ミラクルシナリオにミラクルをちょっとだけ絡めたお話   作:わさべ。

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期間限定品とか、割引品に弱かったり。

こういうの、あるあるだと思うんです。



お菓子

 

栗東寮の共有スペース。備え付けのテレビを見ながらだらりと過ごす。

 

「うーん…」

 

手元にあるのは購買で割引シールが貼ってあった期間限定のスナック菓子。もそもそとスローペースで食べ進める。

 

「…あ、またミラ子変なお菓子買ってる。」

 

「食べる?ビロちゃん。」

 

袋の開け口を向けて、食べるように促す。

 

「…美味しくないんでしょ。」

 

ミラ子が素直にシェアしてくるなんて。きっとそんな事だろうと推測してくるあたり、やっぱり私の事をよーく知っている。

 

もう1つ口に放り込む……うーーーーん…………

 

「うん。やっぱり、けっこーしんどい。1つ食べてみてよ。」

 

誰が命名したか青春初恋味。スナックにコーティングされた甘酸っぱい青春の汗と涙のフレーバー。とでかでかとパッケージに書かれている。

 

「…ん?意外といけるじゃん……」

 

もうちょい貰い。と複数個お口に放り込んでいく。

 

「いやー、最初はね?わたしもそう思ったんだけど。」

 

「……あー。これは。」

 

段々と眉間にシワがよっていくビロちゃん。

 

「ね?後味がなんとも…」

 

「わかる。…あと、絶妙な塩加減が合わない。…売れ残る理由も何となくわかる。……これ、何味…?青春初恋……?」

 

「これ、深夜テンションで考えたでしょ…って感じ。なんで塩味つけちゃったんだろ…?」

 

残り数個となったスナックをまとめて口に入れる。…やっぱり、なんとも言えない味だ。

 

「…ご馳走様でした。……お口直ししたい。」

 

今なら、ブラックなコーヒーを美味しく頂けるかもしれない。とそんなことを思っていると。

 

「…お、ミラ子にビロ子。丁度いいとこに。」

 

「んお、ハートじゃん。おかえり。」

 

「おかえりー……」

 

ビニール袋をもってハートちゃんが寮に帰ってきた。

 

「どったのミラ子?元気ないじゃん。…ほら、私が買ってきた面白そうなお菓子分けてあげるからさ!!」

 

そう言って嬉しそうにハートちゃんが取り出したものは。

 

「じゃーん!!期間限定、青春初恋味!!」

 

「うへえええ!!」

 

やっとの思いで消費しきった忌々しいスナック菓子だった。

 

「…えっ。何、何があったの。」

 

「あはは!!すごいタイミングで持ってきたね!?」

 

「…丁度さっきその青春初恋味を堪能してたんだよー!?」

 

いらないいらない、と身振り手振りで受け取りを拒否する。…いや、ほんとに。いらない。いらないって!!

 

「まさかー!!そんなに美味しくないわけないでしょー?」

 

勢いよくスナックの封をきって、ガサガサと口いっぱいに流し込む。あー、やっちゃった。少しづつならまだ何とか食べれるタイプのやつなのに。

 

モゴモゴと口を数度動かしたあと、動きがとまる。

 

「……むごご。」

 

「…ね?」

 

段々としわくちゃなお顔になっていくハートちゃんの惨劇をスマホのカメラに収めながら、呑み込むのを待つ。

 

「…ほい、牛乳。口直しして。」

 

「あ、わたしも飲む。」

 

ビロちゃんについでもらった牛乳を互いに一気飲みで流し込む。うっっっまい。牛乳。

 

「ぷはー!!しみるぅ…!!」

 

「ハート、おじさんっぽい。似合ってる。最高。」

 

「おじさん扱いは流石に凹むよ!?」

 

わいのわいのと途端に騒がしくなる。フジさんがいたら注意されてしまうぐらいには。

 

「…考えてみたら、ミラ子が受け取り拒否する時点でよっぽど美味しくないってことに気がつけばよかった。」

 

ぐでー、とソファにもたれ掛かるハートちゃん。…やる気が1段階下がっているような気がする。

 

「毒味担当だからねミラ子は。ミラ子に感想を聞いてから買った方がいいよ。」

 

「…毒味担当ってなに!?初めて聞いたけど!?わたしそんな風に思われてるの?」

 

「んー、だってよく変わった味のお菓子とかアイスとか買って失敗してるじゃん。ほら、前のシーザーサラダ味のアイス。」

 

「あー…思い出したくない。過去一酷かったやつ。」

 

ねっとりとしたシーザーサラダの後味が残り続けるのに加えて異物感のあるジャリジャリとした氷感がひっじょーに宜しくなかった。本当に。

 

美味しくなかったお菓子を思い出しつつ、残ったスナックをどうしようかみんなで悩んでいると。

 

 

「…あれ、皆なにしてるの?」

 

ひょいと、ミラクルちゃんが顔を覗かせてきた。ミラクルちゃんも買い出しに行っていたようで、手には大きめの袋が握られていた。

 

 

「おー、ケイ。ちょっとこっち来てよ。これ、食ってみ?」

 

(…うわー、ビロちゃん悪い顔してる。)

 

ビロちゃんがスナックの袋をミラクルちゃんに見せると、少し嬉しそうに微笑んだ。

 

「あ、青春初恋味。おれ、ちょっと気になって買っちゃったんだ。」

 

「え。」

 

ほら、と袋から取り出すは青春初恋味!!

 

「面白そうだし、みんなと食べようと思って。」

 

ひ、ひえええ…………で、デジャブ……!!

 

「あ、あれ……?どうしたの皆…?」

 

「…ミラクルちゃん。とりあえず食べてみて。」

 

「…?……うん。わかった。」

 

不思議そうに辺りを見渡してから1つ口に入れる。

 

「………!?」

 

次第に気難しい表情になっていくミラクルちゃんの姿が!!

 

 

 

「どうして皆、目新しいものに手を出しちゃうんだろうね……」

 

ハートちゃんがぼそりと呟く。

 

好奇心は猫をも殺す、って言葉。ここにいる皆は身をもって体感した。

 

 

どうして汗と涙を再現しようとしたのだろうか。青春か初恋か。片方に寄せるだけじゃダメだったのか。そもそもなぜGOサインが出たのか。

 

いつもの授業より遥かに真面目に、真剣に討論が繰り広げられることとなった。

 






ミラクル要素ないじゃん…!?これミラクルの日常モノじゃん!?
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