奴隷解放の戦士、自由と太陽の神ニカ   作:絶対正義=可愛い

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未来のお話。あるいはもう既に起こり得た過去のお話。
敗北と覚醒。


「一体貴方に何の価値があってアリウススクワッドを助けるのですか…?そんなにボロボロになってまで助ける必要があるのですか?」

 

今も体中を血で染める黒髪の少年はキッ!!と眼の前にいる諸悪の根源…ベアトリーチェを睨む。

 

しかし、どう見ても虚勢に他ならないのは、誰が見ても一目瞭然だ。

 

サオリはその言葉に絶望する。確かに彼が私達のために行動する理由は一つたりとも存在しない。

 

ゲヘナの勢力で最大のイレギュラーとして彼を殺そうとしたのは私達だ。

 

身勝手に殺そうとして

身勝手に助けを求め

それでもなぜか彼はここに立っている。

 

彼はここに立ってくれている。

 

そうなのだ。

 

彼は私達になんの対価も求めていない。

 

一縷の望みをかけて助けを請うたところ、一緒に来てくれただけなのだ。

 

「別におれはこいつ等がどうなろうが知ったこっちゃねぇ…。興味もねぇ…。」

 

 

少年はそんな言葉に意味はないとばかりにつぶやく。

 

それは少年の本心であり、それ以上でも以下でもない本音。

 

ならば何故…とサオリは言いたくなりその少年の眼を見て、言葉につまる。

 

その瞳に宿る感情は……怒り

 

純粋な怒り。

 

「わかりませんね…。ならどうしてそこまで戦い続けるのですか?」

 

銃は持っていない。戦闘中に壊れたというわけではなく、そもそもこの少年の武器はその身一つだ。

 

息も絶え絶え。

 

空気を吸い込む大きな音が鼓膜に届き、血だらけの腕を口元に持っていき腕を噛む。

 

 

 

躯が徐々に大きく肥大し、手や足は光沢のある赤紫色に染まる。

顔は般若のように険しく歌舞伎者のような迫力を醸し出す弾む男(バウンドマン)がそこにいた。

 

「気に入らねぇだけだ」

 

一言。

しかし、そこにのるのは激情。

 

その躯はゴムの性質を持ち足はまともに立つことが出来ずに常に飛び跳ねている。

 

そのゴムの力を最大限使い飛び跳ねる。

 

 

「何でもかんでもお前は手の中に閉じ込めて……!!!ハァ…ハァ…」

 

 

 

ベアトリーチェの頭上へと飛び上がりその肥大化した腕をベアトリーチェに叩き込もうとする。

 

そんな彼を見ても焦り一つ見せずに赤い化物は冷静に亡霊に命じる。

 

「どいつもこいつも操ろうとするから」

 

腕はギリギリと音を立てながら内側に収束されていく。

 

 

 

 

「おれは息がつまりそうだ!!!」

 

 

 

 

「貴方達生徒は所詮我々大人が使い切る駒にすぎないのです。」

 

 

その巨大な拳が亡霊を飲み込み潰される。

 

「そして…子供は大人には敵わない」

 

声は少年の後ろから聞こえる。

 

慌てて反撃しようとするももう遅い。

 

背後に回り込んだベアトリーチェが持つ爆弾…〝ヘイローを破壊する爆弾〟を背中に押し当てられ僅か0.2秒後に爆発し

 

 

 

 

 

 

少年のヘイローは砕け散った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〝先生〟が聖堂に駆けつけた時には既に

 

日珠理 ニカは死亡していた。

 

 

 

 

 

 

 

「おや?今頃駆けつけてきたのですか先生?しかし、残念ですね〜?もう既に彼は息絶えています」

「不思議ですか?彼がここにいることが」

「そこのアリウススクワッドは〝貴方ではなく〟日珠理(ひだまり)ニカを頼ったのですよ」

「子供を守るのが大人の責任…でしたっけ?」

「今の貴方にそれができているのでしょうか?」

「滑稽ですね?貴方が守るべきと思っていた子供は貴方を頼ることをせずに太陽の神に希望なんていうまやかしを抱き、助けを乞うた。そして、信じた結果がコレですから」

 

 

 

 

 

 

 

果たしてソレに気づいたのが誰だったか…

 

倒れ伏し

仰向けに倒れていた少年の躯から白い靄のようなモノがふよふよと躯から出ていくのを見たのは。

 

その少年の口元がにかっと笑ったのを見たのは。

 

 

 

その少年が

躰を起こしたのを見たのは。

 

 

 

 

 

時が止まったと錯覚する程音はしなかった。

 

 

響き渡る謎のドラムの音以外は何も聞こえなかった。

 

 

 

 

「あれ?おれ負けたはずなのに……」

 

 

 

 

 

少年の顔は見えない。

 

 

 

 

 

 

 

「ま、いっか…!」

 

 

 

 

 

さぁ…第2ラウンド開始だ。

 

 

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