奴隷解放の戦士、自由と太陽の神ニカ   作:絶対正義=可愛い

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少年は駅から降り立った。
その足取りは真っ直ぐとしているものの、少年自身は何処に向かっているかは分からない。

冒険心で動いているかのようで、そうではない。
勘…だろうか?



少年の姿を見た人がギョッとしてすぐさま離れていく。

そのすぐ後、スマホを取り出して何かを書き込んでいる。



少年はその事に全く気にかけない。
その歩みを止める者は誰一人いない。

その姿を見た不良は呆気に取られたかのように硬直している。

彼は歩む。

とある場所目指して。


対策委員会編
捻れて歪んだ終着点とプロローグ


ボロボロの、とある学園の制服を着崩した黒髪の少年がそこにはいた。

 

ここはD.U。

連邦捜査部S.C.H.A.L.E(シャーレ)の玄関前。

 

眼の前に建つビルを見上げた少年の顔には影がかかって良く見えない。

そして、口元をニヤリと面白そうに歪ませた。

 

そして、すぐに不思議そうに首を傾げる。

何故笑ったのか、わからなかったからだ。

 

しかし、コレが正しい。

そんな漠然とした予感がした。

 

再び視線をビルの玄関に。

そのまま少年はその足を進め、ビルへと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ニカさん』

 

ガタンゴトンと揺れる電車の中。

「青い髪の少女」と「逆巻く白い髪の少年」と「大人」が座っていた。

 

『何だアロナ?』

 

少年は座席に膝立ちして外を眺めている。

その横では眠る大人が座っており、まだ、目覚めそうにない。

 

 

『先程も言いましたが……改めてお願いします』

『………』

 

いつになく真面目なトーンで話す少女に少年は振り返って少女を見る。

 

少女は血を流していた。

 

 

『彼を出来るだけ助けて欲しいのです』

『ああ』

 

少年の横で眠る大人を見て少女は言う。

その言葉に即答し頷く少年。

 

『あなたはいつもそんな感じですね…』

 

多くは語らず少女は話を進める。

 

『俺のやる事は決まってるしなー』

 

少年はそれに了承の意を出した。

そこには確かな信頼があった。

 

『でも水臭えぞアロナ

『?』

 

少年は膝立ちの状態からクルッと反転し、電車の床に足をおろして、少女の眼の前に立つとグイッと顔を近づけて言う。

 

『俺達…友達だろ?』

『!』

『友達の頼みだ。おれに任せろ!!』

 

その言葉に少女は少し目を見開き、目を伏して頭をさげた。

 

『ありがとう……ニカさん』

『にしし……!!』

『ふふっ…』

 

『それじゃあ、おれは帰るよ』

 

2人で笑ったあと、少年は白い髪が黒くなるのを感じながら、扉へと向かう。

 

『ええ、どうかお願いしますね?』

『ああ!!…………アロナ!!』

 

 

 

 

 

もうほとんど白から黒へと変色しきった髪色の少年は少女の下に駆け寄り、首にかけていた麦わら帽子を少女の頭に載せる。

 

 

 

 

 

『この帽子をお前に預ける。次会ったときに返せよ』

 

 

 

 

 

少女は耐えきれなかった。

ポロポロと涙を零して、それでも何とか嗚咽を抑えて、我慢する。

 

 

 

『お前のこと、忘れちゃうし、力もなくなるけど……俺達の絆と思い出は、ずっと……(ココ)にある!!……またな!!』

 

 

 

頭に載せられた麦わら帽子を通じて伝わってくる少年の体温を感じながら、少女は深く帽子を被る。

 

声を震わせて今にも泣き叫びそうな声色で少女は返事をする。

 

『……っはい!…また、会いましょう』

 

 

 

『行きました…か』

 

その言葉をきっかけに少女はとうとう我慢出来ずに嗚咽を零した。

 

 

 

 

 

 

 

 

少し汚い麦わら帽子を被った青髪の少女は目元を赤く腫らして言の葉を紡ぐ。

 

眼の前の大人(ヒト)へ。

 

信頼出来る大人(ヒト)へ。

 

『……私のミスでした』

『私の選択、そしてそれによって招かれたこの全ての状況』

『結局、この結果に辿り着いて初めて、あなたや彼の方が正しかったことを悟るだなんて……』

『……今更図々しいですが、お願いします』

『先生』

『きっと私の話は忘れてしまうでしょうが、それでも構いません』

『何も思い出せなくても、おそらくあなたは同じ状況で、同じ選択をされるでしょうから……』

『ですから……大事なのは経験ではなく、選択』

『あなたにしか出来ない選択の数々』

『責任を負う者について、話したことがありましたね』

『あの時の私には分かりませんでしたが……。今なら理解できます』

『大人としての、責任と義務。その延長線上にあった、あなたの選択。そして、彼の選択。』

『それが意味する心延えも』

『……』

『ですから、先生』

『私が信じられる大人である、あなたになら』

『この捻れて歪んだ終着点とはまた違った結果を……』

『そこへ繋がる選択肢は……きっと見つかるはずです』

『だから先生、どうか……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〝……?〟

 

何か……長い長い、夢を見ていた気がする。

 

 

 

 

 

かくして、〝先生〟はキヴォトスへ来訪し、物語は進む。




少年はブーブーと鳴る警告音を無視して進む。

とある一室につき、バンッとドアを勢いよく開け放つ。

「おれ、ニカ。よろしくな〝先生〟」

かくして、
〝ニカ〟は〝先生〟と数時間ぶりに再開を果たす。

〝先生〟は〝ニカ〟と数週間ぶりに再開を果たす。



しかし、

お互いがそれに気づくことはない。
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