転生者、俺   作:外道堕落

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ひっそりと…。


小学生、俺

 

 

 

「ふぁ〜…。」

 

 

眠気とだるさが残る体を引きずるように今日も通学路を歩く。昨日はかなり遅くまでアニメを見ていたものだからいつもより割増で眠気がすごい…。さすがに前世の時みたいな連日の夜更かしは負担が大きいか…少し控えるとしよう。

 

「…ねっむ…。」

 

心地よい春風が背中に当たるのを感じる。しかし今の俺からすればこれはただの眠気促進剤でしかないのでちょっと控えて欲しい…。

 

そんな風を一身に受けながらしばらく歩くと小さい頃よくみんなで遊んだ公園が見えてきた。俺が初めてモカ達と遊び、蘭達の出会いを見届けたあの公園。遊具の配置も昔のままだ。

 

 

「…あっという間やなぁ〜。」

 

 

思わずポロッとこぼれてしまった。

 

あの時から既に5年以上の月日が経ってしまった。ちょっと前にようやく小学生まで漕ぎ着けたと思っていたのに気がつけば今日から最高学年である6年生…。

背丈も大分伸びた。クラスで多分1、2番は競える。声も少し低くなった。子供の成長は早い…本当にあっという間だ。きっとこの最後の1年もすぐに過ぎ去り、思い出の1ページに記録されるのだろう。

 

「…あぁあぁ…まーじねむっ。始業式から爆睡しようかしら…。」

 

しばらく園内を見渡した後、再び歩きだす。若干の不真面目さを含んだ言葉を吐き散らしながら…ダラダラと。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

あの公園で5人の出会いを見届けた後、俺は蘭達と距離を置こうと決めていた。理由はもちろん、5人の物語の邪魔をしないため。まだバンドリ本編のストーリーは始まっていないが俺がまたどこでやらかしてしまうか分からない。最悪蘭達の尊いストーリーが無くなってしまう可能性だってある。現に俺は1度やらかしかけた経験もあるし…、同じ轍は絶対に踏んではいけない。

 

かと言っていきなり素っ気なく接したり拒絶したりするのも違和感が大アリだ。理想は少しづつ、この6年間をフルに使って少しづつ離れていき結果的に疎遠になる。これがベストだ。

 

彼女達の物語に俺は必要ない。疎遠になった後はオタクらしくひっそりとライブに行ったりひっそりグッズを買い揃えたりして遠目からみんなを見守る程度で良いのだ。

 

 

 

 

と、こんな感じで先々の未来図を描いていたのだが……

 

 

 

 

「いぇ〜い、はるくん今年''も''クラス一緒だね〜♪」

 

「あぁ…、うん…」

 

「良かった〜。これで6人とも卒業まで一緒だね!」

 

「…そ、そうやねぇ…、はははは…。」

 

 

 

まるで嘲笑うかのように毎年彼女たちと同じクラスになってしまう謎の悲劇…。

 

乾ききった笑いが口からこぼれてしまった。

 

それとは反対にモカをはじめとした5人は笑顔で俺の机を囲んでいる。どこか安心したような、ホッとした笑顔だった…。

 

いや、ホッとしてる場合じゃないからね?これ…

 

(はぁ〜、疎遠とは…一体…)

 

 

普通男子にとって可愛い女子達に囲まれているこの状況は幸せな時間のはずなのだ。ましてや推しグループですし?ぶっちゃければ永遠に続けってすら思う…!しかし今後の事を考えると最高によろしくない…。

 

 

まぁね?最初の1、2年は『まぁそんな事もあるよね』と思ってましたよ。でも3、4年生になってもこの5人は当然のようにいらっしゃるし…。昨年に関しては終業式の日に担任からネタバレくらったよ…。『お前らすげぇなww』ってケラケラ笑われてましたよ!屈辱ですねぇ〜。

 

一体どんな力が働いているんだ…。気がついたらすぐ横でスタンバってる5人がちょっと怖いです…。幼馴染みパワーは伊達じゃないということか…?やるな、アフロ…。

 

「今日の蘭なんて不安で不安で顔色すっごい悪かったんだからね!」

 

「はっ!?別にそんな不安がってないし!変な事言わないでよ!」

 

「ほんとか〜?結構深刻な顔してたぞ〜蘭?」

 

「巴まで!」

 

きっと俺の顔色は深海みたいな色してんだろうなぁ…。

 

落ち込む俺をほったらかして今日も5人は仲良く談笑を続けていた。

楽しみそうですねぇ…、

 

 

 

「お、なーんだ、久遠も同じクラスだったのか。」

 

「…?」

 

5人の楽しそうな様子をしばらく眺めていると突然後ろから名前を呼ばれる。それと同時に蘭達も話を中断して声のする方へと視線を向けた。俺もそれに釣られて後ろに振り向くとそこには爽やかな笑顔でこちらに向かってくる1人の少年の姿があった。

 

 

俺はその少年を知っている。こいつもなんだかんだ毎年同じクラスで過ごしていたから。

 

 

「よっす〜」

 

「おー、福田か…。まさかお前も一緒だったとは…。」

 

「うぇ〜い^︎^︎」

 

陽気な声で手を差し伸べてきたものだから俺も合わせてハイタッチをかましてやった。その後、そいつは当然の様に隣の席に腰掛ける。…そこ、お前の席じゃないんだけどね??

 

 

「お〜、福田くんも同じクラスだったとは〜。」

 

「モカちゃん達もち〜っす!卒業までよろしく〜♪」

 

「お前は相変わらずチャラチャラしてんなぁ…。」

 

「そう言うお前は相変わらず小難しい顔してるよな」

 

「うるせ、生まれつきだ。」

 

 

 

このいかにも陽キャな雰囲気を出している少年の名は福田大和。

 

 

成績優秀、スポーツ万能、人当たりもよく、さらに超がつくほどのイケメンと弱点は無いのかって言うくらい完璧な少年である。あと言うまでもなく女子からの人気もすこぶる高い。

 

小学生の時点で一通りのステータスカンストしてるとか正直ズルすぎる。俺も学力や運度神経は負けていないはずなのだが、女子からの人気は圧倒的に福田の方が上…。

 

やっぱり顔か?顔なのか…?顔面格差なのか??今世の俺だってどちらかと言うと整ってる方だと思うんですけどそれでも足りないんですか??

 

だからココ最近女の子達は俺に声掛けてくれないんですか??

 

自分…、一応転生者でやらせてもらってるんすけど??不遇過ぎませんかねちょっと…。一体何が起きてるの俺の人生…。

 

「はぁ…。てか福田、こっち来る前にまず自分の荷物席に置いて来た方がいいんじゃないか?」

 

「ん?あ〜それもそうか。さすがに邪魔か。俺の席はーっと…、お!つぐみちゃん席隣じゃん!いぇ〜い!よろしく〜♪」

 

「あはは…、うん。よろしくね、福田くん。」

 

「……」

 

前々から思ってたけど…、ちょっとお前モカ達との距離近くないか?まぁ見た感じ下心丸出しって訳じゃないから大目に見てやってるけど……。あまり調子に乗るなよ?今のだってつぐは優しいからお前の変な行動も言動も許してやってるんだからな?その辺履き違えるなよ??泣かしたら分かってんだろうな?手ぇ出したら分かってんだろうな??あぁ?(圧)

 

 

「く、久遠?なんでそんな狂犬みたいな目で見てくるの…?」

 

「いや?別に?福田の勘違いだろ。」

 

「怖い怖い怖い!!目が据わってる!!」

 

 

まぁ一見チャラ男に見える福田だが根は真面目だし相手の嫌がるような事はしないし言わない。一緒に過ごしているとこいつ良い奴だなと嫌でも分かってしまう。さらには漫画やアニメにも関心があり、オタクの才能も持ち合わせていると来た。

 

まぁこの見た目だから誰も想像つかないだろうがな…。

 

 

 

「はーい、皆さん、そろそろ始業式が始まるので体育館に向かいますよ〜」

 

その後しばらく7人でだべっていると担任の呼びかけが聞こえてきた。さて、待望の睡眠時間がやって来た。さっさと向かって一眠りするとしよう…。

 

そんな事を思いながら俺はみんなの背中を追うのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――、はい。では先生からの話は以上です。明日から普通授業になりますので皆さん忘れ物の無いように。」

 

始業式の大半を余すことなく睡眠に費やした後、教室で諸々の連絡事項や配布物をもらい本日の全日程が終了した。

 

最後の挨拶を終えると何人かの生徒はすごい勢いで廊下に飛び出して行った。きっと帰ったら友達と遊ぶ予定でもあるのだろう…。だとしても危ないからやめましょうね。

 

俺も配布物を適当にしまって席を立つ。今後の予定は全然決まっていないがどうせ家でゲームかアニメの2択だろう。そして夜更かしして明日もまた寝不足続きと…。

 

確か今日も父さんと母さんは仕事で遅くなると言っていたし、最悪夜は自分で適当になんか作るか…。

 

「久遠〜、」

 

「…?どした福田。」

 

教室の扉付近まで来ると福田にポンと肩を叩かれる。

 

「今日暇だし俺ん家で遊ばね?」

 

「あ〜、別にいいぞ。俺も特にやる事ないし。」

 

「やりぃ〜。そんじゃ俺速攻帰って部屋片付けとくから久遠も早く来いよ〜?」

 

「おう、んじゃ後でな。」

 

ん〜、爆速で予定が出来てしまった。さすがの遥輝くんもこの展開は予想外…。なんだろう…これ…小学生のノリって…良いですね(語彙力)

 

前世は大学生だったけど今みたいに即予定が決まる事なんて無かったもんな〜。『今日バイトだわ』or『今日彼女だわw』で大体断られるし。そう考えるとさ、やっぱり小学生って最高だぜ☆(危険思想)

 

「遥輝!」

 

「ん?」

 

スタスタと1人教室から出て歩いていると今度は蘭が小走りでこちらにやってきた。ほかの4人の姿は無い。珍しいな…

 

「どした?」

 

「えっと…、今日みんなでつぐみの家に遊びに行くんだけど…、」

 

「…おう、」

 

「…良かったら…、遥輝も来ない?」

 

「…。」

 

内容はまさかの遊びのお誘いだった。困ったな…、もう既に先約があるんだよなぁ…。

 

まぁ、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

「あ〜ごめん。今日福田の家で遊ぶ事になってるからパスかな〜。みんなにもそう伝えてくれ。」

 

「…っ、そっか…。」

 

「おう。」

 

返事を聞いた蘭の顔が曇った。それに少し罪悪感を感じつつもしょうがないと自分に言い聞かせる。

 

 

「…じゃあ!今度…!遥輝の都合がいい時で良いから…、また6人で遊ばない?」

 

「えッ!?あ、あぁ〜…。」

 

戸惑う俺に構うことなく、蘭は言葉を続ける。

 

「モカ達も久々にみんなで集まりたいって言ってるし…。最近、昔みたいに6人で居る時間も少ないから…」

 

「いや、そんな事ないんじゃないか?6年連続でクラス同じじゃん?ずっと一緒いるくないか?」

 

「っ、それは…そうだけど…」

 

 

なんなら前よりも一緒に過ごす時間増えてると思うんだよな〜…。

 

 

「んじゃ、福田待たせるとうるさくなるからそろそろ行くわ。遊びの件は〜、まぁその内って事で。」

 

「っ!ちょ、まっ…て、、」

 

 

まだ何か言いたげな蘭だったが遅くなると福田がメンヘラ化してしまうのもまた事実。あいつのダル絡みに合うのだけはゴメンなのでここは先を急がせてもらおう。

 

 

 

 

 

「…ちょっとくらい、たまには顔出すくらい良いでしょ…バカ」

 

「…っ、」

 

 

 

 

 

 

小さくこぼれた蘭の言葉から逃げるように、俺は走って昇降口から外に出た…。

 

 

 







オリキャラ、福田大和。

超絶イケメン、背も割と高い。多分160後半はある。(遥輝もだいたいこの位。)スポーツすれば女子からキャーキャー、頭も良くテストは毎回100点で女子からキャーキャー、登校するだけで女子からキャーキャー。何をやってもキャーキャーキャーキャー。

小6時点でステータス爆盛りな遥輝くんの親友枠です。



「はぁ〜…なんでお前ばっかり女子からキャーキャー言われてんだよ羨ましい…。」

「いや、そう言うお前も女子の間で割りと人気だぞ?」

「嘘だ!!じゃあなんで1年近く女子から話しかけられねぇんだよ俺は!!意味わかんねぇよ!」

「あ〜…、(それはあの5人がしっかりガード固めてるからなんだよ〜なんて言えないよなぁ〜…。)なんでだろうね!!」

「;;」


次回、『福田と5人とあと俺』
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