え?クラス転移で俺だけスキル無し?役立たずは置いていく?いや、俺、異世界召喚二度目で強い魔法たくさん使えるから普通に無双するよ?   作:taki210

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第三十五話

 

確か最後に自分のステータスを鑑定したのは、魔王討伐の旅に出る直前だったか。

 

その時点ですでに俺のステータスは、水晶の測定限界を超えていたはずだ。

 

それ以来ステータスを測定する機会がなかったからすっかり失念していた。

 

俺のステータスを鑑定できる水晶が、異世界には存在しないことに。

 

「ままま、まさか…っ!!測定限界値を超えるステータスを…!?」

 

割れた水晶を見て受付嬢がワナワナと震え出す。

 

「お?」

 

「ん?」

 

「なんだぁ?」

 

受付嬢のあまりの大声に、周囲の冒険者たちが一斉にこちらに注目した。

 

不味いな。

 

このままだと騒ぎになりかねない。

 

俺は誤魔化すことにした。

 

「そんなことあるはずないだろ。測定値を超えるステータスなんて、それこそ勇者でもない限りありえない。きっと水晶が老朽化していたんだろ」

 

「そ、そうですね…」

 

俺の一言によって冷静さを取り戻したらしい受付嬢が、居住まいを正す。

 

「失礼しました…取り乱しました。お、奥から新しい水晶を持ってきますので…しばらくお待ちください…」

 

そう言って受付嬢が引っ込んでいった。

 

「え、どういうこと…?」

 

いまいち状況の飲み込めていない新田が、隣で首を傾げている。

 

「どうやらあの水晶じゃ俺のステータスを測り切れなかったみたいだ」

 

「へ…?どういうこと…?」

 

「測定限界値ってのがあってな。それを超えると、水晶が耐えられなくなって壊れるんだよ」

 

「な、何それ…あ、握力が凄すぎて握力計が壊れるみたいな感じ…?」

 

「まぁ、それに近いな」

 

「えぇ…」

 

新田がちょっと引いていた。

 

「お、おい…新田…」

 

「な、なんかすごいんだね…一ノ瀬くんって…」

 

「…」

 

「機会があればでいいから…前にこの異世界に来たときに、何があったか聞かせてね…」

 

「…わかった。長くなるぞ。いいのか?」

 

「うん、大丈夫。すごく興味あるから」

 

「そうか…」

 

新田とそんな会話をしていると、受付嬢が戻ってきた。

 

その手には新しい鑑定水晶が握られている。

 

「ど、どうぞ…新しい水晶です」

 

「すまない」

 

俺は再び鑑定水晶に手をかざした。

 

それと同時に、自身に無詠唱でデバフの魔法をかける。

 

一回だと不安なので、一応五回ほど重ねがけしておいた。

 

一度の魔法でステータスは約半分になるから、五回もかければ、十分測定範囲内に収まることだろう。

 

受付嬢に見守られる中、水晶が光り輝きだした。

 

「こ、これは…すごい…!かなり高いステータスです…!ここまでのは久しぶりに見ました…!」

 

受付嬢が興奮した声でそんなことを言う。

 

「そうか…」

 

俺は無事測定範囲内に収まったことにほっと安堵の息を漏らした。

 

「このステータスなら問題なく登録が可能です。また、高ステータス登録者限定の様々なサービスを受けることができます。武器の貸し出しや、初期費用の貸付などですね」

 

俺が高ステータスだったからか、その後の受付嬢の対応はずいぶん物腰低いものになった。

 

俺はその後、自らを冒険者として登録し、新田を助っ人として登録。

 

冒険者カードを発行してもらい、晴れて冒険者となることが出来たのだった。

 

 

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