え?クラス転移で俺だけスキル無し?役立たずは置いていく?いや、俺、異世界召喚二度目で強い魔法たくさん使えるから普通に無双するよ?   作:taki210

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第十四話

 

「あ、おかえりなさいませ、カテリーナ様…って、カテリーナ様!?う、腕が…!?」

 

「すぐに治癒術師を呼びなさい…話はそれからよ」

 

「は、はい…!」

 

転移結晶を使って快斗から逃れたカテリーナはホッとため息をつく。

 

ここは王城のカテリーナの自室。

 

戻ってくるなりカテリーナの腕がないことに気がついた侍女に、カテリーナは王宮専属の治癒術師を呼ばせることにした。

 

国最高の治癒魔法の使い手なら、切れた腕の再生などお手の物だ。

 

カテリーナは意識が飛びそうなほどの痛みに耐えながら、頭の中を整理する。

 

「一体なんなの…あの男は…」

 

カテリーナは戸惑っていた。

 

それは自分の召喚した異世界人の一人が、使えるはずのない魔法を使ったことだった。

 

「ウィンド・カッター…切断に特化した風属性の上級魔法…」

 

快斗が自分に対して使ってきた魔法を、カテリーナは反芻する。

 

「あれは確かに魔法だった…どうして異世界人が魔法を…?」

 

異世界人にはこちらの世界に来る際に、スキルという特殊な能力が付与される。

 

スキルは非常に強力であり、大した修行をすることもなく、その力を行使することが可能だ。

 

故に、カテリーナの腕の切断がスキルによるものであるなら納得だった。

 

けれど、確かにあの男は唱えたのだ。

 

ウィンド・カッター、と。

 

それは上級魔法と呼ばれる、限られたものにしか使えない強力な魔法の名前だった。

 

使うのには十年以上にも及ぶ修行が必要な魔法を、どうして異世界にきてまもないあの男が使えたのか…

 

考えられる可能性は一つだ。

 

「魔法を使えるスキル…おそらくはそうなのでしょうね」

 

スキルの力というのは千差万別だ。

 

異世界人にしか使えないその能力の全貌はいまだに解明されておらず、たとえどのような奇想天外なスキル使いが現れても不思議はなかった。

 

おそらくあの男のスキルとは、魔法を使うことのできるというものなのだろう。

 

それならば納得が出来る。

 

「そもそも、私よりも先に詠唱を完成させられるはずがありませんものね」

 

さらにいうならば、カテリーナは、こと魔法詠唱の速度に関しては、並ぶもののない速さを誇っている。

 

あの時、先に詠唱を始めたのはカテリーナで、後から魔法の詠唱を始めてカテリーナに先んじられるはずないのだ。

 

故に、二重の意味で、あの男が普通に魔法を行使した可能性は考えられない。

 

快斗が魔法を使えたのは、スキルの力によるものだと、カテリーナはそう理解した。

 

「となると、召喚の真の目的を看破したのも魔法の力ですか…おそらくディテクトあたりを使ったのでしょう」

 

カテリーナは召喚した生徒たちに、召喚理由を魔族討伐のためだと説明したが、それは嘘だった。

 

彼女の目的は、異世界から召喚した強いスキル持ちたちを軍事転用することにあった。

 

そして、そんな隠された目的を、あの男は一瞬で看破してきた。

 

おそらくそれも、スキルによる魔法を使ったから出来たことなのだろう。

 

相手の言葉を嘘かどうか判断し、真の目的を知る魔法の一つにディテクトというものがある。

 

あの男が使ったのはおそらくそれだろうと、カテリーナは判断する。

 

「しかし、まだ一つ疑問が残ります…それは、起き抜けでモンスターを倒したことです…」

 

これで全ての疑問にかたがついたかと思ったが、まだ不可解な点があった。

 

それは、あの男の適応能力があまりに高すぎるということだった。

 

カテリーナは千里眼でずっと二人の様子を観察していたのだが、あの男は起き抜けにブラック・ウルフをスキルの力で葬っていた。

 

戸惑うこともなく淡々と。

 

これまで幾度に渡り召喚を行ってきたカテリーナの経験上、モンスターに初めて遭遇した異世界人は総じて戸惑い、すぐには行動できないはずだった。

 

大抵が現実を受け入れきれずに呆然とするか、もしくは脱兎の如く逃げ出すかだ。

 

遭遇していきなりスキルを使って立ち向かう者が現れたのはこれが初めてだった。

 

「相当肝が据わっていたのか……いえ、違いますね。ああ、私はなんと愚かなのでしょう。簡単なことです」

 

しばしの間考えてカテリーナはすぐに納得のいく結論に至る。

 

「あのものはずっと寝たふりをしていたのです。おそらくこの世界に召喚された次点で、すでに意識は覚醒していた。が、寝たふりを続けて、自分の中でスキルを認識し、その力を分析し、すぐにでも発動できるように備えていたのでしょう。だから、モンスターに襲われても恐れなかった」

 

これならば納得がいく。

 

あの男は、寝たふりをしながら、自分のスキルの使い方を頭の中で考え、クラスメイトたちがスキル鑑定をする間、じっと耳を澄ませて情報を集めていたのだろう。

 

それゆえのあの適応力。

 

これならば全てに納得がいく。

 

「やれやれ…侮れない人物を召喚してしまったようですね…」

 

全ての疑問に答えを得たカテリーナは、疲れたようにため息を吐いた。

 

自分は随分と厄介な異世界人を召喚してしまったようだ。

 

果たしてあの者を懐柔し、兵器として取り込むことはできるだろうか…

 

「まぁ、最悪、他のクラスメイトを懐柔してぶつけるのもいいでしょう…治癒術師はまだでしょうか…」

 

カテリーナはとりあえず快斗のことを考えるのをやめて、意識を保つことに集中する。

 

間も無くしてカテリーナの元に国一の回復魔法の使い手が現れ、切り落とされた腕は無事に生え変わり、完治したのだった。

 

 

 

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