え?クラス転移で俺だけスキル無し?役立たずは置いていく?いや、俺、異世界召喚二度目で強い魔法たくさん使えるから普通に無双するよ?   作:taki210

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第二十九話

 

一人で対峙した場合、ゴブリン・ウィザードは俺にとって敵ではない。

 

だが今は新田の存在がある。

 

遠距離攻撃の手段を有しているモンスターから人一人を守りながら戦うのは案外至難の技なのだ。

 

それに…

 

「あんまり手の内を明かしたくはないんだがなぁ…」

 

俺は天を見上げる。

 

カテリーナの千里眼。

 

それだけが俺の気がかりだった。

 

おそらくカテリーナは今も遠視の魔法の最上位、千里眼の魔法で俺のことを監視しているだろう。

 

あの女とはいずれ戦うことになるだろうから、あまり今のうちから手の内を明かしたくないというのが俺の本音だった。

 

「ま、背に腹は変えられないか…」

 

が、俺の最優先事項はすでに新田を無事に日本に送り届けることと決まっている。

 

新田に万が一のことがあっては本末転倒で、あまり出し惜しみしていられる状況でもない。

 

「悪いが、すぐに仕留めさせてもらう」

 

出来れば体術のみで倒したかったが、俺は魔法を使ってゴブリン・ウィザードをさっさと仕留めてしまうことにした。

 

「ウィンド・カッター」

 

切断に特化した風属性の魔法を使う。

 

『『『……?』』』

 

鋭い切断音と共にゴブリン・ウィザードの周りを固めていたゴブリンの首が一気に飛んだ。

 

四つの首がぼとりと地面に落ちて転がり、その後、ゆっくりと四つの体が地面に倒れ伏した。

 

おそらく何をされたかも理解することなく絶命しただろう。

 

「後はお前だけだ」

 

残ったのはゴブリン・ウィザードだけとなった。

 

『グギィ……』

 

ゴブリン・ウィザードは仲間を殺されたことの怒りか、表情を歪める。

 

『グギィ!!!』

 

魔力の気配。

 

俺は自分と新田の周囲に魔法でシールドを展開する。

 

ギィン!!!

 

鋭い音が鳴って、ゴブリン・ウィザードの魔法攻撃がシールドに阻まれる。

 

「ふぇ!?」

 

背後で新田が驚いて尻餅をついている。

 

俺はすかさず、ゴブリン・ウィザードに向かって火属性の上級魔法を使った。

 

「ファイア・トルネード」

 

ゴォオオオオオオオ!!!

 

直後、炎の嵐が巻き起こり、轟音が周囲を蹂躙する。

 

『グギャァアアアアアアア!?!?!?』

 

火属性の上級魔法、ファイア・トルネードは、周囲の木々を巻き込みながら吹き荒れ、ゴブリン・ウィザードを蹂躙する。

 

『グギィイイイイイイイ!?!?!?』

 

周囲にゴブリン・ウィザードは、断末魔の悲鳴が響き渡る。

 

しばらくして魔法が収まると、そこには全身が焼け爛れ、両足を欠損した虫の息のゴブリン・ウィザードが残った。

 

『グ…ギィ…』

 

まだ僅かに息があるのか、掠れた鳴き声が聞こえる。

 

「はぁ…ったく」

 

俺はため息を吐きながら、ゴブリン・ウィザードの頭蓋を踏んで砕き、トドメを刺した。

 

「す、すごい…」

 

背後では新田が、周囲の木々が一掃されて更地になった様子を見て絶句している。

 

俺はというと、これで火属性の上級魔法が使えることをカテリーナに知られてしまったことを嘆いていた。

 

「まぁ…まだ極級魔法、古代魔法を使えることは知られてないからいいか…」

 

むしろ上級魔法が俺の限界であると誤認してくれる可能性もある。

 

俺はそう無理やり自分を納得させてから、新田の元へと戻るのだった。

 

 

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