え?クラス転移で俺だけスキル無し?役立たずは置いていく?いや、俺、異世界召喚二度目で強い魔法たくさん使えるから普通に無双するよ?   作:taki210

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第三十七話

 

「おい見ろ…ゲオルグのやつが日本人に喧嘩売ってるぜ…」

 

「大丈夫かよ…?日本人はスキルとかいうのを使うんだろ?」

 

「魔法なんてレベルじゃねぇ、とんでもねぇ力だって聞くぜ…?」

 

「けどよぉ…いくら日本人でもゲオルグは無理じゃねーか…?あいつ、このギルド最強だろ…?」

 

俺と冒険者の男が戦うことになって、これは見ものだと思ったのか、酒を飲んでいた冒険者がこちらに次々集まってきた。

 

そしてあっという間に俺たちの周囲をスペースを開けて囲む。

 

全員が好奇心に目を輝かせ、もはや後戻りは出来ない状態になっていた。

 

「俺はゲオルグ。お前の名前も聞こうか」

 

喧嘩を吹っかけてきた冒険者の男…ゲオルグは、肩をぐるぐると回してやる気満々だ。

 

「俺は快斗。こっちは恵美だ」

 

俺は一応の礼儀として、自分と新田の名前を明かした。

 

「に、新田恵美です…」

 

背後から新田が小さく自己紹介をする。

 

「カイトにエミか…やっぱり変わってんなぁ、日本人の名前は。くはは」

 

何がおかしいのか、ゲオルグが笑う。

 

「で、どうする?俺は二人同時にでも構わねぇぜ?それとも、一人ずつにするか?」

 

「いや」

 

どうやらゲオルグは新田とも戦うつもりらしい。

 

が、俺としては当然スキルのない新田を矢面に立たせるわけにはいかない。

 

さっさとゲオルグを倒してここを出るとしよう。

 

「戦うのは俺だけで十分だ。もし俺を倒せたなら…その時は好きにしたらいい」

 

「くひっ…そうかい」

 

ゲオルグが背後の新田を見て、下衆な笑みを浮かべる。

 

「ひっ」

 

背後で新田が小さな悲鳴を上げた。

 

「ったく…どいつもこいつも…」

 

ゲオルグが何を考えているのか知らないが、新田の精神衛生上、さっさと倒したほうが良さそうだな。

 

「さっさと始めよう。俺たちにはあまり時間がないんだ」

 

俺は勝負開始を促す。

 

ゲオルグが俺に向かって構えをとった。

 

「おう、始めるとも。開始の合図はそっちでいいぞ」

 

「じゃあ、スタート」

 

俺は即座に勝負をスタートさせた。

 

新田を背後に庇いながら、ゲオルグの出方を見る。

 

ゲオルグの体内で魔力が練り上げられ始めた。

 

なんらかの魔法を使うつもりのようだ。

 

「身体強化…!」

 

ゲオルグが魔法を使った。

 

近接戦闘において最も役に立つとされている魔法、身体強化だ。

 

ゲオルグの体が筋肉に包まれ、膨れ上がっていく。

 

「くははっ…見ろこの肉体…!この鋼の筋肉…!」

 

「…」

 

「普通の身体強化の魔法じゃ、ここまでの肉体強化はありえない…!」

 

「…」

 

「俺はこれまで、身体強化の魔法のみを鍛え上げてきた…!この魔法一本で…俺はこのギルド最強の地位を手に入れた…っ!!」

 

「…」

 

自惚れるゲオルグ。

 

気づけばその体は、ひとまわり大きくなっていた。

 

メリメリ、と音を立てて服が消し飛び、筋肉に包まれた上半身が露わになる。

 

「す、すげぇ…」

 

「ゲオルグの身体強化…やっぱすげぇよ…」

 

「おいおい、いくら日本人相手だからって本気出し過ぎじゃないのか…?このギルドを壊すつもりじゃないよな…?」

 

そんなゲオルグを見た周囲の冒険者がどよめきをあげる。

 

「…?」

 

俺は彼らの反応が全く理解できなかった。

 

俺にはゲオルグの使った身体強化が特に秀でているとはまるで思えなかった。

 

いや、むしろ今まで見てきた身体強化の魔法の中では弱い部類…

 

「死ねぇええええ!!日本人っ!!!」

 

ゲオルグが突っ込んできた。

 

ブゥンと唸りをあげる右拳。

 

「ふむ…」

 

この程度の威力なら、食らったところでなんの問題もないだろうが、しかし、背後に被害を及ぼさないために俺は一応受け止めておくことにした。

 

右の手をスッと前に出す。

 

ドォン!!

 

「「「うおおおおおおっ!?」」」

 

「きゃっ!?」

 

風圧が発生し、周囲の冒険者の体が吹き飛ばされる。

 

「大丈夫か?新田」

 

俺が背後を振り向くと、新田が尻餅をついていた。

 

怪我はなさそうだ。

 

俺は安堵して前に向き直る。

 

「なっ…あ…っ」

 

そこには、驚愕に目を見開いたゲオルグがいた。

 

信じられないと言った表情で、自らの拳を受け止めている俺の右の手の人差し指を凝視している。

 

「お、俺の拳を…たった指一本で…?」

 

ゲオルグには、目の前の現実が受け止めきれないようだった。

 

 

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