分の得意分野である短距離を磨くなら、高松宮記念。これまで通りに行くならば大阪杯、といったところか?もしくは春シニアの三冠を狙うなら。

 

「ほら、ライスさんへのリベンジがあるじゃないですか?春の天皇賞!」

「あ~……確かにそうだね」

 

 バクシンオーが挙げたレースは、現状出走が確定しているレース、天皇賞・春。前回は負けちゃったから、今度こそは勝たないと。現に今もライスシャワーのことを徹底的に調べ上げているし、どうやって彼女に勝つか?と試行錯誤している。

 

(長距離の適性がSのライスシャワーに勝つのは至難の業だ。でも、()()()()()()()()()()()

 

 適性の差を覆すほどの地力をつければいい。なにも適性だけが勝敗を左右するわけじゃないからね。バクシンオーも気合が入ってるし、春の天皇賞の準備は万端だろう。

 けど、その前に。

 

「僕個人としては高松宮記念の出走をオススメしたいね。楽しくなってきたんだろう?スプリント戦」

「それは勿論ッ!どの距離を走っても楽しいですが、やはり一番は短距離ですからッ!」

 

 屈託のない笑顔で答えるバクシンオー。眩しい。

 春天の前に高松宮記念と大阪杯がある。最終的にどっちに出走するかはバクシンオーに任せるけど、こちらも頭に入れておかないといけない。

 

「しかし、やはり大阪杯の出走も捨てがたく……ッ!ぐぬぬ~!分身できたりしないでしょうかッ!?」

「無理じゃないかな」

「タキオンさんの力を借りればッ!」

「タキオンの薬を何だと思ってるの」

 

 たまに変な効果があるけど、タキオンの薬は基本的に発光するぐらいしかないよ。いや、発光するのも大概おかしいんだけども。

 

「いえッ!バクシンに不可能無しッ!いずれは分身の術を身につけてみせますともッ!いざ!バクシンバクシーーーンッ!」

「どっちに出走するか決めておいてね~」

 

 バクシンオーは去っていった。うん、いつも通りだね。

 

 

 

 

 

 

 う~む、本当にどうしましょうか!

 

「高松宮記念に出走したいですが、大阪杯もまた捨てがたいッ!悩みますね~これは」

 

 1200mのスプリント戦、高松宮記念!スプリンターズステークス以降、私のバクシン熱は高まり続けています!この電撃戦で消費したいという気持ちは大きいですね。

 もう一つは2000mの中距離戦、大阪杯。春シニア三冠の一冠目ですね。短距離戦ではありませんが、こちらでもバクシンしたいという気持ちが私の中にあります!やはり模範的な委員長として、中距離で結果を示すのも大事ですから!

 

「ぐぬぬ~、悩みます、ひっじょーに悩みます!私は、どうしたらよいのでしょうか!?」

「『心配』。頭を抱えてどうしたのですか?バクシンオーさん」

 

 やや?この声は!

 

「ブルボンさんではありませんかッ!おはようございますッ!」

「おはようございます。先程から唸っているようでしたが、なにかお困りなことでも?」

「あぁいえ。別に大したことではありません。ただ、次のレースを決めかねているところでして」

 

 ブルボンさんに事情を説明。簡潔に説明できるのも委員長ポイント高いですよ!流石私!

 

「高松宮記念か、大阪杯か。どちらか決めかねていると」

「はい!短距離でバクシン力を高めるのもいいのですが、模範的な委員長としては中距離もまた捨てがたいッ!と考えているところでして!」

「……エラー。バクシン力とは?」

 

 やや?ブルボンさんから煙が上がっているような……まぁ気のせいですね!

 

 

 しかし、それも一瞬のこと。ブルボンさんの目つきが鋭くなります。私を睨みつけている、対抗心、ライバル心をむき出しにしていますねッ!

 

「『進言』。大阪杯への出走を推奨します。高松宮記念ではなく、大阪杯に出走すべきかと」

「ほほう!その心は?」

「決まっています」

 

 ブルボンさんの闘志が溢れてますね!普段の無表情が鳴りを潜め、私を真っ直ぐに見据えている。鋭い目つきで睨まれていますよ!

 

私が出走するからです。ステータス『対抗心』……今度こそ、貴方へのリベンジを成功させます、バクシンオーさん」

「やや?リベンジですか!」

 

 頷くブルボンさん。確固たる信念を持っているのが分かる瞳……素晴らしいですねッ!

 

「クラシックで私はあなたに惨敗しました。一冠もあなたから奪えなかった。シニアでは、戦うことすらままならない……訂正しましょう。戦うことを避けていました」

 

 つらつらと思いを語るブルボンさん。確かにシニアに上がってからは対戦の機会がありませんでしたね。唯一ありえそうだった安田記念でしたが、ブルボンさんは宝塚記念の方に出走していましたから。

 

「ですが、それももう終わりです。『負けない』……この大阪杯で、私は今までの負けを取り返します。あなたに勝って、マスターの教えは間違ってないことを証明します」

「成程ッ!それで私に大阪杯への出走を勧めたわけですね?」

「『その通り』。受ける受けないはバクシンオーさん次第ですが……いかがいたしますか?」

 

 受けるか、受けないか……ですか。勿論決まってますともッ!

 

「ブルボンさん、今ので私の肚積もりは決まりました。私は──大阪杯に出走しましょうッッ!!

「ッ!」

 

 挑戦状を叩きつけられたならば!受けてこそ学級委員長の務め!逃げる選択肢は私にあらず!

 

「ブルボンさんの挑戦、この学級委員長が受けて立ちましょうッ!大阪杯で勝負です、ブルボンさんッ!」

 

 ブルボンさんの思いに真っ向から答えましょうッ!それでこそ私のバクシン!

 

「もっとも、私は負けるつもりは毛頭ありませんッ!私と、トレーナーさんの力で!模範的な勝利を収めてみせましょうともッ!」

 

 目の前のブルボンさんは1つ、深く呼吸をして──私を見据える。

 

「負けません。勝つのは──私とマスターです」

 

 そう告げて、踵を返しました。ふっふっふ、それにしてもッ!

 

「熱くさせてくれますね、ブルボンさんッ!えぇ、委員長は逃げも隠れもしませんッ!真っ向からあなたを打ち破りましょうッ!」

 

 そうと決まればトレーナーさんの下へとバクシンバクシーーーンッッ!

 

 

 トレーナー室で仕事をしていたトレーナーさんにただ一言だけ!

 

「トレーナーさん!大阪杯に出走しましょうッ!」

「この10分ぐらいしか経ってない間になにがあったの?……まぁ君が決めたことなら別にいいけど」

 

 さぁ、張り切ってトレーニングしますよー!バクシンバクシーーンッ!

 

 

 

 

 

 

 ミホノブルボンはトレーニングに励む。()()()()()()

 

「──フッ!」

 

 ベストのタイムを記録し続け、次のレースに向けて準備は万端とばかりに気合が入っている。だが、それで満足する彼女ではない。

 

「マスター。ステータス『オールグリーン』。まだまだいけます」

「あぁ。まだまだ増やすぞ。手始めに坂路をもう一本だ」

「了解。ミホノブルボン、坂路へと向かいます」

 

 トレーナーであるマスターの指示で坂路へと足を運ぶミホノブルボン。彼女の頭にあるのは、次のレース──大阪杯のことだ。

 

(バクシンオーさんが出走してくる……生半可なトレーニングでは、彼女に勝つことはできません。だからこそ)

「極限まで自分を追い詰める必要があります……ッ!私は、もう負けない!」

 

 瞳に炎を宿す勢いのミホノブルボン。それは、トレーナーも同じだった。

 

「今度こそ、リベンジさせてもらうぞ……高村トレーナー」

 

 クラシックで負け続けた相手、サクラバクシンオー。無敗の四冠、適性の概念を破壊した常識破りのウマ娘とトレーナー。その実力は、嫌というほど知っている2人だ。世代の代表であり、歴代でも最強クラスに分類されるウマ娘。隙はほぼ無い。

 しかし、サクラバクシンオーとて負けなしというわけではない。ミホノブルボンの同期であるライスシャワーが、彼女を破っている。彼女らの手を借りることも考えたが。

 

(むやみやたらに知恵を借りるのは危険だな。そもそもミホノブルボンとライスシャワーは脚質からして違う)

 

 ミホノブルボンと脚質が違うということから断念。勝った時の状況や考えなどについて聞いておく程度に留めておいた。

 

 

 また、同じ脚質でもダイタクヘリオスやメジロパーマーに代表されるような大逃げのウマ娘達からの知恵を借りる。

 

「ブルボンもウェイウェ~イ!ぱりーぴーぽーでいこうぜぃ!」

「うぇーい」

「……あまりブルボンに悪い影響を与えてくれるなよ」

 

 万が一に備える必要がある。取れるべき手は取るべきだ。マスターはミホノブルボンの可能性を切り開いていく。

 そして、ブルボンも領域に到達していた。だが、彼女達の考えは。

 

「マスター。領域は使うべきではないと判断します」

「……そうだな。お前の脚質とは合わない可能性がある。それよりも対サクラバクシンオー用の策に時間をかけるべきだろう」

「はい。相手は強大、打てるべき手は打っておくべきと進言します」

 

 ()()()()()()。その考えで一致していた。

 

 

 大阪杯までの間、ミホノブルボンはスパルタトレーニングに励む。並のウマ娘ならば裸足で逃げだすようなトレーニングを、他のウマ娘達の協力でこなしていく。

 

(全てはバクシンオーさんに勝つために……!マスターの正しさを、証明するためにッ!)

「『まだまだ』……!ミホノブルボン、トレーニングを続けます……ッ!」

「そうだ!気合を入れろブルボン!今度の大阪杯、勝つのはお前だッ!」

 

 彼女達の思いは1つ。打倒サクラバクシンオー。それだけだ。




EX.STAGE大阪杯。無敵の驀進王VSサイボーグ
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