え?クラス転移で俺だけスキル無し?役立たずは置いていく?いや、俺、異世界召喚二度目で強い魔法たくさん使えるから普通に無双するよ?   作:taki210

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第三十六話

 

「さて、行くか、新田」

 

「うん」

 

冒険者ギルドでの用事は済ませた。

 

クエストを受注し、路銀を稼ぐのは明日以降でいいだろう。

 

今日の宿代は…おそらく、森で仕留めたヒュージ・グリズリーの素材を売ることで手に入るはずだ。

 

俺は新田と共に受付を離れ冒険者ギルドを去ろうとする。

 

「おいおい、ちょっと待てよ日本人」

 

そんな俺たちの前に、一人の男が立ちはだかった。

 

「ん?」

 

「え?」

 

俺も新田も首を傾げて立ち止まる。

 

おそらく冒険者と見られるその男は、ニヤつきながら俺たちを品定めするように眺めている。

 

「なぁ、お前ら。その顔つき、異世界からきた日本人だろ」

 

「…そうだが?」

 

何か良くない予感がしつつも、俺は頷いた。

 

この世界の特権階級が、召喚の儀によって日本人を召喚するのは珍しいことじゃない。

 

現に俺が二度この世界に召喚されていることだし、目の前のこの男が『日本人』の存在を知っていたところでなんの不思議もなかった。

 

「日本人が冒険者登録かぁ?一体なんのために?」

 

「別にあんたに話す義理はないな」

 

「おいおい、そりゃねーぜ。俺は一応このギルドの古参でお前たちの先輩なんだぜ?ちょっと対応がおざなりすぎるんじゃねーか?」

 

「はぁ…目的はなんだ?」

 

冒険者がこのようにして無意味に他人に絡むのは良くあることだ。

 

おそらくこいつも、特に理由もなく新参の俺たちにつっかかってきた手合いだろう。

 

そう理解しつつ、俺はさっさとここを出たかったために目的を尋ねる。

 

「俺と勝負しろよ、おら」

 

「…お?」

 

てっきり金でも要求されるのかと思ったが、意外にも男は直球を放り込んできた。

 

このパターンは、だいたい金を要求され、断ると殴りかかってくる、という展開になりがちなのだが。

 

「知ってるぜ。お前ら日本人は、この世界にくるときにスキルって力を授かるんだろ?」

 

「…だったらどうした?」

 

「俺はよぉ…もう十年冒険者やってんだ。この辺りに俺と互角に戦える冒険者やモンスターはいなくなっちまった。かつて見たいなワクワクできる戦いは、もうしばらくしてねぇ」

 

殺気を振りまきながら男が言った。

 

「い、一ノ瀬くん…」

 

気圧されたのか、新田が背後で不安げな声を出す。

 

「大丈夫だ、新田。下がっててくれ」

 

「う、うん…」

 

俺は新田に距離を取らせながら、男と対峙する。

 

「だからよぉ、日本人。俺と戦え。お前らのスキルとやらで俺を楽しませて見せろよ」

 

「はぁ…」

 

小物っぽい絡み方をしてきたこの男は、どうやら俺と戦うことが目的だったようだ。

 

言われてみれば、確かに目の前の男の存在感は、周囲で傍観している冒険者たちと比べて僅かながらに強いように思える。

 

おそらく自らの力を過信し、自惚れている手合いだ。

 

この手の輩は、こちらが勝負に応じるまでいつまでも絡んでくるだろう。

 

戦いは避けられないか…

 

「面倒だなぁ…」

 

俺はぼりぼりと頭を掻いた。

 

あまり道草食っている場合でもないのだが…しかし降りかかった火の粉は払わなくてはならない。

 

幸いなことにここは建物の中だし、カテリーナの千里眼で監視される心配もない。

 

ある程度は力を使っても、問題ないことになる。

 

俺は戦う覚悟をする。

 

「いいぜ、相手してやる。かかってこいよ」

 

「くはっ!そうこなくっちゃ」

 

男が不敵に笑った。

 

 

 

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