転生者、俺   作:外道堕落

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爆誕、俺

 

 

 

唐突であれだが…俺には前世の記憶がある。

 

ごく普通の家庭に生まれ、ごく普通の生活を送り、それなりの大学に通っていたどこにでもいる普通の学生。趣味はゲームやマンガなどオタク寄り…と言うか完全なガチオタクだった。しかし周りの目を気にして言動や身の振り方に細心の注意を払った事が幸いし、友人にも恵まれていたため特に人間関係で困ったことは無かった。むしろキモイオタクの癖に割といい人生を送っていたと思う。

 

 

しかしそんな順風満帆に見えていた俺の人生は一瞬で奪われる事になった。

 

 

それは何気ない、いつもと変わらぬ大学からの帰り道、今時の若者らしくスマホを弄りながらのんびり歩いると突然背後から凄まじい轟音が聞こえてるく。その音のデカさにほぼ反射的に振り返ると…目の前には一台の大型トラックが迫って来ていた。先ほどの轟音は目の前のトラックがガードレールを突き破ってきた音だろう。

 

避けれるほどの猶予はなかった。当然、俺はそれに巻き込まれる。視界がライトの光で埋め尽くされ鈍い音が響いた瞬間、俺の意識は途切れた。

 

痛みとかは特に感じなかった。それから察するにおそらく即死だったんだろう。苦しみながら死ぬよりは全然マシな方か…。

 

 

とまあ、そんなこんなで虚しくも俺は20歳弱でこの世を去ってしまった。

 

…去ってしまった、、はずだった…。

 

 

どう言う訳か、俺は再び目を覚ました。

 

おかしい、俺はさっき確かにトラックに跳ねられたはずだ。実は奇跡的に助かった…?いや、万が一助かったとしても体のどこも痛くないなんてあり得ないだろう。とりあえず現状の確認をせねば…。

 

(…ん?ちょっと待って?あれ?俺の手、、、ちっちゃくね?んん?こんな可愛らしいクリームパンみたいな手ぇしてたっけ?それに…頭おっも!)

 

突然の体の変異に処理が追いつかず混乱する。

 

そんな中、突然視界に見知らぬ女性の顔が現れた。

 

思わず『あう…?』と変な声を出してしまったが目の前の女性は満面の笑みで俺を抱えて頬擦りまでしてきた。

 

ん?抱えて?……抱えて⁉︎

 

小さな手足、やけに重たい頭…。そして見知らぬ女性の腕の中にすっぽり入ってしまうこの体。

 

間違いない、赤ん坊だ…、あのオタクの割に無駄に高身長だった俺は目を覚ますと100%生まれたての赤ん坊になっていた…。

 

 

この時、10数年間育んできた俺のオタク脳はこう答えを導き出した。

 

 

『これは生まれ変わり…俗に言う転生なのでは??』と。

 

 

 

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「はぁ〜っ!ウチの子可愛すぎるやばい〜!!もう一生離せな〜い♡」

 

「ぅぅぅぅ…」

 

「おい、頼むから潰したりするなよ??」

 

転生してから数週間が経過。まだ体は動かしずらいがそれなりに慣れてきた…。しかしオムツ交換の時だけが予想以上に精神が蝕まれてキツイ。かと言って産まれたての赤子がトイレで用を足す訳にも行かない。こればっかりは体の成長を待つしかないか…。

 

「ア゛ア゛ア゛ッ!!幸せすぎておかしくなりそうッ!!」

 

にしてもさっきからうるせぇなこの母親は!!いつまでハイ↑になってんだよ!!

 

「もう十分おかしくなってるだろお前は…。まぁ気持ちは分からないでもないが。」

 

そう言いって優しく頭を撫でてくる父親…。良かった、こっちは落ち着いた人で…。

 

「『遥輝〜!』ママっ!ママって言ってごら〜ん??」

 

そんなに早く言葉を話す訳無いだろ。話そうとすれば話せるけど。良いのか?マジで言ってやろうか?うん?

 

「ぁ、あぅあ〜…」

 

まぁ言わねぇけど、

 

「可愛過ぎて死ねる!!!」

 

何を言っても結局ハイ↑になる母親であった。

 

ちなみに今しれっと出てきたが今世の俺の名前は『久遠遥輝』と言うらしい。良かった、キラキラしてなくて。両親もどちらも俺に愛情持って接してくれている。まぁ母親の方は溺愛し過ぎてよく爆発するけど根は真面目で優しい人だ。

 

だから今みたいに多少暴走されても耐えられる…。あまりにもしつこい時は思いっきり泣いてやれば大人しくなるだろう。多分、きっと、maybe…。

 

 

「お、遥輝…眠くなって来たみたいだぞ?」

 

「ほんとだ…。」

 

 

くそ、さっき寝たはずがもう眠くなって来た…。まぁ良い。成長に必要なのは睡眠だ。たくさん寝て…そんでとっととでかくなって第2の人生を満喫してやる…。 せっかく前世の記憶持ったまま生まれ変わったんだ…絶対…悔いなく…生きていこう…。

 

「おやすみ、遥輝…」

 

その言葉を最後に、俺は再び眠りについた。

 

 

 

 

 

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生まれ変わってだいたい5年間が経過した。見た目は子供、頭脳は大人の爆誕である。

 

もちろん仕草や言葉使いには気を使っている為両親から怪しまれた事は1度もない。強いてあげるなら赤ん坊の癖に全然泣かなかった事ぐらいだろう。…それはどちらかと言うと怪しむと言うより心配されてたと言う方が正しいか?

 

「じゃあね遥輝。幼稚園行ってらっしゃ〜い。」

 

「うん、行ってきま〜す。」

 

5歳にもなれば当然幼稚園にも通う。バスに乗り込み窓の外を見ると笑顔で手を振る母親の姿が目に映る。

両親は共働きで忙しい日々を過ごしているが朝の見送りだけは欠かさずに来てくれていた。今世のオトンとオカン、いい人過ぎないか?

 

「はるきくんおはよ〜」

 

「うん、おはよ。」

 

席に座り先に乗っていた園児と軽く挨拶を交わす。まだ園児ではあるが友達は割とたくさんできた方だ。

まぁ中身は大人なため園児のやる事など簡単にこなせてしまうし、幸運な事に今世の体は運動神経も悪くない。こういった要因が重なり周りからチヤホヤされながら友達が増えて行ったという感じだ。

 

 

今世の俺、陽キャの素質あるのでは??

 

 

「ねぇねぇはるきくん!今日みんなでドラ○ンボールごっこしようよ!」

 

「いいよ!じゃあ俺ヒル○ガーン役ね!あ、あとジャ○ンバもやりたい!」

 

う〜ん、やっぱり今世もオタクかも!!

 

中身は大人であるため子供のごっこ遊びなんて恥ずかしくて出来たもんじゃない!!と最初は思っていたがこれが案外やってみると楽しいものである。

 

その後教室で園児にしてはやけにクオリティの高いドラゴ○ボールごっこが披露された。

 

 

 

 

 

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この世界に生まれてはや5年。その時間で俺は自分が転生したこの世界の情報をできる限り集めていた。朝のテレビのニュースを見たり、父さんが読んでた新聞を覗き見したり、マンガやアニメ(子供向け)と言った娯楽含めて…、そして結論付けた。ここは前世の時に過ごしていた世界と何ら遜色ない、全く同じ世界だと言うことを。

 

転生と聞くと異世界に行って魔法やチート能力で無双する的なイメージが多いがあれは画面の向こう側だから面白く感じるのであって、実際自分の身に起こったら正直やってらんねぇ案件だ。

 

もし仮に俺の転生先が魔法蔓延る異世界や二次創作の様にマンガやゲームの世界だった場合、下手したら前世よりもハードな人生を歩む事になっていたな。て言うか普通に諦めて死ねる。転生特典的なものが与えられるとしても…俺はそんな世界ごめんだ。

 

 

「…神様が本当に存在するならお礼を言いたいくらいだな…。」

 

「あれ?遥輝くん…?眠れないの?」

 

「ッ!いや、大丈夫です!寝れます!」

 

「そ、そう…?」

 

 

そう言えば今お昼寝の時間だったわ…。いや〜ん、恥ずかしいわ〜。独り言絶対聞かれちゃったわ〜ん。

 

まぁ先生からしたら心配になるよな…みんな寝てる中1人だけずっと天井見つめてる園児見つければ…。

 

「おやすみ、遥輝くん」

 

「は、はい」

 

そう言って一通り園児達の様子を見た先生は教室を後にした。昼寝の時間はまだまだあるし…、俺も寝るとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

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「ただいま〜」

 

「おかえり、遥輝。」

 

帰りのバスから降りると父さんが家の前で出迎えてくれた。という事は今日母さんは遅くなるのだろうか?

 

「今日母さん仕事で遅くなるみたいだ。夜は父さんとどっか食べ行くか?」

 

やっぱりな。

 

「ん〜、さんせーい。」

 

そんな会話をしながら2人で家の中へ入る。そうなると夜まで暇だし父さんのゲームでも借りて時間を潰すか…。

 

「父さん、またゲーム貸してよ。夜ご飯まで暇だし。あ、それとも2人で対戦やる?ストリートファイター10先やる?」

 

「あはは、勘弁してくれ。…父さんもう遥輝に勝てる気がしないんだ…。」

 

遠い目でそう返答する父さん。

 

どうやら先日行われた父VS子(5歳)の仁義なき戦いの結果をまだ引きずっているらしい。父さんもそれなりにゲーム好きらしいが俺も前世では超がつくほどの格ゲープレイヤーだったんだ。そう簡単に負ける訳には行かない。

 

「たまには外で遊んでみたらどうだ?近くに公園があるだろ?一緒に行ってみないか?」

 

公園か…確かにあったような気がする…。久々にブランコとか乗っちゃうのもありだな…。

 

「んー、じゃあ公園で!」

 

「よし。」

 

なんか小さくガッツポーズしてる父さんだったが気にせず俺は公園へと向かった。

 

 

 

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「ん?どうやら先客がいるようだね。」

 

「お、そうだな。」

 

公園に到着したは良いが既に何人か子供が遊んでいる…。しかも全員女の子と言うかなり入りにくい状況だ…。

 

「……ん?遥輝?「先客」なんて言葉よく知ってるな?」

 

「えっ!?あぁ〜、、よ、幼稚園の先生が言ってたような気がして〜…」

 

「ほー、」

 

あっぶね〜素で使ってた。

 

「それより公園…、ヒト、タクサン、イル。ドウスル?」

 

「急に片言だな…。混ぜてもらったらどうだ?見たところ歳も近そうだし。」

 

「いや、でも…」

 

「なんだ恥ずかしいのか?」

 

「はい。」

 

「おお…、そうか…。遥輝が人見知りするとは珍しい事もあるもんだ…。」

 

いや、いくら中身が大人でもさすがに女の子の輪の中に入るのは勇気がいるだろ…。入れたとしても絶対居心地悪いってお互い…。

 

「こんにちは〜」

 

「っ!?」

 

公園の入口でゴネているとその様子を見られたのか、遊んでいた女の子の内1人から突然声をかけられた。

 

「なんだ?幼稚園のお友達かな?」

 

「いや、俺こんな子知らない。」

 

困惑する俺を他所にその子はとトテトテと小走りでこちらに近ずいてくる。白髪でのんびりとした声が妙に特徴的だった。

 

「こ〜んにちは〜」

 

「あ、はい…。こんにちは。」

 

「お客さんですか〜?」

 

「……はい???」

 

「ここは、パン屋さんで〜す♪」

 

「……は?」

 

 

何言ってんだこのガキぁ…??(5歳児)

 

 

「パ、パン屋??」

 

「そーだよ〜?『モカ』のパン屋さんで〜す♪」

 

「………、??」

 

なにこれ、のった方が良いのか?いやでもいまいち上手い返しが思いつかないし…。

 

「そ〜なんだ、店主さん?おすすめはなんですか?」

 

っ!?親父!?ナイスアシスト!

 

「きょうのおすすめは、フランスパンで〜す♪」

 

「…だそうだ。どうする、遥輝?」

 

「……じゃあ、フランスパン1つください…」

 

「は〜い!特別に10円で良いですよ〜!」

 

えええ、金取んの〜??こんな所にまで物価高騰の影響が〜、一体どうしたもんか〜、、

 

「…店主さん、代金はこっちの親父につけといてくれ」キリッ

 

「今ナチュラルに父親売らなかったかこの息子…。まぁいいか。遥輝、あとはもう大丈夫だな?それじゃあ仲良く遊ぶんだぞ?」

 

「え、ちょ…」

 

「モカちゃん…だったかな?うちの子をよろしくね?」

 

「はぁ〜い!」

 

勝手に話を進めないで欲しいんですけど……、

 

「それじゃいこっか〜、ハルキくーん♪」

 

「時間になったら迎えに来るから、それまで遊んどいで」

 

「えええええ」

 

どうやら俺の意思は関係ないらしい。気がつけば俺は女の子に手を引かれ公園の中へ入っていた。

 

 

 

 

あぁ、やばいみんなめっちゃ見てくる…、めっちゃ目ぇ輝いてるぅ…

 

 

 

 

親父いいい、助けてくれぇええええ、親父いいいいい…っ

 

 

無常にも俺の思いは届かなかった。

 

 

 

 





いや〜もう、なんでこんな事に…。こんな事になるなら公園なんて行かなきゃ良かった…。まだ子供とは言え女子の集団に入るとか上手く馴染める気しねぇよ。しかもみんな可愛さレベル高いし…。

えぇっと?声掛けてくれたのがモカちゃんで?元気で鬼ごっこが好きなともえちゃん?それから喫茶店の娘のつぐみちゃんに?ピンクなひまりちゃん…。ん?あれ?なんかおかしいぞ?顔と言い名前と言いなんか見覚えあんぞ??

……まぁ似たような人っていくらでもいるし気のせいだよね??そう言う事にしとこっか。


次回、【違和感…俺】


※誤字脱字ありましたらよろしくお願いします
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